北海道清水町議会

北海道清水町議会

平成22年第8回定例会(12月16日_日程1_一般質問4)

○議長(田中勝男) 次に、7番、奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 今回もお二人から、海外資本による町内山林の買収関連の質問がございましたが、できるだけ重複を避けて質問をさせていただきたいと思います。
 十勝管内では、清水町内の民有林であります3ヘクタールが台湾の個人に買収されていました。先ほど、同僚議員が質問されましたけれども、別荘としての買収だということで、大がかりなリゾート開発ではないので、大きな問題ではないような答弁もございました。今回、清水町の総面積の43.1%という3分の1以上が山林を占めているわけでございます。その森林の果たす役割というものは、私的な経済価値だけではなく、水資源の保持や土砂防衛・地球温暖化防止など、公営的な機能を果たす基盤でもあると考えまして、私有林であっても、売買にあっては国土資源保全の観点から慎重な対等が求められてくるのではないかと思いますので、次の点について伺います。
 森林の場合、農地のような売買規制はありませんが、森林所有者の状況をどこまで把握できているのか、土地所有者の義務はなんでしょうか。先ほどから議員の質問のなかで、地籍図がないということでございますが、それにかわるものがすぐにあるというお話でした。山林の隣接する境界線の未確定な土地はないのかもお尋ねしたいと思います。
 国内の林業低迷のなかで、海外から投資対象として評価をされ、万一、山林売買・開発が進んでも、現行の制度下では解決の対応策はあるのかということも改めてお伺いしたいと思います。
 林業は安い輸入材に押されまして、林業が低迷をし続けております。人口減少・高齢化により山林を管理できない、人工林の伐採後も造林経費の関係でその後に、職人や緑化行為が困難な状況でございます。そのために、手元にあっても手に負えない状況のなかで、安くてもいいから手放したいという考え方もあると思います。そういうなかで、グローバル化をしていく、森林資源をどう保全するのか、現行の土地制度の不備がどれほど大きな問題として絡んでくるのではないかということを認識し、行政・町民もそれぞれの役割分担をどのように進めていくべきか、町長の所見をお伺いします。

○議長(田中勝男) 答弁を求めます。町長。

○町長(高薄 渡) 先ほどから数人の議員のご質問にお答えをしてきました。4点ほどございますので、それに基づいてお答えしたいと思います。
 1点目の、森林の場合、農地法のような売買規制はないが、森林所有者の状況をどこまで把握できているのか、森林所有者の義務は何なのかということでございます。現在、森林所有者の状況は、道で管理している、森林調査簿で把握しているところであります。森林法には、所有者の変更の届出がない限り、現状であり国土法による届だけの把握であるため、正確な情報ではないものと考えておりますけれども、道としては調査簿によって管理しているかたちでございます。森林所有者の義務といたしましては、森林業基本法のなかでうたわれておりまして、この法に則り、森林の有する多面的機能が確保されていることを旨として整備の保全が図られるよう努めなければならないということであります。努力吟味でございまして、法的強制力がないものになっているような状況でございます。
 2点目に、境界線の未確定な土地はないのかということです。現状では、先ほど課長から答弁されておりますが、地籍調査、剣山地区については、明確になっていない状況であります。道の事業のなかで境界を明確化できる事業がありますので、この事業を活用しながら取り組んでいきたい、財政の範囲のなかでやっていかなければならないと考えております。
 3点目の、林業といわれる事業が、低迷しているということでございます。売買がAさんからBさんへ、当事者間で行為が成立すれば売買制度になってしまうのです。森林組合に入っている場合には、状況の把握ができますが、そうでない場合はわからないということになります。今度はそれを、法律でどうしていくかということも注目していかなければならないし、我々はそういった面で、国に向かって発信していかなければならないと思います。来年の通常国会に提案する予定になっていますが、まだ固まっておりませんので、おそらくそういった意見の求めがあるのではないかということで、その折にはしっかりと対応してまいりたいと考えております。
 4点目は、森林資源をどう保全するのかということです。
 これまでも、町有林の整備を行いながら、さらに民有林も整備してきているところでございます。しかしながら、民有林におきましては、所有者が持っている名義が高齢化しているところでございまして、それを受け継ぐ方々が森林というものに対しての認識度が、代々受け継いできた所有者の考え方と、今の方々の考え方、森を守るという意識の部分が希薄になってきています。これはどの部分でもそうですが、そのようなこともありますので、これをしっかり森の大切さを伝えていかなければならない、その役目を行政として、あるいは森林組合を通じてでも、持っていかなければならないだろう、森林組合の総会等では、そういうことを別に訴えてきていますけれども、さらにより深めて資源の保全ということを考えて、積極的な事業展開ができるような体制づくりをしなくてはならないです。そのためには、町だけではできません。北海道・国の助成制度を制度化していかなければ守り抜くことはできないのではないかと考えておりますので、この点も合わせて、国との積極的な意見を発していかなければならないと思っているところでございます。以上です。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 町内で、今の土地の所有者の義務というのはそうでありますが、あまり制約されていない部分もあり、土地を売っても1ヘクタール以上を売った場合は、事務届だけでよいということもありまして、そういうものは義務付けられています。清水町内で、近年、届けられている件数というのはありますか。どのくらいの面積が売買されているのか、伐採されているのかの部分においては、どのくらいの件数がありますか。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) 今のご質問ですが、国土法による届出が1ヘクタール以上の売買の場合、届出をしなければならないとなっております。私のところでは担当していませんが、今年に入って、数件の届出があったように記憶しております。以上です。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 数件だというお話でしたが、この届出というのは、不動産登記の必要書類になっていないと伺っております。無届でも法に触れないということがあるということですが、そういったなかで、地番が不明なところはないでしょうか。先ほどの無届の部分があると、そういった話はないかもしれませんが、それも差し支えないと国の法はありますが、地番がわからないという問題になったことはないですか。

○議長(田中勝男) 総務課参事。

○参事(西尾 修) 先ほどの質問にもありましたけれども、あの地区については、旭山地区の一部については地籍が入っていませんけれども、集成図という部分での図面をうちのほうで管理しておりまして、その部分では地番等についてはあります。ですから、未確認の土地ということになると、管理上のなかではないと思っております。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 未確認の土地がないということでございますけれども、特に山林の場合ですと、地形も複雑で面積も広大だということもありますので、森林の所有者というものは町として全て把握できていますか。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) 町長の答弁でも申し上げました。道が管理している森林調査簿という台帳がございます。その台帳で管理しているということでございます。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) これは明確になっていない地籍は、境界線はないと解釈してよろしいのですね。
 地籍図があるなかで、森林の境界線は、清水町の場合は民有林であってもきちんと把握できている。清水町ではわからないから、それは理解してもよろしいのですね。現行の制度のなかではそこらへんのことは、難しいのではないかということでございます。清水町の人工林が多くなってきておりますけれども、伐採した後の木を植えていないところはあるのかどうかは確認していますか。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) 第1点目の地籍調査の関係です。地籍調査が実施されている地区については、境界が明確になってございます。先ほど、総務課参事から申し上げましたように、旭山の地区の一部については、まだ地籍調査は行われておりませんので、境界の明確化については行われていないという状況でございます。
 伐採後の造林の関係ですが、先般の新聞の報道にもありましたように、10年前と比較して2倍以上、未造林地、伐採後に造林されていないような土地があるという報道もされております。本町においても、議員の冒頭のご質問のように、木材価格が低迷しているような状況のなかで、伐採した後、造林経費までかけて造林するという部分も、全部が造林されているのかというと、されていないようない状況でございます。今、資料を持ってきておりませんので、未造林地がいくつあるかという部分についてはお答えできませんけれども、清水町の状況としては、未造林地はあるという状況でございます。以上です。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 面積がわからないのですが、民有地であっても、そういうところが外資に狙われるというか、そういうのが目玉になるというのもあると思います。そういう土地を清水町として、これからどのような対策をお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) 森林に限らず、土地の売買についての規制がございません。森林法の改正などのなかで国の動きがございますので、売買されたときの届出の強化や森林を開発するときの開発行為の申請だとか、伐採届の届出がされてないような場合の罰則規定も強化されるように聞いております。現状は、森林含めて土地の売買については、この人に売ってはだめ、この人であればよいという規制はないということでございます。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) そういった規制がないというなかで、それぞれ個別の事情がありますので、山林ブローカーという人にどうしても頼らざるを得ないというのが現状だと思います。
 閉鎖的ななかで行われているのがありまして、そういうなかで、適正な価格の売買がされたかどうかについてもわからない。そういった問題を解消しなければいけないと思いますが、それを解消するために個人情報が問題になってきますが、個人情報に配慮しながら、しっかり透明性を高めていく。例えば、行政に売買の窓口を設けていくというようなことも必要になってくるのかと思います。それに対して、町独自でできるのは難しいと思いますが、それも含めて上に訴えていくことも必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) 届出制の部分は、法的な部分ではないような状況でございます。森林法の改正のなかで、届出の義務化だとかの部分を行うような流れになっておりますので、それを見極めて町として対応していきたいと思っておりますし、町独自で届出を強化するようなかたちに、現法制度のなかではできないような条項でございます。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 町独自ではなかなか難しい問題だとは思いますが、これから森林のもつ公益的な役割というものは大切だと思います。それを今後しっかり維持していくためには、今の伐採後の事後届出だけではなく、事前に届出制度を設けて、どのような目的で使うのかという利用目的や法的期間というのも今後、検討していかなければならないと思いますが、そういうこともいかがでしょう。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) 原議員のご質問でも、町長から答弁させていただきましたように、法律のなかで規定がないと難しい部分がございます。そういう意味では、今後ともいろいろな機会を通じて、国や道に働きかけをしていきたいと思っております。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) よろしくお願いします。未造林地の場合、隣の新得町辺りでは、民有林を町で買い上げて、そこに植林をしていくということもやっていると聞いております。清水町はそういった考え方はできないでしょうか。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) そういった取り組みは、本町ではやっておりません。くどいようですが、うろ覚えですが、国の流れとして森林法の改正のなかで、伐採後の土地を強制的に町が代わって造林をしていくという制度も考えられているような部分がございますので、そういった制度の見極めをしながら、対応についての検討をしていきたいと思います。

○議長(田中勝男) 奥秋康子議員。

○7番(奥秋康子) 後世に財産を残すという意味でも、清水町の土地を外国資本がということになると、たかが別荘地だということで、大きな危機感というものはないかもしれませんけれども、これがエスカレートしていった場合に、本当にこれでよいのかということもあります。そういった意味でも、水資源のしっかりとした確保や二酸化炭素を吸収する役目のあるこの森林を後世に残す意味でも、町で責任を持って、造林などを進めていってほしいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○議長(田中勝男) 産業振興課長。

○産業振興課長(八木正明) 先ほど答弁させていただきました、町が代わって造林などをするという部分でございますけれども、この部分については、森林法の改正案のなかで、伐採届等の届出をしなかったものに対しての法整備がされるということでございます。そういった部分で、町としても、この対応についてはこの法整備が国で考えられている部分でございますので、そのような状況になった時に、町としてそういうことができるか・できないかを含めて、法整備後に検討をしていきたいと思っております。

○議長(田中勝男) 以上で、奥秋康子議員の一般質問を終わります。