平成24年第3回定例会(6月15日_日程3_一般質問1)
○議長(加来良明) 日程第3、一般質問を行います。
順番に発言を許します。
4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 私は、通告した2項目について質問いたします。よろしくお願いいたします。
最初に、本国会で審議されている「障害者総合支援法」案について質問いたします。
利用者負担の問題など、利用抑制の仕組みで社会参加しようと思っても、諦めざるをえない、家族のお荷物とならざるをえない理不尽さ、このことを最も痛感させられたのが、障害者自立支援法でした。これは、障害者自立支援法違憲訴訟団の元原告で家平さんの3月31日の記者会見での発言です。また、娘さんが訴訟の元原告の母親新井たかねさんは、障害者は家族に依存せざるをえず、その家族は社会から孤立してしまい、孤立死が相次いでいると4月9日の政府交渉で発言しています。お二人の発言は現在の障害者自立支援法のもとでの障害者と、その家族が置かれている状況を代表して訴えています。
2005年10月、当時の自公政権が国会成立させ、翌年4月から順次実施された障害者自立支援法は、障害を自己責任とし障害者が生きるための必要な支援を「益」だとみなし、原則1割の「応益負担」を障害者と家族に強いる過酷な法となっています。
その後、反対運動の高まりが国を動かし、2008年に20歳以上の障害者は世帯単位ではなく、本人のみの収入認定による負担に戻りましたが、婚姻関係にある場合は、世帯単位の認定が現在もなお残ったままです。2008年に障害者ら71人が全国14の地方裁判所に人間としての尊厳と生きる権利を奪われたとして、違憲訴訟を起こし、自立支援法廃止を求める国民的運動が広がりました。翌年2009年8月の政権交代で、連立政権樹立にあたっての政策合意に、自立支援法は廃止し、制度の谷間がなく利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくる政策が盛り込まれ、この政策に基づいて、訴訟団と国は2010年の1月7日、国は速やかに「応益負担制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに障害者自立支援法を廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する。」そこにおいては障害者の基本的人権の保障を支援するものであることを基本とするなどの内容とする基本合意文書が交わされ和解されています。
本当に裁判をやめてもいいのだろうかと皆悩み、不安を抱えながらも「自立支援法」を廃止して新しい制度をつくっていくといわれる新政権を信じ、合意したのです。なにしろ合意は、国は障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに心から反省の意を表明するとはっきり記しているのですからと、当時の長妻厚生労働大臣、竹下弁護団長とともに合意書に署名した原告代表は心境を語っています。
合意とともに政府は、国連の障害者権利条約の基準に向けて、国内法を抜本的に見直すとして、障害者制度改革推進会議と総合福祉部会を設置し、2010年に「障害者自立支援法」の廃止を閣議決定しています。しかしながら、自立支援法の延命につながりかねない改正法が賛成多数で成立し、今年4月に施行されています。このような経緯と障害者の声を踏まえた総合福祉法を求める地方議会の意見書が180以上にのぼるなかで、今国会に提出されたのが「障害者総合支援法案」です。障害者や家族、関係者の方々からは、政府は私たちとの約束を破りました。悪法の根本問題を残したまま、ほんの少し手直しするだけの「新法」は「絶対に許されない」との怒りの声が上がり、昨日も抗議団が国会に出向いています。その内容は、基本合意の自立支援法施行で、障害者の尊厳を傷つけた反省を踏まえた施策立案、実施の方向で設置した総合福祉部会が、新法制定に向けて2011年8月に取りまとめた「骨格提言」をまったく無視し、署名、押印した約束まで破る、重ねての障害者の人間としての尊厳を深く傷つける法案となっています。
清水町には、障害者程度区分認定者数だけで88名の障害者がいますし、いわゆる法の谷間の方々を含めると、もっと多くの数になると推測されますが、これらの方々と家族の方々にとって直接かかわることから、法案のいくつかの基本的な内容について政府が「最大限尊重する」と明言して、新法の検討を委ねた総合福祉部会の「骨格提言」とかかわって質問いたします。
1つ目です。「骨格提言」では自立支援法を廃止して「社会参加に必要な支援を受ける権利の補償」が基本となっていますが、法案では自立支援法のごく一部の改正にとどまり、基本的理念に基本的人権、どこで誰と生活するかについての選択の機会などを盛り込んでいますが、「可能な限り」と限定をつけています。この基本理念についての考えを伺います。
2つ目に、自立支援法の応益負担は、自立支援法の根幹を成すものであり、最大の問題点となっています。「骨格提言」では「応益負担」をやめ、「障害にともなう支援の原則無料化」となっています。しかし、法案では、原則無料化は見送り、応益負担を根本的に残しています。この法の根幹にかかわる問題についての考えを伺います。
3点目、「骨格提言」では「制度の谷間」を解消し、すべての障害者を法の対象にするよう提言していますが、法案では一定の範囲の難病を入れることとしているが、これは「新たな谷間を生む」と障害者及び関係者から危惧されています。このことについての見解を伺います。
4点目、事業所への公的負担の支払いを日払い方式から月払い方式にすることを提言で求めていますが、法案では「3年後に検討」となっており、「市町村サービスの格差是正のための財政措置」、「事業者への報酬のあり方や福祉従事者の労働条件の改善」「権利擁護制度」などの課題は全く手つかずとなっています。法ですので、改革の方向性をきちんと決定したうえで実施体制を整備していくべきでありますが、どうお考えになるか伺います。
次に、2つ目の東日本大震災の災害廃棄物の広域処理について質問いたします。
東日本大震災で発生した膨大な災害廃棄物、災害がれきと呼ばれているのですが、その処理が被災地の復興にとって最重要課題となっております。災害廃棄物はその発生量の数値が流動的で、あいまいな面もありますが、岩手・宮城・福島の3県で約2,250万トン、最も多い宮城県では1,573万トンで一般廃棄物の約20年分の量といわれています。
現在、災害廃棄物は、岩手県98ヵ所、宮城県145ヵ所、福島県31ヵ所の仮置き場に集積されており、復興の中心となるべき場所に10メートルから15メートルの高さで積まれている状態で、岩手県では倒壊が2度も発生したり、衛生面での問題も深刻で、住民の健康と安全面からも対応が急がれております。国は、大震災・原発事故の半年後の8月18日に災害廃棄物の処理に対する特別措置法を、さらに30日に放射性物質による環境汚染の対処に関する特別措置法を制定しておりますが、それ以前の段階で、国の責任で広域処理を行う方針を示し、被災地以外の都道府県や市町村に災害廃棄物の受入れを要請し、被災地から撤去する方向を示しましたが、1年経った現在、処理実績はわずか6%に過ぎません。膨大な災害廃棄物の処理を被災地だけで行うことは困難であり、国が被災地での処理能力を強化することはもちろん、列島という国土条件のうえからも被災県以外の協力を得て広域処理を進めることが必要不可欠となっています。
しかしながら、ほとんど進んでいないという最大の原因は、政府が放射能物質への対策を真剣に行っていないことにあります。原発事故による放射性物質の拡散は東日本の広範な地域に及び、被災県も例外ではありません。災害廃棄物の処理にあたって、焼却の際の廃棄によって放射性物質が拡散するのではないか、その被害処理をどうするのか、廃棄物や焼却灰の埋め立て処分場周辺の放射線量が高くなるのではないか、雨水・地下水による漏れ出しの心配など、広域処理の受入れ先の住民合意を進めていくうえで必要な懸念や不安にきちんと応えていないこと、災害廃棄物に放射性物質が含まれていることへの対策を国が真剣に講じていないことにあります。
岩手県の取り組みの例ですが、県全体で525万トン、一般廃棄物の処理量に換算すると12年分にあたります。陸前高田市だけで148万トン、255年分だそうです。そのうち、県内で最大限処理に努力して355万トンの処理計画を明らかにしています。しかし、残りは広域処理に頼まざるをえないとしています。県は放射能問題での住民不安の広がりを考えて、放射性廃棄物ではなく、災害廃棄物の広域処理をお願いし、受入れ自治体が独自に安全性を確保し、住民の納得を得られるよう設けている基準に沿って対応できるよう、一般廃棄物として扱ってよいとされている原発事故以前からの基準100ベクレルとして測定しています。
国は、焼却前の目安で240以下、または480ベクレル以下を示しています。4月から5月の測定値では陸前高田市では58ベクレル、山田市は16.8ベクレル、野田村は18.4ベクレルと基準を大幅に下回っている測定結果が発表されています。すでに災害廃棄物を受け入れている東京都は、搬入前に放射能測定を毎日行い公表していることから、岩手県ではリアルタイムでの測定公表をすべく、被災地自身の努力を続けています。岩手・宮城両県の災害廃棄物の一部を全国で受入れるとした政府方針に対して、受入れを表明したのは9都府県、受入れ自治体があるのは青森・山形・東京の3都県、島田市が試験焼却を始めた静岡を入れても4都県にすぎなく、政府は受入れ表明をしていない35道府県10政令市に再度要請を行いました。その回答結果ですが、富山など3県と北九州市が今度1年半の間に、合計22万トンの受入れ方向で検討中と回答しています。北海道をはじめ、8道府県4政令市から受入れ方針などについて具体的回答があり、道では苫小牧市が受入れ表明をし、近く試験的な受入れを行う予定とのことです。
今回の22万トン受入れ表明済み分などを合わせますと、約162万トンの処理が可能となりますが、岩手・宮城両県では広域処理が必要とされている量は約400万トンで、半分に満たない量となっております。野田首相は、受入れの可能性が高い自治体に対して、最優先で実現を図りたいとしており、引続き政府要請が強まると考えられます。以上のような状況の下、災害廃棄物の広域処理について3点にわたって質問いたします。
1つ目に、道は知事名で「一日も早い復旧・復興のためには、災害廃棄物の広域処理が不可欠であることは十分認識している」と強調して、「受入れに前向きな意向を示している自治体と具体的な受入れ方法や基準について共同で研究を進めている。実証実験を通じて周辺環境への影響なども検証する」としていますが、知事の回答に対する見解と、広域処理に対する基本的なお考えを伺います。
2つ目に、道は放射性セシウム濃度を廃棄物に関する持ち出し基準なども勘案し、概ね100ベクレル以下とする道の独自基準を表明するとともに、放射性物質の安全対策を含めた経費の予算措置、埋立て処分をしたがれきの維持管理方法などの法的整備を回答とあわせて、政府要請しています。道民の理解を得るにはまだ十分とはいえませんが、考えを伺います。また、「災害廃棄物特別措置法」が、国の責任で「広域処理」を行う旨定めている以上、受入れ要請するだけではなく「広域処理」の実効に全責任を負うべきですが見解を伺います。
3点目に、懸念されるさまざまな課題、住民の発表される放射線数値への限りない不信感や疑心暗鬼等が解消され、「広域処理」への合意が得られた段階での町または管内全体での受入れ方向での検討は考えられるのかどうかを伺います。
以上、大きく2項目にわたっての質問といたします。
○議長(加来良明) 答弁を求めます。町長。
○町長(高薄 渡) 木村好孝議員のご質問にお答えします。
まず、第1点目の、「障害者総合支援法」案についてのご質問でございました。
障害者総合支援法は3月に閣議決定され、4月に衆議院の厚生労働委員会での可決をみたところであります。この支援法については大きな問題点となっているところでございまして、町としてどうなのかという考えでありますけれども、結論から申し上げますと、私どももいまだに詳しい内容を聞いていないのが事実です。骨格合意文書等々を取り寄せたなかでの解釈になるかと思いますけれども、ご理解いただきたいと思います。
この基本理念の「可能な限り」ということで限定をつけるのはどうなのかということだと思います。文言ではそういう部分が含まれておりますけれども、解釈によりましては「可能な限り」でございますから、できない場合もありえるということになるわけであり、この問題については、昨年の総合福祉部会の骨格提言のなかでは、そういうことが盛り込まれているということでございまして、こういう文言が入るかどうかということについては、非常に国としての法律の定まりのなかで問題点があると、法のほうではそういう文言ではなく、もし入れるとしたら実行する段階で、そういう要綱やそういうなかに入っていくので、いつでも変えられるような状況になければならないかと思うところです。この法律そのものが十分かと申し上げることはできないのではないかと考えているところでございます。
そういったなかで、現在、このことが進められているわけでありますけれども、問題点が非常に多いというなかでは、議論が固まっていないとお聞きしているところでございます。前回の、提言内容を踏まえると、関係者の期待を大きく裏切るというようなものではないかと押さえているところでございます。
次に、2点目の応益負担の問題です。法案は原則無料化を骨格提言では進められていたわけですけれども、応益負担をやめて支援を原則無料化となっていたわけでありますけれども、それが見送られているというような状況下にあります。そういうことで、この骨格提言の部分は審議会でやってきたことがどうなったのかということになるわけでありまして、私どもとしましても、自治体としても、この問題については強く要請をしていかなくてはならないかと押さえているところでございます。
3点目の「制度の谷間」の問題でございます。
障害者自立支援法の時の22年では、身体・知的・精神と、障害が種別ごとに分かれた制度を一元化するということでございますけれども、今度の新しい制度では、拡充していくなかに発達障害や難病の問題が生まれてきているわけであります。この問題についてはどこまで指定されているか情報がまだ入ってきておりませんけれども、もしも対象にならない難病等があるとすれば、そこに新たな谷間が生じる可能性があるのではないかと懸念しているところであります。
最後の4点目です。日払い方式から月払い方式ということになるのでありますけれども、この施設の運営そのものが非常に苦しんでいるという状況であります。以前のような措置費から変わって、自立支援法になって苦しんでいるという状況であり、そこに新たに、直営であれば自治体の予算を投入しなければなりませんし、法人であれば、そこに自治体が支援していくというようなかたちになっていくわけです。結論的に申し上げますと、税の配分の方法が変わってきているなかで、市町村自治体が運営していくというかたちになってきているので、この問題についても懸念するところであります。
そういった状況から、これについても明らかに解決を先送りしているといわざるをえないのではないかと考えているところでございまして、私どもとしましては、この実施すべき状況のなかの整備の問題として、この部分も大きく取り上げていく考えかたでいるところでございます。
以上、1番目についての答弁とさせていただきます。
先ほど前段で申し上げましたけれども、国家的なものでございますので、私ども一自治体としては、推移を見守ることも当然ですが、機関を通して要請活動を強く求めてまいりたいと考えるところであります。
2点目の、災害廃棄物についてでございます。
これもご質問のように、私としましては、気持ちとして国全体のものでありますので、十分そのことについて承知しています。しかし、当町の考えかたとしましては、物理的にもなかなか難しいということをお話させていただいているところでございます。したがって、1の道知事はこういったことを言っておりますが、その見解について考えかたを述べよということでございます。
私としましては、放射性物質が含まれているか、含まれていないか別としましても、これらについては県内での処理が望まれるのではないかといっているところです。拡散させないことが国際的な合意事項になっているところでございますので、これを踏まえてお話しているところでございまして、広域処理は、気持ちとしてはわかりますが、このなかにおいて受け入れることはなかなか難しいといってきているところでございます。
次に2です。道は独立基準を100ベクレル以下ということにしていますが、予算だとかうんぬんとご質問をいただきました。私どもの町村にはお金があるから予算をつけるからどうですかということにはならないと、いくらお金があっても、要請ばかりではなく、政府がいかに自らこの問題について対応するのかということを考えていただきたいと思っております。したがって、北海道民の理解を得るということは、非常に困難な状況になるのではないかと思うところでございます。
3番目につきましては、管内的に広域処理の合意が得られた段階で受入れる方向の検討がされるのかどうかということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、北海道のなかでも十勝は農業の生産で日本の食糧を供給しています。いわゆる大事な土地であるわけであります。そういった面から考えて、風評被害を含めて、万が一そういうことに陥った場合のことも考えながら望ましいことではないのではないかと、どの自治体もお考えになるのではないかと思うところであります。ましてや、私どもの町の処理施設については、ご案内のように、あと数年の寿命の状況でございますので、埋立て容量だとか処理能力だとか、そういうものを考えると同時に、基幹産業である酪農・畑作でありますし、町営牧場という大切な牛を扱っている場所もあります。そういうことから考えると、町民の健康不安もありますし、農家の生産のこともありますので、受入れがたいといわざるをえないということで判断していかなければならないだろうと思っているところでございます。
以上申し上げまして、ご答弁に代えさせていただきます
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 障害者総合支援法案の問題についてから質問したいと思います。
1点目の基本理念の関係ですけれども、町長がお答えになった押さえかたが、最も基本になるのではないかと思っております。その法案そのものの背骨に限定をつけるということ自体が問題になると捉えています。提言は、今後の障害者福祉の進むべき方向を具体的に示したものなので、その点では大きな問題を残すのではないかと思っております。
そこで、2つ目の問題に質問いたします。
応益負担そのものは根本になっているのですが、大きな問題となっているのは、訴訟問題でも明らかになったように、明確に憲法25条に違反しているのではないかという提起があります。そのことについてはどうお考えでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 大きな問題でありますけれども、違反をしているかどうかということの限定的なお答えはできないと思いますけれども、最低限の生活保障という観点から考えると、やや逸脱している部分もありえると判断しているところでございます。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 障害者が生きていくために必要な、食事や移動、排泄、これらの問題、あるいはコミュニケーションへの支援を益としてみなすこと、そして利用料を多く課すということ自体が大きな問題点で、憲法に抵触する問題ではないかと思います。
例えば、憲法の問題にかかわって言わせていただければ、憲法第13条の、個人の尊厳と幸福追求権の問題、憲法第14条、法の下の平等の原則、これらに反するということで意見訴訟がなされたのですが、これらについてお考えはどうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) そういうなかでの原告団の訴えとともに、それらが守られていないということの訴訟の結果の判断だと思います。私は、障害者の方々というのは、自らというのではなく、不自由な日々を送っているわけであります。日々の中でも時間の戦いで生活しているというふうに言わざるをえない状況下にあるかと思います。
そういう面から考えますと、国民皆で等しくそれらの方々への支援というものをしていかなければならないかと思うところでございまして、そういう面から、「限定」「可能な限り」だとかそういうものについての表現そのものは、削除したなかでしっかりと、障害者の皆さん方の支援体制をつくりあげていくのは、民主国家の責務ではないかと感じてございます。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 3点目の谷間の問題です。
これは原則的に障害の問題に段差をつけたり、格差をつけるということ自体が大きな問題であると考えております。障害者程度区分自体も、提言では実態を適切に反映しないで利用を制限するということから廃止が求められていたのですが、名称を変更して固定化していますので、この点も大きな問題点として残るのではないかということで指摘をしたいと思います。
あと、残されたいくつかの大きな法的な課題の問題で、例えば、市町村サービスの格差是正のための財政措置をはじめとする、障害福祉関連の予算規模として、提言ではOECD(経済協力開発機構加盟国)の平均値並の水準を求めています。この平均値並の水準の確保ということからすると、少なくても現在の2倍、約2兆2千億円の予算が必要となってきます。これらを例にとりましたが、方向決定可能であるとして、法ですので、きちんとした方向決定を行ってから、具体的に実施に向けて検討を加えていくと、あるいは体制整備をしていく、そういう方向性が望ましいのではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 国際社会のなかにおけるOECDの平均値ですけれども、やっていくのであれば2倍の予算措置をしなければならないというご質問の趣旨だと思います。
この問題についても、徐々に解決してきていると思いますが、目標値をつくらなければならないということです。目標値を何年で解決していくかという基本的な柱をしっかり踏まえたうえでの法律の改正や拡充などをしていくべきではないかと思うところでございます。そういう面では、非常に福祉にかかわって、その事案が出た時点でものを考えると、介護保険法もそうでございますけれども、後期高齢者の問題でもそうですけれども、すべてがそういうような状況でありまして、根本的な福祉政策というか、国としての政策、理念、ただ何々法の基本理念ではなく、その総体的なものをどういうふうにしていくかということを、税の配分も含めて考えていく必要があるのではないかと思っております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 町長のお考えのとおりだと思います。
もう1点ですが、介護保険優先の原則、これが現在の社会保障のありかたとして捉えられているかと思います。ですから、障害者の方が65歳になると、介護保険の適用をしなければなりません。当然、1割の療養負担になります。そういうことから、一部無料に該当する部分もありますけれども、このような制度のなかで、重度の訪問介護や補装具支給に相当する支援内容が介護保険のなかにない、あるいは適用されないという実情にあわない部分が出てくるわけです。この切り離しです。介護保険と障害者の問題、この保険の問題を切り離して、そういう方向性を関係者のなかからも指摘されているのですが、これらの状況と矛盾が町内にはないと思いますが、これらの状況や矛盾が、今後、出てくる可能性もありますので、それに対するお考えを伺いたいと思います。
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○議長(加来良明) ここで休憩いたします。
(答弁調整中)
○議長(加来良明) 休憩前に引続き会議を開きます。
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○議長(加来良明) 答弁を求めます。町長。
○町長(高薄 渡) 今のご質問でございますけれども、この言葉自体、疑問に思うところがたくさんあるんですけれども、サービスということについて疑問の法的なところもあるというふうに考えているところでございまして、障害者そのものにサービスという言葉があてはまるかどうかということです。サービスはあくまでも相手が利益を受けたり、何かをするようななかで、経済行為が働いて初めて供給する側としてオプションでサービスをするかたちが望ましいのですが、障害者の場合は、社会で働くことは非常に困難なわけでありますから、それを無理矢理そこから応益の負担を介護保険と同じようなかたちで取っていくということについて疑問が残る部分です。後期高齢者の話とちょっと似ていますけれども、一般の保険から後期高齢者医療保険をなぜ差別するんだということとは少し違いますが、分けたいというのが非常に強くみられます。福祉の今の状況になっているのかと、もう少し、先ほど言ったようにしっかりとした基本理念をもつのであれば、そこまで踏み込んだものの審議を望みたいと思っております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) まったくそのとおりだと思うのですが、現実、福祉と支援という問題、福祉として総体で捉えていかず、あくまでもサービスをしてあげる、支援をしてあげるという捉えかたが根本的に流れていると思います。例えば、そういうような骨格提言の問題に対するかかわりで指摘されたときに、現在の厚生労働大臣は法の目的や名称を含めて変えていくので、事実上、自立支援法は廃止しましたと国会で答弁しています。根本の問題、骨格の問題を残していながらそういう答弁をしています。その法の名称の違いというか、名称のなかにも現れていると思います。総合福祉法といって福祉として約束をしたこと、そのことがあくまでも支援という名前にこだわります。ここのありかたが問題だと思います。
そこで、この質問の最後になりますが、9月の定例議会で介護保険制度について一般質問で取り上げました。先日、十勝の町村会が介護保険制度自体の見直しを国に提言することを決めたという新聞報道がありました。私は、やはり町村会として、大きな前進として評価をしたいと思いますが、先ほど述べた介護との関連をもつ、今回の障害者総合支援法案ですので、十分なご検討のうえ、骨格提言に総意を関係機関や団体への働きかけを強く要請したいと思いますが、どうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) ご質問のとおり新聞で報道されました。私どもとしましては、今現在の法の下について問題点があると、また、ますますそれが複雑な方向にもっていく状況になる、財政的にも困難な状況に陥るということから、法整備を改正してもらうように運動・展開するということでございますので、そのなかにも今の障害者の新しい法律に踏み込んだなかで行くべきではないかと押さえておりますので、頑張っていきたいと思います。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 大きな2項目目の質問に移ります。
道の回答の問題も含めて、まずは広域処理に対するご見解を伺いましたが、広域処理について、放射性廃棄物との違い、こことのかかわりを明確にしておくことが必要だと思います。放射性廃棄物については、放射性廃棄物特別措置法がありますが、この法律を通して国は何をしようとして、何をしていくのかという具体的な部分がありません。この状況が法律制定以降、放射性廃棄物にかかわる状況が一向に解決していないために、広域処理に対する考えかたが混同していくという状況があるのではないかと思います。
私がこの質問をしたのは、その自治体にさまざまな条件で処理能力があるかどうか、そういう条件をまず置いておいて、国の法律ですので、法として各自治体に提起をした広域処理そのものについて、町長のお考えを伺いたいと思います。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 確かに一般廃棄物と放射性廃棄物質が含まれているなかの廃棄物は、おのずから違うわけでありますけれども、だからといって、広域そのものの言葉がどこまでの広域なのか、全国が広域としてやるのか、それは広域とはいえないのではないかと思います。
そういう意味ではなく、今の整理のしかたをしっかりしていくのが必要だと思います。それは、国のほうでも言っておりますけれども、一般的に、何ベクレル等々と必ず出ますので、結局それが誤解を生んでいる場合もございます。これは、普通の一般の処理物ですよというふうな分けかたをきちんとしていかなければ、受入れるところが、処理能力があっても受入れられないという状況が生まれるのではないかと思います。当町としては受入れ能力がありませんので、そういうことでお断りせざるをえないということでございます。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) その問題については、後ほども触れたいと思います。
2点目の道の問題です。道の回答と政府への要請の問題なのですが、受入れにあたって、苫小牧市はセシウム濃度1キログラム当たり100ベクレル以下と規定しています。道の「概ね」という文言を削除しているんです。この基準に「概ね」という言葉を入れること自体が誤解を生むのではないかという点から考えると、道民の理解を得る方向性からすれば、全く反対の方向になる心配があります。
もう1つは、搬出側・搬入側ともに基準を満たした場合のみ受け入れると、苫小牧市は表現しています。これも先ほどから取り上げている、岩手県、東京都、その他の例を考えて当然のことだと思いますが、問題はこの「概ね」という言葉でも代表されているように、3月の道議会で、放射線の遮へい対策については具体的な作業のなかで検証しながら進んでいるという言いかたをしています。
もう1つは、焼却炉のセシウム濃縮の指摘に対しては、焼却処理によって約17倍から33倍に放射能が濃縮するという答弁をしています。これらの問題、先ほども道が国に対して要請した問題とあわせて、具体的な解決方向、具体的に課題を明らかにする方向、そういう方向をまず明らかにすべきではないかと、そういうことが道民の理解を得る、道民が判断をしていく方向ではないかと思います。この点はどうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) ただいまのご質問は、その道の考えかたで、そこで議論されるわけですけれども、今の表現だと、放射性物質を一般廃棄物の分けかたをきちんと明確にせよということと、道民の理解を得るためには検証をしながら進めれば道民の理解も得られるのではないかというようなご質問のように聞こえますが、そうではないんでしょうか。
いわゆる、木村議員のご質問は、道民の理解を得るか、得ないかという問題ではないと押さえてよろしいのでしょうか。そのへんのことをもう少し詳しく教えてください。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 私の意見からすると、広域処理そのものは国全体で考えていかなければならない問題だと、そういうのが一つ目にあります。ただし、広域処理にあたって、具体的に各自治体がどう処理していくかということについての、国の施策が不十分ではないかと、その不十分さの1点目に、放射能汚染問題の解決の問題があり、もう1点目には、これは2点目の質問でお話しようと思いました。
例えば、がれきの発生量や中身、種類別あるいは燃えるごみなのか燃えないごみなのか、有害なのか有害ではないのか、それらの処理や処分方法、再生利用等、それから各自治体の処理能力がどのくらいあるのか、こういうことを国自体が明確に押さえたうえで、要請していくという方向性が必要ではないかと思います。その点をお聞きします。
○議長(加来良明) 木村議員。先ほど町長は、広域処理はやるべきではないという見解を出しております。本町は処理能力がないということを前提に、あとは風評被害等、農業を基幹産業としているということを、町長の考えとして出しております。考えを答えているのですが、国の考えをここで議論すべきかどうかということを踏まえて質問のしかたを考えてください。
4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 私も、今後の問題として、さらに国からの要請が道を含めて強まってくるのではないかということが1つあります。それは、このへんがはっきりしないと私も心配で質問をしているのですが、例えば、北海道の循環型社会推進課などによると、現時点では受入れに前向きな自治体は全道で25市町村で、市町村名の公表はありません。今後も引続き協力を要請していくということを言われています。
もう一つは、国有林活用の検討があります。これも調べさせていただきましたけれども、3つの条件があげられていますが、調べさせてもらった資料のなかでは、町の国有林についての適用する条項がないということで安心しました。例えば水源の問題だとか、伐採の問題など、安心はしましたが、今後、こういう方向性が強まっていったときに、最後の質問になりますが、新聞報道等によると管内的に格差があるわけで、市町村長の受け止めかたにも格差があるわけで、管内的にその格差を埋めていくお考えはないのでしょうか。先ほど風評被害の問題があげられましたけれども、北海道全体の地域でも風評被害の問題は大きいと思います。そういう点から考えていくと、がれきの問題は、自治体が判断する問題が基本なのですが、それだけでは判断しきれない、対応しきれない問題が出てくるのではないかということで、そういう方向性を管内的に検討・議論がされていくのかどうかということだけを最後にお聞きします。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 私が聞いている自治体間で、十勝で格差はないと思っております。したがって、私も前段で答えておりますから、どの町でも協力要請をしても物理的に無理だということを言っておりますので、ご理解いただきたいと思います。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 私も町の場合は物理的に極めて無理だと思います。そういう要素は客観的に見て明らかなわけで、今後の推移と方向性を我々としても考えていかなければならない状況というのがあるのではないかという心配から質問しました。その点で、最後に町長に一言お伺いして終わりたいと思います。
○議長(加来良明) 答弁を求めます。町長。
○町長(高薄 渡) とにかく、受入れないということでございますので、何が来ようと確たるものでいかなければならないと思います。
○4番(木村好孝) 終わります。