平成24年第2回定例会(3月12日_日程5)
○議長(加来良明) 日程第5、町政執行方針について、町長より平成24年度町政執行方針を述べていただきます。町長。
○町長(高薄 渡)
Ⅰ はじめに
平成24年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、平成24年度の町政執行方針と施策について、議員各位と町民の皆様に私の所信を申し上げます。
さて、わが国の経済動向は、長引く景気低迷をはじめ、昨年3月に発生した東日本大震災や福島第一原子力発電所の重大事故による影響に加え、欧米経済等の悪化の影響もあり、国と地方の経済は、いまだに回復せず試練の時を迎えております。
このような厳しい中でありますが、清水町の未来を築き上げていくためには、皆様と英知を結集し、かつ、強い意志を持ちこの難局を乗り越えていかなければなりません。
私は、これまで就任以来、町民の皆様との対話を重視した中で、町民の皆様が安全・安心した生活ができるまちづくりと、健全な財政運営に誠心誠意取り組んでまいりましたが、早くも任期の最後の年となりました。
さらに、本年は、開町110年目という大きな節目の年であり、私は先人の開拓の労苦に思いを馳せながら、これまでの歴史に感謝し、わが町が抱える様々な課題の解決・改善に向けて創意工夫を凝らし、次の世代に確かな道筋をつける年にしていかなければならない思いを強くしているところであります。
さて、まちの将来像を「みんなで活き生き 豊かさ育むまち とかちしみず」として、「まちづくり計画~第5期清水町総合計画」も2年次を迎えました。
町民がお互いに支え合い、活力ある産業の振興と町民が健康で安心して暮らせる生活環境の実現を図り、心の豊かさと豊かなまちに成長していくため「まちづくり目標」を指針として、各種施策を創造したまちづくりを進めてまいります。
ここに、本年度の主要な施策につきまして、基本的な考え方を申し上げます。
II 地方財政と予算概要
平成24年度の地方財政計画では、東日本大震災の復旧・復興事業により、全体規模は前年度比2.2パーセント増の84兆2,800億円となり、通常収支分の地方財政計画では前年度比0.8パーセント減の81兆8,700億円、公債費等を除く地方一般歳出の規模では前年度比0.6パーセント減の66兆4,600億円となり、地方交付税の配分総額は、地方経済基盤強化・雇用等対策費による歳出特別枠の確保などにより、前年度比0.5パーセント増の17兆4,545億円となったところであります。
主要財源の普通交付税につきましては、国勢調査等による算定人口・単位費用の変動や公債費償還額の減少等により平成23年度交付決定額と比較し、3.8パーセント減の29億9,000万円を見込み計上したところであります。
本年度の一般会計と6特別会計、公営企業会計の予算総額は、前年度比6.3パーセント増の105億9,010万円、このうち一般会計当初予算額は前年度比7.4パーセント増の72億4,000万円を計上したところであります。
III 主要施策の推進
1 自然と共生する安全で快適なまちづくり
◆自然環境の保全と環境との共生として
森林は、生物多様性の保全や土砂災害の防止、水源のかん養等の機能だけではなく、地球温暖化の抑制を図るなど、人々が安全で安心して暮らすために不可欠な多面的機能を有しており、森林を守り育てていくため適正な管理が求められております。このため、町有林管理につきましては、森林施業計画に基づき継続的な整備・保全に努めてまいりますとともに、町民に対し森林の持つ機能の大切さや森林にふれあう場の提供として、「グリーンフェスティバル」の開催や森林体験事業「森で遊ぼう!」を実施してまいります。
また、民有林整備につきましては、補助事業を積極的に活用し、維持管理事業や造林事業などの支援を行い、自然環境の保全に努めてまいります。
次に、生活環境でありますごみ処理業務につきましては、一般廃棄物処理計画に基づき、分別排出方法の徹底と再資源化を進めごみの減量化を図り、町民・事業者への分別方法やリサイクル等に関する情報提供・説明会等を適時実施してまいりますとともに、清掃センターにつきましては、本年度中に将来の方向性について検討してまいります。
◆すべての世代が交流し住みやすいまちづくりとして
老朽化が進む町営住宅の建替事業につきましては「清水町営住宅長寿命化計画」に基づき、本年度は「まちなか団地」を建設し、住環境の整備を進めてまいります。さらに、転入や転居のための「空き家、空き地、賃貸住宅などの情報」を提供し、民間による借家計画にも協力してまいります。
また、町民の足を確保するコミュニティバスは、利用者の利便性向上を図りながら交通システムの構築に取り組んでまいります。
◆緑豊かな森と水に親しむまちづくりとして
地域の大切な資源であります自然環境を守り育てるため、河川や公園、緑地の維持管理に努めてまいりますとともに、公共施設や駅前花壇、商店街の花壇植栽など、花と緑に包まれた環境づくり施策の住民活動を支援していき、衛生組合で実施している春と秋の町内一斉清掃、清水町クリーン・ディ、花いっぱい運動や花に関する団体とも連携し、美しいまちづくりに取り組んでまいります。
◆町民相互の支え合いと暮らしの安全安心として
誰もが安全で安心して暮らせるまちづくりは、最も基本とするところであります。このため、子どもたちが犯罪被害に遭わないように学校・PTA・地域による「見守り隊」や、生活安全推進委員会による犯罪・交通事故から守る監視活動が、犯罪の抑止効果に繋がっているところであり、事件・事故の発生を未然に防ぐように努めてまいります。
また、商品や金融サービス等の消費生活をめぐるトラブルは悪質・巧妙化し、多重債務については大きな社会問題となっておりますが、本町では既に「消費生活相談」の充実や出前講座等の実施、警察署及び関係団体等との積極的な連携、情報の共有化に努めており、本年度も相談員の研修や悪質商法対策の啓発を行うとともに、「消費者被害防止ネットワーク」を設け、消費者行政の充実を図ってまいります。
◆快適で良好な生活環境として
安全できれいな水を供給するために、水道施設の適正な運転管理に努め、老朽管の布設替工事や浄水場の機器更新、御影簡易水道浄水場施設等改築整備を行い、より安全で安定した飲用水供給に取り組んでまいります。
さらに、生活環境改善と公用水域の水質保全を図るため、下水道施設の適切な維持・管理に努めてまいります。
次に、国費、道費の道路整備につきましては、車両及び歩行者の安全を図るため、車道及び歩道の整備を積極的に要請してまいりますとともに、国道274号は視距改良事業として車道拡幅工事が実施されてきており、継続して要請をしてまいります。
町道整備につきましては、町営住宅の建設に併せた南2条道路、また、北1条道路の道路改良・舗装工事を実施し、全道路の計画的な維持管理に努めてまいりますとともに、橋梁整備の古潭橋につきましては、本年度は橋梁の上部工事及び橋梁前後の道路整備を行い、今秋に供用開始する予定であります。
町営公衆浴場につきましては、これまでの委託方法について監督官庁から指導もあり、本年度から運営管理を民間事業者に委託してまいります。
2 誰もが健康で思いやりのあふれるまちづくり
◆町民の健康と健康づくり意識として
町民が健康で暮らすための健康づくり施策として、これまで特定検診や特定保健指導による生活習慣病等の健康予防に重点を置くとともに、各種健診への支援拡大、子宮頸がんワクチン・小児用ヒブワクチン等の無料接種、さらに昨年からは肺がんCT検査・前立腺がん検査を導入し、町民の健康対策に取り組んでまいりました。
本年度は新規施策として、「乳幼児から高校生までのインフルエンザ予防接種」と「就学前幼児を対象に予防接種率の低い水痘ワクチン接種」について無料化とし、未来を担う子どもたちの健康づくりを進めてまいります。
また、食生活改善や禁煙、健康づくり運動の普及推進にも取り組んでおりますが、本年度から働く中高年の方々も利用しやすいように、さわやかプラザの平日開館時間を1時間延長して午後9時までとし、土曜日も開館することにより、幅広い年齢層の方々の利用促進と冬季間の運動不足解消にも繋がり、町民の健康づくりがより推進できるものと考えております。
次に、医療施策でありますが、本町では人工透析患者が比較的多い状況にあり、昨年度から清水赤十字病院の人工透析病棟の増築を支援してまいりましたが、本年4月から透析床数が7床増の22床となり、待機状況も解消され地元で安心して治療が受けられるようになります。
なお、救急医療につきましても、本年度も引き続き町民の救急医療体制を維持するために運営支援を行ってまいります。
次に国民健康保険事業でありますが、今日の高齢化の進展や医療技術の高度化等による医療費の増大などで、その財政基盤は脆弱な状況であります。
本年度の保険給付費は、前年度の給付実績などを基に予算計上したところであります。主要歳入である前期高齢者交付金の大幅な伸びが見込まれますが、後年度においては予断を許さない状況であり、今後の安定運営のために引き続き保険税徴収率の向上と特定健康診査事業の推進に努めるとともに、一般会計からの繰入金により収支の均衡を図り、本年度も被保険者の負担軽減を図ってまいります。
◆高齢者の暮らしと社会参画として
本町の高齢化率は、平成24年1月末現在で30.68パーセントとなり、平成32年には40パーセントに達すると予測されております。また、現在65歳以上の高齢者世帯は1,463世帯(うち単身世帯は793世帯)で全世帯数の3分の1となり、今後も増加する見込みであります。
このような中、「緊急医療情報キット」の配布や「要援護者名簿」の作成など、高齢者世帯の実態把握に努めているところでありますが、本年度から「電話や家庭訪問での安否確認事業」を導入し、高齢者が地域で安心した暮らしができるよう努めてまいります。また、高齢者の相互交流や高齢者と異世代の交流の場を設けるなど、高齢者の孤立防止対策などを講じてまいりますとともに、高齢者の社会参画ができるよう各種団体と連携を進めてまいります。
次に、介護保険事業につきましては、本年度から第5期「清水町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」がスタートします。
平成26年度までの3年間で要介護認定者は70人以上の増加が見込まれるため、介護保険料の基準額(月額)は650円増の4,500円となりました。
しかしながら、本年4月に「小規模多機能型居宅介護事業所」の開設や、本年度中に「認知症高齢者グループホーム」と「地域密着型介護老人福祉施設」の開設が予定されており、これにより100余名の入所待機者の解消に繋がり、地域に密着した介護サービスを進めてまいります。
さらに、要介護認定者が年々増加する中、介護を必要としない自立した生活を送ることができるよう介護予防事業、予防マネジメント、総合相談・支援など、より一層のサービス提供に努めてまいります。
次に、後期高齢者医療制度につきましては、本年度2.48パーセントの保険料値上げが見込まれるなど厳しい状況であります。また、新しい高齢者医療制度の検討が進められているところでありますが、当初の平成25年度からの抜本的な制度改正は見通しが立たなく、混沌としている状況であり、北海道後期高齢者医療広域連合と十分な連携を図りながら、現行制度の総合的な推進に努めてまいります。
◆障がい者の社会参加として
障がい者福祉につきましては、障害者自立支援法及び「清水町障がい福祉計画」に基づき、各種サービスを実施しておりますが、本年4月から障害者自立支援法が大幅に改正され、その改正の柱として「相談支援の充実」が最重要であるとの考えが示されたところであります。
このため、昨年2月に設置した「清水町自立支援協議会」と連携し、障がい者やその保護者の様々な相談に応じ、必要な情報の提供や権利擁護等のための支援を行ってまいります。
◆すべての世代が交流し支え合うまちづくりとして
身近な人々が見守り合い、支え合い、助け合いながら、誰もが安全・安心で元気な暮らしができるよう、地域が一体となり取り組むことが必要であります。
このため、地域が求める活動や相談、要望に応えるため社会福祉協議会・民生委員協議会・ボランティア団体などとの連携を強化し、不足するボランティア会員の増大にも努めてまいります。
また、「地域安全ネットワーク」事業の中で、地域の人たちが世代を超えて集えるサロン事業も徐々に拡大してきております。
さらに、除雪や給食などの「在宅福祉サービス」もより充実させ、今後も暮らしをサポートできる体制づくりを推進し、健康で生きがいを持って暮らせる生活環境づくりを進めてまいります。
◆まちぐるみで子育て世帯を支え応援するまちづくりとして
子どもの未来に夢と希望が持てる活力ある町を実現するためには、出産や子育てに対する不安を取り除き、安心して子どもを生み育てることができ、子どもたちが健やかに成長できる支援体制づくりを進めていくことが大切であり、「清水町次世代育成支援行動計画」を推進する中で、町民・地域・関係機関の皆様のご協力を得ながら、子どもの成長をしっかりと支える取り組みを充実させてまいります。
保育所の運営につきましては、経済状況等の変化により共働き等の世帯が増えていることから、保育所の必要性が高まっており、入所を希望される児童の家庭状況を十分把握し、適切な対応を図るとともに、入所児童に対しては引き続き健全な心身の発達に努め、支援が必要な児童は、職員を配置し対応をしてまいります。
さらに、保護者から要望がありました、春季休所期間の保育所開設につきましては、本年度から平常保育として必要な保育を実施してまいります。
また、今後の幼稚園・保育所、子育てのあり方につきましては、国の「子ども・子育て新システム」により、町内児童福祉施設等の保護者や関係機関と協議をし、本町における最善の子育て支援及び保育環境の再編成について検討してまいります。
なお、本年度は御影保育所の駐車場造成工事を行い、児童送迎時の安全対策と路上駐車解消による交通安全対策を講じてまいります。
次に、放課後児童対策としましては、本年度も育成費用は無料とし、「清水学童クラブ」は清水小学校、「御影学童クラブ」は世代間交流センターで、小学校3年生までの児童の健全な育成に努めてまいりますとともに、「カワウソ教室」での全児童を対象とした安全・安心な居場所を放課後等に提供してまいります。
なお、御影地区で実施していました「カワウソ広場」は、希望者が少ないことから世代間交流センター内児童館において同様の対応をしてまいります。
また、子育て支援センター事業では、メールによる子育て相談、「ベビーマッサージ」や「ブックスタート」事業による親子の触れ合いの場を提供してまいります。
なお、子どもの発育や発達への支援につきましては、本年度「きずな園」の専門職員の充実を図り、関係機関との連携を深め早期発見・早期療育環境の整備、保護者への相談支援機能の強化、対象世帯への家庭訪問など、適切な療育ができるよう取り組んでまいります。
次に、虐待防止対策につきましては、昨年作成した「対応マニュアル」を関係機関等に配付し、連携強化を図ってきたところですが、引き続き啓蒙活動に努め通報があった場合は迅速な対応をしてまいります。
◆安心して暮らせるまちづくりとして
今日の労働者を取り巻く環境は、東日本大震災、福島第一原子力発電所の重大事故、急激な円高などの影響により経済の低迷が続き、いまだ景気回復が見込まれない中、大変厳しい状況にあります。
このため、本年度も離職者の「緊急雇用相談窓口」を開設し、実態把握に努めながら、ハローワーク等と連携し、国の第3次補正予算により1年間延長されました緊急雇用創出事業の積極的な活用や町独自施策の「新卒者就労支援」事業を行い、離職された方や新卒者で就職困難な方に対し、就労及び就職活動の支援による町内の労働環境の改善と雇用の促進に努めてまいります。
また、季節労働者対策につきましても、十勝北西部通年雇用促進協議会と連携を図りながら就労対策を進めてまいります。
3 新しい次代を担う人材を育むまちづくり
◆家庭・学校・地域がともに推進する教育のまちづくりとして
未来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ、心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることは私たちの願いであり、使命でもあります。
私たちは、厳しくも美しい「しみずの四季」を通じて、家庭・学校・地域が相互に強く連携協力して町ぐるみで、ふるさとを愛し新しい時代を切り拓く「生きる力を育む」教育を推進することが重要です。
幼児教育につきましては、経営方針である「愛のあふれる幼稚園」を目標として、幼児の特性と発達段階に合った教育を行うために、特色ある教育課程を編成し、幼児一人ひとりの個性の伸長と豊かな心の育成を図ってまいります。
学校教育では、本年度も「少人数学級」により、基礎・基本を重視した学習と豊かな心の育成に努めるとともに、特別支援を要する児童生徒への対応のため、よりきめ細かな学習支援を行い、父母負担の軽減として、児童生徒の修学旅行に要する経費の一部を公費負担してまいります。なお、清水小学校は老朽化が進んでいるため、大規模改修に向けて実施設計に着手し、学びの環境の整備を進めてまいります。
学校給食では、食材の安全・安心はもとより、地元産食材を提供し、各学校での児童・生徒に正しい食事のとり方や望ましい食習慣を身につけさせてまいりますとともに、スクールバス等の運行につきましては、本年度スクールバスを更新し、安全な運行に努めてまいります。
次に、清水高等学校につきましては、総合学科の先進校として特色ある教育活動を展開しており、進路支援強化としての助成をし、生徒の確保や出口保障を確実なものにするため、清水高等学校及び清水高等学校振興会との連携を図ってまいります。
◆文化のまちづくりとして
文化とは、人々に楽しさや感動など、生きる喜びをもたらし人生を豊かにして創造性を育むものであり、優れた芸術作品に触れたときの感動や自ら表現した時の喜びは人生の生きる力を生み出します。
このため、情操豊かな人間形成を図るため、本年度も芸術鑑賞機会の提供等に努めてまいります。
◆スポーツ・レクリエーションに親しむまちづくりとして
心身ともに健康で充実した明るい生活を送るため、スポーツ活動を日常的に取り入れることは大変重要であり、このため町民が気軽に参加できるレクリエーションスポーツの普及や各スポーツ事業の実施、各種大会への支援・協力をしてまいります。
◆学びの成果を活かすまちづくりとして
町民一人ひとりが生涯にわたり生きがいを持ち、心豊かに充実した生活を送ることができるよう各種学習機会を提供し、学んだ成果がまちづくりに活かされるよう努めるとともに、図書資料の充実と本に親しむ環境の整備を図り、読書普及事業の提供に努めてまいります。
昨年度開設した「十勝清水 人・四季塾」は、まちづくりを進める魅力あるリーダーづくりの人材育成として取り組んでいるところであり、1期2年の仕上げの年となり、学びを生かし、リーダーシップを備えた人材として、まちづくりへの活躍を大いに期待しているところです。
また、構造改革特区により開校7年目の広域通信制北海道芸術高等学校は、年間約700名の生徒が本町でのスクーリングに訪れ、特別免許状を授与した町民をはじめ多くの方々の支援・協力を得て、町民との交流や学びの共有と連帯感の醸成が図られており、今後も教育内容について監督、指導の役割を果たしてまいります。
4 町の資源を活かした活力あるまちづくり
◆クリーンな農業と資源循環型のまちづくりとして
本町農業は、これまで高い農業生産額を維持しておりましたが、ここ数年は冷湿害、記録的な猛暑、長雨等による異常気象の影響から、主要作物全般にわたり収穫量減少・品質低下などの被害があり、酪農・畜産経営につきましても、配合飼料価格の高騰、福島第一原子力発電所の事故に伴う風評被害による牛肉価格の下落などが影響し、大変厳しい状況であります。
また、昨年11月に開催されましたアジア太平洋経済協力首脳会議において、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加する方針を表明したことは、本町の基幹産業である農業の根幹を揺るがす大きな問題であり、現状の制度下では、断固反対していかなければならないものと考えております。
このように、いまだ先行きが不透明な状況ではありますが、本町農業は関連産業と一体となって地域経済を支える重要な産業であり、今後も食料の安定供給を目指し、消費者に信頼される安全・安心で良質な農畜産物の生産確保に向けた各種施策を推進してまいります。
「クリーンな農業と資源循環型のまちづくり」の重点施策といたしましては、健康な土づくりの推進を図るため、本年度も堆肥ペレットのさらなる利用促進に向け、実証試験圃場への支援や販売価格に対する支援を行うとともに、化学肥料の過剰施肥による環境負荷や農家経営の負担軽減を図るため、定期的な土壌診断の推進に向けた支援を実施してまいります。
なお、「財団法人 清水町農業振興公社」は、農協との協議の中で平成23年度をもって解散することになり、「農地流動化対策」や「担い手対策」などは、町や農業関係機関で組織する「清水町地域農業再生協議会」で引き継ぐこととなりますが、実施にあたりましては、関係機関とより一層連携を図りながら取り組んでまいります。
また、農業者と商工業者、そして地元消費者とが連携し取り組んでおります「食の安全・安心推進事業」につきましても継続して実施することにより、地産地消の推進や食を通した交流をより一層深めてまいります。
◆経営基盤の確立と後継者が働きやすいまちづくりとして
畑作振興の重点施策としましては、近年のてん菜作付面積の急激な減少傾向に歯止めをかける対策として、昨年度から取り組んでおります「てん菜増産対策」により、持続的な畑作農業の推進に向けた合理的な輪作体系の確立と農業関連企業などの存続に努めてまいりますとともに、新たな野菜振興対策として、「にんにくの独自ブランド」確立に向けた支援も引き続き実施してまいります。
酪農・畜産関係の施策につきましては、輸入飼料の高騰対策として、自給飼料増産対策事業を実施し、デントコーン増反に取り組み、飼料自給率を高め経営安定化を図ってまいります。
家畜伝染病の発生防止対策につきましては、昨年、家畜伝染病予防法が改正されたのを受け、万全な防疫体制を構築してまいりますとともに、酪農・畜産農家や養鶏事業者に対し、侵入防止に対する自衛防疫の普及啓発を行うなど指導徹底を図ってまいります。
また、「農地・水環境保全向上対策事業」は、国において事業継続されることから、地域営農集団と協議を行い、地区拡大し、明渠排水路などの保全管理に対する支援を実施してまいります。
さらに、農業基盤整備につきましては、近年の異常気象による農作物の湿害被害の発生により、その必要性がますます増していることから、補助事業を活用し、暗渠排水事業に取り組んでまいります。
次に、町営育成牧場につきましては、乳牛の育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るなど、酪農経営の補完施設として大きな役割を担っており、今後も酪農経営の大型化に伴いその重要性がますます増大される状況にあることから、効率的な飼育管理の実施と防疫体制の強化を図り、預託者が安心して利用できるよう、より一層充実した管理運営に取り組んでまいります。
◆まちの資源を活かした産業の振興と連携の促進
本町の農業生産高は、道内10位前後であり、豆類、小麦、てん菜、馬鈴薯などの主要作物や生乳の生産は全国的にもトップクラスにあります。
近年はアスパラガス、キャベツ、ブロッコリーなどの野菜生産の増加、さらに肉牛や鶏卵の生産量が全道でも上位に位置し、「農業」、「食」を活かした地域活性化を目指すことが期待されます。
昨年、まちづくり予算町民提案事業で中学生グループが提案された「清水町新キャラクターづくり」事業は、町名の由来である「(水)ペケレベツ」(清い水の流れ)を清水のメインキャラクターとして定め、特産品の開発やPRを視野に事業展開してまいります。
また、町内の異業種で新たな産業開発などの活動を展開している産業クラスター研究会に対して支援を行ってまいりますとともに、農商工業者など町民有志による生産、加工並びに販売を行う6次産業化の新たな事業展開や開発などにつきましても、関係者と協議を進めてまいります。
地域資源と人材を活かした活力ある町を創造していくための清水町経済活性化戦略会議は、官民一体となった関係機関・団体のネットワーク化により企業誘致などの振興を目指しており、現在まで中心市街地衰退化防止策事業や、食を通じた連携事業の取り組みなど、成果が徐々に現れてきているところであります。
さらに、本年度は小規模な工房や飲食店などの起業化と雇用の場の拡大を促すため「起業・雇用促進補助金」を創設し、道東道全線開通という機会を活かし、事業者が起業しやすい環境を整え、町内経済の活性化を図ってまいります。
また、バイオ燃料地域利用エタノール実証事業をはじめ企業立地促進条例の支援による工場の新増設は、雇用の確保による定住など経済的効果をもたらしており、本年度も立地企業を支援していくとともに、とかち田園地域産業活性化協議会を通じて、優遇措置等のPRを行い、企業の誘致活動を強化してまいります。
◆商業の活性化と異世代が集う多機能型まちづくりとして
今日における経済環境は、急激な円高等による経済の低迷が続き、その後にデフレ状況に陥るなど、いまだ景気回復の実感がない状況であります。
本町におきましても、公共工事の減少など依然として経済環境の悪化による個人消費の低迷や消費購買行動の町外流失が続き、商工業者にとって極めて厳しい状況が続いております。
このような状況の中で、商工業者の方々が、消費者に親しまれる中心商店街づくりに向けた実験店舗「産直と憩いのサロン3丁目広場」や「おはよう商店街」が実施されるなど活性化を図っていますが、今後とも顧客のニーズに合わせたきめ細かなサービスが展開され、地域内消費購買のより一層の喚起を図っていくため支援をしてまいります。
また、商店街活性化等の対策として、個人消費の町外流出防止や企業投資の活発化などを促すため、商工会とより一層の連携を図り、本年度におきましても、「商品券事業」や「新規及び空き店舗活用開店者」に対しての支援をしてまいります。
◆地域の資源を活かした観光産業の創出として
本町の観光振興につきましては、雄大な自然環境や農村景観を有し、道東の玄関口である交通の要所として、毎年、町内外からの誘客を見込み、各イベントなどの開催により、活性化に努めてまいりました。
町民有志や飲食店主が、「食」による地域活性化を目指して「十勝清水牛玉ステーキ丼」を開発し、札幌オータムフェスト等のイベントへの参加によりPRに努められ、「牛玉丼」の認知度を全道・全国に発信して「食」を通した交流人口の増加に貢献しております。
昨年、道東道全線開通により道央圏が一層間近に感じられ、「食」や「景観」を求めて、町外から多くの方が十勝・清水を訪れており、本町が道東の玄関口として、多くの観光客を効率的に滞在させて観光振興を図ることが不可欠であります。
このため、魅力ある景観を観光資源として「十勝清水4景+1」と、観光体験や「食」などの情報発信を図り、交流人口の増加に努めてまいります。
本年度も観光協会が取り組む各種イベントを支援し、昨年、会員や地域の協力で実施しました「美蔓パノラマパークシーニックカフェ」を7・8月の日曜日に計画しております。
また、シーニックバイウェイ「十勝平野・山麓ルート」及び「北海道ガーデン街道」に係る市町村との一層の連携を図るとともに、6月上旬から10月上旬まで、十勝千年の森を会場に開催される「北海道ガーデンショー」を支援し、これらと連携した町の観光・特産品等の情報発信に努め、清水・御影市街地への周遊などの促進に向け、関係機関との一層の連携や広域的なイベント活動を展開しながら観光振興を図ってまいります。
5 みんなで創る協働のまちづくり
◆町民誰もが参加する協働のまちづくりとして
協働のまちづくりを推進する一つとして「広報しみず」は町政情報を広く届ける有効な手段です。より町民にわかりやすい掲載方法の工夫など、町民の視点に立った情報の提供に努め、行事等のお知らせ広報から、町民がまちづくりを考える材料となる広報を目指して充実を図ってまいります。
個人町民税の0.5パーセント相当の額を予算額とし町民から事業の提案を募集した「まちづくり予算町民提案事業」につきましては、「清水町開町110年記念事業」についての募集をし、現在事業実施に向け準備を進めているところです。本年度もこの制度を活用し、町政への参画意識の高揚と町民ニーズに対応した事業の推進を目指してまいります。
平成20年に制定した「いきいきふるさとづくり寄附条例」は、町民の皆様をはじめ、町出身者やゆかりのある方に新たな形でのまちづくりへの参加と財源確保を行うものでありますが、寄附者の意向を十分反映できるよう適切な活用を図ってまいります。
また、都市等からの移住定住促進事業につきましては、移住者の新たな視点を地域活動に取り込んでいくことにより、地域活性化に広がりと豊かさを与えてくれるものです。今後も首都圏でのPRや移住体験住宅を活用した生活体験事業などに取り組み、民間事業者と一体となった移住施策を推進してまいります。
なお、本年度も総務省「地域おこし協力隊員」事業を取り入れ、都市生活者の視点を活かした本町の魅力の発信や移住促進事業の充実に取り組み、移住・定住に結び付けてまいりたいと考えております。
本町は明治36年、人舞外一村戸長役場が開庁以来、110年を迎えます。本町の歩みの礎となった先人の偉業に感謝するとともに、高度経済成長社会から成熟社会に移り、東日本大震災の経験からも経済面だけではない心の豊かさを国民全体がより強く意識する中、清水の持つ素晴らしさを次世代に受け継ぐことが現在暮らす私たちの責務のひとつと考えます。
このため「清水らしさ」を再認識するため、町民の皆さんの参加による「シンポジウム・イベント」の開催、「吹奏楽による第九演奏」、「記念商品開発」などを通して清水の魅力を引き出し、町の良さを町内外に発信し、協働のまちづくりにつながるよう事業を進めてまいります。
◆効率的でわかりやすい行政運営として
その時々の社会情勢に対応しながら、住民が地域のことを自ら考え、その総意に基づいて最善策を判断し実践していく住民自治の充実が必要であり、行政においても、自立性と自主性をもって町政を推し進めていくことが重要であります。
このような観点から、「まちづくり計画推進委員会」により、町民と行政が積極的にそれぞれの役割を果たし、地域や町民等の活動及び行政の事業を推進するための具体的実践内容を検討してまいります。
また、町政運営の基本原則を定めた「まちづくり基本条例」は、各種審議会委員の公募や開催内容の公表、重要な案件は町民意見提出制度により意見を求めるなど、情報共有と町民参加について、広報紙や町のホームページをはじめ、町内各所に設置の情報掲示板などにより積極的に進めているところです。本年度も地域自らの判断と責任において進めることが必要であり、そのためにも町民と行政がともに知恵を出し合いながら「協働のまちづくり」を推進するための環境整備や行政情報の提供・周知方法について工夫してまいります。
行政運営の基礎となる自主財源の確保につきまして、個人町民税では、農業生産所得や農業関連営業所得等の減少が大きな要因となり、前年度当初予算と比較し980万円の減と見込んでおり、法人町民税につきましても、長引く地方経済の低迷や景気回復の遅れにより、前年度と比較し592万円の微減、固定資産税につきましても、本年度が評価替えの年で、地価の下落傾向等や評価額の見直しにより増額は見込めないことから、前年度と比較し3,100万円の減で見積もっております。
軽自動車税につきましては、個人や法人の4輪車の登録が年々伸びていることから、前年度と比較し30万円の微増を見込んでおりますが、町たばこ税につきましては、一昨年10月からの増税により喫煙者が減少傾向にあり、300万円の減収を見込んでおります。
なお、収納対策につきましては、早期の自主納税の推進に努めるとともに、「十勝市町村税滞納整理機構」とさらなる連携を図りながら、適切な滞納整理に取り組み、徴収率の一層の向上に努めてまいります。
また、昨年度より進めてきております戸籍の電算化につきましては、本年10月29日からの稼働を予定しており、サービスの向上を図ってまいります。
◆広域行政の推進として
十勝管内の消防広域化につきましては、平成25年1月の運用開始を目標に協議を重ねてきたところですが、「自賄い」方式解消に対する各市町村の考え方の差異もあることから、当面する「消防救急無線のデジタル化」と「指令センターの共同運用」に向けた整備については進めることを確認し、広域化の時期や課題解決についてさらに議論を深めることとなっており、市町村長会議の結果を踏まえながら、管内一丸となった消防広域化の推進に努めてまいる所存でございます。
また、昨年7月に協定締結がなされた定住自立圏構想の取り組みにつきましては、中心市である帯広市と周辺18町村により、医療や福祉、産業振興等の事業を内容とする定住自立圏共生ビジョンが策定され、相互の役割分担と連携・協力により具体的に取り組むこととなり、本協定は、毎年度、所要の見直しを行うこととなっておりますので、自治体間の連携の取り組みの深まりや「フードバレーとかち」の推進など、十勝圏域全体の発展に資する取り組みも期待されるところです。
IV むすび
以上、平成24年度の町政を運営するにあたり、方針並びに施策の一端を申し上げさせていただきました。
今日の景気・経済の危機的な状況は、私たちの暮らしと将来に大きな不安をもたらし、地方の活力にまで重大な影響をもたらしておりますが、私は、必ずやこの困難を克服し未来を築き上げていけると確信し、たゆむことのない努力を続けていく覚悟であり、清水町に住んで良かったと誇れるまちづくりに向けて、職員とともに全力を尽くす決意であります。
議員各位並びに町民の皆様のより一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、町政執行方針を結ばせていただきます。
平成24年3月12日
清水町長 高 薄 渡