北海道清水町議会

北海道清水町議会

平成22年第3回定例会(3月11日_日程5)

○議長(田中勝男) 日程第5、町政執行方針について、町長より平成22年度町政執行方針を述べていただきます。町長。

町長(高薄 渡) 

I はじめに

 平成22年第3回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度の町政執行方針と施策の概要を申し上げ、議員の皆様をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 国においては、昨年8月の政権交代による鳩山内閣が発足しました。鳩山内閣総理大臣は地域主権の確立を述べられており、地域主権実現のための地域主権戦略大綱の策定に大きな関心を寄せるものであります。
 さて、百年に一度と言われる経済危機の中、国の緊急対策として第一次補正予算において「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の創設、第二次補正予算として「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」が創設され、本町におきましては、第4期清水町総合計画等を始め、緊急を要するこれらの施策に該当する事業実施により雇用の維持と企業経営の安定化に努めているところであります。
 本町では、平成14年度から行財政改革に取り組み、本年度は「第二次緊急3ヵ年計画」の最終年度を迎えます。この間、各種使用料等の見直し、施設運営や事務事業の見直し、補助金の見直し、更には人件費の独自削減などに取り組んでまいりました。特に、人件費の独自削減は十勝管内ではいち早く平成14年度から取り組み、平成21年度までの削減額は総額約7億8,000万円に達しております。この大幅な独自削減は、十勝管内においては本町のみとなりましたが、職員の多大な協力の下引き続き独自削減を実施し、効率的な行財政運営に努めてまいります。
 平成22年3月を期限とする「過疎地域自立促進特別措置法」につきましては、北海道や全国過疎地域自立促進連盟と連携しながら、新たな過疎法の制定を求めてきた結果、平成28年3月までの6年間延長することで与野党の合意がなされ、新たにソフト事業についても過疎債の対象として総合的な過疎対策の充実強化が図られる予定となっております。
 また、第5期清水町総合計画となる「新たなまちづくり計画」につきましては、「まちづくり基本条例」の本旨に基づき、多様な町民の意見を取り入れるため、昨年度より「まちづくりアンケート」の実施や「新たなまちづくり計画100人懇談会」、「新たなまちづくりを考える講演会」、「町民と町長のふれあいトーク」を開催するとともに、町民28名と職員25名による「新たなまちづくり計画策定委員会」を設置し、各部会において活発な議論を重ね、現在、新たなまちづくり計画の策定作業を進めております。6月末には策定委員会から「基本構想(案)」と「基本計画(案)」の報告をいただき、総合計画審議会への諮問及び町民意見提出制度の実施を経て、9月議会定例会にご提案させていただきたく考えております。
 私といたしましても、町政3期目の二年次を迎えますが、「健全な財政で思いやりを大切にした活力ある確かなまち」を町政運営の基本とし、着実に諸施策を推進してまいる所存であります。
 新年度の主要な施策につきまして「第4期清水町総合計画」の最終年度になりますが、そのまちづくり目標に沿って分野別に申し上げさせていただきます。

II  地方財政と予算概要

 本年度の地方財政計画の全体規模は、82兆1,200億円で、前年度比0.5パーセントの減となりましたが、公債費等を除く地方一般歳出は、66兆3,200億円と前年度比1,014億円の増となりました。
地方交付税につきましては、地域活性化・雇用等臨時特例費の創設により配分総額が、16兆8,955億円と、前年度比1兆733億円、6.8パーセントの増となっております。ただし都市部等の地方税の大幅な落ち込みにより、地方への配分額は減少することが予想されることから、本町の地方交付税のうち普通交付税は、平成21年度交付決定額と比較し829万円、0.3パーセント減の30億円を計上したところであります。
 本年度の一般会計総額は、予算総額を前年度比6.6パーセント増の65億5,500万円とし、一般会計と7つの特別会計と公営企業会計の当初予算総額は、前年度比1.2パーセント減の97億3,614万円であります。

III  主要施策の推進

1 豊かな自然と共生した森と水の郷づくり

・恵まれた自然の保全・育成と調和した住まい地域の大切な資源であります自然環境を守り育てるため、河川、公園、緑地の維持管理と、平成21年度に策定いたしました「清水町営住宅長寿命化計画」に基づき、建替計画の事業に取り組み住環境の改善に努めるとともに、転入や転居のための「空き家、空き地などの情報」を提供し、民間による借家計画に協力してまいります。
 また、若年層世帯の定住人口を促進するため、「新婚世帯定住促進事業」を本年度から実施し、民間賃貸住宅に住む婚姻届出1年以内の世帯に対し家賃の一部を補助してまいります。

・快適に暮らせる生活環境
 生活の質の向上や経済活動に直結する基盤施設としての水道施設において、効率的な経営の下、安全で安心な水を安定供給するため適正な管理を進め、浄水場の機器更新や老朽管の布設替工事を実施してまいりますとともに、生活環境の向上と公共用水域の水質保全を目的とした下水道施設においても、企業としての経営も考えながら適正管理を行い、安定した汚水処理を行うため終末処理場の機器更新を実施してまいります。
 ごみ処理業務につきましては、分別排出方法の徹底と再資源化の推進により清掃センター及び最終処分場の延命を図っておりますが、町民・事業者の皆さんへの分別排出方法やリサイクルに関する情報提供並びに家庭用使用済み食用油の資源リサイクルの分別収集等を行い、更なるごみの減量化に努めてまいります。また、清掃センターのごみの搬入業務につきましても委託をすることとしたところであります。
 さらに、本年度は老朽化した清掃センターの改修年次計画を策定し、今後、十勝環境複合事務組合の広域処理に加入した場合との経費の比較や諸課題について検討してまいります。
 また、ごみの不法投棄や違法な野焼きに対しては、警察署等との連携を密にし、監視体制の強化と啓発活動に取り組んでまいります。
 葬斎場につきましては、火葬初期時の黒煙排ガスの発生を解消するための改修工事を実施してまいります。
 昨年、本町におきましても一部地域で大量発生したマイマイガにつきましては、春先の卵の駆除など町民のみなさんの協力を呼びかけるとともに、貸出用集塵機を配備するなど対策を講じてまいります。
 また、花と緑に包まれた環境づくりとして、駅前花壇や商店街への花壇植栽などの住民活動に対して支援するとともに、衛生組合が実施している春秋の町内一斉清掃、清水町クリーン・ディ、花いっぱい運動と連携し、美しいまちづくりに取り組んでまいります。

・安心して暮らせるまち
 子どもたちが犯罪の被害に遭わないように学校・PTA・地域のボランティアによる「見守り隊」や、生活安全推進委員会による児童生徒を犯罪や交通事故から守る監視活動の実施が犯罪の抑止効果に繋がっているところであり、犯罪に繋がる恐れのある情報の一層の共有により事件や事故の発生を未然に防ぎ、町民一人ひとりが安心して暮らせる「安全・安心なまちづくり」に努めてまいります。
 また、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、複雑化している中、商品や金融サービス等の消費生活をめぐるトラブルは、年々手口が悪質巧妙化しており、多重債務につきましては、大きな社会問題となっており、国におきましても、昨年9月1日に消費者庁を発足し消費者行政の充実に向けており、本町では既に消費生活相談の充実や出前講座等の実施、警察署及び関係団体等との積極的な連携、情報の共有等に努めております。本年度も相談員の研修や、悪質商法対策の啓発用ステッカーを全戸配布するなど、消費者行政の充実を図ってまいります。

・暮らしと産業を広げる道路・交通・通信
 国・道への道路整備を要請した中で本年度予定されています工事は、国道274号の視距改良工事及び佐幌橋の架替工事が実施され、国道38号に隣接するホクレン製糖工場、西十勝農業センタ-及びバイオエタノール工場へ出入する大型車両の増加が予想されますので、関連する道路網の整備について、さらに要請してまいります。
 また、道々の要請につきましては、忠別清水線、讃岐地区道路改良工事、人舞地区防雪柵設置工事が継続実施され、清水大樹線は、御影平和地区の道路改良工事、北清水清水線は道路改良工事が予定されています。
町道整備につきましては、清水市街地の各道路改良及び舗装工事を進め、全道路の整備や維持管理に努めてまいります。
 また、町内に277箇所あります橋梁につきましては、国が進める橋梁の「長寿命化計画」策定のため、本年度におきましては85橋の調査点検を実施してまいりますとともに、古潭橋は、本年度、実施設計及び解体工事を進めてまいります。
 高齢者等交通弱者対策として、本年1月から3月までの間、公用車によるコミュニティバスの試験運行を行ってまいりましたが、この試験運行の結果を分析し、今後の運行について検討してまいります。
 また、本年度は、「地域公共交通活性化協議会」による地域公共交通総合連携計画を策定し、コミュニティバスの実証実験等に向け取り組んでまいります。

2 誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまちづくり

・誰もが健康で暮らせる保健・医療
 健康で暮らせるためのまちづくりは極めて重要であり、平成20年度から義務付けられました特定健診及び特定保健指導につきましては、メタボリックシンドロームの該当者や予備軍を把握し、生活習慣病の予防に努めてまいりますとともに、検診などを受けやすい体制づくりを構築し、対象者への個別支援に向けた保健指導を更に充実してまいります。
 さらに、2年目を迎える特定年齢者(子宮がん20・25・30・35・40歳、乳がん:40・45・50・55・60歳)を対象としたがん検診事業につきましては、本年は国の助成が全額から半額となりましたが、本町では無料で健診が受けられるよう対応してまいります。
 また、近年、ストレスを抱える妊婦が増加傾向にあることや健康診査を受診していない妊婦が問題となっていることもあり、昨年度より妊婦の一般健康診査の公費負担回数を5回から14回に拡大して妊婦健診の充実を図ってまいりましたが、本年度も妊婦が安心して出産を迎えられるよう努めてまいりますとともに、特定不妊治療費助成事業につきましても、交通費の助成を含め継続してまいります。
 次に、救急医療についてでありますが、本町では清水赤十字病院が北海道の告示を受け救急病院となっておりますが、医療スタッフの充実など、経営的には採算性が厳しい部門でありますので、本年度からその救急医療体制を維持するため一部支援を行い、町民が安全で安心な暮らしができるよう対応してまいります。

・誰もが安心して暮らせる福祉
 子育て支援につきましては、本町の保健・福祉・教育などの計画や、国・道の関連する計画との連携・整合性を図り、次世代育成支援行動計画(後期計画:平成22~26年度)の実施に向け、町民・地域・関係機関の皆さんのご協力をいただきながら取り組んでまいります。
 本年度は3年毎の公共料金の見直しの時期でありましたが、この経済不況の中におきまして、保育料につきましては、国の制度改正に伴い同一世帯から3人以上の児童が入所した場合、3人目からは無料とする改正のみを行い、子育て世帯の負担軽減を図ってまいります。また、保育料基準額及び幼稚園保育料等については、子育て支援施策として改正を行わないことといたしました。  さらに、学童保育所の保育料につきましては、管内では17市町村で有料化されておりますが、共働き世帯の子育て支援策として無料化を継続することとした次第です。
 保育施設運営につきましては、入所児童数は出生数の減少もあり横ばい若しくは減少傾向を示していましたが、経済状況等の変化により共働き等の世帯が増え、必要性が高まってきておりますので、入所措置等効率の良い施設運営を図ってまいります。
また、放課後児童につきましては、本年度より名称を学童保育所から新たに「学童クラブ」に改め、清水学童クラブは清水小学校を活用し、御影学童クラブは世代間交流センターを活用し、保護者が労働等により不在となる小学校1年生から3年生までの児童を保育するとともに、町、教育委員会、地域ボランティア並びに学校関係者等と連携した清水の子どもにこにこプラン「カワウソ教室・広場」を開設し、全児童を対象とした安全・安心な居場所を放課後等に設け、児童の健全育成に努めてまいります。
 さらに、幼保・小連携につきましては、こどもの発達の連続性に視点を置き、就学前児童の滑らかな接続を目指し、子どもたちの交流や教員・保育士の交流・連携を深め、各々の教育・保育の場面で活かしてまいります。
 また、子どもの発育や発達への支援につきましては、きずな園の専門性を高める研修活動を充実し、保育所、幼稚園、保健師、子育て支援センターのほか関係機関等と連携を密にし、「発達支援センター機能」の充実を図るとともに、早期発見・早期療育環境の整備と保護者の相談支援機能を強化し、児童への適切な療育ができるよう取り組んでまいります。
 地域福祉につきましては、身近な人々が見守り合い、励まし合い、支え合いながら、安心した暮らしができることが必要であります。このため、地域が求める活動や相談、要望に応えるため社会福祉協議会、民生委員協議会、ボランティア団体などと一体感を図ってまいります。
 さらに、除雪や給食などの在宅福祉サービスもより一層充実させるとともに、「地域安全ネットワーク」事業の中で高齢者の安否情報の確認や緊急時の対応も含め、暮らしをサポートできる体制づくりを構築し、高齢者が住み慣れた地域で知識や経験を生かしながら健康で生きがいを持って暮らせる生活環境づくりを進めてまいります。
 また、障がい者福祉につきましては、障害者自立支援法及び第2期清水町障がい福祉計画に基づき、各種サービスを実施しているところでありますが、昨年12月25日に障害者自立支援法を廃止して新たに総合的な制度をつくる方針が示されたところであります。これに伴ない、国において新制度が出来るまでの間、低所得者の障害福祉サービス等の利用料について利用者負担を無料にするとの方針が出されたところであります。今後も、関係機関と連携し障がい者への支援を行ってまいりますとともに、在宅やグループホーム、ケアホームで生活する障がい者が地域に溶け込み、ノーマライゼーションの理念に基づき自立した日常生活を安心して送ることができるよう、福祉事業者と連携して取り組んでまいります。
 なお、JR十勝清水駅における跨線橋対策として、引き続きエレベーターの設置をJR北海道に要請してまいります。
 さて、今日の労働者を取り巻く環境は、一昨年の米国における金融不安から、急激な円高などの影響により経済の低迷が続き、いまだ景気回復が見込まれない中、昨年に増して大変厳しい状況にあります。
 町としましては、本年度も引き続き離職者の「緊急雇用相談窓口」を開設し、実態把握に努めながらハローワークなどと連携し、国の補正予算により創設されました緊急雇用創出事業の積極的な活用を図り、昨年度から実施した町独自施策の「新卒者就労支援事業」を継続し、離職された方や新卒者で就職困難な方に対し、就労及び就職活動の支援を行い雇用の促進に努めてまいりますとともに、季節労働者対策につきましても、十勝北西部通年雇用促進協議会との連携を図りながら就労対策を進めてまいります。
 また、本年度、今日の経済状況から高校卒業者の雇用が厳しく就職先が見つからずにいる卒業者のため、清水高校枠として本町在住者を臨時職員として採用してまいります。

・健全な運営で共に支え合う社会保障として
 国民健康保険制度は、 高齢化の進展や医療技術の高度化等による医療費の増大と、その財政基盤が脆弱であることから、本年度から平成25年度までの4年間、財政基盤強化策を継続実施する国の方針が決定されたところであります。
こうした状況を踏まえ、本年度の保険給付費は、前年度の給付実績等を基に予算計上したところでありますが、安定運営のためには、引き続き保険税徴収率の向上と特定健康診査事業の推進に努めるとともに、一般会計からの繰入により収支の均衡を図り、被保険者の負担軽減を図ってまいります。
 なお、国民健康保険税につきましては、平成21年分所得の確定後において、税制改正による課税限度額の改正と併せて決定してまいりたいと考えております。
 次に、後期高齢者医療制度につきましては、平成24年度までに廃止するとされていますが、本年度からの保険料値上げが予定されており、制度の円滑な運営は非常に厳しい状況にあります。今後においても北海道後期高齢者医療広域連合と制度の総合的な推進に努めてまいります。
 介護保険事業につきましては、第4期(平成21年度~23年度)「清水町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づき実施しているところでありますが、本年度は御影地区に29床の「老人保健施設」の開設を予定しており、より地域に密着した介護施設サービスが展開できるものと考えております。
 また、要介護認定者が年々増加する中、高齢者が介護を必要としない自立した生活を送ることができるよう、地域包括支援センターを中心に、介護予防事業、予防マネジメント、総合相談・支援など、デイサービス事業を実施する福祉事業者をはじめとする関係機関と連携を図り、より一層のサービス提供に努めてまいります。
 介護保険第1号被保険者の保険料につきましては、昨年度、月額3,850円に改定させていただいたところですが、本年度も介護サービス利用の増大が見込まれる状況でありますが、介護給付準備基金や国の介護従事者処遇改善臨時特例交付金を充当した中で対応したいと考えております。

3 一人ひとりがいきいきと輝く創造性豊かなまちづくり

・豊かな心と個性を育む教育
 社会が大きく変動している今日、未来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ、心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることは、私たちの願いであり、使命でもあります。
 私たちは、厳しくも美しい、「しみずの四季」を通じて、家庭・学校・地域が相互に強く連携協力して、ふるさとを愛し新しい時代を切りひらく知恵と勇気のある子どもを育てる教育を推進することが重要と考えます。
本年度も「少人数学級」の教諭配置により、基礎・基本を重視した学習と豊かな心の育成に努めてまいりますとともに、特別支援を要する児童生徒への対応のため、「特別支援学級」の支援員を配置し、よりきめ細かな学習支援を行ってまいります。
 また、義務教育に係る保護者負担が年々増加する傾向にあり、引き続き児童生徒の修学旅行に要する経費のうち一部を公費負担とし、「父母負担の軽減」を図っていくとともに、子どもたちの学びの環境整備を引き続き推進してまいります。
 次に、学校給食では、食材の安全・安心はもとより、地元食材を多く活用した給食を提供し、栄養教諭の指導により、各学校での児童・生徒に正しい食事の摂り方や望ましい食習慣を身につけさせるなど、食育を推進してまいります。
 また、スクールバス等の運行につきましては、安全で確実な運行をするため、職員研修や委託先への指導を徹底し、日常の車両点検整備を怠ることなく安全運行に努めてまいります。
 幼稚園施設の運営につきましては、"みんなで築こう「愛のあふれる幼稚園」"の経営方針のもと、自ら学ぶ基礎や、豊かな人間性の土台づくりを行う生涯学習の基礎を培う場を目指して、園児・教師・保護者間の信頼と地域との連携を深め、公教育を担う責任をもって幼児教育を推進してまいります。
 清水高等学校につきましては、総合学科の先進校として特色ある教育活動に取り組み、生徒一人ひとりが自分の個性、志向を踏まえ、科目を選択し、将来に向けた実践的な教育活動を展開しておりますが、さらなる魅力のある学校づくりや、進路支援強化としての支援を継続し、生徒の確保、出口保障を確実なものにするため、高等学校、高等学校振興会との連携を図ってまいります。
 また、構造改革特区の認定により開校した広域通信制の北海道芸術高等学校は開校5年目を迎え、約650余名の生徒が在籍し着実な経営がなされており、本町で行われるスクーリングに全生徒が訪れ、特別免許状を授与した町民教師をはじめ多くの方の支援・協力を得て、それぞれが持つ知識や経験を生かした授業が行われるなど、町民との学びの共有と連帯感の醸成が図られています。
 今後におきましても、不登校や中途退学となっている子ども達が本町を訪れることにより、自分の興味、関心のあることを通して、学ぶ意欲を取り戻すひとつのきっかけとなれば子ども達に生きる力を与えることになり、そういったニーズに対応することは存在価値があり、幅広い教育の選択肢の一つとなるよう、本町としての協力を果たしてまいります。

・いきいきと学び合える社会の実現
 町民一人ひとりが生きがいをもてる生活を生み出すために、地域住民の持ち味や人間性を生かした生涯学習ボランティアの拡充と地域の持つ教育力を引き出し、それを活用した事業を展開するとともに、情操豊かな人間形成を図るため、読書普及事業や体験事業、芸術・文化鑑賞機会の提供をするとともに、心身ともに健康で充実した生活を営むため、スポーツ活動を日常的に取り入れるよう、スポーツ事業の実施や各種大会への参加支援に努めてまいります。
 なお、社会体育施設の使用料につきましては、今年度より65歳以上の方が、介護予防や健康づくりのために室内の運動施設を個人利用する場合、使用料を徴収しないこととしましたが、この他の文化施設等におきましても、諸条件を整備し、早期に見直しを行ってまいります。
 また、本年度は、新たなまちづくり計画を進めるうえで、「まちづくりは人づくり」を重点施策とした事業を展開していくため、地方自治法に規定されている町長直属の「専門委員制度」を活用し、専門的に調査研究をしていきたいと考えています。

・共に理解し、ふれあう活動
 男女が共に生きるには、仕事や家庭生活、地域活動、個人の自己啓発等、様々な活動を自らの希望に沿って展開できる社会の実現を目指して、仕事と生活の調和の推進に努めていくことが必要であります。
 平成20年10月に制定した「清水町いきいきふるさとづくり寄附条例」は、「アイスホッケー」や「第九によるまちづくり」など5つの事業を掲げ、町民の皆さんをはじめ本町出身者やゆかりのある方などが新たな形でのまちづくりへの参加と財源確保を行うものです。本年度は、町民を委員とする「使途選定委員会」を設置し、寄附金をどのような事業に活用するか決定してまいります。さらに、総務省の「自治体クラウド開発実証事業」によりインターネットからの寄附など、今後も制度の周知に努め、事業の実施にあたっては、町民と寄附者の連携に配慮して進めてまいります。
 また、都市等からの移住定住促進事業につきましては、本町にとって人口の増加に繋がり、新たな土地や住宅等の需要が見込まれ地域の活性化の重要な要因となることから、平成18年度から北海道移住促進協議会での移住情報の収集や発信に努め、「移住相談ワンストップ窓口」の設置や生活体験事業を実施してまいりました。
 本年度は、町への移住促進と民間による移住ビジネス創出のための「清水町移住促進協議会」で、民間事業者等の協力を得て土地・住宅・生活などの情報を集約し、公的情報とともに相談者に対して的確な情報の提供に努めてまいります。また、官民共同により移住施策を推進し、首都圏や関西圏で開催される「北海道暮らしフェア」等への参加により積極的に本町の魅力をPRするとともに、町ホームページの移住・定住情報の更なる充実を図り、「移住体験用住宅」の利用の促進を図り、本町への移住・定住に結びつけてまいりたいと考えております。
 なお、北海道補助事業の「森林整備加速化・林業再生事業」に移住体験用住宅の事業採択を要望しておりましたが、事業補助の一次採択を受け、本採択に向け事業計画書を提出中であります。本採択が決定次第、関係補助金や事業費の補正予算案を提案させていただき、町有地に新たに十勝産材のカラマツを使用した木造平家建ての「移住体験用住宅」を建設し、増加する移住体験者の要望に応えてまいりたいと考えております。

4 新たな時代に対応した産業のまちづくり

・魅力的で活力のある農業
 本町の農業生産額は、ここ数年、比較的良好な気象経過に恵まれたこともあり高収量を確保し、190億円程度の高い農業生産額で推移してまいりました。
 しかし、昨年は、5月から7月にかけて気温低下や強風、また長雨により一部の農作物におきまして被害が発生し、総じて異常気象で推移したことにより、畑作は秋まき小麦やてん菜、馬鈴薯などの主要作物全般において、収量の減少や品質低下による農業被害が発生し、さらに、肥料など生産資材の高騰により経営経費が増大し大変厳しい状況となりました。
 一方、酪農・畜産経営も、生乳売り渡し価格の改定や増産体制により若干明るい兆しが見えたものの、昨年の異常気象による自給飼料の品質低下や生産資材の高騰のほか、一時値下がりした輸入飼料が再び値上がりするなど総体的に価格の高止まりが続き、また、景気低迷による生乳・乳製品の消費も減退する中で、今後の生産環境は先行き不透明な状況となっており心配するところであります。
 また、昨年8月の衆議院総選挙により政権交代がなされたことから、国の農業政策が変わる中、本町の農業がどのような影響を受けるのか大変危惧しているところでありますが、本町農業は、今後も食料の安定供給と関連産業が地域経済や社会を支えていく重要な産業として発展していかなければならない大切な役割を担っており、より一層の安全で良質な農畜産物の生産の確保や、これら推進に向けた施策を実施してまいります。
 本年度の畑作振興といたしましては、農協の堆肥化施設生産の「堆肥ペレット」の利用促進を図るため、実証試験圃場の設置費用の支援や販売価格に対する支援を行なってまいりますとともに、新たな野菜振興対策として、昨年度から農協が取り組んでおります「にんにく」栽培の作付支援も実施してまいります。また、農地・水・環境保全向上対策事業の中間年として、今後の体制整備構想を策定するにあたり、活動組織の体制強化を図るため、活動区域の拡大を図ってまいります。
 さらに、農業者と商工業者や地元消費者と連携を図る食の安全・安心事業につきましても引き続き実施し、地産地消の推進や食をとおした交流を深めてまいります。
 酪農・畜産振興につきましては、輸入飼料の高騰対策として昨年度から取り組んでおります自給飼料増産対策事業を引き続き実施し、デントコーンの増反を奨励し、飼料の自給率を高め経営の安定化を図ってまいりますとともに、家畜伝染性病の発生防止対策につきましても、関係機関と連携を図りながら万全な防疫体制を取ってまいります。
 町営育成牧場につきましては、生産者の乳牛育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るなど、酪農経営の補完施設として大きな役割を担っており、今後も経営の大型化に伴いその重要性がますます増大される状況にあります。特に、一昨年、酪農家による農事組合法人「清流ファーム」が設立され、昨年9月から「哺育事業」が始まり、町として育成牧場北清水団地内に育成舎を建設し、今年2月から受け入れを開始したとことであります。なお、本年度は、夏期放牧利用が2,200頭程度・冬期舎飼利用が1,000頭程度の受け入れを予定しており、効率的な飼育管理の実施と防疫体制の強化を図り、預託者が安心して利用できるよう、より一層充実した管理運営を行なってまいります。

・恵まれた自然を生かした林業
 森林が持つ多様な機能は、CO2を吸収することにより地球温暖化を防止するだけでなく、国土の保全や水源のかん養など、人々が安全で安心して生活するために不可欠なものであり、このような森林を守り育てていくため、より適正な管理が求められております。 
 このため、町有林の管理につきましては、森林施業計画に沿って適正な管理と継続的な整備保全に努めてまいりますとともに、平成17年度から整備を行なっている「町民レクリェーションの森」につきましては、本年度におきましも、町民参加による「グリーンフェスティバル」を継続して開催し事業を進めるとともに、民有林の整備につきましても、補助事業の活用により、造林事業などの支援を継続して行なってまいります。

・消費者ニーズに即した商工業
 今日における経済環境は、一昨年の米国における金融不安の影響を受け、急激な円高により経済の低迷が続き、その後にデフレ状況に陥るなど、いまだ景気回復が見込まれない状況であります。
 本町におきましても、昨年度に実施された国の経済対策により、一時的に公共工事が増大するなど短期的な経済効果は図られましたが、依然として経済環境の悪化による個人消費の低迷や消費購買行動の町外流失が続き、商工業者にとって極めて厳しい状況が続いております。
 このような状況の中で、商工業者の皆さんが消費者ニーズを的確に把握し、消費者に信頼され、親しまれる店づくりに向けた取り組みが必要であり、顧客のニーズに合わせたきめ細かなサービスを展開することが大切と考えており、町といたしましては、商工会とより一層の連携を図り、本年度におきましても、「プレミアム事業」に対する支援と「空き店舗対策事業」や商店街の経営安定対策として資金貸付けに対する支援を継続実施し、地域内の消費購買のより一層の喚起を図ってまいります。

・自然を満喫する観光・レクリェーション
 観光振興につきましては、美しい山並を擁する恵まれた自然環境や農村景観、道東の玄関口である交通の要所として、毎年、町内外からの誘客を見込み各イベントなどを開催し、地域の活性化に努めてまいりましたが、その取り組みは必ずしも地域を全体的に活性化するまでには至っていないのが現状であります。平成23年度には、道東自動車道が全面開通する予定であり、本年度からは通行料も無料化となる状況の中で、より多くの人たちが十勝を訪れることが期待され、本町が道東の玄関口として多くの観光客に足を止めてもらうためにも、魅力ある町づくりが不可欠であります。
 そのためには、本年度、新たな施策として、現在ある観光資源を魅力あるものとして活用を図るため、専門分野からの「アドバイザー制度」を設置し、まちづくり観光振興策を図ってまいりますとともに、引き続き各イベントなどに対しての支援や、観光協会が新たに取り組む観光資源発掘事業、仮称「十勝清水八景」に対しまして支援を行なってまいります。さらに、十勝西北部6町で連携し取り組んでまいりましたシーニックバイウェイ「十勝平野・山麓ルート」が昨年5月に指定され、今後は活動を本格化させながら本町の観光振興を図ってまいります。
 また、本年2月に組織された新・ご当地グルメの「十勝清水サイコロステーキ鶏卵丼地域活性化協議会」に対し支援を行い、食を通した交流人口の拡大を図ってまいりますとともに、旭川・富良野から十勝、十勝から旭川・富良野へと繋げる「北海道ガーデン街道」が設立され、十勝千年の森が中心となる予定から、交流滞在人口増に繋げるため支援協力してまいります。

・新たなる雇用・就業を創出する産業・事業
 地域資源と人材を生かした活力ある町を創造していくため設置した「清水町経済活性化戦略会議」は、企業誘致や既存産業などの産業振興策として機能することを目指しており、現在まで中心市街地衰退化防止策事業や企業誘致、食を通じた連携事業、移住・定住促進事業に取り組んでまいりました。その中で、「食酢製造会社」を誘致するなど成果が徐々に現れてきたところでありますが、今日の経済状況は極めて困難な中にあり、このようなことから、本年度は新たな施策として専門的に調査・研究を進めるため、地方自治法に規定されている町長直属の「専門委員制度」を設置活用し、社会の経済動向等注視しながら企業誘致などを含め産業開発に向けた取り組みを推進してまいります。
 また、昨年度から本稼動しているバイオ燃料地域利用エタノール実証事業につきましては、従業員の地元雇用の一定確保による定住並びに実証事業の施設の視察等による経済的効果をもたらしましたが、今年度も引き続き、事業の推進に協力してまいります。また、エネルギーの地産地消を目的として設置された「十勝エネルギー特区推進協議会」とともに、エネルギー関係の検討を行ってまいります。

5 みんなで創る協働のまちづくり

・町民主役のまちづくり
 町政運営の基本原則を定めた「まちづくり基本条例」は、各種審議会の委員の公募や、開催内容の公表、重要な案件については町民意見提出制度により意見を求めるなど、情報共有と町民参加について、広報紙や町のホームページをはじめ、町内各所に設置した情報掲示板などにより積極的に進めているところであります。地域主権の方向性から、今後は地域自らの判断と責任において進めることが求められることから、その課題解決のためには町民と行政が役割を分担し、共に知恵を出し合いながら「協働のまちづくり」を推進するために、町民の皆さんがまちづくりに参加しやすい環境の整備と行政情報の提供、周知方法の工夫に努めてまいります。
 本年度は、このような観点から新たに「まちづくり予算町民提案事業」を推進すべく、町民税の0.5%相当の予算額について町民から直接事業の提案を募り、町政への参画意識の高揚と町民ニーズに対応した事業の準備を進めてまいります。

・効率的な行政運営と健全財政のまちづくり
 将来の着実なまちづくりには健全な財政運営が欠かせません。清水町「行財政健全化実行プラン」の第二次緊急3ヶ年計画も最終年度になりますが、社会が変革する中で困難な課題も多く出てきており、世界的な経済危機もあって、緊急経済対策などで新たに取り組まなければならない課題もありますが、基本的には将来に向けた方針の中で事業の取捨選択を進めてまいります。
 また、歳出の中で比重の大きい職員人件費につきましては、これまで独自に職階に応じた削減や退職者の不補充により職員総数の圧縮に努め、現在の財政状況を保つことができました。しかし、職員の年代構成に大きな空白を生ずることから、それを防ぐために昨年度から職員の新規採用をしてまいりましたが、本年度は定年退職の他、早期退職をすることから総合職3名、保健師1名の職員を新規採用することとし、今後も将来の組織構成のバランスを考慮しながら計画的な取組みを進めてまいります。
 次に、歳入である個人町民税は、生産年齢人口が年々減少していることから、給与所得などでは若干落ち込んでいるものの、基幹産業である農業や営業所得においては、前年度当初の予想より比較的堅調であったことから、全体として昨年度より1千万円の増収を見込んでいるところであります。
 また、法人町民税につきましては、昨今の地方経済の長期の低迷や急激な景気悪化の影響により昨年に引き続き収益の減少が見込まれることから、昨年度より1千620万円の減収を見込んだところであります。
 次に、固定資産税につきましては、昨年度が3年に一度の評価替年度であり、土地では主に宅地の地価に下落が見られたものの、既存家屋については落ち込みが比較的少なく、また、新築家屋や設備投資による償却資産につきましては、若干増収が見込まれることから、全体として昨年度より1千800万円の増収を見込んだところであります。
 なお、収納対策につきましては、「十勝市町村税滞納整理機構」と更に連携を図り、自主財源確保のため収納率向上に一層の努力をしてまいりますとともに、本年度もインターネット公売による滞納処分についても引き続き取り組んでまいります。

・広域と連携したまちづくり
 十勝町村会は、「十勝1市」の実現を概ね10年以内とする目標を掲げ、当面、各市町村が自主・自立の方針に沿って広域連携や行財政改革を推進するとした「十勝地区グランドデザイン」に基づき協議を進めてまいりましたが、昨年4月、十勝圏複合事務組合内に設けた「消防広域推進室」において、平成25年1月から業務開始予定の(仮称)十勝圏消防局の設立準備が始まりました。
 なお、昨年10月に行われた市町村長会議で、これまでの広域化に関する検討経過・検討報告書(案)の説明を受け、去る2月に市町村長の協議により主要な方向性が確認され、本年度以降も引き続き広域化の検討を続けることとなりました。
 また、昨年11月、「十勝広域連携推進検討会議」において、帯広市を中心市とした十勝圏における定住自立圏構想の調査・研究を進めるため、同会議の下に「定住自立圏構想部会」が設置され、本年9月を目途に想定事業の調査・分析を進め、取りまとめた内容を「十勝広域連携推進検討会議」へ報告し、政府における予算・支援内容等が示された時点で、十勝における定住自立圏構想の進め方等を検討・見直されることとなっております。
 今後も管内市町村との連携を密にし、十勝町村会及び十勝圏活性化推進期成会等における議論の場で意見を述べてまいりますとともに、町民の皆さんや議会のご意見を賜り、今後の方策を探ってまいりたいと考えております。

IV むすび

 以上、平成22年度の町政を運営するにあたり、方針並びにその概要を申し上げましたが、依然として本町を取り巻く自治体運営環境は厳しい状況にありますが、私はこのような厳しい中こそ知恵と汗をかき、常に生活者である町民の皆様の視線立ち、限られた財源のもとではありますが、新しい観点の中で町民生活・福祉向上のため全精力を注ぎ、町民の皆様が誇りと愛着のもてる清水町の実現をめざしてまいりますので、議員の皆様をはじめ、町民の皆様の深いご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、町政執行方針といたします。

 平成22年3月11日


 清水町長 高 薄    渡