北海道清水町議会
平成23年第2回定例会(3月11日_日程5)
○議長(加来良明) 日程第5、町政執行方針について、町長より平成23年度町政執行方針を述べていただきます。町長。
○町長(高薄 渡)
I はじめに 平成23年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度の町政執行方針と施策について、議員各位と町民の皆様に概要を申し上げ、ご理解とご協力を賜りたいと存じあげる次第であります。 さて、私も多くの町民の皆様にご支援をいただき、町政を担当させていただき10年を経たところであります。この間、社会は経済状況や政治情勢が大きく変革する中で、町民の皆様の幸せと本町の発展を目指し、町政の推進に誠心誠意努力してまいりました。本町のこの10年は、財政再建という危機的な財政状況から、町民、議会及び職員の皆様の深いご理解とご協力をいただき、「行財政健全化実行プラン」に基づき、徹底した改革を推進してまいり、その効果も少しづつではありますが、改善の方向に向かってきておりますが、引き続き収支のバランスを図りながらの本年度の町政運営を推進してまいります。 さて、町民の目線で策定した「まちづくり計画~第5期清水町総合計画」での「まちの将来像」は、「みんなで活き生き 豊かさ育むまち とかちしみず」とし、町民みんなが参加し支え合い、活力ある産業の振興や町民が健康で安心して暮らせる生活環境の充実を図り、心の豊かさとともに経済的にも豊かなまちに成長して行くことを将来像として定め、今後10年間、この「まちの将来像」を町民と共有し、新たに発生する問題や地域課題に柔軟に対応しながら、分野ごとに定めた「まちづくりの目標」を指針として、町民のしあわせと魅力ある地域をつくる各種施策を創造し実践してまいります。 新年度の主要な施策につきまして「まちづくり計画」の体系に基づき、各分野別にご説明申し上げます。 II 地方財政と予算概要 昨年「過疎地域自立促進特別措置法」が平成28年3月まで6年間延長され、新たに地域医療の確保や就業機会の創出など、過疎地域の維持・活性化にかかるソフト事業についても、過疎債の対象として総合的な過疎対策の充実強化が図られたため、今後も過疎債を活用した計画的かつ効果的な事業を推進してまいります。 次に、平成23年度の地方財政計画の全体規模につきましては、前年度比0.5パーセント増の82兆5,200億円となり、公債費等を除く地方一般歳出の規模は、前年度比0.8パーセント増の66兆8,400億円で、地方交付税の配分総額も地域活性化・雇用等対策費の創設による歳出特別枠の上乗せや交付税特別会計の繰越金などにより、前年度比2.8パーセント増の17兆3,700億円となったところであります。 本年度の予算は、一般会計と6つの特別会計と公営企業会計を合わせた予算総額は、前年度比2.3パーセント増の99億5,790万円となりました。このうち、一般会計当初予算額は、前年度比2.8パーセント増の67億4,000万円であります。 主要財源であります地方交付税のうち普通交付税につきましては、公債費算入額は減少しておりますが、歳出特別枠の上乗せ等により、前年度比3.3パーセント増の31億円を計上したところであります。 III 主要施策の推進 1 自然と共生する安全で快適なまちづくり ・自然環境の保全と環境の共生 森林が持つ多様な機能は、地球温暖化を防止するだけでなく、国土保全や水源かん養など、人々が安全で安心して生活するために不可欠な機能を有しており、より適正な管理が求められております。 このため、町有林の管理につきましては、本町の「森林施業計画」に沿って適正な管理のもと、継続的な整備保全に努めるとともに、町民に対し森林の持つ機能の大切さや森林にふれあう機会として、「グリーンフェスティバル」を継続して開催するとともに、民有林整備につきましても、補助事業の積極的活用により、造林事業などの支援を行ってまいります。 また、「町民レクリエーションの森」につきましては、町民参加による植樹活動を行ってきたところでありますが、植樹可能箇所の整備が終了したことから、今後は、植樹後の下草刈りや補植による適正管理を行ってまいります。 ごみ処理業務につきましては、分別排出方法の徹底と再資源化の推進によりごみの減量化を進めておりますが、町民・事業者の皆さんへ更に分別排出方法やリサイクルに関する情報提供を行い減量化に努めてまいりますとともに、清掃センターの運営につきましては、一般廃棄物処理計画を策定した中で、今後の清掃センターの方向性も含めて検討してまいります。 ・すべての世代が交流し住みやすいまちづくり 町営住宅の建替事業につきましては「清水町営住宅長寿命化計画」に基づき進めていくことになりますが、本年度は平成24年度の建設計画の「(仮称)まちなか団地」外構実施設計及び民活制度の調査を行うとともに、転入や転居のための「空き家、空き地などの情報」を提供し、民間による借家計画にも協力してまいります。 また、「地域公共交通活性化協議会」において社会資本整備総合交付金により購入した車両を活用し、町民巡回バスの運行や清水・御影間のフレックスバスの試験運行に取り組んでまいりましたが、本年度は「地域公共交通総合連携計画」に基づき交通基本法による制度を活用し、町民の生活を支える「コミュニティバス」の運行など、地域全体で維持・継続する交通システムの構築に取り組んでまいります。 ・緑豊かな森と水に親しむまちづくり 地域の大切な資源であります緑豊かな自然環境を守り育てるために、河川、公園、緑地の維持管理に努めてまいりますとともに、花と緑に包まれた環境づくり事業として、駅前花壇や商店街の花壇植栽などの住民活動に対して支援するとともに、衛生組合が実施している春秋の町内一斉清掃、清水町クリーン・ディ、花いっぱい運動や花に係る団体とも連携し、美しいまちづくりに取り組んでまいります。 ・町民相互の支え合いと暮らしの安全安心 町民一人ひとりが安全で安心して暮らせるまちづくりは最も基本とするところであります。 子どもたちが犯罪の被害に遭わないように学校・PTA・地域による「見守り隊」や、生活安全推進委員会による犯罪や交通事故から守る監視活動の実施が犯罪の抑止効果に繋がっているところであり、犯罪に繋がる恐れのある情報の一層の共有により事件や事故の発生を未然に防ぐよう努めてまいります。 また、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、複雑化しており、商品や金融サービス等の消費生活をめぐるトラブルは、年々手口が悪質巧妙化し、多重債務につきましても大きな社会問題となっておりますが、本町では既に消費生活相談の充実や出前講座等の実施、警察署及び関係団体等との積極的な連携、情報の共有などに努めており、本年度も相談員の研修や、悪質商法対策の啓発を行い、消費者行政の充実を図ってまいります。 さらに、近年地震等により災害も各地で起きていることから、災害防止対策や救急体制の充実に努めてまいります。 ・快適で良好な生活環境 安全で安定した飲用水供給のため、水道施設の適正な運転管理に努め、老朽管の布設替工事や浄水場の機器更新を行うとともに、下水道施設の適切な維持・管理に努めてまいります。 葬斎場につきましては、本年度は屋根の葺き替え工事と外壁塗装工事を行い、施設の長寿命化を図ってまいります。 国費、道費による道路整備につきましては、車両及び歩行者の安全を図るため、今後も、車道及び歩道の整備を積極的に要請してまいりますとともに、本年度も国道274号の視距改良として車道拡幅改良工事が継続して実施されます。 また、国道38号はホクレン製糖工場、西十勝農業センター及びバイオエタノール工場に出入りする大型車両が増加傾向にあり、関連する道路網の整備について要請してまいります。 道費事業につきましても、道道忠別清水線の人舞地区防雪柵設置工事が継続実施され、道道清水大樹線では引き続き御影平和地区の道路整備が予定され、北清水清水線の道路改良工事は本年度完了の予定となっております。 なお、町道の整備につきましては、御影大平町内の道路改良及び舗装工事を実施するとともに、全道路の維持管理に努め、古潭橋につきましては、本年度から本体工事(橋梁下部)に着手いたします。 2 誰もが健康で思いやりのあふれるまちづくり ・町民の健康と健康づくり意識 緑豊かな清水町の環境の中で町民に健康の輪を広げ、誰もが元気で暮らすための健康づくりが重要であります。 平成20年度から生活習慣病の予防を重点とする「特定健診」及び特定保健指導を実施しておりますが、健診率が低い状況にあることから、本年度は町内の医療機関との連携を強化し健診など受けやすい体制を構築して、受診率の向上に努めてまいります。 特に北海道では冬場の運動不足や高喫煙率、高脂質摂取の食生活がガンや生活習慣病の大きな要因とも言われており、食生活改善や健康運動、禁煙運動の普及推進にも取り組んでまいります。 また、町が実施する「がん検診」につきましては、本年度から新たに「肺がんCT検査」や「前立腺がん検査」、特定年齢者対象の「大腸がん」の無料検査なども取り入れ、より充実した内容でがん検診事業を実施いたします。さらに、特定年齢者を対象とした「子宮頸がん・乳がん検診」事業や「妊婦健診」事業、「特定不妊治療費」助成事業につきましても、それぞれ内容を充実した中で実施してまいります。 また、「子宮頸がんワクチン」については、対象者を新中学1年生から高校1年生まで拡大し、「ヒブワクチン」や「小児用肺炎球菌ワクチン」につきましても生後2ヶ月から5歳未満までを対象に全額公費負担の中で継続実施し、子どもの安全を確保してまいります。 次に、救急医療についてでありますが、清水赤十字病院が北海道の告示を受け救急病院となっており、経営的には採算性が厳しい部門であることから、昨年度から引き続き救急医療体制を維持するため運営支援をしてまいります。 また、本町では人工透析患者数が比較的多い状況にあり、多くの方々が清水赤十字病院で治療を受けており、近年の患者数の増加により待機者が発生するなど、対応できない状況となっております。 このため、清水赤十字病院では建物や設備の増設を計画しており、患者の方々が安心して地元で治療が受けられるよう施設整備の支援をしてまいります。なお、新得町からの患者もあることから連携して支援するものです。 国民健康保険制度は、高齢化の進展や医療技術の高度化等による医療費の増大などでその財政基盤が脆弱な状況であります。 本年度の保険給付費は、前年度の給付実績などを基に予算計上したところでありますが、安定運営のために引き続き保険税徴収率の向上と特定健康診査事業の推進に努めるとともに、一般会計からの繰入により収支の均衡を図り、本年度も被保険者の負担軽減を図ってまいります。 次に、後期高齢者医療制度につきましては、平成25年度からの新しい高齢者医療制度に向け検討が進められているところでありますが、現行制度の円滑な運営は非常に厳しい状況にあり、今後においても北海道後期高齢者医療広域連合と十分な連携を図りながら、制度の総合的な推進に努めてまいります。 ・高齢者の暮らしと社会参画 本町の高齢化率は平成23年1月末日現在30.13%となっており、平成32年には40%に達すると予測されております。また、65歳以上の高齢者世帯が1,397世帯(うち単身世帯は750世帯)で、今後も増加すると見られます。 このような中、本町では緊急医療情報キットの配布や要援護者名簿の作成などを行い、高齢者世帯の実態把握に努めてきたところであり、今後は高齢者の相互交流や高齢者と異世代の交流の場を設けるなど、高齢者の孤立対策や社会参画などの施策に努めてまいります。 また、シルバー人材センター、老人クラブ、ボランティア団体などと連携し、高齢者がより一層の社会参画ができるよう努めてまいります。 次に、介護保険事業につきましては、「第4期清水町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づき実施しているところでありますが、本年2月に御影地区に「老人保健施設・みかげ」が開設され、さらに、平成24年度に向けて、松沢地区に小学校跡地を利用した「小規模多機能型介護施設」の開設も計画されており、より地域に密着した介護サービスが展開できるものと考えております。 要介護認定者が年々増加する中、高齢者が介護を必要としない自立した生活を送ることができるよう、「地域包括支援センター」を中心に、介護予防事業、予防マネジメント、総合相談・支援など関係機関と連携を図り、より一層のサービス提供に努めてまいりますとともに、不足する介護従事者を確保するため、介護ヘルパー養成講座の開催を支援し、ボランティアの人材養成を図ってまいります。 ・障がい者の社会参加 障がい者福祉につきましては、障害者自立支援法及び「清水町障がい福祉計画」に基づき、各種サービスを実施しているところですが、平成25年度から現障害者自立支援法を大幅に改正し、新たに総合的な制度((仮称)障害者総合福祉法)を創設するとの方針が示されたところであり、国の動向を見極めつつ、本年2月に立ち上げた「清水町自立支援協議会」と連携した中で障がい者の支援を行ってまいります。 また、在宅やグループホーム、ケアホームで生活する障がい者が地域に溶け込み、ノーマライゼーションの理念に基づき自立した日常生活を安心して送ることができるよう、関係団体や福祉事業者と連携して取り組んでまいります。 ・すべての世代が交流し支え合うまちづくり 身近な人々が見守り合い、励まし合い、支え合いながら、みんなが元気ある暮らしができるよう、共に取り組むことが必要であります。 このため、地域が求める活動や相談、要望に応えるため社会福祉協議会、民生委員協議会、ボランティア団体などとの連携を図るとともに、ボランティア会員の増加にも努めてまいります。 さらに、除雪や給食などの「在宅福祉サービス」もより一層充実させるとともに、「地域安全ネットワーク」事業の中で、高齢者の緊急時の対応や安否確認、引きこもり対策や地域の人たちが世代を超えて集う「サロン」事業の拡大など、暮らしをサポートできる体制づくりを推進し、すべての世代が健康で生きがいを持って暮らせる生活環境づくりを進めてまいります。 ・まちぐるみで子育て世帯を支え応援するまちづくり 未来を担う子どもたちが、のびのびと心豊かに成長することは、町民全ての願いであり、少子化が進行する中で、結婚、出産、子育てに対する不安や障壁を取り除き、安心して子どもを生み育てることができ、子どもたちが等しく健やかに成長できる環境を整備しなければなりません。 そのためには、「清水町次世代育成支援行動計画」を推進する中で、町民・地域・関係機関の皆さんのご協力をいただきながら、子育て世帯を応援する取り組みを充実させてまいります。 保育所運営につきましては、入所児童数は出生数の減少もあり横ばい状況ではありますが、経済状況等の変化により共働き等の世帯が増えていることから、入所を希望される児童の保護者の状況を十分に把握し、適切な対応を図るとともに、入所児童に対しては引き続き健全な心身の発達を図り、支援が必要な児童につきましては、職員を増員することにより対応をしてまいります。 なお、春季休所期間を設けておりましたが、本年度から新たに「春休み特別保育」として、この期間に保育が必要な児童の保育を実施してまいります。 放課後児童の育成につきましては、「清水学童クラブ」は清水小学校内、「御影学童クラブ」は世代間交流センター内を利用し、小学校3年生までの児童の健全な育成を図り、また、「清水の子どもにこにこプラン」による、全児童を対象とした安全・安心な居場所を設け、児童の健全育成に努めてまいりますとともに、本年度も入所料は無料といたします。 子どもの発育や発達への支援につきましては、本年度「発達支援センター」の職員体制の充実を図り、関係機関との連携を深め早期発見・早期療育環境の整備、保護者の相談支援機能の強化、対象世帯への家庭訪問など、適切な療育ができるよう取り組んでまいります。 子育て支援センター事業につきましては、昨年度から開始した「子育て相談メール」による子育て相談、「ベビーマッサージ」による親子の触れ合い、「おもちゃ交換会」を継続し、新たに「ブックスタート事業」を実施し、絵本を通した親子の触れ合いの場を提供してまいります。 また、今後の幼稚園・保育所、子育てのあり方につきましては、現在、国の「子ども・子育て新システム検討会議」により検討がなされているところでありますので、この結果により町内児童福祉施設等の保護者の皆様や関係機関のご意見を伺い、本町における最善の子育て支援及び保育環境の再整備について検討してまいります。 ・安心して暮らせるまちづくり 今日の労働者を取り巻く環境は、急激な円高などの影響により経済の低迷が続き、いまだ景気回復が見込まれない中、昨年に増して大変厳しい状況にあります。 このため本年度も引き続き離職者の緊急雇用相談窓口を開設し、実態把握に努めながらハローワークなどと連携し、国の緊急雇用創出事業の積極的な活用や町独自施策の「新卒者就労支援事業」を引き続き実施し、離職された方や新卒者で就職困難な方に対し就労及び就職活動の支援を行い、町内の労働環境の改善や雇用の促進に努めてまいりますとともに、季節労働者対策につきましても、十勝北西部通年雇用促進協議会とも連携を図りながら就労対策を進めてまいります。 3 新しい時代を担う人材を育むまちづくり ・家庭・学校・地域がともに推進する教育のまちづくり 未来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ、心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることは私たちの願いであり、使命でもあります。 私たちは、厳しくも美しい「しみずの四季」を通じて、家庭・学校・地域が相互に強く連携協力して、ふるさとを愛し新しい時代を切りひらく知恵と勇気など、生きる力を持った子どもに育てる教育を推進することが重要です。 学校教育では、本年度におきましても「少人数学級」による教諭の配置により、基礎・基本を重視した学習と豊かな心の育成に努めるとともに、特別支援を要する児童生徒への対応のため、特別支援学級支援員を配置し、よりきめ細かな学習支援を行ってまいります。 また、父母負担の軽減として、引き続き児童生徒の修学旅行に要する経費の一部を公費負担するとともに、新学習指導要領に対応した教材備品整備や中学校コンピュータの更新など、学びの環境の整備を図ってまいります。 次に、「幼保・小連携教育」につきましては、幼稚園・保育所の教育と小学校教育の滑らかな接続を求め、「遊び」から「学び」へのスムーズな移行など、就学前教育の相互理解と連携を図るよう引き続き実施してまいります。 学校給食では、食材の安全・安心はもとより、地元産食材を多く活用した給食を提供し、栄養教諭の指導により各学校での児童・生徒に正しい食事のとり方や望ましい食習慣を身につけさせるなど、食育を推進してまいりますとともに、スクールバス等の運行につきましても、安全で確実な運行をするため、日常の車両点検整備を怠ることなく安全運行に努めてまいります。 幼児教育につきましては、本年度も経営方針を「愛のあふれる幼稚園」とし、幼児の特性と発達段階に合った教育を行うために、幼児一人ひとりの個性の伸長と豊かな心の育成を図るとともに、保護者や地域に信頼される幼稚園となるよう実践してまいります。 次に、清水高等学校につきましては、総合学科の先進校として特色ある教育活動の取り組みについて、生徒一人ひとりが自分の個性、志向を踏まえ、科目を選択し、将来に向けた実践的な教育活動を展開しており、魅力ある学校づくり、さらには進路支援強化としての助成を継続し、生徒の確保や出口保障を確実なものにするため、清水高等学校及び清水高等学校振興会との連携を図ってまいります。 ・文化のまちづくり 文化とは、人々に楽しさや感動など、生きる喜びをもたらし人生を豊かにして創造性を育むものであり、心にゆとりと潤いのある生活を送るために芸術や文化は重要な役割を担っています。 優れた芸術作品に触れたときの感動や自ら表現した時の喜びは人生の生きる力を生み出します。 このため、情操豊かな人間形成を図るため、芸術鑑賞機会の提供等に努めてまいります。 ・スポーツ・レクリエーションに親しむまちづくり 心身ともに健康で充実した明るい生活を送るため、スポーツ活動を日常的に取り入れることは大変重要であり、このため町民が気軽に参加できる各スポーツ事業の実施や各種大会への参加支援に努めます。 ・学びの成果を活かすまちづくり 町民一人ひとりが生涯にわたって生きがいを持ち、心豊かに充実した生活を送ることができるよう各種学習機会を提供し、学んだ成果が生かされるよう努めるとともに、図書資料の充実と本に親しむ環境の整備を図り、読書普及事業の提供に努めてまいります。 構造改革特区の認定により開校した広域通信制の北海道芸術高等学校は開校6年目を迎え、約700名の生徒が本町で行われるスクーリングに訪れ、特別免許状を授与した町民をはじめ多くの方々の支援・協力を得て、それぞれが持つ知識や経験を生かした授業が行われるなど、生徒との交流はお互いの人間性を豊かにし、町民との学びの共有と連帯感の醸成が図られています。 今後も、不登校や中途退学となっている子ども達が、自分の興味、関心のあることを通して、学ぶ意欲を取り戻すひとつのきっかけとなれば、子ども達に生きる力を与えることになり、そういったニーズに対応することは存在価値があり、幅広い教育の選択肢の一つとなるよう、教育内容について監督、指導の役割を果たしてまいります。 また、昨年度委嘱した人材育成専門委員からの報告を受け、本町に内在する潜在的人材を掘り起こし、育て、活かして、清水らしいまち興しを進めるため、「まちづくりは人づくり、人づくりはまちづくり」をテーマに「十勝清水 人・四季塾」を開設し、魅力あるリーダーづくりの人材育成に取り組んでまいります。 4 町の資源を活かした活力あるまちづくり ・クリーンな農業と資源循環型のまちづくり 本町の農業生産額は、平成14年度に初めて180億円を突破して以来、平成20年度まで比較的良好な気象状況で推移したことから高収量が確保され、7年連続して高い農業生産額を確保いたしましたが、平成21年度は、特に畑作経営におきまして低温や記録的な長雨に見舞われるなど、異常気象で推移したことにより主要作物全般にわたり収量の減少や品質が低下し、また、昨年度においても記録的な猛暑により一昨年以上の農業被害が発生し、農業共済制度による補償はありましたが、2年連続して大変厳しい状況となりました。 一方、酪農・畜産経営におきましても、生乳売り渡し価格の値下げや引き続く生産資材の高騰のほか、昨年4月には、日本の酪農・畜産業界を震撼させた宮崎県での「口蹄疫」の発生があるなど、酪農全般にわたり大変厳しい状況となっております。 さらに、昨年10月に突如として発表された「TPP」への参加検討表明は、本町はもとより、日本農業の根幹を揺るがす大きな問題であり、農業を基幹産業とする地方自治体の命運をかけて、現状の農業を取り巻く制度下では、断固反対していかなければならないものと考えております。 このような先行き不透明な状況ではありますが、本町の農業は、今後とも食料の安定供給と関連産業が地域経済や社会を支えていく重要な産業として発展していかなければならない大切な役割を担っており、より一層の安全で良質な農畜産物の生産確保に向けた施策を実施してまいります。 なお、今年度から新たに導入される「戸別所得補償制度」の取り組みにつきましては、関係機関とより一層の連携を図りながら推進を図ってまいります。 また、「クリーンな農業と資源循環型のまちづくり」の重点施策といたしましては、健康な土づくりの推進を図るため、平成20年度に農協が整備した堆肥化施設から生産される「堆肥ペレット」の利用促進に向け、農協が実施する実証試験圃場の設置費用に対する支援や販売価格に対する支援を行なってまいりますとともに、化学肥料の過剰施肥による環境負荷や農家経営の負担軽減を図るため、定期的な土壌診断の支援対策を取り組んでまいります。 さらに 農業者と商工業者や地元消費者と連携し取り組んでおります「食の安全・安心推進事業」につきましては、継続して事業展開を行い、地産地消の推進や食をとおした交流をより一層深めてまいります。 ・経営基盤の確立と後継者が働きやすいまちづくり 近年「てん菜」の作付面積が急激に減少し、本町の農業関連企業に与える影響が懸念されるところであり、また、持続的な畑作農業の推進に向け合理的な輪作体系を維持するためには欠かすことのできない作物であることから、農協と連携し、今年度から2ヵ年の期間で、てん菜増産に向けた対策を実施してまいります。 さらに、新たな野菜振興対策として、農協が取り組んでおります「にんにく」栽培に対する独自ブランドの確立に向けた支援を引き続き実施してまいります。 酪農・畜産関係の施策につきましては、輸入飼料の高騰対策として平成21年度から取り組んでおります自給飼料増産対策事業として、デントコーンによる飼料の自給率を高め経営の安定化を推進するとともに、家畜伝染性病の発生防止対策につきましても、今後とも関係機関と連携を図りながら万全な防疫体制を取り、特に「口蹄疫」や現在感染が拡大している「鳥インフルエンザ」対策につきましても、酪農・畜産農家や養鶏事業者に対し、感染防止のための啓発を行うなど、指導徹底を行ってまいります。 また、町営育成牧場につきましては、乳牛の育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るなど、酪農経営の補完施設として大きな役割を担っており、今後も経営の大型化に伴いその重要性がますます増大される状況にあります。本年度は、夏期放牧利用が2,200頭程度・冬期舎飼利用が1,000頭程度の受け入れを予定しており、効率的な飼育管理の実施と防疫体制の強化を図り、預託者が安心して利用できるよう、より一層充実した管理運営を行ってまいります。 さらに、農業基盤整備につきましては、農協と連携し補助事業の活用を図り緊急的な整備事業を取り組むとともに、全町的な対策として事業の計画策定に着手してまいります。 ・まちの資源を活かした産業の振興と連携の促進 本町の農業生産額は、道内でも上位に位置し、豆類などの主要作物や生乳生産量は10万トンを超え全国的にもトップクラスにあり、また、近年においては、アスパラガスや白菜、ブロッコリーなどの野菜生産も増加しており、さらには、肉牛や鶏卵の生産量が全道でも上位に位置するなど、地元農畜産物を活かした「食」による地域活性化を図る取り組みが必要であります。 町といたしましては、地元で生産される農作物や十勝若牛などを町の特産品としてイメージアップを図るため、まちづくり予算町民提案事業で採択した「清水町 新・キャラクターづくり」による事業展開を図り、消費拡大に向けた取り組みを行うとともに、新たな産業開発などの事業展開を行っている産業クラスター研究会への支援も行ってまいります。 官民一体となった地域資源と人材を活かした活力ある町を創造していくため、「清水町経済活性化戦略会議」は企業誘致や既存産業などの産業振興策として機能することを目指しており、現在まで中心市街地衰退化防止策事業や、食を通じた連携事業に取り組み、空き店舗を活用した事業の開設など、成果が徐々に現れてきたところであります。 また、バイオ燃料地域利用エタノール実証事業につきましては、従業員の雇用の確保による定住並びに実証事業の施設の視察等による経済的効果をもたらしており、本年度も企業立地促進条例に基づいた支援を行ない事業推進に協力していくとともに、とかち田園地域産業活性化協議会を通じて、優遇措置等のPRを行い、企業の誘致や起業について活動を強化していきます。 また、バイオエタノールの地域内利用による環境に配慮した資源循環型の農業の推進により、地域のブランドイメージの確立や食に関連する企業の集積促進、農畜産物等の輸出促進などについて、帯広市や北海道経済連合会などが取り組んでいる「国際戦略総合特区提案事業」との連携に努めてまいります。 ・商業の活性化と異世代が集う多機能型まちづくり 今日における経済環境は、急激な円高により経済の低迷が続き、その後にデフレ状況に陥るなど、いまだ景気回復の実感がない状況であります。 本町におきましても、依然として経済環境の悪化による個人消費の低迷や消費購買行動の町外流失が続き、商工業者にとって極めて厳しい状況が続いております。 このような状況の中で、商工業者の皆さんが、消費者ニーズを的確に把握し、消費者に信頼され、親しまれる中心商店街づくりに向けた取り組みで「おはよう商店街」や「産直と憩いのサロン3丁目広場」などの試みを実施されるなど、今後とも、顧客のニーズに合わせたきめ細かなサービスを展開できる取り組みを支援するため商工会とより一層の連携を図り、本年度におきましても「うきうき商品券事業」に対する支援や、新たな施策として新規開店者・空き店舗活用開店者に対する支援を実施し、商店街の活性化を目指してまいります。 ・地域の資源を活かした観光産業の創出 本町の観光振興につきましては、雄大な自然環境や農村景観を有し、道東の玄関口である交通の要所として、毎年、町外からの誘客を見込み各イベントなどを開催し地域の活性化に努めており、また、新たに町民有志の方々や飲食店事業者が「食」による地域活性化を目指して「十勝清水牛玉ステーキ丼」を開発し、一部高速道路が無料化となる状況の中で、食や景観を求めて多くの町外者が本町を訪れたところです。今秋には、全面開通する道東道により道央圏が一層間近に感じられることから、本町が道東の玄関口としての役割を担い、多くの観光客を効率的に滞在させて観光振興を図ることが不可欠であります。 そのため、魅力ある景観を観光資源として強く打ち出し、おすすめの景観スポットとして「十勝清水4景+1」を選定し、観光体験や食などの情報発信を図り、交流人口の増加に努めてまいりますとともに、本年度も観光協会が取り組む各イベントなどを支援しながら「シーニックバイウェイ十勝平野・山麓ルート」及び「北海道ガーデン街道」に関係する市町村との連携や広域的な活動を推進し、本町の観光振興を図ってまいります。 5 みんなで創る協働のまちづくり ・町民誰もが参加する協働のまちづくり 「広報しみず」は協働のまちづくりのため町政情報を広く届ける有効な手段です。より町民にわかりやすい記載や入手しやすい情報の配置など、町民の視点に立った情報の提供に努め、行事等のお知らせ広報から、町民がまちづくりを考える材料となる広報を目指して充実を図ってまいります。 町民税の0.5%相当の予算額について町民から事業の提案を募集した「まちづくり予算町民提案事業」については、本年度「清水町新キャラクター製作委員会」など2事業を実施することとし、町政への参画意識の高揚と町民ニーズに対応した事業の推進を目指してまいります。 また、若年層世帯の定住を促進する「新婚世帯定住促進事業」を引き続き実施し、家賃の一部を補助してまいります。 さらに、平成20年10月に制定した「いきいきふるさとづくり寄附条例」は、町民の皆さんをはじめ、町出身者やゆかりのある方などが新たな形でのまちづくりへの参加と財源確保を行うものであり、昨年度は「第九演奏会」の開催経費の一部に寄附金を活用いたしました。本年度は、アイスアリーナのトレーニング機器の充実などの経費の一部に寄附金を活用させていただくこととしております。 また、町内の商店等の協賛を得て開始した「清水町ふるさと応援会員事業」につきましては、寄附者に対する特典を提供することで町民と連携したまちづくりの実践を進めるとともに、今後も制度の周知に努めます。 都市等からの移住定住促進事業につきましては、本町にとって移住者の新たな視点を地域活動に取り込んでいくことは、地域活性化に広がりと豊かさを与えてくれるものであり、これまで首都圏でのPRや生活体験事業などに積極的に取り組み、「清水町移住促進協議会」を設立し、民間事業者と一体となった移住施策の推進を取り組んでまいりました。なお、要望が増加している移住生活体験に対応するため、昨年、国の補助を受けて建築した移住体験住宅を活用し、本町の気候や風土などを体験し円滑な移住への対応の充実に努めてまいります。 さらに、本年度、新たに総務省の「地域おこし協力隊事業」により「移住交流推進員」を配置し、都市生活者の視点を活かした本町の魅力の発信や、移住希望者向けの体験事業の創設など移住促進事業の充実に取り組み、移住・定住に結び付けてまいりたいと考えております。 ・効率的でわかりやすい行政運営 「まちづくり計画」には、行政が行なう事業以外に地域や事業所、町民が行なう活動についても展開する施策として記載しており、町民と職員が策定委員会において連日議論していく中で、各分野の基本目標を達成するためには、誰がどんなことをすべきかの議論から生まれたものです。 その時々の社会情勢に対応しながら、住民が地域のことを自ら考え、その総意に基づいて最善策を判断し実践していく住民自治の充実が必要であり、行政においても、自立性と自主性をもって町政を推し進めていくことが重要になってきており、さらに、地方分権、住民との協働のまちづくりも進化の過程にあり、さまざまな実験をしながら模索して地域に新しい地平を切り拓くことが必要です。 そのような観点から、本年度は地域や町民等の活動及び行政の事業を推進するため「(仮称)まちづくり計画推進委員会」を設置し、町民と行政が積極的にそれぞれの役割を果たし、まちづくりの新たな動きが活発化する具体的実践を検討してまいります。 町政運営の基本原則を定めた「まちづくり基本条例」は、各種審議会委員の公募や、開催内容の公表、重要な案件については町民意見提出制度により意見を求めるなど、情報共有と町民参加について、広報紙や町のホームページをはじめ、町内各所に設置した情報掲示板などにより積極的に進めているところです。本年度も地域主権の方向性から、地域自らの判断と責任において進めることが求められており、その課題解決のため町民と行政が共に知恵を出し合いながら「協働のまちづくり」を推進するための環境整備と行政情報の提供・周知方法について工夫してまいります。 また、本年度から新たに、委員の公募を補完するため、無作為に抽出した町民の中から了解の得られた方に審議会等の委員候補者として登録する制度を実施してまいります。 次に、「戸籍電算化システム」につきましては、町民サービスと行政の効率化の更なる向上を図るために、戸籍データの維持管理強化や戸籍謄本等の交付の迅速化を進めるものとして、本年度から導入に着手します。 また、行政運営の基礎となる自主財源の確保につきましては、個人町民税では、前年度当初予算と比較し680万円の微増となっておりますが、決算見込額に対して約3千万円の減少となっており、これは、農業生産所得や農業関連営業所得の減少が大きな要因となっているところであります。 また、法人町民税につきましては、長引く地方経済の低迷や景気の回復が遅れているところですが、法人税割額については、各法人の経営努力などにより前年度決算見込額と同程度の収入を見込んだところであります。 固定資産税につきましては、前年度当初予算額と比較し3千500万円の増となっておりますが、これは、大規模工場の新設による家屋及び償却資産の伸びによるもので、その他新築住宅件数などについては例年並みとなっていることから、前年度決算見込額とほぼ同額の収入を見込んでおります。 また、町たばこ税につきましては、昨年10月からの増税により1千470万円の増収を見込んだところであります。 なお、収納対策につきましては、早期の自主納税の推進に努めるとともに、「十勝市町村税滞納整理機構」と連携を図りながら、適切な滞納整理に取組み、徴収率の一層の向上に努めてまいります。 ・広域行政の推進 十勝管内の消防広域化につきましては、平成21年度から十勝圏複合事務組合内に消防広域推進室が設置され、行財政、職員、警防、予防、通信の5分野における「消防広域化に向けた検討課題の調整案(骨格案)」が作成され、本年2月、市町村長間でこの調整案が確認されたところであります。 今後は、この調整案に基づき平成24年4月に設置される「広域消防準備室」において「広域消防運営計画(案)」を策定するとともに、平成25年1月からオール十勝での消防広域化の運用開始を始める予定となっており、本町といたしましても、この市町村長会議での結果を踏まえ、管内一丸となって消防広域化の推進に努めてまいる所存でございます。 次に、中心市と周辺町村が1対1で協定を締結し、医療や観光、福祉等の事業を協働で取り組む定住自立圏構想の十勝圏での取組みにつきましては、帯広市と18の周辺町村との取り組みが想定されており、昨年12月、帯広市は中心市としての意思表示ともいえる中心市宣言を行いました。 今後のスケジュールといたしましては、2月の市町村長会議における、定住自立圏のオール十勝での取り組みという方針に基づき、管内19全市町村が3月議会定例会に「定住自立圏の連携協定を議決事件とする。」という条例案を提案することとなったところであります。 本町の連携可能事業につきましては、医療や福祉、観光、公共交通等分野で36事業であり、今後、帯広市を中心とした事務レベルでの作業部会において、連携可能事業を更に詳細に検討しながら選定し、本年6月議会定例会において「連携事業の協定」についてご提案してまいりたいと考えております。 なお、協定締結後に中心市が取組事業の詳細を記載した定住自立圏共生ビジョンを策定しますと、十勝における定住自立圏の手続きはすべて完了し、連携取組事業に要した経費分が中心市と周辺町村に特別交付税で措置されることとなっております。 IV むすび 以上、平成23年度の町政を運営するにあたり、方針並びにその概要を申し上げましたが、社会全体が大きな変革期にあり、経済情勢が低迷する中で、地方自治体を取り巻く環境も厳しさを増してきておりますが、少しでも町民の皆さんの期待に応えられるよう、この清水町に住んで良かったと思われるまちづくりに向けて、職員と共に全力を尽くす決意であります。 議員各位並びに町民の皆様のより一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、町政執行方針を結ばせていただきます。 平成23年3月11日 清水町長 高 薄 渡 |