北海道清水町議会

北海道清水町議会

平成19年第4回定例会(6月15日_一般質問1)

○議長(田中勝男) 日程第1、一般質問を行います。
 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 7番、奥秋康子。判断能力が不十分な方の権利と財産を守るための成年後見制度の利用についてお尋ねします。
 我が町もひとり暮らしの高齢者または高齢者夫婦のみの世帯が増加しております。加齢とともに判断能力が衰えてまいりますと、高齢者をねらった悪徳商法や詐欺的な事件などに遭いやすくなるばかりか、老後のためにとせっかく蓄えた財産が自分のために使うことができないまま終わってしまうということもあります。
 認知症の老姉妹が悪徳業者の繰り返し行う住宅のリフォームに高額な請求をされるままに支払い、全財産を失うといった事例はまだ記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近では、ターゲットにされた認知症の方が「次々販売」という新たな手口の被害に遭ったということも報道されておりました。これは大都市の問題ではなく、人口わずか1万人ほどの地方の町での判断能力の不十分な人をねらった犯罪であって、私達のまわりで起きている身近な問題であります。
 平成17年に改正をされました介護保険法により、被保険者の権利擁護のため必要な援助を行う事業は市町村の事業とされました。身寄りのない認知症の高齢者は契約行為自体が難しく、それを補うために介護保険の施行に伴い、成年後見制度が創設されたものであります。安全・安心に暮らし続ける方針のもと、財産身上保全を行い、安心して老後を送ることができる成年後見制度の普及が必要であると考えます。
 ところが、この取組みについて、町民の認識や周知度が低いように思われますがいかがでしょうか。住民は日常生活において、いろいろな契約行為があり、認知症を支えるためには、成年後見制度の利用について、しっかりとしなければならないと考えます。本町では成年後見人制度を利用している方は何人いらっしゃるでしょうか。お伺いします。
 また、必要とする方々に必要な援助が行われるよう、どのような対策をお考えでしょうか。町長の所信をお伺いします。

○議長(田中勝男) 答弁を求めます。町長。

○町長(高薄 渡) おはようございます。
 ただいまの奥秋議員の質問にお答えしたいと思います。
 議員も成年後見制度について心配が非常に多いということからそういう制度の活用についてのご質問だと思っております。1つは利用される方々がどのぐらいおられるのか、またどのような援助、具体策を考えているのか、こういうことだとこのように思っております。
 平成12年4月から、この介護保険制度がスタートしたところでありまして、その特徴としましては福祉行政措置制度から利用者とサービス事業者との契約制度に変わったというところでございます。そういった面では、その福祉の大きな改革がなされたわけであります。
 特に判断力が十分でない高齢者にとりましては、このサービス契約というのは本当に妥当なのかどうかということは全国各地で議論になっているところであります。加齢とともに判断力が劣るという形になるわけでして、これは誰しもがそういう状況に陥るということですので、本当に契約制度というものがいいのかどうか、非常に問題点が多いところでございますが、現状ではそういう制度という形にはなってきているわけであります。そういうなかで、改正に加えていって介護保険等に加えてこのような制度が出来たわけでございます。
 以前も相当前ですが、10年前ですけれども、こういう問題を取り扱いすべきではないかと町民の一部の方からお話があったのも事実であります。そういった状況のなかから今日ではそうでない方も含めて非常にだます人、だまされやすい人という状況で非常に巧妙な手口でいろんな商品の流通販売をしているわけであります。
 本町におきましては、現在、これは本籍地に通知されるため不明な状況でありまして、個人情報の問題もございまして、どのぐらいなのかということも申し上げるのは非常に困難なのですが、住民票と本籍地と同一性があればそうでないものが多い状況でございます。そういうことで数人としか言えることができないのですが、そのぐらいが通知されているように考えられております。それは人口度合等々、高齢者人口含めての数値でございます。今後はこの判断能力が不十分な方がおりますので、利用に際しては本人居住地域の管轄する家庭裁判所に、本人はもちろんできませんが、たぶん家族が申し立てをするということになります。身寄りのない方については、市町村長から法定後見の開始の審判を申し立てることができるとなっております。現状では、このことについての身寄りのない方からの相談は今のところないということであります。
 本町におきましては、この成年後見制度の利活用をはかっていくために、十分に町民の理解が必要でありまして、実施要綱をつくりまして、広く町民に周知をして、相談体制をしっかりしていかなければならないとこのように思っているところでございます。啓発用パンフレットを窓口に設置しておりますけれども、一層、広報普及活動を進めまして、更に関係機関、特に社会福祉協議会はもちろんですが、消費者協会ですね、相談がいろいろとあります。あるいは民生委員協議会、これに積極的に活用というか、利用の周知をしながら、こういうことでいつでも利用できますよということを広く周知して会議席上含めて研究や勉強会もしていただけるようにしてまいりたいとこのように思っております。以上でございます。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

7番(奥秋康子) ご答弁ありがとうございました。
 今のところ、身寄りのない方の後見人はないということなんですけれども、身寄りのない方というのは、認知症にかかってしまった段階でなかなか発見というのが難しいと思うんですが、その人達がひとり暮らしでそういう状況のなかにいるということも考えられるわけですが、何らかの形で介護認定を受けたり、医療機関にかかっている人達というのは、そういう部分では安心なんですが、どうしても情報弱者という方、そういう人達のニーズの発見というものが大事だと思うんですが、そういう人達にどういう対応をやっていかなければならないかということをお伺いします。

○議長(田中勝男) 町長。

○町長(高薄 渡) 現在、ひとり暮らしの方については把握して、担当課や福祉協議会、民生委員を通じて把握しているわけですが、それでも漏れることがときにはあるかもしれません。そこを同じ地域に住んでいる町内会、農村地区であればすぐにわかりますけれども、町内会の役割というのは大きいのではないかとこのように思うわけです。そういうことから、先般も他の議員にも質問ございましたけれども、地域福祉を考えながら、防犯も含めて、そういう悪徳商法のことも含めて、そういう体制づくりが必要でないかと私も思っておりまして、さらに一層ですね、周知を町内会等にご連絡をしながら、関係機関とも協力しあって再発掘をしていかなければならないかなと思っております。一番の弱者でありながら、さらに情報が入らないと、また広報でも目が不自由でなかなか読めないと、あるいは理解ができないと、そういう方が多々いるのではないかと、お話をしていくことが必要だと思います。それぞれの地区担当民生委員や町内会のみなさんの協力やら福祉協議会、あらゆる手段を通じてそういうことの再発見というか、確認をさせていただきたいと思います。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) そういうなかで、どうでしょう町長、これから要するに身寄りのない認知症という、後見人の申し立てを町長がしなければならないというような案件というのは、これから増える可能性というものは考えられるでしょうか。

○議長(田中勝男) 町長。

○町長(高薄 渡) 社会保障制度の問題がいろいろといわれておりまして、地域のなかで地域の福祉をということで、盛んに進めようとしているわけでして、管内でも精神的なところがございます。そういうことも例をみながら町長としてそういったことを考えていかなければならないということですが、私としては身寄りのない人の数が増加するというふうには考えておりませんけれども、ときにはそういうこともあり得るということも心しながら福祉行政をしていかなければならないだろうと思います。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 本当にそういう増えるということは、社会状況がこういうことですので、あんまり考えたくないことなんですが、やはりそういう少子化のなかで高齢化率が上がってくるとなると、身寄りのない方もこれから万が一、数人くらい後見人制度を利用している方がいるということは、多い数ではないんですが、これからの状況として、もし増えてくるとなった場合に、後見人の育成などもはかっていかなければならないのかなと思いますけれども、町長はその辺についてどう考えていらっしゃるのでしょうか。

○議長(田中勝男) 町長。

○町長(高薄 渡) これも非常に難しいことではありますが、公証人役場等々の活用ですが、帯広市しかありませんので、それにつないでいけるコーディネート的なものは町のほうで、あるいは福祉協議会等々で考えていかなければならないのではないかとこのようには思っておりまして、今後、研究・検討していきたいと思います。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 福祉協議会のなかだけでも対応のしきれない大きな財産相続の問題だとかいう案件なんかも将来は出てくる心配もあると思います。そのなかで、やはりこの制度がどういうものかということを、もっともっと町民の皆さんにも周知する必要もあるのではないかと思いますし、そしてもうすでに認知症になってしまっている方、そしてまだ法定後見人制度でなくて、その前の制度を利用する方というのか、そういう自分が痴呆になる前に、財産の管理を後見人に委託をしていこうというそういうのも大事だと思うんですが。そこら辺の周知などはどのような形でやっているのかということをお伺いします。

○議長(田中勝男) 町長。

○町長(高薄 渡) 大変難しいことではあるんですが、難しいといって、周知しないわけにはいきませんので、体制づくりをしなければならないと思うんですよね。後見制度のなかには任意と法定と2つに分かれるわけですが、そちらは任意になるのかなと思いますが、なる前ですから、介護保険制度の一環のなかですから、その辺の事前のことですから、十分に研究をしなければならないかと思います。非常にそういう問題で専門的になってきていますので、法曹界では弁護士の増員をして地方に小さくても受けてやるような出前のをやったり、常駐ができなくても、そういうこともしておりますので、そういう弁護士さんとも専門的にやっていかなければならない時代だろうなとこのように考えておりまして、そういう不安のある方々がいつでも地域、他のセンターのほうに相談をしていただけるように体制づくりをしていかなければならないとこのように思います。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) そのとおりだと思いますが、今のところ、こういう成年後見人制度に関して相談件数はありますか。どのくらいの実績がありますか。

○議長(田中勝男) 町長。

○町長(高薄 渡) 現在、身寄りのない人についてはまだ相談がないようですが、それに類したことは民生委員や社会福祉協議会がこうなったらどうなんだろうという勉強といいますか、そういう面ではお話を伺っておりますが、もし詳細なことが担当課でわかればお答えします。

○議長(田中勝男) 保健福祉課長。

○保健福祉課長(伊藤 登) 実は本来であれば地域包括支援センターが窓口となって対応すべきですが、さきほどの町長の答弁にもあったように、要綱等が整備されていないというなかで、現在は旧福祉係ですが、その窓口に来て相談をされている方が1件ないし2件あるということです。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 相談件数そのものが少ないということは、見方によっては、けっこうなのかもしれませんが、住民に周知がされていないということが考えられるわけですよね。成年後見制度の相談窓口というのは、これから必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○議長(田中勝男)
 町長。

○町長(高薄 渡) 今後の需要といいますか、そのようなことも踏まえて検討をしていきたいと思います。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 検討してくださるということですが、どうでしょうか、いつごろまでその体制づくりというのを考えられるでしょうか。

○議長(田中勝男) 町長。

○町長(高薄 渡) 今、現在は地域包括センターですね、ここが主体となっていますが、この件につきましては、非常に財産が絡むことですから、町の職員だけでできるのかどうかわかりません。それを含めて検討をしなければならないと思います。いかんせん、問題は後見人はいいんですが、かかる費用をどうするかということになりますよね。この問題もありますので、受益者負担ということになるわけですから、そういうことを町としてどのようにしていくかということもありますし、総括的にいかなければならない。今はご相談あればこうですよということで、いろいろと照会等していけるんですが、そこで完結をやろうとなれば、うちの町ではできないだろうとそのように思っていますので、普通の一般事務の専門性より、より強力なものですから、いつまでということは断言ができませんので、調査・研究していくということでご理解願います。

○議長(田中勝男) 7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) そういうなかで、今後しっかりと町民の安全・安心のまちづくりということで、住み慣れた町でいつまでも老後を安心して暮らせるということで必要と思います。しっかりとそれを相談窓口をつくって、出前講座のような形での相談事業というのも必要ではないかと思います。啓発のセミナーなど、しっかりと機能の充実を積極的にやっていただきたいと思います。町長、どうでしょうか。

○議長(田中勝男) 町長。

○町長(高薄 渡) いろいろと総括的にどのような方法が良いか、それをまず検討させていただいて、一般的には第一手順としては、何回かお知らせしていますけれども、端的に後見人制度というものの周知を何度かしていると、また、小さくはできませんけれども、ブロック別に分かれて学習会的なものを保健的なものも含めて、保健・医療を含めたなかで、そのなかのひとつとしてやっていくということは大変必要なことだと思っておりますので、考えてみたいと思います。

○7番(奥秋康子) 終わります。