北海道清水町議会
平成19年第2回定例会(3月8日_日程第5)
○議長(田中勝男) 日程第5、町政執行方針について、町長より平成19年度町政執行方針を述べていただきます。
町長。
○町長(高薄 渡) 少々お時間をいただきまして、執行方針を述べさせていただきたいと思います。少し早口になるかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
I はじめに 平成19年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、私の町政執行に対する所信と基本方針を申し述べ、町民の皆さん並びに議員各位のご理解とご協力をお願いする次第であります。 我が国の経済は、景気回復を続けるものと見込まれておりますが、北海道においては依然としてその実感はなく、厳しい経済環境にあります。加えて、国の構造改革が進められる中で地方分権や三位一体改革による地方交付税の削減、社会保障関係経費の増などが見込まれ、非常に厳しい財政運営を余儀なくされております。 こうした中、4月から上下水道使用料を始め20項目にわたる使用料等の改定により、町民の皆さんにご負担をお願いすることとなりますが、「清水町行財政健全化実行プラン」に基づき、更なる事務事業の見直しを図り、歳出全般の抑制に努めてまいる所存であります。 これまで先人たちが強い情熱と英知を持って、多くの困難を克服し、たゆまぬ努力によって培ってきたこの清水町を守り発展させていくことが、今私たちの使命であり、責務であると強く感じているところであります。 めまぐるしく変革する時代にありますが、町民の皆さんが誇りと愛着を持てる魅力あるまちづくりに向け、より一層の汗をかき、期待に応えるべく全力を傾注してまいる所存でありますので、町民の皆さん並びに議員各位の変わらぬご支援、ご協力をお願い申し上げる次第であります。 以上、平成19年度に臨む所信を申し上げ、新年度の主要な施策につきまして、「清水町総合計画」のまちづくり目標に沿って述べさせていただきます。 II 地方財政と予算概要 平成19年度政府予算の一般会計規模は、82兆9,088億円と前年度当初予算より4.0パーセント増と2年ぶりに増加し、政策的経費である一般歳出も46兆9,784億円で、前年度比6,124億円、1.3パーセント増と3年ぶりに増加したところであります。 歳入では、税収が企業の好業績による法人税の増や定率減税の廃止を受け53兆4,670億円で、前年度比7兆5,890億円、16.5パーセントの増、国債発行額は公共事業の減少などで25兆4,320億円、前年度比4兆5,410億円、15.2パーセントの減と3年連続の減額となっております。 歳出では、社会保障関係費が21兆1,409億円で前年度比5,670億円、2.8パーセントの増、文教及び科学振興費は経済成長戦略や再チャレンジ支援、教育再生などに重点配分したことで5兆2,743億円、前年度比72億円、0.1パーセントの増となっております。 一方、平成19年度の地方財政計画の全体規模は、前年度とほぼ横ばいの83兆1,261億円となりましたが、社会保障関係の国庫補助事業や退職手当等の歳出の自然増がある中で、給与関係経費や投資的経費の地方歳出を厳しく見直しされたことにより、公債費等を除く地方一般歳出は65兆7,350億円、1.1パーセント減となり、地方交付税は、交付税特別会計借入金の償還が開始されたことにより配分総額は15兆2,027億円、前年度比7,046億円、4.4パーセントの減となり大変厳しい状況となりました。 本町の本年度の一般会計と6特別会計及び公営企業会計を合わせた当初予算総額は、前年度比0.4パーセント増の112億8,780万円、この内、一般会計の予算総額は前年度比2.0パーセント減の64億9,500万円としたところであります。 特に、地方交付税のうち普通交付税につきましては、公債費償還費の減少等により基準財政需要額の減額が見込まれることから、平成18年度決算見込額と比較して7.2パーセント減の27億7,000万円を計上しております。 III 主要施策の推進 豊かな自然と共生した森と水の郷づくり 日高山系の豊かな自然と河川を生かし、美しい自然環境に配慮した潤いのある快適な生活環境を整備し、自然と共生したまちづくりを進めてまいります。 ◎恵まれた自然の保全・育成と調和した住まいとして 地域の大切な資源であります自然環境と景観に気を配りながら、効率的な土地利用や市街地形成、河川、公園、緑地の整備に努めるとともに、やすらぎの生活圏として、平成11年から造成してきました「さくら野住宅団地」の第3次分譲並びに町内移住や転居のための空き家、空き地などの情報提供を積極的に推進し、また、老朽化が進んでいる既設町営住宅の改修や火災警報設備の設置を行ってまいります。 ◎快適に暮らせる生活環境として 水道事業につきましては、安心な水を安定して供給できるよう上水道、簡易水道施設の適正な管理に努め、浄水場の機器更新や本年度から清水地区の漏水調査を実施し、計画的な老朽管布設替工事を行うとともに、美蔓簡易水道は、中熊牛、松沢地区の給水開始に向け引き続き給配水管布設工事を進め、下美蔓地区の配水管工事の実施設計にも着手します。 また、快適な生活環境をつくるためには、下水道施設の安定した管理が必要であり、汚水処理を適正に行うため清水終末処理場の機器更新を行ってまいります。 花と緑に包まれた潤い豊かな環境づくりのために、駅前花壇や本通り花壇への植栽など住民活動に対して支援を行うとともに、衛生組合が実施している春秋の町内一斉清掃、花いっぱい運動と連携し、美しいまちづくりに取り組んでまいります。 ごみ処理につきましては、ごみ分別排出方法の徹底と、再資源化の推進により、最終処分場の延命を図っていますが、更にごみ分別排出方法やリサイクルに関する情報を町民や事業所に提供し、ごみ減量化に努めてまいりますとともに、ごみ収集業務につきましては、本年度から全面委託し、ごみの適正な処理を進めてまいります。特に、ごみの不法投棄や違法な野焼きに対しては、警察や衛生組合と連携を図りながら、監視体制の強化と啓発活動に取り組んでまいります。 また、浄化槽管理の指導につきましては、道からの権限移譲により本年度から市町村での実施となり、検査実施機関である浄化槽協会と連携し、法定検査による改善事項に対しては、設置者への適正な指導に努めてまいります。 ◎安心して暮らせるまちとして 全国的に犯罪は減少傾向にあるとは申せ、まだまだ複雑多岐な事件や事故が発生し、被害者・加害者共に低年齢化が進んでいます。本町におきましては、事件や事故の発生件数は前年に比較し減少しているところでありますが、一昨年より町・教育委員会や学校・PTA・生活安全推進委員会等の各関係機関や青色回転灯装備車による「児童・生徒を犯罪や交通事故から守る」監視活動の実施により、犯罪の抑止効果につながっているものと思われ関係者のご努力に敬意と感謝を申し上げる次第であります。 本年度も犯罪につながる情報の共有により事件や事故の発生を未然に防ぎ、町民一人ひとりが安心して暮らせる「安全・安心なまちづくり」に努めてまいる所存であります。 また、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、複雑化している中、商品や金融サービス等の消費生活をめぐるトラブルは年々手口が悪質巧妙化してきていることが指摘されています。平成18年度、本町の消費者相談受付件数は、消費生活相談や出前講座等の啓発活動、警察署及び関係機関並びに関係団体との積極的な連携、情報の共有等の活動にかかわらず、平成17年度と比較して同程度でありますが、これまで以上の消費者被害予防の取組みが必要であり、本年度におきましても、消費者が悪質商法などのトラブルに巻き込まれないよう、的確な情報を提供するとともに、消費者相談業務の充実を図ってまいります。 ◎暮らしと産業を広げる道路・交通・通信網として 国費、道費による道路整備につきましては、車両及び歩行者の安全を図るため、車道、歩道の整備等を関係機関へ積極的に要請してまいります。 本年度の予定工事は、国道274号につきましては、鹿追町界までの車道及び橋梁拡幅改良工事の着手、国道38号では、清水市街交差点の改良工事などが進められる予定であり、道費事業につきましても、道道忠別清水線では、継続事業の讃岐地区の改良舗装工事、人舞地区の防雪柵設置工事などが予定されています。 また、町道の整備につきましては、御影市街地の道路改良、舗装工事を継続するとともに、高速道路メニュー助成による西清水道路改良工事を実施してまいります。 さらに、北海道横断自動車道につきましては、十勝清水・トマム間が本年11月末開通の予定であり、道央までの道路網が改善され、より迅速に安全な通行確保のため、引き続き十勝清水・夕張間の早期完成に向けて、関係自治体と共に要請活動をしてまいる所存であります。 なお、十勝清水・トマム間の完成式典が本町で開催される予定となっておりますが、決定されれば協力してまいります。 ◇誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまちづくり 子どもからお年寄りまで、誰もが安心して暮らせる保健・医療・福祉の充実に努めてまいります。特に、町民の皆さんにとって、親切で便利な相談窓口が大切でありますので、職員の能力と資質の向上に努め、町民の皆さんの声にしっかり耳を傾け悩み事や問題の解消が図られるよう、関係機関との連携を一層強化してまいりますとともに、安定的な高齢社会の構築に向けて、社会資源の活用や地域との協働をさらに進め、保健・福祉サービスの充実に努めてまいります。 ◎誰もが健康で暮らせる保健・医療として 健やかで、いきいきと自立して生活していくことは、町民誰もの願いです。町民一人ひとりが住みなれた地域で、元気で暮らしていけるよう、健康の大切さの啓発普及をはじめ、「清水町健康増進計画」に基づき、「生活習慣病の予防・改善」「栄養・食生活の改善」「積極的参加型の健康づくり」など、食生活改善推進員協議会や保健推進協議会の協力をいただき、町民の主体的な健康づくりの支援を行ってまいります。 また、各種検診につきましては受診しやすい体制づくりに努め、健康相談や訪問指導、窓口での個別指導を充実し、生涯を通して健やかに安心した生活が送れるよう保健事業を進め、保健指導体制の強化を図ってまいりますとともに、本年度新たな事業として、突然の心停止者の救命に対応するために、自動体外式除細動器を公共施設に配置し、安全安心のまちづくりに努めてまいります。 ◎誰もが安心して暮らせる福祉として 児童福祉及び子育て支援につきましては、平成17年3月策定の「次世代育成支援行動計画」の基本理念である「親と子が家族とまちを愛し未来を担うふるさとづくり」に基づき、その実現に向けて町民・地域にご協力をいただきながら取り組んでまいります。 また、昨年12月、教育、保育関係者等で構成する「清水町次世代育成支援地域協議会」を設置し、計画事業の実施状況の評価等が協議され、その結果については次期計画に反映してまいります。 全国的な少子化の中で本町におきましても、出生数は年々減少傾向にありますが、共稼ぎ家庭等の増加により、町内保育所への入所希望児童数は、ここ数年、増加傾向にあります。 さらに、清水地区の学童保育所の平成19年度入所希望児童数は、定員を大きく上回る状況であり、放課後における児童生徒の居場所対策について、教育委員会・学校関係者と早急に協議してまいりますとともに、幼保・小連携の取組みについては、相互理解を図るための授業参観や学習会、保育授業体験など、関係者の交流・連携が深まりつつあり、今後もこの取組みの成果を保育所や幼稚園における保育活動等に生かすとともに、教育の原点である家庭や地域に対しても情報やメッセージとして発信し、全町的な広がりにつなげていきたいと考えております。 また、平成15年から進めてきたへき地保育所の再編成は本年3月、旭山保育所の閉所をもって終了いたします。今日までの運営に対し地域をはじめ関係者の皆さんのご理解とご協力に深く感謝申し上げる次第であります。本年4月からの保育料改定と合わせ、へき地保育所の保育時間の延長及び開所日数の増加等の見直しを行ってまいります。 さらに、子どもの発育や発達への支援についても、「児童デイサービスセンター(きずな園)」における発達支援センター機能の充実を図り、保育所や幼稚園、保健師及び関係機関等と緊密に連携協力し、当該児童や保護者に対しできるだけ早く適切な療育・支援ができるよう取り組んでまいります。 また、社会的弱者といわれる方々が、地域社会で安心して生活できるよう、社会福祉協議会及び関係機関との連携を密にし、関係団体等の協力を得ながら、自助、共助、公助により支え、助け合う地域福祉の充実に努めてまいります。 障害者自立支援法の施行により、市町村の果たす役割が非常に大きくなっているところであり、「清水町障がい福祉計画」に基づき、平成24年度からの新体系への完全移行に向けて、障がいを持っている方々が地域で安心して生活できるよう、サービスの充実を図るとともに相談支援体制の充実に努めてまいります。本年度は、相談支援事業をはじめとする地域のシステムづくりの協議の場として、関係機関や福祉施設・関係団体等による「地域自立支援協議会」を設置してまいります。 また、労働行政につきましては、関係機関、各事業所との連携を一層深めながら労働環境の改善及び雇用促進に努めてまいります。 また、季節労働者対策につきましても、関係者、各団体と協議しながら就労対策事業を実施してまいります。 ◎健全な運営で共に支え合う社会保障として 国民健康保険事業につきましては、「国民皆保険制度」の基盤として、地域医療の確保、地域住民の健康保持増進に重要な役割を担っているところであります。 しかしながら、国民健康保険制度は、高齢者の加入割合が高く医療費が年々増大する傾向にあり、また、低所得者が多いため保険税の負担能力に限界があるという構造的な問題を抱えるとともに、少子高齢化の急速な進展や引き続く経済状況の低迷、医療技術の高度化等により、その財政運営は非常に厳しい状況が続いています。 このような中、本年度の保険給付費は、これまでの給付実績、被保険者数を基に推計したところでありますが、国民健康保険事業の安定運営のためには、引き続き保険税徴収率の向上と、国の財政基盤強化策等の支援制度活用のほか、一般会計と基金からの繰入により収支の均衡を図ってまいります。 また、医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設等大幅な法改正が昨年行われ、今年度は平成20年4月から実施される「後期高齢者医療制度」の準備期間として、円滑な制度移行に努めてまいります。 さらに、税制改正に伴う国民健康保険税の基礎課税額の限度額の引上げと、平成18年分所得の確定後において、国民健康保険税(医療分)の税率改正を検討してまいりたいと考えております。 介護保険事業につきましては、「清水町介護保険事業計画」第3期計画に基づき、介護サービス供給体制の強化と充実を図るため、介護予防サービスに対応した地域密着型サービス事業の実施や健康検診の実施により特定高齢者の選定を行い、高齢者の生活機能の低下などを早期に発見し、「地域包括支援センター」を中心に要介護状態になることを防止するための介護予防事業に積極的に取り組むとともに、事業の運営につきましても、要介護・要支援認定者数の増加やそれに伴う介護サービス利用の増大により、介護給付費が伸びておりますので、予防効果を最大限に引き出し、制度の健全な運営を図ってまいります。 また、高齢者が住み慣れた地域でいつまでも元気で安心して生活できるように「地域包括支援センター」の機能を充実するとともに、適切な支援やサービスの提供ができるよう保健・医療・福祉の連携に努めてまいります。 ◇一人ひとりがいきいきと輝く創造性豊かなまちづくり 町づくりは人づくりであり、人間が人間である最大の特徴は、教育を通じて成長することであります。教育を通して先人が築いてきた知恵や文化を身につけるとともに、新しい考え方や行動を編み出していきます。また、個々の才能を開花させ、人間として自立するとともに、家族や社会の一員として他の人を尊重し、誇りと責任を持って生きていくことを学ぶのです。教育こそ人間社会の存立基盤であるという観点にたって教育・文化・スポーツの振興に努めてまいります。 ◎豊かな心と個性を育む教育として 社会が大きく変動している今日、未来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ、心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることができるようにするため、感性を磨き、豊かな情操と優れた創造性をもち、心身共に健康な人間に成長することは、私たちの大きな願いであり、使命でもあります。 今日では親権者による児童虐待やいじめ問題等、子どもの安全安心が脅かされたり、家庭や地域の連帯感が薄れるなど、子どもを取り巻く環境が憂慮されているところであります。 このような中、うるおいとぬくもりのあるそして厳しくも美しい、清水の四季を通じて、家庭、学校、地域が相互に連携協力して情報を共有し、命を大切にし、優しい心・素直な心・思いやりのある心を持つとともに、ふるさとを愛して新しい時代を切り拓く知恵とたくましさのある子どもを守り育てる教育を推進することが重要であります。 「打てば響く、心に響く」を本町の教育理念とし、家庭、学校、地域が連携して、感性にあふれ、表情豊かな子どもを育てる"しみず「教育の四季」"の「12の窓」から、「早寝、早起き、朝ごはん」「あいさつ・返事・後始末」「食育」などの国民として生きていくために必要な基本的な生活習慣や規範意識を育んでまいります。 また、子どもたちが意欲的に自ら楽しく学ぶ力や、社会で自立していく力を身につけるためのコミュニケーション能力など、「確かな学力」の定着を図ってまいります。そのために、本年度で5年目を迎えます「少人数学級」や指導教諭の複数配置などで、学習集団と生活集団の一体化による、基礎・基本を重視した学習と教師や子ども同士の細やかなかかわりの中から「豊かな心」が育っており、子どもたちは楽しい学校生活を送るなどの大きな成果を上げております。 また、道の委託事業である「幼保・小連携教育」の実践的な調査研究につきましては、幼稚園・保育所の教育と小学校教育との適切な接続をさぐり「遊び」から「学び」へのスムースな移行、教員の意識改革など、非常に大きな成果を上げており、本年度も、教育委員会と協議を重ね、幼児の生活習慣や心の教育等、小学校とのきめ細かな交流を通じて、相互の理解と連携を図るよう引き続き実施してまいります。 また、閉校施設の活用につきましては、旧下佐幌小学校は、地域有志の方々から申し出のあった介護事業等を行う地域福祉施設として貸与する方向で、現在、内閣府に地域再生計画を申請中であります。 さらに、旧松沢小学校につきましては、引き続き「閉校施設等活用検討委員会」において検討し、具体的な活用案ができた段階で、地域の皆さんと協議してまいりたいと考えております。 全ての町民が、「町の宝」子どもの育ちに関心を持って連携し、情報を共有する中で、ふるさと清水に愛着を持ち、ふるさとに心を寄せる感性豊かな子どもを育む教育を推進してまいりますとともに、子どもの安全安心の確保に向けて、町内各学校の危機管理機能の充実や保護者や地域住民の登・下校時における通学路等のパトロールなどボランティア組織の充実を図る取組みを推進してまいります。 また、近年、我が国の食生活を取り巻く社会環境としては、核家族化や共稼ぎ家庭の増加に伴い、子どもたちの「朝食欠食」、「孤食」、「冷食」、「偏食」化傾向が強まり、食生活の乱れにより健康への悪影響が大きな社会問題となっております。 このような中、町内の各学校におきましては、児童・生徒に正しい食事の摂り方や望ましい食習慣を身に付けさせるなど、食に関する指導の充実を図るため、学校栄養教諭の導入を目指し、あらゆる機会を利用して積極的に「食育」を推進するよう努めるとともに、工夫を凝らした、安全で安心な地元食材を多く活用した給食を提供してまいります。 また、スクールバス等の運行につきましては、町内遠距離通学の児童・生徒や住民の交通を確保し、安全で確実な輸送をするために職員研修や委託先への指導を徹底し、日常の車両点検・整備を怠ることなく安全運行に努めてまいります。 清水高等学校につきましては、総合学科の先進校として特色ある教育活動により、生徒一人ひとりが自分の個性、志向を踏まえ、科目を選択し、将来に向けた実践的な教育を展開しております。 特に、可能性を見つけ出す5つの系列に生徒個々が何を目指し、何で輝くかを真剣に模索するカリキュラムの開発も注目されています。 さらに、部活動におきましては、アイスホッケー部の活躍がめざましく、管内・外から入部を目指して入校する生徒が多く、これらの生徒の支援や更なる総合学科の充実に向け、清水高等学校並びに清水高等学校振興会との連携をより一層図りながら協力してまいります。 ◎いきいきと学びあえる社会の実現として 町民一人ひとりが生きがいのもてる生活を生み出すために、地域住民の持ち味や人間性を生かした生涯学習ボランティアの拡充発展に努め、地域の持つ教育力を引き出し、それを活用した事業を展開すると共に、情操豊かな人間形成を図るため、読書普及事業や体験事業、芸術・文化鑑賞機会の提供に取り組んでまいります。 また、心身共に健康で充実した生活を営むため、スポーツ活動を日常的に取り入れるよう、スポーツ教室等の実施や各種大会への参加支援に努めてまいります。 ◎共に理解し、ふれあう活動として 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会の様々な分野における活動に参画する機会が確保され、その能力が十分に発揮できるように努めてまいります。 さらに、昨年開校した構造改革特区による広域通信制の北海道芸術高等学校や、札幌国際大学と連携し展開している十勝清水アカデミー事業などにおいて、面接指導やゼミ合宿等で来町される生徒、学生、先生方を町全体で温かく迎え、町民との交流や連携を深め、教育機能の高いまちづくりを展開するとともに、来町者の皆さんによる本町での宿泊や飲食、お土産等の消費購買などによる経済効果を高めてまいります。 また、移住施策につきましては、北海道移住促進協議会や西北十勝地域移住促進検討会などと連携し、情報の収集と発信に努めるとともに、ワンストップ窓口での対応を充実し移住定住の促進を図ってまいります。 ◇新たな時代に対応した産業のまちづくり 恵まれた大地と、新たな知恵・技術・情報を生かした安全で良質な農畜産物を生み出す農業と農産工業の振興を進めるとともに、地域に根ざした商工業の振興と美しい自然環境を生かした観光・レクリェーションの推進を図るとともに、産業の連携を深めながら活力のあるまちづくりを進めてまいります。 ◎魅力的で活力のある農業として 本町の農業生産は、平成16年度は195億円と過去最高の生産を記録し、平成17年度も192億円の高生産となり、この間、後継就農者も多数確保されるなど、本町農業は順調に経過してまいりました。 しかしながら、平成18年度は天候不順による畑作物の作柄不良や生乳の生産調整が一昨年の11月から継続して実施されるなど農業生産額は大きく落ち込みました。 また、本年度から導入される品目横断的経営安定対策やオーストラリアとの自由貿易協定(FTA)の早期締結の動きなどもあり、農業情勢は一転して厳しい局面を迎える状況となってまいりました。 FTA問題は農業の崩壊に繋がるものであり、絶対に阻止すべきものであります。 このような中、本町農業は、今後も食料の安定供給と関連産業が地域経済や社会を支えていく重要な産業として位置づけられるとともに、これまで以上に安全で良質な農畜産物の生産確保や農村のもつ環境保全をはじめとする多面的機能も評価された中で、発展していかなければならない大切な役割を担っており、これら推進に向け施策を実施してまいります。 本年度の重点施策といたしましては、農政の大きな転換施策とされる農業経営所得安定対策の推進や、本町の5地区で実施する農地・水・環境保全対策事業の円滑な推進を図ってまいります。 また、農業者と商工業者や地元消費者と連携を図る食の安全・安心推進事業を継続して実施し、地産地消の推進や食をとおした交流を深めてまいりますとともに、平成17年に制定した「ふるさとブランドとかちしみず認証制度」をより一層推進し、本町農産品や食品の地域ブランド化を確立してまいります。 また、農業用廃プラスチックの回収処理や地下水の硝酸性窒素汚染防止対策など、環境保全に配慮した農業の推進をしてまいります。 畜産関係施策につきましては、一昨年から実施している畜産担い手育成総合整備事業での草地整備改良や畜産施設の整備、更には、最終年となる堆肥舎設置等整備支援を実施してまいりますとともに、家畜伝染性病の発生防止に、万全な防疫体制を取ってまいります。 町営育成牧場運営につきましては、乳牛育成期におけるコスト低減や労働力の軽減など、酪農経営の補完施設として大きな役割を果たしており、今後も経営の大型化に伴いその重要性がますます増大される状況にあります。このような中、本年度も、夏期放牧利用が2,080頭・冬期舎飼利用が765頭の受け入れを予定し、効率的な飼育管理の実施と防疫体制の強化等により、預託者が安心して利用できるよう、より一層充実した管理運営を行なってまいります。 ◎恵まれた自然を生かした林業として 森林は、地球温暖化を防止するだけでなく、国土の保全や水源のかん養等、安全で安心できる生活に不可欠な機能を有しており、このような森林を守り育てていくため、より適正な森林管理が求められてきております。このため、町有林施策では、本町の「森林施業計画」に沿って適正な管理のもと継続的な整備保全を進めてまいりますとともに、平成17年度から実施しております「町民レクリェーションの森」の整備につきましても継続して事業を進め、民有林事業につきましても、造林事業等の支援を継続して実施し緑豊かな町となるよう努力してまいります。 ◎消費者ニーズに即した商工業として 私たちを取り巻く経済環境は、個人消費の低迷、過疎化、価格競争の激化、町外への流出等、課題が山積みしており、本町におきましても、生活者の消費購買行動の変化により購買力が町内大型店や町外に流出しており、商工業者にとって極めて厳しい状況が続いております。 このような時代こそ、消費者ニーズを的確に把握し、消費者に信頼され、親しまれる店舗にするために商業者の皆さんが知恵を出し合い、顧客のニーズに合わせた、きめ細かいサービスを展開することが大切と考えております。 町といたしましても、こうした状況を打開するためにも商工会とより一層連携を図り、地域内の消費購買を喚起し、販売促進事業の支援を行なうとともに、「経済活性化戦略会議」などを通じ企業の誘致活動や起業化支援を行なってまいります。 ◎自然を満喫する観光・レクリェーションとして 本町の観光につきましては、日勝峠を核とした自然環境・農業・第九の町としての地域文化を基調として、各観光施設との有機的な連携を図りながら各イベントを開催し、地域の活性化に努めてまいりました。近年、豊かな自然や農業、文化や地域特性を生かした農村体験観光が注目されてきており、本町でも観光資源の発掘と有効活用について関係者と連携を取りながら、より一層グリーンツーリズムの推進を図ってまいります。 また、十勝西北部の関係する5町の各団体との連携によりシーニックバイウエイ構想に取り組んでいるところでありますが、これら道路網の利便性を活用しながら、本町が十勝を訪れる観光客の出発点となるよう努力してまいりますとともに、地域のイメージアップと町内外からの誘客を見込み、毎年観光イベントを開催しておりますが、本年も引き続き、観光協会並びに商工会、農業協同組合等と連携・協力して町民の皆さんが積極的に参加し、楽しんでいただけるようなイベントを企画してまいりたいと考えております。 次に、しみず温泉フロイデの今後の方向性について申し上げます。しみず温泉フロイデは平成7年4月にオープンして以来、12年を経過し、この間、多くの皆さんにご利用をいただいてきたところでありますが、近年の入浴客の落ち込みによる収入の減少と施設等の修繕や機械の更新など運営経費の増大により、平成17年度、平成18年度共に一般財源からの持ち出し額が5千万円程度となり、今後も施設の運営状況は非常に厳しいものと予想されます。 このようなことから、昨年実施しました町民の皆さんとの「ふれあいトーク」の中で、しみず温泉に関する意見をお聞きしましたところ、今後も財政状況の好転が見込めぬ中では、直営での運営はやめるべきとの意見が大勢を占めたところであります。 これらを踏まえた中で、しみず温泉フロイデにつきましては、民間に売却することとし、売却不可能な場合は、平成19年度末で運営を廃止することとした次第であります。 なお、民間売却につきましては、平成19年度中に温泉の運営継続を優先して売却先を探してまいりたいと考えております。 ◎新たなる雇用・就業を創出する産業・事業として 基幹産業である農業や地域資源と人材を活かした活力あるまちを創造していくため、昨年、清水町・JA十勝清水町・清水町商工会・清水町観光協会・清水町建設業協会の町内5団体で「清水町経済活性化戦略会議」を設置したところであります。この戦略会議を構成する関係団体との連携をより強固にして、中心市街地衰退化防止や企業誘致、食を通じた連携事業など、引き続き本町の経済活性化に向けて取り組んでまいります。 また、本町に設置が決定した「バイオエタノールの実証プラント」は、関連産業の誘致など相乗的な経済効果が大きく期待される一大プロジェクトであり、地球環境の保全にも大きく貢献するものでありますので、庁内に昨年「清水町バイオエタノールプラント事業推進支援本部」と、本年「清水町バイオエタノール実証プラント事業促進期成会」を設置し、全町挙げてこの事業の推進に協力し、環境を重視するまち清水町を広く国内にアピールしてまいります。 ◇みんなで創る協働のまちづくり 地方分権が進む中、町民の皆さんと行政が情報を共有し、協働のまちづくりを進めるための環境を整え、豊かで魅力ある地域社会の創出に向け、様々な地域課題に取り組んでまいりますとともに、厳しい財政状況の中ではありますが、より効率的な行財政の運営と住民サービスの向上に努めてまいります。 ◎町民主役のまちづくりとして まちづくりの主役は町民であるとの精神を大切にし、昨年4月1日に施行されました「清水町まちづくり基本条例」に基づき、町民の皆さんがまちづくりに参加しやすい環境の整備と、広報紙や町のホームページをはじめ、まちづくり情報コーナーや町内19ヵ所に設置した情報掲示板などにより行政情報を積極的に公開し共有できるよう努めてまいります。 また、地方分権の進展にともない、地域住民や行政が自らの判断と責任において進めることが求められており、一人ひとりの町民のもっている力が地域で発揮できる仕組みを作り、課題解決のため町民と行政がそれぞれの役割を分担し、共に知恵を出しあい汗を流す「協働のまちづくり」を進め、町民の積極的な活動を促進し、活力あるまちづくりに努めてまいります。 ◎効率的な行政運営と健全財政のまちづくりとして 厳しい行財政の現状を克服するため町民の皆さんのご理解ご協力を得て、現在「行財政健全化実行プラン」を進めているところでありますが、緊急3ヵ年プランについては本年度で終了するため、平成20年度からの新たなプランを策定してまいります。 個人町民税は、畑作農業での収量低下等の理由により所得の伸びは期待できないところでありますが、国の税制改正による定率減税の完全廃止、税率の一律6パーセント化などにより、全体としては6千万円程度の増収を見込んでいるところであります。また、法人町民税につきましては、法人数に大きな変動がないことから、昨年とほぼ同額の税収を見込んだところであります。 固定資産税につきましても土地、家屋、償却資産とも昨年度並みと予想し、ほぼ同額の税収を見込んだところであります。 また、収納対策につきましては、本年度設置されます「十勝市町村税滞納整理機構」と連携を図り、自主財源確保のため収納率向上に一層の努力をしてまいります。 ◎広域と連携したまちづくりとして 十勝町村会では、当面、中長期的な展望を踏まえながら各町村が自主・自立の方針に沿って行財政改革を一層進め、簡素で効率的な行財政運営に努めながら広域連携を推進していくとともに、機運が高まったところは合併協議を進めることとしています。 昨年、道が公表した「市町村合併推進構想」では、現在のところ具体的な協議は進んでいない状況です。 従って、十勝町村会では、十勝一市構想など将来の十勝の自治のあり方については、十勝地区グランドデザインに基づいて帯広市と共に研究していく方向になっておりますので、管内市町村との連携を密にし、町民の皆さんや議員各位のご意見を賜り、今後の方策を探ってまいりたいと考えております。 IV むすび 以上、平成19年度の町政に臨む所信を申し述べさていただきました。 私は、「清水町まちづくり基本条例」が目指す、町民と行政との役割分担により住民自治を推進する「協働によるまちづくり」が、今後ますます重要になると確信しております。町民参加の開かれた町政運営と安全で安心できるまちづくりに最大限の努力を傾注してまいります。 議員各位のご理解を賜りますようお願い申し上げるとともに、町政運営に対する町民各位のなお一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、町政執行方針といたします。 平成19年3月8日 清水町長 高 薄 渡 |