北海道清水町議会

北海道清水町議会

平成20年第2回定例会(3月10日_日程第5)

○議長(田中勝男) 日程第5、町政執行方針について、町長より平成20年度町政執行方針を述べていただきます。町長。

町長(高薄 渡) 

I はじめに
 平成20年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度に臨む町政執行についての所信と基本方針を申し上げ、議員各位をはじめ広く町民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 私は、平成17年2月町民の皆さんの多大なるご支持を賜り、再び町政を担わせていただきましたが、早くも3年を経、今任期最終の年度を迎えることになりました。この間、常に町民と目線を同じくし、対話を重ね、町民と共に歩む町民生活重視の町政運営に徹することを基本とし、まちづくりを進めてまいりました。
 しかし、この間本町の財政状況は、国の三位一体改革等による地方交付税等の大幅な削減により、一段と厳しい財政状況を余儀なくされる局面を迎えたことから、財政の健全化を図るべく「行財政改革推進計画」を策定し、歳出の抑制や受益者負担等により、行政サービスを維持するために全力を挙げて取り組んできた次第であります。
 今、我が国の社会経済情勢は、バブル経済崩壊後の長期にわたった不況を脱し、緩やかなペースで景気の回復が続いているといわれていますが、好調な企業が集中する都市部に対して、有力な企業の少ない地方との企業力格差や自治体の財政力格差等が拡大するなど新たな問題が生じています。
 こうした中、平成16年度に策定しました「清水町行財政健全化実行プラン」実現のため、引き続き町民の皆さんのご理解、ご協力を賜りながら平成20年度から3ヶ年の「第二次緊急3か年計画」を策定し、集中と選択による事務事業の見直しや各種補助金、人件費の削減等を行い、効率的な行財政運営に取り組み、行政サービスの質を高めながら経費削減を進めて健全財政の確立を目指してまいります。
 私は、本町の森と水、緑などの自然環境を生かした個性と活力に満ち溢れたまちとして、町民の皆さんの力強いご支援をいただきながら、郷土清水町に愛着と誇りを持ち、安全で安心して生活ができ、暖かく心ある町政運営に本年度も全力を傾注する所存でありますので、議員各位並びに町民の皆さんのご支援、ご協力を切にお願いし、平成20年度に臨む所信を申し上げ、新年度の主要な施策につきまして「清水町総合計画」のまちづくり目標に沿って分野別に述べさせていただきます。

II 地方財政と予算概要
 平成20年度の地方財政計画の全体規模は、83兆4,000億円で、前年度比0.3パーセントの増となりましたが、社会保障関係経費の自然増等により公債費等を除く地方一般歳出は、前年度並の65兆7,600億円となりました。
 地方交付税は、平成20年度に予定されていた交付税特別会計借入金の償還を平成26年度以降に繰り延べることとされたため、配分総額は、15兆4,061億円と、前年度比2,034億円、1.3パーセントの増となりましたが、本町の地方交付税のうち普通交付税につきましては、公債費償還費の減少等により基準財政需要額の減額が見込まれることから、平成19年度当初予算と比較し5,000万円、1.8パーセント減の27億2,000万円を計上したところであります。
 本年度の一般会計は、予算総額を前年度比1.6パーセント増の65億9,800万円とし、一般会計に新たに設置される後期高齢者医療保険特別会計を含めた7つの特別会計と公営企業会計の当初予算総額は、前年度比10.9パーセント減の100億6,260万円であります。

III 主要施策の推進
豊かな自然と共生した森と水の郷づくり
 日高山系の豊かな自然と河川を生かし、美しい自然環境に配慮した潤いのある快適な生活環境を整備し、自然と共生したまちづくりを進めてまいります。

◎恵まれた自然の保全・育成と調和した住まい
 地域の大切な資源であります自然環境を守り育てるため、河川、公園、緑地の整備を引き続き行うとともに、老朽化が進んでいる既設町営住宅の改修を計画的に進めながら、住環境の改善に努めていきます。
 また、転入や転居のための空き家、空き地などの情報を提供します。

◎快適に暮らせる生活環境
 安全で安心な水を安定して供給できるよう上水道、簡易水道施設の適正な管理に努め、配水管の整備や老朽管の敷設替工事並びに浄水場の機器更新を進めるとともに、下美蔓地区の本年度給水開始を目指し給配水工事を進めます。
 さらに、下水道施設の安定した維持・管理が必要であり、引き続き清水終末処理場の機器更新を進めてまいります。
また、花と緑に包まれた潤い豊かな環境づくりのため、駅前花壇や本通り花壇への植栽などの住民活動に対して支援を行うとともに、衛生組合が実施している春秋の町内一斉清掃、清水町クリーン・ディ、花いっぱい運動と連携し、美しいまちづくりに取り組んでまいります。
 ごみ処理につきましては、ごみ分別排出方法の徹底と、再資源化の推進により、最終処分場の延命を図っておりますが、町民・事業所の皆さんへのごみ分別排出方法やリサイクルに関する情報提供並びに昨年から開始した家庭用使用済み食用油の資源リサイクルの分別収集等を引き続き行い、ごみ減量化に努めてまいりますとともに、本年度は一般廃棄物処理に係わる収集体制、処理の方法、町民負担等について見直しすべき事項は無いか総合的に検討してまいります。
また、ごみの不法投棄や違法な野焼きに対しては、警察署や衛生組合と連携を図りながら、監視体制の強化と啓発活動に取り組んでまいります。

◎安心して暮らせるまち
 全国的に犯罪総数は減少傾向にあるとはいえ、被害にあう子どもの数は近年増加傾向にありますが、本町におきましては、学校・PTA・地域の皆さんのボランティアによる「見守り隊」や生活安全推進委員会による児童・生徒を犯罪や交通事故から守る監視活動の実施が、犯罪の抑止効果に繋がっているところであります。
 犯罪に繋がる情報の一層の共有により事件や事故の発生を未然に防ぎ、町民一人ひとりが安心して暮らせる「安全・安心なまちづくり」に努めるとともに、本年度は交通安全街頭指導体制等について関係団体と協議し、総合的な見直しを検討してまいります。
 また、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、複雑化している中、商品や金融サービス等の消費生活をめぐるトラブルは、年々手口が悪質巧妙化してきていることが指摘されており、多重債務につきましては、大きな社会問題となっております。本町では、消費生活相談や出前講座等の実施、警察署及び関係機関並びに関係団体との積極的な連携、情報の共有等に努めておりますが、本年度も引き続き消費者が悪質商法などのトラブルに巻き込まれないよう、的確な情報を提供するとともに、消費者相談業務の充実を図ってまいります。

◎暮らしと産業を広げる道路・交通・通信網
 国費、道費による道路整備につきましては、車両及び歩行者の安全を確保するため、車道、歩道の整備を積極的に要請してまいります。要請した中で本年度予定されています工事は、国道274号の車道及び上川橋の橋梁拡幅改良工事が継続して実施されます。
 さらに、バイオエタノール工場の操業開始が平成21年度に予定されていますが、これに伴う交通量の増加と大型車両の増大が予想されますので、関連する道路網の整備について要請してまいります。
 また、本年度の道費事業につきましては、道道忠別清水線では、讃岐地区の道路改良工事、人舞地区の防雪柵設置工事が実施され、道道清水大樹線では、御影平和地区の道路改良工事が予定されるとともに、北清水清水線の道路改良工事が着手予定となっています。
 本年度の町道の整備につきましては、清水市街地や御影市街地の道路改良、舗装工事を進めるとともに、安全確保のための維持管理に努めてまいります。

◇誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまちづくり
 町民の皆さんと共に支え合い、喜びあえるまちづくりを目指し、町民と関係する機関・団体そして行政が心を一つにし「誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまちづくり」を推進することが必要であります。
 本年度も町民の皆さんが利用しやすい相談窓口の環境づくりに努めるとともに、関係機関との連携を強化し、地域との協働を進め、保健・医療・福祉サービスの充実に努めてまいります。

◎誰もが健康で暮らせる保健・医療
 健康を実現することは、一人ひとりが個々の目的に添った主体的な取組を心がけ、住みなれた地域で元気に暮らし続けていくことが大切であります。「清水町健康増進計画」に基づき、健康教育・健康相談等、生活習慣の改善や栄養・食生活改善に向けた、町民参加型の健康づくりを推進してまいります。
 また、健診等事業につきましては、新たに平成20年度から「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、40歳以上の国民健康保険の被保険者、被扶養者に対し、糖尿病等の生活習慣病に着目した健診及び保健指導を行うため「清水町特定健診等実施計画」を策定したところです。今日の急速な少子高齢化の進展の中で、町民の安心の基盤である皆保険制度を維持し、将来にわたり持続可能なものとするため、医療給付費の伸びについて、その実績を検証するため指標を設定し、医療費の伸びが過大とならないよう目標値を定め、計画的な医療費の適正化対策に努めてまいります。
 また、妊婦及び胎児の健康確保を図るため健康診査の公費負担回数を2回から5回に拡充してまいりますとともに、昨年10代・20代を中心とした年齢層で麻しん(はしか)が大流行したことを受け、「麻しんに関する特定感染症予防指針」に基づき、平成24年度までを麻しんの予防接種の対策期間に定め、新たに予防接種の対象を中学1年生及び高校3年生に相当する年齢の方々に対し、拡大実施することといたしました。
 さらに、特定不妊治療費助成事業につきましては、平成18年度から道が助成する金額の2分の1を年度当たり5万円の助成をしてまいりましたが、1回当たり5万円を限度に1年度2回まで助成することといたします。

◎誰もが安心して暮らせる福祉
 児童福祉及び子育て支援につきましては、「次世代育成支援行動計画」の基本理念に基づき、その実現に向けて町民・地域の皆さんに協力をいただきながら、全町挙げて取り組んでまいりますとともに、教育、保育関係者等で構成する「清水町次世代育成支援地域協議会」により、次世代育成支援行動計画事業実施状況の評価等が協議され、次期計画に反映してまいります。
 本町においても、年々出生数は減少傾向にありますが、共働き家庭等の増加により、保育所等への入所希望児童数については、ここ数年増加傾向にあります。また、清水地区の学童保育所への入所希望児童についても、定員数を上回る状況となっており、全児童生徒を対象とした放課後居場所づくりが求められていることから、本年度は、教育委員会・学校関係者と協議し、実施に向けての調査・研究をしてまいります。
 さらに、幼保・小の連携につきましても、就学前児童のなめらかな接続を目指して取り組んできましたが、幼保・小の相互理解のための授業参観や学習会、保育授業体験を通して、子どもたちの交流や、教員・保育士などの交流・連携も深まり、今後はこの取組の成果を保育所や幼稚園での保育活動等に生かすとともに、教育の原点である家庭や地域に対しても情報やメッセージを発信し、全町的な広がりに繋げてまいります。
 また、少子化が深刻化する中、地域レベルでの子育てを支援する取組が重要であり、町内4つの事業所等が道の進める「すきやき隊(子育て応援団)」に登録し、積極的に活動されているところです。   
 本年度も「すきやき隊」の拡充と、子育て世帯の経済的な負担を軽減することを目的に、昨年度から清水町ハーモニー商店会が実践している「子育て世帯経済支援事業」に対し、引き続き支援をしてまいります。
 子どもの発育や発達への支援事業につきましては、本年度より本町単独となりましたが児童デイサービスセンター(きずな園)の機能の充実と、保育所や幼稚園、保健師及び関係機関等と緊密に連携協力し、当該児童や保護者に対して適切な療育・支援をしてまいります。
 また、地域福祉と障がい者福祉につきましては、身近な人々が見守り合い、励まし合い、支え合いながら、みんなが元気ある暮らしができるよう共に取り組むことが必要であります。
 このため、地域が求める活動や相談、要望に応えるため社会福祉協議会、ボランティア団体、民生委員協議会など、各協力者との連携を図ってまいります。
 さらに、障がい者が地域で安心して暮らし、社会活動に参加できるよう自立を支えるために障がい者自立支援法が定められていますが、障がい者や家族に大きな負担を強いるなどの問題点が指摘されており、現在、国においては、利用者本位のサービス改善策を講じる動きがあり、今後も国の動向を見極めつつ、サービス提供事業者と連携を図り、地域生活支援事業などの障がい者支援を行ってまいります。
 また、労働行政につきましては、関係機関、各事業所からの指導と連携を一層深めながら労働環境の改善及び雇用促進に努めてまいりますとともに、季節労働者対策につきましても、昨年設立した「十勝北西部通年雇用促進協議会」とも連携を図りながら就労対策を進めてまいります。

◎健全な運営で共に支え合う社会保障
 国民健康保険は、本格的な少子高齢社会の中で、医療費の伸びと経済成長との間の不均衡が拡大しており、その財政運営は非常に厳しい状況となっています。
 このような中、国は、医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため、平成18年度の医療制度改革において医療費適正化の総合的な推進、新たな「高齢者医療制度」の創設等一連の措置が講じられたところであります。このうち平成20年度施行分について、地方税法の改正が国会で審議中のため、国民健康保険税の算定方法の変更、それらに対応した後期高齢者支援金の予算措置等につきましては、平成19年分所得の確定後、保険税率の改正と併せて条例の整備と予算措置を予定しております。
 次に、福祉医療の給付・助成内容でありますが、平成20年4月から乳幼児医療費を自己負担分の初診時一部負担金と3歳から6歳までの1割負担分を町単独事業により給付し、「就学前医療費の完全無料化」を実施し、乳幼児の疾病の早期診断と治療の促進や子育てへの経済的支援に取り組んでまいります。
 また、北海道医療給付事業の制度改正により、本年10月から入院分の医療費助成の拡大が図られ、支給対象年齢をこれまでの小学校就学前から小学6年生までに引き上げられる見通しであり、道の改正手続後に、必要な条例整備や予算措置を予定しております。なお、老人医療費は平成20年3月末までの診療分で終了となりますので、対象となる2ヶ月分の医療費について予算措置をしております。
 さらに、医療費適正化対策の総合的推進や高齢者医療制度の創設により、平成19年に全道180市町村が加入設立した特別地方公共団体「北海道後期高齢者医療広域連合」と連携し、円滑な高齢者医療制度の推進に努めてまいります。
 また、介護保険事業につきましては、本年度「清水町介護保険事業計画」第4期計画の策定をすることとしております。高齢者ができるだけ介護を少なく生活を送ることができるよう在宅福祉サービスや生きがいデイサービス事業、高齢者等短期入所事業などの実施についても社会福祉協議会をはじめ関係機関と連携を図りながら進めてまいりますとともに、介護予防事業につきましても、地域包括支援センターでの公正中立でより良いサービスが提供できるよう努めてまいります。
 
◇一人ひとりがいきいきと輝く創造性豊かなまちづくり
 町づくりは人づくりです。教育こそ人間社会の存立基盤であるととの認識にたって教育・文化・スポーツの振興に努めてまいります。

◎豊かな心と個性を育む教育
 社会が大きく変動している今日、未来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ、心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることは、私たちの願いと、使命であります。
 私たちは、厳しくも美しい、しみずの四季を通じて、家庭・学校・地域が相互に強く連携協力して、ふるさとを愛し新しい時代を切り拓く知恵と勇気のある子どもを育てる教育を推進することが重要です。家庭、学校、地域が連携して、感性にあふれ、表情豊かな子どもを育てるため、しみず「教育の四季」から、人として生きていくために必要な基本的な生活習慣や規範意識を引き続き育んでまいりますとともに、本年度で6年目を迎えます「少人数学級」や指導教諭の複数配置などで、基礎・基本を重視した学習と豊かな心の育成に努めてまいります。
 また、「幼保・小連携教育」の実践的な調査研究につきましては、幼稚園・保育所の教育と小学校教育の適切な接続をさぐり、「遊び」から「学び」へのスムーズな移行など、相互の理解と連携を図るよう引き続き実施してまいります。
 次に、学校給食では、食材の安全・安心はもとより、食育の推進を進めてまいりますが、本年度も、安全で、安心な地元食材を多く活用した給食を提供してまいりますとともに各学校では、児童・生徒に正しい食事の摂り方や望ましい食習慣を身に付けさせるなど、食に関する指導の充実を図るため、学校に栄養教諭を配置し、食育を推進するよう努めてまいります。
 また、スクールバス等の運行につきましては、安全で確実な運行をするために職員研修や委託先への指導を徹底し、日常の車両点検整備を怠ることなく安全運行に努めてまいります。
 幼稚園教育につきましては、本年度も経営方針を「愛のあふれる幼稚園」とし、幼児の特性と発達段階を踏まえ、保護者や地域の協力を得ながら、幼児一人ひとりの個性の伸長と豊かな心の育成を図るとともに、楽しい幼稚園、保護者や地域に信頼される幼稚園環境づくりに努めてまいります。
 また、清水高等学校につきましては、総合学科の先進校として特色ある教育活動の展開がなされており、清水高等学校並びに清水高等学校振興会との連携を一層図りながら生徒の確保などを含め協力してまいります。
 なお、閉校施設の活用につきましては、平成19年3月地域再生計画が認定された旧下佐幌小学校は、介護福祉事業等を行う施設として有効に活用されており、旧松沢小学校につきましては、地域再生計画の目的に沿った利用計画の公募を行っており、地域の大切な財産として活用するため地域の方々と協議をしながら、有効活用を探ってまいります。

◎いきいきと学びあえる社会の実現
 町民一人ひとりが生きがいをもてる生活を生み出すために、地域住民の持ち味や人間性を生かした生涯学習ボランティアの拡充発展に努め、地域の持つ教育力を引き出し、それを活用した事業を展開するとともに、情操豊かな人間形成を図るため、読書普及事業や体験事業、芸術・文化鑑賞機会の提供に取り組んでまいります。
 また、心身共に健康で充実した生活を営むため、スポーツ活動を日常的に取り入れるよう、スポーツ教室等の実施や各種大会への参加支援に努めてまいります。

◎共に理解し、ふれあう活動
 男女が共に生きるには、仕事や家庭生活、地域活動、個人の自己啓発等、様々な活動を自らの希望に沿って展開できる社会の実現を目指して、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進に努めていくことが必要であります。
 一昨年構造改革特区の認定により開校した広域通信制の北海道芸術高等学校は、生徒数が490名を超え着実な経営がなされています。本町で行われるスクーリングにおいて特別免許状を授与した町民をはじめ多くの方々の支援・協力を得て、それぞれが持つ知識や経験を生かした授業が行われるなど、町民との学びの共有と連帯感の醸成が図られています。また、学校としてもコースの増設など、一年を通じて更に多くの生徒がスクーリングで本町を訪れ、宿泊や消費購買などの経済波及効果と、授業に活躍する町民の増加も予想され、町全体での関わりがこれまで以上に大切となってまいります。
 さらに、札幌国際大学と連携し展開している十勝清水アカデミー事業は、子育てや生涯学習、経済活性化などをテーマとした公開講座など充実した内容により実施してきたところですが、連携事業の最終年度として、これまでの成果を踏まえながら今後の連携のあり方について協議を進めてまいります。
 また、都市等からの移住定住促進事業につきましては、本町にとって人口の増加に繋がり、新たな土地や住宅等の需要が見込まれ地域の活性化の重要な要因となることから、町といたしましては、平成18年度から北海道移住促進協議会に参加し、移住情報の収集や発信に努め、移住相談のワンストップ窓口の設置や生活体験事業を実施してまいりました。
 本年度も、ワンストップ窓口の機能の充実を図るとともに、引き続き生活体験事業を実施するに当たり、新たに移住体験用住宅を整備し、本町への移住・定住に結びつけてまいりたいと考えております。

◇新たな時代に対応した産業のまちづくり
 恵まれた大地と、新たな知恵・技術・情報を生かし、安全で良質な農畜産物を生み出す農業と農産工業の振興を進めるとともに、農業と商工業の連携を深めながら美しい自然環境を生かした観光・レクリエーションの推進を図ります。

◎魅力的で活力のある農業
 本町の農業生産は、平成16年度、17年度は190億円代の高生産を記録し、後継就農者も多数確保されるなど、本町農業は順調に推移してまいりました。
 昨年は、一年を通し比較的良好な気象状況で推移したこともあり主要作物では、平年並み以上の高収量を確保しましたが、昨年から導入された品目横断的経営安定対策制度により畑作農家では収入が伸び悩み、酪農並びに畜産農家におきましても燃料や輸入飼料の大幅な高騰などがあり、農業経営は、全般にわたり一転して厳しい状況となってまいりました。
 さらに、世界貿易機関(WTO)の農業交渉やオーストラリアとの経済連携協定(EPA)締結問題も先行きが不透明となっており、農業情勢は更に一段と厳しい局面を迎えております。
 このような中、本町農業は、今後も食料の安定供給と関連産業が地域経済や社会を支えていく重要な産業であり、これまで以上に安全で良質な農畜産物の生産確保や農村のもつ環境保全をはじめとする多面的機能も維持された中で、発展していかなければならない大切な役割を担っており、これら推進に向けた施策向上を実施してまいります。
 また、本年度は国の活性化プロジェクト支援交付金を活用し、JA十勝清水町において「野菜予冷庫」が整備され、野菜産地としての強化が図られてまいりますとともに、農業者と商工業者や地元消費者と連携を図る食の安全・安心推進事業も継続実施し、地産地消の推進や食を通した交流を深めてまいります。
 さらに、平成17年に制定したふるさとブランドとかちしみず認証制度の更なる推進を図り、本町農産品や食品の地域ブランド化を確立してまいります。
 また、地下水の硝酸性窒素汚染防止対策など環境保全に配慮した農業の推進をしてまいりますとともに、本年度、国の地域バイオマス活用事業によりJA十勝清水町主体事業として「有機肥料及び堆肥製造施設」の整備を行い家畜糞尿等の有効活用を図ってまいります。
 さらに、畜産担い手育成総合整備事業での草地整備改良や畜産施設等整備の支援を引き続き実施してまいりますとともに、家畜伝染病の発生防止に万全な防疫体制を整えてまいります。
 次に、町営育成牧場の運営につきましては、乳牛育成期におけるコスト低減や労働力の軽減など、酪農経営の補完施設として大きな役割を果たしてきておりますが、今後も経営の大型化に伴いその重要性がますます増大される状況にあります。
 本年度は、夏期放牧利用が2,050頭・冬期舎飼利用が820頭の受入れを予定しており、効率的な飼育管理の実施と防疫体制の強化等により、預託者が安心して利用できるよう、一層充実した管理運営を行なってまいります。

◎恵まれた自然を生かした林業
 森林は、地球温暖化を防止するだけでなく、国土の保全や水源のかん養等、安全で安心できる生活に不可欠な機能を有しており、このような森林を守り育てていくため、より適正な森林管理が求められてきております。このため、町有林関係では、本町の「森林施業計画」に沿って適正な管理のもと継続的な整備保全を進めてまいります。
 また、「町民レクリエーションの森」の整備につきましても継続して事業を進めるとともに、民有林事業につきましても、造林事業等の支援を継続して実施し緑豊かな町となるよう努力してまいります。

◎消費者ニーズに即した商工業
 私たちを取り巻く経済環境は、個人消費の低迷、過疎化、価格競争の激化等、課題が山積の状況となっております。本町におきましても、その影響が大きく、かつ消費購買行動の変化により購買力が町内大型店や町外に流出しており、商工業者にとって極めて厳しい現状が続いております。
 こうした状況を打開するためには、消費者ニーズを的確に把握し、消費者に信頼され、親しまれる店舗づくりに向けて商業者の皆さんが知恵を出し合い、顧客のニーズに合わせた、きめ細かいサービスを展開することが大切と考えております。本年度も、商工会とより一層連携を図り、地域内の消費購買を喚起し、販売促進事業の支援を行なってまいります。

◎自然を満喫する観光・レクリェーション
 本町の観光につきましては、美しい森と山並みを擁する恵まれた自然環境や農村景観、交通の要衝として、町内観光施設との有機的な連携を図りながら各イベントを開催し、地域の活性化に努めてまいりました。
 近年、豊かな自然や農業、文化や地域特性を生かした農村体験観光が注目されてきており、本町でも観光資源の発掘と有効活用について関係者と連携を取りながら、より一層のグリーンツーリズムの推進を図ってまいります。また、道東自動車道(清水―トマム間)が昨年開通し、平成23年度には全線開通予定であり、高速ネットワークが具現化することにより人や物流、観光などを含め地域振興が期待されることから、十勝西北部の関係する5町の各団体との連携によりシーニックバイウエイ構想に取り組んでいるところでありますが、これらを一層活用しながら、本町が十勝を訪れる観光客の拠点となるよう努力してまいります。
 さらに、地域のイメージアップ、町内外からの誘客を見込み、毎年観光イベントを開催しておりますが、本年も引き続き、各イベントの充実に向け、観光協会並びに商工会や農協、企業等と連携・協力して町民の皆さんをはじめ町外者が積極的に参加できる、活力あるイベントを企画してまいりたいと考えております。

◎新たなる雇用・就業を創出する産業・事業
 地域資源と人材を生かした活力ある町を創造していくため設置した「清水町経済活性化戦略会議」は、企業誘致や既存産業などの地域産業振興策として開催し、中心市街地衰退防止策事業や企業誘致、食を通じた連携事業などを展開しております。今後も各事業実施に際しての連携強化など、引き続き本町の経済活性化に向けて取り組んでまいります。
 また、本年度、本格的に進められますバイオエタノール実証事業につきましては、建設のみならず施設稼動後の雇用や視察、来町者等の相乗的な経済効果が大きく期待されることから、引き続き全町挙げてこの事業の推進に協力してまいりますとともに、「環境を重視するまち清水町」を広く国内に発信していく考えでおります。

◇みんなで創る協働のまちづくり
 地方分権が進む中、町民の皆さんと行政が情報を共有し、協働のまちづくりを進めるための環境を整え、豊かで魅力ある地域社会の創出に向け、様々な地域課題に取り組んでまいりますとともに、厳しい財政状況の中ではありますが、より効率的な行財政の運営と住民サービスの向上に努めてまいります。

◎町民主役のまちづくり
 町内会や農事組合をはじめとするコミュニティ組織や、教育・福祉・生活安全など様々な分野で活動する団体などで自主的なボランティア活動や協働のまちづくりの実践活動が進められており、今後も様々な分野で町民と行政が協力してまちづくりに取り組むことが大切であり、昨年実施しました実態調査結果をもとに、町内会や農事組合が抱える課題の解決に向けて取り組んでまいります。
 さらに、「まちづくり基本条例」により、各種審議会の委員の公募や、開催内容の公表、重要な案件については町民意見提出制度により意見を求めるなど、情報共有と町民参加について、広報紙や町のホームページをはじめ、町内各所に設置した情報掲示板などにより積極的に進めているところです。地方分権の進展により地域自らの判断と責任において進めることが求められており、課題解決のためにはより一層、町民と行政が役割を分担し、共に知恵を出し合いながら「協働のまちづくり」を推進しなければならず、そのために、町民の皆さんがまちづくりに参加しやすい環境の整備と行政情報の提供・周知方法の工夫に努めてまいります。
 また、本年度は清水町として実現したい政策メニューを公表して寄付を募り、町民の皆さんをはじめ町出身者やゆかりのある方などが新たな形のまちづくりに参加し、財源確保を行う「寄付条例」制定について検討を進めます。また、政策メニューの実施の際には、町民のボランティアを活用するなど、町民と寄付者の連携についても検討を進めてまいります。

◎効率的な行政運営と健全財政のまちづくり
 現状の厳しい財政状況を踏まえ、現在進めている「清水町行財政健全化実行プラン」の実現のため「第二次緊急3か年計画」を策定したところですが、今後予想される環境の変化に対応し一日も早い財政の健全化を実現するためにも、この計画を起点として各分野の論議を深めてまいります。
 一般会計の本年度職員数は154名となりましたが、「清水町行財政健全化実行プラン」において、プラン策定時の188名を、将来120名とすることとしており、現在まで退職者不補充を行ってまいりました。こうした中、グループ制を試行し、事務の執行に当たってまいりましたが、将来を見据えた組織機構はいかにあるべきかについて、本年度検討してまいりたいと考えております。
 次に、歳入である個人町民税は、生産年齢人口が減少するとともに、昨年は基幹産業である農業において、品目横断的経営安定対策制度が導入され、対策に基づく交付金の一部は平成19年中の収入とならず、更に、酪農経営についても飼料価格の高騰が続くなど農業経営を取りまく環境が大きく変化し、農業所得が減少傾向にあることから、全体として約2,500万円の減収を見込んでいるところでありますが、法人町民税につきましては、法人数の増加や一部法人の業績が好調であることから、800万円程度の増収を見込んだところであります。
 なお、固定資産税につきましては、土地、家屋、償却資産ともに大きな変動がないことから、昨年度並みと予想し、ほぼ同額の税収を見込んだところであります。
 また、収納対策につきましては、「十勝市町村税滞納整理機構」と更に連携を図り、自主財源確保のため収納率向上に一層の努力をしてまいりますとともに、インターネット公売による滞納処分についても取り組んでまいります。

◎広域と連携したまちづくり
 十勝町村会は、「十勝1市」の実現を概ね10年以内とする目標を掲げ、当面、各市町村が自主・自立の方針に沿って広域連携や行財政改革を推進するとした「十勝地区グランドデザイン」に基づき、広域連携などの取組方針を進めるため帯広市と新たな検討組織を立ち上げ、副市町村長レベルでの協議を進める状況であります。
 今後も、管内市町村との連携を密にし、十勝町村会における具体的議論の場で意見を述べてまいりますとともに、第29次地方制度調査会や国の動向を見極めながら町民の皆さんや議会各位のご意見を賜り、今後の方策を探ってまいりたいと考えております。

IV むすび
 以上、平成20年度の町政執行の主要な施策を述べさせていただいたところでありますが、本町における特殊財政状況の中で、町政執行に当たりましては、本年度も町民生活を重視し、町民の皆さんとの対話を重ねご意見を賜りながら職員と共に創意工夫し、行財政の効率化を一層進め、町民の皆さんへの暖かな心で町政運営を推進してまいりますので、議員各位並びに町民の皆さんの深いご理解とご協力を賜りますことをお願い申し上げ私の町政執行方針といたします。


  平成20年3月10日


             清水町長  高 薄   渡