北海道清水町議会

北海道清水町議会

平成19年第2回定例会(3月8日_日程第6)

議長(田中勝男) 日程第6、教育行政執行方針について、教育委員長より、平成19年度教育行政執行方針を述べていただきます。
 教育委員長。

教育委員長(三澤吏佐子)

 

I はじめに
 平成19年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、教育委員会の所掌する行政執行の主要なる方針について申し上げます。
 昨年末、国は60年ぶりの教育基本法の改正を行いました。今後は教育振興基本計画の策定や関連法案の改正、学習指導要領の策定などが矢継ぎ早に展開する中で、人間力回復の教育改革を図って、品性ある国民による品格ある国・日本を創ることを目指そうとする、我が国の教育は大転換期を迎えています。北海道においても昨年示された「北海道教育ビジョン」では、北海道が目指す教育の基本理念として「自立」と「共生」を掲げ、5つの基本目標、12の基本方向、29の視点から基本理念実現へ向けての方策を示しました。
 しかし、昨年はいじめ問題による児童生徒の自殺の連鎖が全国的な社会問題となったり、高校の未履修問題の表面化等教育の現状が浮き彫りとなりました。
 「教育は誰のために行われるのか」「学校では何を教えるのか」教育の根幹が正に問われています。今こそ、次代を担う子どもたちへの真の教育実現に向けた、本物の教育を構築しなければなりません。
 清水町教育委員会では、これらのことを踏まえた上で、家庭、学校、地域が連携して、しみず「教育の四季」の「12の窓」の実践を通して、「心をかよわせ、互いに響き合う感性豊かな教育」を推進してまいります。

II 学校教育の推進
 子どもは、「清水町の宝」です。うるおいとぬくもりのある、厳しくも美しい清水の四季を通して、家庭、学校、地域がお互いに連携して情報を共有し、しみず「教育の四季」の「12の窓」から、命を大切にする子ども、優しい心、素直な心、思いやりのある心を持つ子ども、ふるさとを愛し、夢と希望に胸を膨らませて新しい時代を切り拓く子どもたちを心合わせて守り育てる教育を推進します。
 「打てば響く、心に響く」を教育のまち「しみず」の基本理念とし、清水町学校教育目標「確かな学力、豊かな心、健やかな身体を育む」を達成するために社会教育と連携を深めて、学校力・教師力を強化して社会の中で生きていく人間力を育てる教育を推進してまいります。

1 確かな学力の育成
 「確かな学力」につきましては、子どもたちが学ぶ楽しさを感じながら個性や能力を伸ばし、社会で自立していく力を身につけることができるようコミュニケーション能力など、基礎・基本を確実に習得させ、学ぶ意欲の高揚や学習習慣の定着を図ってまいります。
 そのためには、少人数学級編成や教師がチームを組むT・Tを活用した少人数学習指導等を通して、子どもに基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、自ら学び、自ら考え、判断する力等生きる知恵につながる「確かな学力」を育み、自立した生き方を支える教育を推進してまいります。
 また、体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図り、理解力、判断力、表現力など「生きる力」を育成し、情報処理能力や創造力の向上を図るとともに、教師の資質向上に向けて、校内外の研修体制の強化に努めてまいります。

2 豊かな心と健やかな体を育む教育の推進
 豊かな人間性と感性の育成につきましては、子どもたちに生命を大切にする心、美しいものに感動する心、思いやりの心、公共心、善悪などの規範意識や倫理感を育むため、家庭、学校、地域社会が一体となって道徳教育の充実や学校内外を通じた奉仕・体験活動、さらに読書活動の推進を図ります。
 各学校においては、学校に漂う文化の創造に心がけ、爽やかな笑顔と活力に満ちた特色ある教育活動を展開します。「あいさつ、返事、後始末」など基本的生活習慣の定着を図るとともに、「朝の読書」「夕べの読書」等を地域の方々の協力を得ながら、子どもたちの心に響く教育を推進して、感性に満ちあふれ、表情豊かな子どもの育成を目指した教育を実践します。
 心身の健やかな成長を促す教育については、子どもたちの体力・運動能力の向上と健康教育の充実を図る教育を推進するとともに、子どもたちの望ましい食習慣や食に関する自己管理能力を身に付けられるよう、栄養教諭の指導・助言のもとに家庭と学校が連携して食生活に関する実践的な教育活動を推進してまいります。

3 子どもの安心・安全教育の推進
 次代を担う子どもたちが、家庭、学校、地域社会の中で、自分がかけがえのない一人の人間として大切にされ、頼りにされていることを実感でき、存在感と自己実現の喜びを味わえる環境のもとに、健やかに育まれることが重要であります。
 子どもたちの安心・安全の確保に向けて、各学校においては危機管理マニュアルの見直しや登下校時における通学路等のパトロールボランティアの充実など、保護者や地域ぐるみの取組みを推進してまいります。
 また、昨年大きな社会問題となった「いじめ問題」については、「どの学校でも、どの子にも起こり得る」問題であることを十分に認識し、日ごろから子どもが発するどんな小さなサインをも見逃さない、いじめの早期発見、早期対応が重要です。
 各学校に対しては、「いじめは人間として絶対に許されない行為」との認識の下に、子どもたち一人一人に毅然とした態度での指導を徹底することと、「いじめ」を許さない学校づくり、学級づくりを全教職員の共通理解のもとに推進してまいます。さらに、学校の雰囲気が明るく、子どもと教師の信頼関係が結ばれていて、学校と保護者、地域の間によき協力関係が構築されよう指導してまいります。
 全ての町民が、「町の宝」子どもの育ちに感心を持って、連携して確かな歩みを共有して、ふるさとしみずに愛着を持ち、ふるさとに心を寄せる感性豊かな子どもを育成する教育を推進してまいります。

4 幼保・小の連携教育の推進
 平成17年から北海道教育委員会の委託を受けて「幼保・小連携教育調査研究事業」を実施して2年が経過しました。
 この事業は、就学前教育と小学校教育のなめらかな接続の在り方について実践交流を通した研修を推進しています。その主な内容は(1)幼保・小の教育課程のなめらかな連携 (2)教職員相互の意識改革と交流及び保育と授業体験 (3)子ども同士の交流を通した生活習慣や心の教育の充実 (4)保育活動・教育活動の年間計画一覧に、「教育の四季」を盛り込んだ「連携マップ」の作成 (5)保護者の連携・交流などです。
 本年度も幼稚園、保育所と小学校間の生活と学びのなめらかな連携を図るため、児童保育センターとともに、研修を深めてまいります。今後は、小・中学校の連携も視野に入れた調査研究も含めたなめらかな連携教育の推進を考慮してまいります。

5 しみず「教育の四季」の推進
 昨年4月、清水町では、家庭・学校・地域が連携して、「打てば響く、心に響く感性豊かな子ども」を育むために"しみず「教育の四季」"を制定しました。これは、清水町の宝である次代を担う子どもたちの健全育成を目指し、季節とそれぞれの持ち場でできる「12の窓」から、複数の目で一人ひとりの子どもたちに関わり、情報を共有して、全町民が心を合わせて守り育てる実践的な取組みです。
 この内容は、子どもたちが心豊かに生きていくために必要な基本的な生活習慣と規範意識に関わるものです。「早寝、早起き、朝ごはん」「あいさつ、返事、後始末」「朝の読書と夕べの読書」「食育」など、家庭、学校、地域で取り組める実践的な項目ばかりです。
 町内の教育関係機関や町づくり推進協議会、子ども会育成連絡協議会等、各団体の代表者で組織された"しみず「教育の四季」推進協議会"を設立して、家庭、学校及び地域に広く浸透を図ってまいりました。その主な成果としては、(1)学校は大きく開かれ、町内4校それぞれにおいて、PTAや地域住民によるスクールサポートボランティアシスティムの充実。 (2)保護者、地域住民による子どもの安心・安全に関わり、登下校時の見守り隊や全家族輪番による「おはよう交通安全運動」など。 (3)家庭、地域におけるあいさつ運動の充実。 (4)児童会、生徒会で積極的な「教育の四季」への取組みなどが挙げられます。
 まち挙げてのこの取組みが、浸透することによって、学習習慣、生活習慣等のリズムが整い、学習意欲の向上につながるものと期待しています。
 今年度は、昨年1年間の成果と課題を十分に検討して、より広い町民への浸透を図るとともに、町民が一体となって、感性に満ち溢れ、表情豊かな子どもの育ちに心を寄せる教育の展開を目指し、連携して確かな実践を積み重ねてまいります。

III バスの運行及び学校給食の運営方針
 本町のバス運行につきましては、スクールバス、町有バス及び町民バスの運行管理を行っております。
 スクールバスの運行につきましては、町内の遠距離通学の児童生徒を安全に、また、確実に輸送するために乗車時間の短縮を図るべく一部運行計画の見直しなどを行い、町内全12路線を運行してまいります。
 町有バスの運行につきましては、住民の交通手段を確保し、公共の福祉を図る目的で学校の開校期間にはスクールバスと兼ねて運行し、閉校期間(春休み、夏休み、冬休み)には清水町の休日などを除き毎週火曜日と金曜日に町内5路線を運行してまいります。
 町民バスにつきましては、町内の各福祉関係団体や社会教育関係団体の活動などにバス1台で運行しておりますが、今後も各関係機関のご協力をいただきながら運行をしてまいります。
 いずれのバス運行につきましても、利用者の安全性を確保するため、日常の車両点検と整備を怠ることなく、また、職員の交通安全に対する研修などを行い、安全なバス運行に努めてまいります。
 次に、学校給食業務につきましては、近年の我が国の食生活を取り巻く社会環境の変化に伴い、子どもたちの「朝食欠食」、「孤食」、「偏食」など、食生活の乱れが大きな社会問題となっております。
 朝食を「欠食」することにより突如としてキレたりする子、少子化や共稼ぎによる「孤食」が家庭団欒の場を少ない子にし、コンビニ弁当などによる「偏食」、食事内容においても肉類などが増えて栄養面の偏りによる生活習慣病予備軍の増加が懸念され健康に与える影響が心配されています。
 給食センターといたしましては、学校や家庭との連携を密にし、児童・生徒に正しい食事の摂り方や望ましい食習慣を身に付けさせるための食に関する指導の充実を図ってまいります。
 そのためにも学校栄養教諭の導入を目指し、あらゆる機会を利用して積極的に「食育」を推進するとともに、子どもたちが将来にわたり健康に生活していくため学校給食を通して「食育」を進めてまいります。
 安全で安心できる給食提供はもとより、子どもの「食育」を重要課題と位置付けて、センター内に調理員が主体となっての食の研究組織「プアパ」を中心に、町内で生産される食材を給食に積極的に使用するための実践的研究を行い、学校給食を通して「地産地消」を進めてまいります。
 また、特色のある学校給食として、日本各地の名物や名産の食材を活用した「日本を食べよう」、地元で生産される旬な食材を活用した「旬を食べよう」、地元の特産食材を使用した「プアパ創作料理」、児童・生徒の「リクエスト給食」や「バイキング給食」を今年度も実施してまいります。
IV 社会教育の充実
 青少年が、豊かな人間性など生きる力を身に付けるには、様々な体験活動を進めることが大切であります。
 また、成人や高齢者が、自ら生きがいのある充実した生活を送ることができるよう、それぞれのライフステージに応じた多様な学習ニーズがますます高まっています。
 このため、青少年が地域社会の中で自然とのふれあいや仲間との生活体験、活動体験などを経験できる場と機会の充実を図るとともに、成人には趣味・教養的なものから専門的なものまで、また、知識・技術の習得からスポーツ・文化活動にいたるまでの幅広い学習活動の機会を提供することが大切であります。
 人は地域に育てられるとともに、地域を育てる力を持っています。
 平成18年度から始まった第6次社会教育計画の柱である「いきいきと学び合える社会の実現」をめざし、まちぐるみでしみず「教育の四季」の理念を生かし、地域が持つ力と地域を創る力によって、社会教育の充実を図ってまいります。

1 社会教育活動の推進
 家庭は教育の原点であると言われていますが、家庭や地域の環境は大きく変化しており、家庭や地域の教育力の向上を図るため、親子での体験活動を支援してまいります。
 青少年教育につきましては、地域に根付く清水の子どもにこにこプラン事業や生活リズム向上推進事業などを行い、地域や子ども同士の交流を通して健全育成に取りくんでまいります。
 成人教育につきましては、町民の主体的な学習を支援し、生きがい作り、趣味や教養を深めていただくために、公民館を中心とした各種講座を開催するとともに、自主性を活かし楽しみながら活動ができるように、社会教育施設機能の維持に努めてまいります。
 さらに、「生涯学習ボランティア登録派遣制度」を継続し、登録者の拡大と活動場所の提供を図り、町民の多様な知識・経験を活用して「町民が共に学び、共に生きる循環型学習社会」の推進を図ってまいります。

2 芸術・文化活動の推進
 芸術・文化を鑑賞することにより得た感動は、いつまでも心に残り潤いのある生活への活力となります。町民一人ひとりに心の豊かさを提供するために、芸術・文化に触れる機会を提供してまいります。
 特に、幼児、小・中学生の豊かな感性を育むために、芸術鑑賞事業を実施いたしますが、保護者や町民の方にも鑑賞していただけるように取り組んでまいります。
 また、多くの文化団体が活発に活動をしておりますが、各団体の自主的な活動を支援するとともに、清水・御影両文化協会との連携を深めながら町民の芸術・文化活動の促進を図り、指導者の養成に努めてまいります。

3 スポーツ活動の推進
 健康で心身ともに充実した生活を営むために体を動かすことは、欠かせないものであり、町民が生涯にわたってスポーツに親しみ、生活の中に取り入れられるよう情報提供をして意識の啓発に努めてまいります。
 少年期からのスポーツ活動の取り組みは、心身ともに健全な子どもを育み、親子間のコミュニケーションをとる上でも有用な手段であることから、清水町スポーツ少年団本部との連携により少年団の育成と指導者の養成に努めるとともに、親子で参加できるスポーツ教室、大会などを実施してまいります。
 成人期には、競技性の高いスポーツと健康維持を目的とした軽スポーツがありますが、清水町体育協会や社会体育団体との協力を得ながら、各種講習会や大会などを開催し、スポーツ活動の活性化を図ってまいります。
 また、氷上スポーツ施設として広く親しまれているアイスアリーナにつきましては、今年度より指定管理者制度により運営してまいりますが、冬期スポーツの振興と地域活性化の視点から指定管理者と連携を密にしてまいります。
 
4 図書館・郷土史料館の運営
 図書館につきましては、町民の豊かな読書生活を保障し、日常的な調査・研究に応えるための施設として、図書館サービスの一層の充実と開かれた図書館活動の推進に努めているところでありますが、引き続き特色ある図書購入に努め町民の読書要求に応えるとともに、寄贈図書の有効利用を図ってまいります。
 本年度も子どもを取りまく読書環境をより向上させるために、お話し会などの図書館事業や学校図書館との連携・協力など、図書館内外で積極的な児童サービスの提供に努めてまいります。
 さらに、エントランスホール展や四季のテーマ展示などを通して「町民のふれ合いの場」としての図書館をめざしてまいります。
 郷土史料館につきましては、引き続き郷土の開拓、生活資料の保存・展示及びコンピュータを利用した清水ガイドの運営に努めてまいります。

V むすびに 
 以上、平成19年度の教育行政執行に関する主要な方針について申し上げ、本町の教育・文化・スポーツの振興と生涯学習社会の構築に最善の努力を傾けてまいりますので、議員並びに関係各位の温かいご支援と積極的なご協力をお願い申し上げ、教育行政執行方針といたします。
    
  平成19年3月8日 

   清水町教育委員会  委員長 三 澤 吏 佐 子