北海道清水町議会

北海道清水町議会

平成21年第3回定例会(3月12日_日程5)

○議長(田中勝男) 日程第5、町政執行方針について、町長より平成21年度町政執行方針を述べていただきます。町長。

町長(高薄 渡) 

I はじめに
 平成21年第3回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度に臨む町政執行についての所信と基本方針を申し述べ、議員各位をはじめ町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 私は、この度の町長選挙において、町民の皆様の負託を受け、引き続き町長の重責を担うことになりました。
 町民の皆様の信頼と期待にお応えするため、情熱と勇気をもって町政運営に取り組んでまいる決意でございます。
 就任以来、常に町民と目線を同じくして対話を重ね、「透明性の高い開かれた町政」を町政運営の基本としてまいりました。
 3期目にあたり、私は、決意を新たに町民と総力を挙げて「健全な財政で思いやりを大切にした活力ある確かなまち」を目指して町政運営に取り組んでまいります。
 さて、米国に端を発する世界規模の金融・経済危機の広がりは、わが国の経済へも深刻な影響を及ぼし、いまや日本経済は未曾有の厳しい状況に直面しています。また、製造業等を主に、世界需要の急速な縮小により、雇用情勢が急激に悪化しています。こうした景気の低迷は、地域の経済や町民生活へも影響を及ぼしております。こうした中、昨年12月25日に十勝管内ではいち早く「離職者の緊急雇用・居住安定確保相談窓口」を設置するとともに、雇用に係る予算を措置し、離職を余儀なくされた方々を支援してきたところであります。
 本町におきましては、全道の他町村に先駆け平成14年度より行財政改革に着手し、施設の集約や総人件費の削減など聖域を設けることなく、歳出削減に努めてまいりました。同時に歳入の拡大に向けて、長年改定しなかった各種使用料の改定などを実施させていただきました。さらに、平成20年度からは、清水町行財政健全化実行プラン「第二次緊急3か年計画」を策定し引き続き行財政改革に取り組み、平成21年度も選択と集中により施策を厳選し、効率的な行財政運営に努めてまいります。
 公約に掲げました政策につきましては、一部当初予算に計上させていただきましたが、6月或いは9月定例会に追加提案させていただく考えであります。また、庁内組織機構につきましては、「清水町組織機構等検討委員会」で検討を重ね次第、条例改正を提案できるようにしていきたいと考えております。
 平成13年度から実施されている第4期清水町総合計画につきましては、最終年度の平成22年度まであと2年となっており、本年度より平成23年度からの「新たなまちづくり計画」の策定に着手してまいります。策定にあたりましては、多様な町民の意見を取り入れるため「(仮称)まちづくり計画策定委員会」の設置や「町民意識調査」など、町民皆様の声を反映してまいります。
 本町を取り巻く環境は、なお一段と厳しさが増しておりますが、私は様々な政策課題を着実に一つひとつ解決を図りながら、町長就任時の初心を忘れず、町民の皆様をはじめ、全職員と力を合わせ、暖かく、心ある町政運営に全力を傾注する所存であります。
 新年度の主要な施策につきまして「清水町総合計画」のまちづくり目標に沿って分野別に申し上げさせていただきます。

II 地方財政と予算概要
 平成21年度の地方財政計画の全体規模は、82兆5,557億円で、前年度比1.0パーセントの減となり、公債費等を除く地方一般歳出は、前年度比4,560億円増の66兆2,186億円となりました。
 地方交付税につきましては、地域雇用創出推進費の創設等により配分総額が、15兆8,202億円と、前年度比4,141億円、2.7パーセントの増となっておりますが、都市部等の地方税の大幅な落ち込みにより、地方への配分額は減少することが予想されることから、本町の地方交付税のうち普通交付税は、平成20年度当初予算と比較し3,000万円、1.1パーセント増の27億5,000万円を計上したところであります。
 本年度の一般会計総額は、有機肥料及び堆肥製造施設整備事業等大型事業の完了等により予算総額を前年度比6.8パーセント減の61億5,000万円とし、一般会計と7つの特別会計と公営企業会計の当初予算総額は、前年度比2.0パーセント減の98億5,790万円であります。

III 主要施策の推進
1豊かな自然と共生した森と水の郷づくり
・恵まれた自然の保全・育成と調和した住まい
 地域の大切な資源であります自然環境を守り育てるため、河川、公園、緑地の維持管理と、老朽化が進んでいる既設町営住宅の改修を計画的に進め、住環境の改善に努めるとともに、転入や転居のための「空き家、空き地などの情報」を提供してまいります。
 なお、土地開発公社解散に伴う買戻し地の有効活用につきましては、「公用地利活用検討プロジェクト」において更に検討してまいります。

・快適に暮らせる生活環境
 安全で安心な水を安定して供給できるよう上水道、簡易水道施設の適正な管理に努め、配水管の整備や老朽管の布設替工事並びに浄水場の機器更新を進めます。
 また、下水道施設の安定した維持・管理と、引き続き清水終末処理場の機器更新を進めてまいります。
 花と緑に包まれた環境づくりとして、駅前花壇や商店街への花壇植
 栽などの住民活動に対して支援をし、衛生組合が実施している春秋の町内一斉清掃、清水町クリーン・ディ、花いっぱい運動と連携し、美しいまちづくりに取り組んでまいります。
 ごみ処理につきましては、分別排出方法の徹底と、再資源化の推進により、最終処分場の延命を図っておりますが、町民・事業者の皆さんへの分別排出方法やリサイクルに関する情報提供並びに家庭用使用済み食用油の資源リサイクルの分別収集等を行い、ごみ減量化に努めてまいります。
 また、ごみの不法投棄や違法な野焼きに対しては、警察署等との連携を密にし、監視体制の強化と啓発活動に取り組んでまいります。

・安心して暮らせるまち
 子どもたちが犯罪の被害に遭わないよう、学校・PTA・地域のボランティアによる「見守り隊」や、生活安全推進委員会による児童・生徒を犯罪や交通事故から守る監視活動の実施が、犯罪の抑止効果に繋がっているところであります。
 犯罪に繋がる恐れがある情報の一層の共有により事件や事故の発生を未然に防ぎ、町民一人ひとりが安心して暮らせる「安全・安心なまちづくり」に努めてまいります。
 また、子どもたちの登下校時の交通安全指導につきましては、「交通安全専門員」を配置するとともに、生活安全推進委員会の皆さんの協力を得て交通安全街頭指導体制を充実してまいります。
 消費者を取り巻く環境は大きく変化し、複雑化している中、商品や金融サービス等の消費生活をめぐるトラブルは、年々手口が悪質巧妙化してきていることが指摘されており、多重債務につきましては、大きな社会問題となっております。消費生活相談や消費者協会による出前講座等の実施、警察署及び関係団体等との積極的な連携、情報の共有等に努めておりますが、本年度も消費者が悪質商法などのトラブルに巻き込まれないよう、的確な情報を提供するとともに、消費者相談業務の充実を図ってまいります。また、本年7月本町で開催予定の第34回十勝消費者大会につきまして支援してまいります。

・暮らしと産業を広げる道路・交通・通信
 国費、道費による道路整備につきましては、車両及び歩行者の安全を確保するため、車道、歩道の整備を積極的に要請してまいります。
 なお、要請した中で本年度予定されています工事は、国道274号の車道及び上川橋の橋梁拡幅改良工事が継続し、新規に佐幌橋が実施されます。
 また、本年度からバイオエタノール工場の操業が開始されますが、これに伴う交通量の増加と大型車両の増大が予想されますので、関連する道路網の整備について要望してまいります。
 道費事業につきましては、道道忠別清水線、讃岐地区の道路改良工事、人舞地区防雪柵設置工事などが実施され、道道清水大樹線では、御影平和地区の道路改良工事が予定され、北清水清水線は道路改良工事で必要な土地の用地買収及び支障物件移転補償について地権者と交渉が予定されています。
 町道の整備につきましては、御影市街地の道路改良及び舗装工事を進め、全道路の安全確保のための維持管理に努めてまいります。

2 誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまちづくり
・誰もが健康で暮らせる保健・医療
 保健・医療につきましては、平成20年度から、医療保険者に義務付けられました特定健診及び特定保健指導によりメタボリックシンドロームの該当者や予備軍を把握し、生活習慣病の予防に努め、検診などを受けやすい体制づくりを構築し、対象者への個別支援に向けた保健指導を充実してまいります。
 また、幸せの源は「まず健康から!」と言われますように、緑豊かな環境の中で町民に健康の輪を広げ、皆さんが健康で暮らせるために、健康づくりは極めて重要かつ大きな課題であり、生活習慣病を予防するための取り組みを関係団体と連携しながら実施してまいります。
 近年、ストレスを抱える妊婦が増加傾向にあり、健康診査を受診していない妊婦が問題となっています。健康な妊娠、出産を迎える上で重要な妊婦一般健康診査の公費負担回数を5回から14回に拡大するとともに、特定不妊治療費助成事業に併せ、交通費の助成を実施してまいります。

・誰もが安心して暮らせる福祉
 児童福祉及び子育て支援につきましては、「次世代育成支援行動計画」の基本理念に基づき、その実現に向けて町民・地域の皆さんに協力をいただきながら取り組んでまいりますとともに、本年度、後期計画(平成22年度から平成26年度まで)を策定してまいります。
 また、本町におきましても、年々出生数は減少傾向にありますが、町内保育所等への入所希望児童数については、ここ数年は横ばい傾向であり、今後は減少することが予想されることから、児童のための効率の良い施設運営について検討してまいります。
 清水の学童保育所の入所希望児童につきましては、一時定員数を上回る状況でありましたが、昨年度、定員数を増やし対応したところであり、今後におきましても児童の安全を念頭に適切な施設管理に努めてまいります。
 また、全児童生徒を対象とした放課後居場所づくりが求められていることから、教育委員会・学校関係者と連携し、平成22年度から清水小学校の余裕教室を活用し「放課後子どもプラン」を進め、放課後の子どもたちが安全に過ごせる居場所を確保するため、改修工事を実施いたします。
 また、幼保・小連携につきましては、就学前児童の滑らかな接続を目指し、授業参観や学習会、保育授業体験を通して、子どもたちの交流はもちろん、教員・保育士の交流・連携も深まり、この取り組みの成果を保育所や幼稚園における保育活動等に活かすとともに、教育の原点である家庭や地域に対しても情報やメッセージを発信してまいりたいと考えております。
 さらに、子どもの発育や発達への支援につきましては、本年度からきずな園を保健福祉センターへ移転し、保育所、幼稚園、保健師、子育て支援センターのほか、関係機関等と連携を密にし、「発達支援センター機能」の充実を図り、児童や保護者に適切な療育・支援ができるよう取り組んでまいります。
 また、地域福祉につきましては、身近な人々が見守り合い、励まし合い、支え合いながら、みんなが元気ある暮らしができるよう、共に取り組むことが必要であります。このため、地域が求める活動や相談、要望に応えるため社会福祉協議会、民生委員協議会、ボランティア団体など、各協力者とのネットワーク化に取り組んでまいります。
 障がい者福祉につきましては、障害者自立支援法及び第2期清水町障がい福祉計画に基づき、負担軽減やサービス提供者への措置を実施し、今後も国の動向を見極めつつ、関係機関と連携し、障がい者を支援してまいります。
 また、在宅やグループホーム、ケアホームで生活する障がい者が日常生活を安心して送ることができるよう、関係団体や福祉事業者と連携して取り組んでまいります。
 労働行政につきましては、米国発の金融不況から自動車産業の大手や電気部品製造に関連する中堅製造会社などを中心に国内の生産量の削減、コスト低減を目的に昨年末から非正規社員の解雇報道が相次ぐ中、町といたしましても昨年12月に緊急雇用窓口を開設し、実態の把握に努めながら町内企業やハローワーク等と連携し、町独自の雇用対策を実施してまいりました。道内や本州で主に製造業に従事され町内にUターンされた方や町内に居住されている非正規社員の労働環境につきましては、なお厳しい状況にありますので、町内各事業所と連携を深めながら、国の平成20年度の第二次補正予算や道の雇用対策事業の活用を図るとともに、新たに新卒者就労支援事業の実施により未就職者を一時的に雇用するなど、町内の労働環境の改善や雇用促進に努めてまいります。
 また、季節労働者対策につきましても、十勝北西部通年雇用促進協議会とも連携を図りながら就労対策を進めてまいります。

・健全な運営で共に支え合う社会保障
 国民健康保険制度は「国民皆保険制度」の基盤として、町民の方々の健康保持増進に重要な役割を担っているところであります。
 しかし、高齢化の進展や医療技術の高度化等による医療費の増大と、その財政基盤が脆弱であることから、事業運営はより一層厳しいものとなっています。
 こうした状況を踏まえ、本年度の保険給付費は、前年度の給付実績等を基に予算計上したところでありますが、国民健康保険事業の安定運営のためには、引き続き保険税徴収率の向上と特定健康診査事業の適正化に努めるとともに、一般会計からの繰入により収支の均衡を図り、被保険者の負担軽減を図ってまいります。
 また、国民健康保険税率は、税制改正に合わせた課税限度額の改正と、平成20年分所得の確定後において、国民健康保険税の税率改正を行ってまいりたいと考えております。
 また、少子高齢化が進み、高齢者人口と医療費が増え続けていく中、国民皆保険を守りながら、高齢者の方が安心して医療を受けられるしくみを維持していくため、高齢者の医療制度の見直しが行われ、平成20年4月から「後期高齢者医療制度」が創設されましたが、医療費適正化対策の総合的な推進に努めてまいります。
 介護保険事業につきましては、本年度より平成23年度までの第4期「清水町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、高齢者が要介護・要支援状態に陥ることのない自立した生活を送ることができるよう、地域包括支援センターを中心に介護予防事業、介護予防マネジメント、総合相談・支援など、より良いサービスの提供に努めてまいります。
 また、介護保険第1号被保険者の保険料につきましては、3年間の実績や制度改正を基に、利用者及び事業費を推計したところ、要介護・要支援認定者数の増加や、介護療養病床転換による施設整備による増加が見込まれますが、介護給付費準備基金及び国の介護従事者処遇改善臨時特例交付金を充当し、現行より550円増の3,850円と設定したところであります。

3 一人ひとりがいきいきと輝く創造性豊かなまちづくり
・豊かな心と個性を育む教育
 社会が大きく変動している今日、未来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ、心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることは、私たちの願いであり、使命でもあります。
 私たちは、厳しくも美しい、しみずの四季を通じて、家庭・学校・地域が相互に強く連携協力して、ふるさとを愛し新しい時代を切りひらく知恵と勇気のある子どもを育てる教育を推進することが重要です。
 本年度で7年目を迎えます「少人数学級」や指導教諭の複数配置などで、基礎・基本を重視した学習と豊かな心の育成に努めてまいります。
 また、義務教育に係る保護者負担が年々増加する傾向にあり、本年度から児童生徒の修学旅行に要する経費のうち見学料と旅行取扱い手数料について公費負担し、父母負担の軽減を図ってまいります。
 「幼保・小連携教育」につきましては、幼稚園・保育所の教育と小学校教育のなめらかな接続を求め、「遊び」から「学び」へのスムーズな移行など、就学前教育の相互理解と連携を図るよう引き続き実施してまいります。
 全ての町民が、「まちの宝」子どもたちへ関心を強め、連携し、情報を共有する中で、「しみず」に愛着を持ち、ふるさとに心を寄せる感性豊かな子どもをはぐくむ教育を推進してまいります。
 次に、学校給食では、食材の安全・安心はもとより、食育の推進を進めてまいりますが、本年度も、地元食材を多く活用した子どもの笑顔が見えるふるさと給食を提供し、栄養教諭の指導による、各学校での児童・生徒に正しい食事の摂り方や望ましい食習慣を身に付けさせるなど、食に関する指導の充実を図り、食育を推進してまいります。
 また、スクールバス等の運行につきましては、安全で確実な運行をするため、職員研修や委託先への指導を徹底し、日常の車両点検整備を怠ることなく安全運行に努めてまいります。
幼稚園教育につきましては、「愛のあふれる幼稚園」の経営方針を定め、幼児の特性と発達段階に合った教育を行うために、保護者の協力を得ながら特色ある教育課程を編成し、幼児一人ひとりの個性の伸長と豊かな心の育成を図り、園児にとって楽しい幼稚園であり、保護者に信頼される幼児教育に努めてまいります。
 また、清水高等学校につきましては、総合学科の先進校として特色ある教育活動の取り組みについて、生徒一人ひとりが自分の個性、志向を踏まえ、科目を選択し、将来に向けた実践的な教育活動を展開しております。魅力ある学校づくりについて、清水高等学校並びに清水高等学校振興会との連携を一層図りながら生徒の確保に向け、協力してまいります。
 さらに、北海道芸術高等学校は、開校3年を経過し生徒数が600名を超え着実な経営がなされています。本町で行われるスクーリングに多くの生徒が訪れ、特別免許状を授与した地元教師をはじめ多くの方々の協力を得て、それぞれが持つ知識や経験を生かした授業が行われるなど、町民との学びの共有と連帯感の醸成が図られています。
 今後におきましても、不登校や中途退学となっている子ども達が、自分の興味、関心のあることを通して、学ぶ意欲を取り戻すひとつのきっかけとなれば子ども達に生きる力を与えることになり、そういったニーズに対応することは存在価値があり、幅広い教育の選択肢の一つとなるよう、教育内容について監督、指導の役割を果たしてまいります。
 閉校施設の活用については、構造改革特区や地域再生計画により通信制高等学校や介護福祉施設など有効に活用を図ってきたところですが、旧松沢小学校につきましては、未だその活用がなされていませんが、鋭意活用の途に努力してまいります。

・いきいきと学び合える社会の実現
 町民一人ひとりが生きがいをもてる生活を生み出すために、地域住民の持ち味や人間性を生かした生涯学習ボランティアの拡充発展に努め、地域の持つ教育力を引き出し、それを活用した事業を展開するとともに、情操豊かな人間形成を図るため、読書普及事業や体験事業、芸術・文化鑑賞機会の提供に取り組んでまいります。
 また、心身ともに健康で充実した生活を営むため、スポーツ活動を日常的に取り入れるよう、スポーツ教室等の実施や各種大会への参加支援に努めてまいります。

・共に理解し、ふれあう活動
 男女が共に生きるには、仕事や家庭生活、地域活動、個人の自己啓発等、様々な活動を自らの希望に沿って展開できる社会の実現を目指して、仕事と生活の調和の推進に努めていくことが必要であります。
 昨年度、制定した「いきいきふるさとづくり寄附条例」は、「アイスホッケー」や「第九によるまちづくり」など5つの事業を掲げ、町民の皆さんをはじめ本町出身者やゆかりのある方などが新たな形でのまちづくりへの参加と財源確保を行うものです。今後も制度の周知に努め、更に事業の実施に当たっては、町民と寄附者の連携について検討を進めてまいります。
 また、都市等からの移住定住促進事業につきましては、本町にとって人口の増加に繋がり、新たな土地や住宅等の需要が見込まれ地域の活性化の重要な要因となることから、移住情報の収集や発信に努め、移住相談ワンストップ窓口の設置や生活体験事業を実施してまいりました。
 生活体験事業につきましては、昨年から新たに御影市街地に移住体験用住宅を設置し、町内民間事業者のご協力を得ながら実施しております。利用実績については、これまで道内を含め関東や関西の9家族が延べ104日間、月平均10日間ほど利用し、1家族が本年4月より移住する予定となっております。
 本年度は、民間事業者等の協力を得て土地・住宅・生活などの情報を集約し、公的情報とともに相談者に対して的確な情報の提供に努め、官民共同の組織体制の発足や機能を充実させ、また、首都圏・関西圏で開催される「北海道暮らしフェア」等に本町の民間事業者等の方々にご参加をいただき、積極的に本町の魅力をPRするとともにインターネット等を活用し、本町への移住・定住に結びつけてまいりたいと考えております。

4 新たな時代に対応した産業のまちづくり
・魅力的で活力のある農業
 清水町の農業生産額は、昨年度、比較的良好な気象経過で推移したこともあり、高収量を確保し、190億円程度の生産が見込まれ、7年連続して高い農業生産額となることが確実であります。
 しかしながら、農業を巡る環境は一段と悪化し、畑作経営におきましては燃料や肥料など生産資材の高騰により経営経費が大幅に増大しており、平成19年度から導入された品目横断的農業経営所得安定対策(水田・畑作経営所得安定対策)制度などもあり、3年連続して厳しい状況となっております。
 一方、酪農・畜産経営におきましても、燃料や肥料のほか、特に世界的なバイオエタノール原料への利用拡大等の影響を受け、輸入穀物飼料の急激な高騰が続いたままで、畑作以上に経営を圧迫する状況となるなど、本町農業全般にわたって厳しい農業経営となっております。
 このような中、本町の農業は、今後も食料の安定供給と関連産業が地域経済や社会を支えていく重要な産業として、安全で良質な農畜産物の生産確保や農村のもつ環境保全をはじめとする多面的機能も維持された中で、発展していかなければならない大切な役割を担っており、これまで以上に安全で良質な農畜産物の生産の確保やこれら推進に向けた施策を実施してまいります。
 水田・畑作経営所得安定対策や農地・水・環境保全向上対策事業が3年目を迎えますが、関係機関と連携をとりながらより一層の推進を図ってまいります。
 また、国の農産漁村活性化プロジェクト支援交付金を活用し、昨年度農協が整備した野菜の予冷庫や地域バイオマス利活用交付金事業による家畜糞尿を利用した有機肥料や堆肥製造施設の活用を図り、野菜生産の拡大など積極的に推進してまいります。さらに、土壌分析診断事業による低コストの推進と有機質肥料の活用なども推進してまいります。
 農業者と商工業者や地元消費者と連携を図る食の安全・安心推進事業につきましても継続して実施し、地産地消の推進や食をとおした交流を深めてまいります。さらに、ふるさとブランドとかちしみず認証制度のさらなる推進を図り、観光協会並びに商工会との連携により、農産物を販売し、まちのイメージアップや町農産物の地域ブランド化と地産地消を推進してまいります。
 酪農・畜産関係の施策につきましては、輸入飼料の高騰対策として自給飼料増産対策事業を実施し、デントコーンの増反を奨励し、飼料の自給率を高め経営の安定化を図ります。また、畜産担い手育成総合整備事業での草地の整備改良も引き続き実施してまいりますとともに、家畜伝染性病の発生防止に、万全な防疫体制をとってまいりたいと考えております。
 また、 町営育成牧場につきましては、乳牛育成期におけるコスト低減や労働力の軽減など、酪農経営の補完施設として大きな役割を果たしてきており、今後も経営の大型化に伴いその重要性がますます増大される状況にあります。特に、本年からは酪農家10戸による民営「保育事業」が始まりますが、施設整備を含め連携を十分図りながら牧場運営に努めてまいりますとともに、本年度は、夏期放牧利用が2,200頭程度・冬期舎飼利用が850頭以上の受け入れを予定しており、効率的な飼育管理の実施と防疫体制の強化等により、預託者が安心して利用できるよう、より一層充実した管理運営を行なってまいります。

・恵まれた自然を生かした林業
 森林は、地球温暖化を防止するだけでなく、国土の保全や水源のかん養等、安全で安心できる生活に不可欠な機能を有しており、このような森林を守り育てていくため、より適正な森林管理が求められております。このため、町有林関係では、森林施業計画に沿って適正な管理のもと継続的な整備保全を進めてまいります。
 また、「町民レクリエーションの森」の整備につきましても、継続して事業を進めてまいりますとともに、民有林事業につきましても、造林事業等の支援を継続して実施し、緑豊かな町となるよう努力してまいります。

・消費者ニーズに即した商工業
 今日における経済環境は、燃料価格の高騰、米国発の金融不況の影響を受け、製造業を中心とする大手企業が赤字決算を余儀なくされ、コスト削減を目的に非正規社員の解雇、希望退職によるリストラや賃金カットなどによる個人消費の低迷、価格競争の激化等、課題が山積の状況であります。
 本町においても、生活者の消費購買行動の変化により購買力が低迷するとともに町外に流出しており、商業者にとって極めて厳しい状況が続いております。
 このような時代こそ、商工業者の皆さんが知恵を出し合い、消費者のニーズに合わせたサービスを展開することが大切と考えております。
 町といたしましては、こうした状況を打開するためにも商工会とより一層連携を図り、うきうき商品券事業等の拡大により、地域内の消費購買のより一層の喚起を図ってまいります。また、空き店舗等を活用した子育て支援事業や地域特産物の販売なども積極的に推進していくほか、経済活性化戦略会議などを通じて誘致企業への支援や新たな企業の誘致活動、起業化支援を積極的に行なってまいります。

・自然を満喫する観光・レクリエーション
 観光振興につきましては、恵まれた自然環境や景観・農業・第九の町としての地域文化を基調として、各観光施設との有機的な連携を図りながら各イベントを開催し、地域の活性化に努めてまいりました。
 近年、豊かな自然や農業、文化や地域特性を生かした農村体験観光が注目されてきており、観光資源の発掘と有効活用について関係者と連携を取りながら、より一層のグリーン・ツーリズムの推進を図ってまいります。
 また、平成23年度には道東自動車道が全線開通する予定であり、高速ネットワークが具現化することにより人や物流、観光などを含め地域振興が期待されることから十勝西北部の関係する6町との連携によりシーニックバイウエイ構想の指定ルート認証に取り組んでいるところでありますが、これらを一層活用しながら、本町が十勝を訪れる観光客の拠点となるよう努力してまいりますとともに、本年度も引き続き、各イベントの充実に向け、観光協会並びに商工会等と協力して町民の皆さんが積極的に参加し、楽しんでいただけるようなイベントを企画してまいりたいと考えております。

・新たなる雇用・就業を創出する産業・事業
 地域資源と人材を生かした活力ある町を創造していくため、「清水町経済活性化戦略会議」は企業誘致や既存産業などの産業振興策として機能することを目指しており、現在まで中心市街地衰退化防止策事業や企業誘致、食を通じた連携事業、移住・定住促進事業に取り組み、食酢製造会社の誘致が決定するなど成果が徐々に現れてきたところであります。
 本年度におきましても、社会の経済動向等を注視しながら引き続き本町の経済活性化に向けた取り組みについて、積極的に行動してまいります。
 本年度、本稼動を予定しているバイオ燃料地域利用エタノール実証事業につきましては、14名の雇用の確保並びに稼動後の施設の視察等による経済的効果が期待されているところであり、事業の推進に協力してまいりますとともに、エネルギーの地産地消を目的として設置された「十勝エネルギー特区推進協議会」の活動促進のため国に対して働きかけを行ってまいります。 
 また、バイオエタノールに関連する産業の調査研究機関の誘致を働きかけるとともに「環境を重視するまち清水町」を広く国内に発信していく考えであります。

5 みんなで創る協働のまちづくり
・町民主役のまちづくり
 町づくり推進協議会等をはじめとするコミュニティ組織や、教育・福祉・生活安全など様々な分野で活動する団体などで自主的なボランティア活動や協働のまちづくりの実践活動が進められており、今後も様々な分野で町民と行政が協力してまちづくりに取り組むことが大切であります。
 特に、本年度は、高齢者や障がい者などの身体的弱者への災害時の安否確認や助け合いなどに迅速に地域住民が対応できるシステムと情報ネットワークの構築など、各地域が抱える課題の解決に向けて取り組んでまいります。
 町政運営の基本原則を定めた「まちづくり基本条例」は、各種審議会の委員の公募や、開催内容の公表、重要な案件については町民意見提出制度により意見を求めるなど、情報共有と町民参加について、広報紙や町のホームページをはじめ、町内各所に設置した情報掲示板などにより積極的に進めているところであります。地方分権の進展により地域自らの判断と責任において進めることが求められており、課題解決のため町民と行政が役割を分担し、共に知恵を出し合いながら「協働のまちづくり」を推進するため、町民の皆さんがまちづくりに参加しやすい環境の整備と行政情報の提供・周知方法の工夫に努めてまいります。

・効率的な行政運営と健全財政のまちづくり
 将来の着実なまちづくりには健全な財政運営が欠かせません。第二次「清水町行財政健全化実行プラン」も2年目に入りますが、計画の実施にあたり困難な課題も出てきております。また、世界的な経済危機にあって、緊急経済対策などで新たに取り組まなければならない課題もあり、将来に向けて行革の方針に沿って事業の取捨選択を進めてまいります。
 歳出の中で比重の大きい人件費につきましては、これまで退職者の不補充により職員総数の圧縮に努めてまいりましたが、職員の年代構成に大きな空白を生ずることを防ぐために、本年度2名の職員を新規採用いたします。今後も将来の組織構成のバランスを考慮しながら計画的な取り組みを進めてまいります。
 次に、歳入である個人町民税は、生産年齢人口が年々減少していることから、給与所得などが落ち込むこととなり、更に、基幹産業である農業においても原油価格の高騰により、生産資材や飼料価格がその影響を受け、その結果、農業所得の減少傾向が見込まれ、営業所得につきましても景気の悪化や経費の増大により所得の減少が見込まれることから、全体として昨年度より2千万円の減収を見込んでいるところであります。
 また、法人町民税につきましても、地方経済の長期の低迷や急激な景気悪化の影響により収益の減少が見込まれることから、昨年度より約1千5百万円の減収を見込んだところであります。
 固定資産税につきましては、本年度が3年に一度の評価替年度にあたり、土地では一部市街地の地価に下落が見られ、家屋につきましても経年による減少が見込まれます。償却資産につきましては、従来の評価基準の改正による減少に加え,大規模な設備投資も見込めないことから、全体として昨年度より2千7百万円の減収を見込んだところであります。
 なお、収納対策につきましては、「十勝市町村税滞納整理機構」と更に連携を図り、自主財源確保のため収納率向上に一層の努力をしてまいりますとともに、インターネット公売による滞納処分についても引き続き取り組んでまいります。

・広域と連携したまちづくり
 十勝町村会は、「十勝1市」の実現を目標に掲げ、当面、各市町村が自主・自立の方針に沿って広域連携や行財政改革を推進するとした「十勝地区グランドデザイン」に基づき、協議を進めてまいりました。
 本年4月に十勝圏複合事務組合事務局に設ける「仮称 消防広域推進室」において、平成25年度から業務を開始する全十勝広域消防の設立準備が始まります。
 今後も管内市町村との連携を密にし、十勝町村会における具体的議論の場で意見を述べてまいりますとともに、第29次地方制度調査会や国の動向を見極めながら今後の方策を探ってまいりたいと考えております。

IVむすび
 以上、平成21年度の町政執行の主要な施策を述べさせていただいたところでありますが、時代の動向や本町の将来を見据えながら、行財政の効率化を一層進め、町民ニーズを的確に捉え、町民の皆様との対話を大切にし、施策を推進してまいりますので、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ町政執行方針といたします。


 平成21年3月12日


 清水町長 高 薄    渡