平成25年第5回定例会(6月20日_日程1_一般質問1)
○議長(加来良明) 日程第1、一般質問を行います。
順番に発言を許します。
4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 通告の2点について質問いたします。
1点目です。生活保護受給者の食費、光熱費などにあてられる生活扶助費の削減を盛り込んだ、2013年度の国家予算が成立し、3年かけて総額740億円の生活扶助費削減計画が8月から実施されます。9割以上の受給世帯が収入減に追い込まれ、月2万円以上も減らされる子育て世帯も生まれようとしています。そのうえ、受給者数を強引に減らすなどして450億円も生活保護費をカットする施策も盛り込まれています。
現行の生活保護法制定の1950年以降、基準の引き下げは2003年度0.9%、2004年度0.2%の2回行われていますが、今回の削減幅は、過去に例をみない大幅なもので、貧困世帯にさらなる貧困を強いる削減計画はすべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障した憲法第25条に反するものと考えます。
国民の最低生活保障基準である生活扶助費の引き下げによる影響は、受給者だけにとどまらず、町民生活全体に及びます。それは、保護基準が収入の少ない低所得者の暮らしを支えている、さまざまな制度の適用対象の目安として連動する仕組みになっているからです。
影響する制度は、最低賃金や就学援助、個人住民税の非課税限度額の算定、保育料や医療・介護保険料の減免制度など、厚労省の資料では38項目にも及びます。
就学援助については、3月の定例会の一般質問で触れていますので、今回は特に次の3点への影響について伺います。
1点目は最低賃金です。2点目は、住民税の非課税基準についてです。3点目は、住民税非課税世帯の保育料の3点です。
この質問の最後となりますが、政府は批判の広がりのなかで、「できる限り影響が及ばないようにする」としていますが、具体的な手立ては地方自治体任せで実効性の保障がないのが現状です。生活保護受給者が210万人を超えたことをもって、保護費制限と受給者減らしを実施しますが、200万人以上の命と暮らしを支える最後の安全網は、受給者のみならず、多くの町民生活に影響を及ぼすわけで、町民の暮らしと権利を保障していくうえで、その対応の方向について現段階でのお考えがあれば伺いたいと思います。
2点目です。生活保護費大幅カットの2013年度予算成立に続き、政府は生活保護法一部「改正案」と生活困窮者自立支援法を国会に提出し、2法案は衆議院で可決され、現在、参議院で審議されています。
現行生活保護法は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づきとうたっており、「保障される最低限度の生活は健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」と明記されています。
この現行生活保護法の本格的改定は1950年制定以降初めてですが、提出された案では、現行の基本理念並びに制度の根幹となっている「無差別平等の原則」「必要即応の原則」は、字面では何ら変えていませんが、中身はこの理念、原則を侵す内容となっています。
生活保護法一部「改正案」に関わってですが、1点目、保護の申請を、申請書の提出が必要な行為と義務付けた新たな規定を設けたこと。
2点目、福祉事務所への、扶養義務者に対する調査権限の付与、義務を果たしていないと判断した場合の扶養義務に対する通知の義務付け、これが改正の基本をなすこの内容について、町長の見解を伺います。
次に、生活困窮者自立支援法についてですが、この法案は生活保護の見直し並びに扶助基準の大幅引き下げと一体のものとして提出されています。内容の基本となっているのは、「生活保護基準を下回る仕事でもとりあえず就労を」というもので、生活保護からの追い出しが前提、あるいは各地で問題となっている「水際作戦」の手段となるのではと危惧されているのですが、この内容について町長のご見解を伺います。
以上、2点にわたっての質問といたします。よろしくお願います。
○議長(加来良明) 答弁を求めます。
町長。
○町長(高薄 渡) 木村議員の質問にお答えさせていただきます。
1点目、生活扶助基準引き下げによる町民への影響はいかがなものかというご質問でございました。そのなかでも、最低賃金、住民税の非課税基準、非課税世帯の保育料という3点のご質問をいただいたところであります。
ご案内のように、政府は平成25年から実施をいたしまして、3か年をかけて、財源不足という名のもとにいろいろと生活者の困難な状況にあるにもかかわらず、そのような体制づくりをしてきているというのも事実でございまして、私どもといたしましてもこの問題については、極めて遺憾なところがあると考えているところでございます。
このたびの生活扶助基準引き下げによる影響額については、厚生省で公表しているものでありますが、対応方針でございますけれども、最低賃金の記載がなく、まったく情報が届いていないというのが現状でございます。今後の動向を注意深く見守るしかないのが現状でありますけれども、私どもとしましては、この問題についての国と地方6団体の協議の場という、そういったものを活用しながら、この問題の内容についての問いをしていかなければならないかと思っているしだいであります。
現在、最低賃金には二通りございますけれども、産業別と地域別があるわけですけれども、どちらか高いほうを使うということでありますけれども、北海道の賃金につきましては、ご案内のように全国的に見ても低い状況にあるわけでございます。
そういった面から考えましても、最低賃金の改定ということも、私どもとしては強く要望をしているところでございますけれども、北海道が決められているということでございまして、現在は719円となっております。産業別のほうが高いので832円という状況になっているところでございます。
次に、2番目の住民税の非課税基準でございますけれども、地方税法に基づき、町税条例の第24条によって均等割を課さない範囲を決めているところであります。その限度額としましては、生活保護基準を勘案し、総務省令によります、定められているものであることはご存じのことと存じます。
本町は三級地ということでありまして、その基本額は28万円となっているところでございますが、今回の地方税法を所管する総務大臣におきましては、生活保護基準の改正を踏まえて、平成26年度以降の税制改正において検討していきたいという発言をしているところでございますが、現段階では、その基準が示されておりませんので、正確なご答弁は出ないということになろうかと思います。保護基準の改正をした場合に、パーセンテージによりますけれども、ご案内のように2003年には0.9%で、2004年には0.2%ということでありますけれども、これを相当上回るものということで、現在考えられているという予測はたつわけであります。基本額は28万円から26万円になるのではないかというふうに言われているわけであります。そうなりますと、非課税の37名ほどの方が新たに均等割の課税対象になっていくということで、そういった面で負担が多くなるということは間違いないわけであります。昨年の所得で均等割が3,000円を乗じた111,000円程度になるのですが、この額が生活するなかでは大変な重荷のことになりますし、非課税世帯を基準とする他の制度、ご質問にありましたように、保育料や医療、介護保険料、こういった面でのかかわりのなかで影響が大きくなるということになろうかと思います。
次に3点目です。保育料はどうなんだということでございますが、現在、本町では本年度の非課税世帯の24世帯33人が該当することになっております。そのうち10世帯はひとり親ということになろうかと思います。また、二階層に分かれているなかで、障害者を持っている方もそのなかに該当することになりますが、この保育料については、あくまでも前年度の市町村民税の非課税が二階層に該当するということでありまして、残り24世帯のうち14世帯のうち本年度、課税世帯に変更になった世帯は4世帯あります。来年度は三階層以上に該当するということになります。本年度非課税世帯に該当しました10世帯は、来年度の非課税でも二階層に該当しますし、仮に28万円から26万円に変更になった場合でも二階層の状況になりますので、変更はないとみているところでございます。
次に、引き下げによる町民への影響はどうなっていくのかということでございますが、現段階のなかでは、3点で答弁させていただきましたように、国が示した生活扶助基準の見直しにより、段階的な改正等は影響が多いということから、私ども地方6団体と国との協議の場を踏みにじっているということで、強く全国町村会では要望をしているところでございまして、納得しかねる、そういう考えかたでおります。
次に、2点目の生活保護法一部「改正案」と生活困窮者自立支援法についてでございます。
今回の件につきましては、この法案というのは見直しで大幅な引き下げと一体のものとして提出されているものでありまして、先ほど議員ご質問のように、とりあえず就労をというものでございまして、保護法からそういったものが追い出しの状況等をつくられてきているのではないかということでございまして、その申請の提出の行為の義務付けについて、書面を提出しなければならないとされておりますが、北海道の施行細則に則っており、私どもとしましても、道の細則に則ってやっているというところでございます。これについては、改正後において各種の調査について法に基づき実施するのであれば、申請に際しても保護の決定に必要となる事項を明確にするという法制上の整合性を図るための改正だということをお聞きしているところであります。先に申し上げましたように、書面を提出して行うということになるのですが、このものの取り扱いは変更しないと、内容については変更しないということで、今のところなっているようでございます。また、資産や収入の状況につきましても、従来から提出を求められておりまして、新たな資料の提出ということはお聞きしていないという状況にあるということで、大きな変更はないのではないかという予想でございますけれども、そういう考えかたであります。
次に、福祉事務所への調査権限付与の問題でございます。
調査権限の付与についてでありますけれども、扶養義務者に対して報告を求めることができるということになっておりまして、求めることができるので、求めない場合もありえるのかということになるわけでございます。この場合、内容は従来通りの調査をしているわけでありますけれども、信頼性の、現在のなかでは、新聞でも何人かのそういう報道がありましたけれども、適正になっているかという内容ではないかと思っております。
次に、扶養義務を果たしていないと判断した場合に対する通知の義務付けでございますが、この通知の対象になりますのは、明らかに扶養が可能と思われるのに、扶養を履行していないという場合に、この義務付けになるわけでありますから、これらは限定的な場合に限られるものというふうに予測されるところであります。詳しく先ほども申し上げましたように、まだ示されていないという状況にありまして、今後の国のこういったものの動きに注視をしていきたいと思っております。
最後に、生活困窮者自立支援法でございます。
このなかでは、4つほどございまして、社会訓練、生活していくなかでの社会訓練と就労支援の創設をするんですよと、あるいは職を失った方々に対する家賃相当を有給で支給しますと、あるいは生活困窮家庭の子どもへの学習支援、これも行います。相談事業は当然でございますけれども、この4つが盛り込まれているわけでありますけれども、自立までの生活をサポートしていくということではありますが、果たして実行してそのようになっていけるのかどうかということを危惧しているところであります。いずれも平成27年に施行が予定されておりますが、これについても情報が入ってこないというなかでは、我々としても動きがわからないというなかで模索するということは困難状況にあるわけでありますけれども、近いうちにこの部分について情報を出していただくように、求めていかなければならないし、厚労省としてもそういったものの説明を都道府県単位の説明会等々があるのではないかと、そのうえでの私どもに詳細が来るのかと思っております。
いずれにしても、先ほど前段で申し上げましたけれども、このたびの改正案につきましては、私としては納得できるものではないと理解しなければならないと思うしだいでございます。よろしくお願いいたします。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 全体的に2つの法案について、町長の基本的な見解を伺ったわけですけれども、1つ目の生活保護法の問題に移る前に、今あげられた今回の扶助費削減の影響について、何点か伺いたいのですが、1つ目の最低賃金の問題です。
具体的に現在のところ明らかになっていないので、予測の段階だと思うのですが、北海道の基準でいえば、北海道・宮城・東京・神奈川・大阪・広島の6都道府県が昨年の賃金額の改定で下回っているという状況です。問題になるのは、この最低賃金法の改正、2008年7月に施行されていますけれども、地域別最低賃金は生活保護にかかわる施策との整合性に配慮するというのがあります。これは町長が言われたのですが、だとすれば生活保護を下回らない水準とするという厚労省の通達もありますけれども、そういう連動性を法的に持っているということで捉えてよろしいでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 文言上はそういうようなかたちで捉えております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) そこで従来、下回っていると厚労省が発表したのが6都道府県にとどまっているのですが、生活保護との逆転解消を狙っているわけですけれども、実際の資料を見ますと、最低賃金を実態よりも高く算定して、生活保護費を少なく見せる意図的操作というのが5点にわたって行われております。具体的にはあげませんけれども、例えば、生活保護に設定されている、働くために必要な勤労控除が配慮されていないだとか、労働時間の算定で最低賃金を実態よりも高額に見せる数字のトリックを使っているだとか、この5つの問題点は、現在、神奈川県労連が裁判中でありますので、明らかというよりも裁判中で論議をされている問題だと判断していいのではないかと思います。生活扶助基準の引き下げは最低賃金を実態より高く見せて、引き下げの条件を抑えることにつながるわけです。先ほどの法的な連動性との関連でいえば、どうしてもここのところに手が加えられていくというか、最低賃金が抑えられるということが生じてくるのではないか、ということは、現在、非正規の労働者やパートの労働の人々が最低賃金の生活を行っているのが主なんです。そういうなかで、そういう状況をより悪くしていくのではないかと危惧されるんですがどうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 木村議員のお話しているとおりではないかと存じているところでございます。
北海道の最低賃金が低いということでございますけれども、実態はどうなのかということになると、地域別最低賃金と産業別となりまして、産業別のほうが高くしているわけです。結局、平均を取ると高いということを数値として出している、したがって、生活保護よりも高いということで、実態は低いわけでございまして、むしろ生活保護を下げるよりも最低賃金を上げなければ、就労していくなか、生活していくなかで大変だということで、幅が719円あるいは780円と、特に私どもの農村工業、農産物を製造していく、生乳の処理をしていくだとか、乳製品の製造業とこういったところは781円になっております。鉄鋼の場合は832円と高いです。この3つ、832円までですから、この3つを平均してしまうと高いということになりかねないかたちのなかで動いているのではないかという予測でございますけれども、そんな思いもしております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 次に、住民税の非課税基準への影響なのですが、先ほど町長もおっしゃいましたけれども、多制度に生じる影響に対する厚労省の基本方針、その1点目の非課税限度額は影響が生じる14年度以降の税制改正で対応すると、2点目は、非課税限度額を参照している者、例えば、医療保険等の自己負担限度額軽減などは税制改正を踏まえて検討するという基本方針を打ち出しています。検討するということは従来の方法から見てみますと、税制改正で基準に影響を及ぼすことを前提としていると解釈せざるを得ません。こういう点でいえば、基準の引き下げで要保護者への移行が進められますと、準要保護にランクが下がっていくと、地方財政負担増に直結する不安を感じるんですが、そのへんはどうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 今のお話ですけれども、今、多方面にわたりまして生活保護の問題に向けて基準の問題について影響がかなり出てくるわけでありまして、税制の面でも相当変更がなされるようになるかと思うわけであります。そこで私どもが注意しなければならないのは、地方の負担を求められるということになると、これは私どもとしても支援してもらわなければならないと、こういうかたちになるわけでありまして、このへんについても、真剣に取り組んでいかなければ、国からの強い姿勢で求められて、負担になるということは大変なことですから、さまざまな分野で、全国町村会と町長と国との代表役員がやっておりますけれども、その内容を見ますと、そういう戦いをしているということでございますので、私どもとしても同じような考えかたでおりますので、進めていかなければならないと危惧しているところであります。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 私も詳しく調べていくことができなかったんですが、保育料への影響についてお伺いいたします。
保育料の免除にかかわる階層区分、先ほど町長のほうから具体的な数字が出ていましたけれども、保育料の徴収金で、保育料基準額表の階層区分というのが国の基準としてあります。それが第一階層から第八階層まであったと思います。特に国の基準でいえば第一階層が生活保護受給世帯等ということになって負担がなしと、次の第二階層は市町村民税非課税世帯が第二階層という位置づけがされているんですが、町の基準でいくとA階層という区分が今回の保育料の免除のなかでの資料で載っていましたけれども、このA階層というのは、確認しますが、第一階層、第二階層でよろしいのでしょうか。
○議長(加来良明) 子育て支援課長。
○子育て支援課長(細野博昭) A階層につきましては、生活保護世帯、いわゆる第一階層ということでございます。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) そうすると町の場合は、現状においても第二階層の者は特に困窮していると、市町村長が認めた世帯については無料にすることが可能となっています。それで心配するのはこの階層への配慮が特に必要になってくるのではないかと心配しているのですが、このへんはそうでしょうか。
○議長(加来良明) 子育て支援課長。
○子育て支援課長(細野博昭) 現行におきましても、保育料の前年の所得等々に応じて負担をしていただいておりますけれども、そのなかで、特に生活困窮といいますか、保育料の納付が困難な世帯につきましては、相談に応じて必要があれば、階層の表とは別に減額あるいは免除という制度がございますので、引き続きそのような世帯があれば相談に応じながら、子どもに影響がないようなかたちで対応していきたいと考えております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 1つ目の質問についてはわかりました。
大きく2つ目の質問に移りたいと思います。
生活保護法一部改正案に関わってなのですが、先ほど町長のご答弁のなかにもあったのですが、社会保障審議会の特別部会でもここの部分は議論されていません。生活保護費の削減が目的ではないかということで、これまで違法であった水際作戦、裁判でも論議されておりますが、これが全国各地の福祉事務所でさまざまな理由をつけて、現在でも申請書を渡さない行為があげられています。具体的にいえば合法化するということではないかと思います。というのは、改正案では第24条の1項で申請書を提出しなければならないときちんと明記されています。記入項目も収入、資産や就労、求職活動、親族の扶養などと具体的に示されていますし、申請書には生活保護の要否決定に必要な書類、通帳、給与明細書等の添付も必要ということが第24条の2項にあるということは、確実に書類提出をしなければならないということではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○議長(加来良明) 答弁を求めます。保健福祉課長。
○保健福祉課長(中島弘志) 先ほど町長が答弁しておりますけれども、現在も申請の扱いについては、道の生活保護法施行規則に則って申請書の提出をいただいているところでありますので、これが法制化されたとしても大きな変更はないものと考えております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 管轄というか範囲が道段階で論議をされるというのは、法的にもよくわかります。しかし、実態上、生活保護を受けるのは一人ひとりの町民なんです。そういう面でいえば、具体的に道の段階で、現在は違法な行為まで進んでいるわけですから、それが合法化されるということは非常に大変な、申請を拒否する段階を強めていくことになりませんか。
○議長(加来良明) 答弁を求めます。保健福祉課長。
○保健福祉課長(中島弘志) 法制化するということでハードルが高くなるのではないかというご質問だと思います。
今、生活保護法というのは現在のアバウトな表現と言いますか、詳細まで記載がなかったので、取り扱う福祉事務所のそれぞれのルールみたいなものもあったと聞いております。今回の申請書については、法制化して、それぞれの地域のルールみたいなものは用いてはいけないというような意味合いで法制化されたものと考えております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 現在までに行われた札幌の例をあげるまでもなく、3回も足を運んでいて、それが申請を受け付けすることができなくて餓死したという、姉妹で死んだという、最近も大阪でありました。そういう水際作戦自体が合法化されるということは、福祉事務所の判断というものは非常に重要になってくるわけです。その判断任せにしては、現在のところの状況から見るといけないのではないかという意味で質問をしているわけですが、次に移ります。
福祉事務所の扶養義務者に対する調査権限の付与の問題と、義務を果たしていないと判断した場合の扶養義務に対する通知の義務付けです。これは、現行法では、親族による扶養は生活保護を受けるための要件となっていないということなります。子どもさんに親が仕送り等の扶養が行われた場合には、その分を保護費から減にしていくという方法を取っているんです。ところが改正案では、「親族の保護の開始を通知しなければならない」これは第24条8項に載っています。なぜ扶養できないか、親族に報告を求めることができる、これも第28条2項に載っています。親族の収入、資産などの情報も官公庁や日本年金機構、銀行、勤め先などに資料提供や報告を求めることができると、第29条1項に載っています。
そういう意味でいえば、扶養義務者に対する調査権限というのがきちんと法的に福祉事務所に付与されたと解釈していいのではないかと思うのですがどうでしょうか。
○議長(加来良明) 保健福祉課長。
○保健福祉課長(中島弘志) 先ほども述べましたが、それぞれの福祉事務所において、それぞれの事務所の取り扱いのルールみたいなものがあったと聞いております。それを今回の改正で統一化したものと考えております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 解釈の問題というか、まだ法になっておりません。参議院を通過していないのですが、そういう危険性があることが法的に明記されているというふうに共通理解をしていきたいと思っております。
次に行きます。これらの問題で、扶養義務者に対する調査権限の付与だとか、そういう水際の部分での強化、これが国連の社会権規約委員会の勧告に違反するんです。5月17日に日本政府に対して国連社会権規約委員会が勧告しています。その内容は、日本の年金、無年金の高齢者の間の貧困の広がりを問題にして、年金改革で高齢者の年金受給がないままに放置していることを改善していく必要があるという、また、国の年金制度のなかに最低保障年金を導入するように求めております。先進国のなかでこの部分の遅れを取っているのが日本ですから、このへんの指摘が国連からもなされたんだと思います。これは2001年に続いて2回目です。生活保護についても申請手続きの簡略化、申請者の尊厳を守った対応の確保、生活保護を求めること自体が施しを受けるようで恥なんだという感覚の根絶、勧告の国民への周知をしなさいということが、今年の5月17日に日本政府に対して勧告されています。
そうすると、国際的にも今回の法改正の方向性は逆行するのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 内容的にレベルの高い内容の質問でございますので、なかなか町民との実態はどうなのかということのほうが、私としましては非常に関心のあるところであります。木村議員も恐らくそうだと思うんですけれども、私としましては、これくらいの町のところでございますので、実態は私たちが見るよりも近所の方々のほうがよくみていてわかっていることでありますし、福祉事務所ではなく振興局の福祉課というかたちになるわけでありますけれども、それは共に、一緒にいろいろな状況のなかで判断をさせていただくということで決定権はそちらにありますけれども、事情をお話しすることは十分しておりますので、身近な問題としては相談で法的以上のことにも取り組んでいるということで、もし仮にそうあったとしても従来どおりのなかでいきたいと思います。
特に申請については限度ということがありますので、その限度はどの限度かということがございますし、報告をしなければならないという義務ではなく、求めることができますので、その範囲であれば求めなくてもいいということになるわけでありまして、そのへんも解釈がどのようにしていくかという細かなことがきておりませんので、我々としても注視しながら議論をしていかなければならないとこのように思っております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 先ほどからくどいようですけれども、法にないことまで行われているのが法化されるわけですから、より強化されるということは間違いないのではないかと思います。
次に、生活困窮者自立支援法案に関わってなんですが、保護を受けているから劣悪でもいい生活賃金、あるいは勤務条件がそういう就労を強いる危険性がないだろうか、就労による自立支援という方向性のなかで、定額であっても一旦就労をしなさいと、これを基本的な考えとすると厚労省が言っていますが、このへんについてはどうお考えでしょうか。地域の就労体系にも関わることなので、よろしくお願いします。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 今の問題ですけれども、就労を強いるのではないかと、心配されるところでありますけれども、そこまでしていくのには実態を把握していないとそこまで行けないのではないかと思いますし、また雇用する側のほうにとっても、そのことを理解したうえでこの問題にあたっていかなければならないのではないかと思います。就労される側にとっては弱い立場でございますから、その弱い人達のことを考えながら事業者には、そういった徹底したものの労働基準を踏まえてしていただくように強く求めていかなければならないだろうと思います。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 今、町長のお答えのなかにもありましたが、受け入れる事業団体、この支援事業を受ける事業者や団体の資格基準が示されていません。そこで、先ほど危惧したような低賃金、劣悪な勤務条件をあげたんです。というのは、今、問題となっているブラック企業と指摘されている企業がいくつか問題になり、そういう企業が増えています。5つの特徴が働く人達のなかからあげられています。1つは酷使をする、簡単に首を切る、賃金を搾取する、嫌がらせの多発、極端な精神主義の押し付け、こういうものが生活保護を受けている、働ける年齢層、その人達にとりあえず仕事をすることの強要、それからニートや引きこもりなどを対象にした中間的就労の創出として、就労訓練、雇用型と非雇用型の2種類があり、非雇用型では最低賃金の提供がないんです。先ほど勤務条件の問題をあげられていましたけれども、それらの問題を守る労働基本権を守る基準自体が定まっていない、侵されているなかで定まっていないというのが現状なのではないかと思います。このへんはどうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 木村議員のご質問の内容のとおりだと思います。それぞれの企業の実状に任せていてはだめだということになろうかと思います。一定の最低のガイドラインをつくったなかで、国として、北海道として示していくべきであるし、私どもも要請をしなければならないと思っております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 来年度からさまざまなかたちで実施されていくと思うのですが、地域において、町の行政のほうで各事業団体その他との交流を深めながら本来の趣旨が生きる、雇用条件の拡大につながるような手立てを十分に組んでいただきたいと思います。
この質問の最後になるんですけれども、相談支援の事業について質問します。
必要とする人の生活保護の利用が増えることを前提とすれば、この案の相談支援窓口が増えていくということは歓迎したいことなんです。ところが、現在、ケースワーカーの配置基準は、町村でいうと65世帯に1人、市でいうと80世帯に1人という基準になっているんですが、道の直轄の町村では11人、札幌市を除く34市では74人が不足しています。このケースワーカーの補充条件の確立が先ではないかと思うんです。というのは、生活保護法の第24条で、申請があった日から14日以内に生活保護を開始するかどうかを、申請者に書面で通知するということになっているのですが、江別市の例でいうと、昨年4月から今年2月までの保護法開始決定178件のうち、通知の決定が14日を超えていたものが99件、3週間を超えていたものが3件にもなっています。つまり、ケースワーカーの不足、このことが大きな生活保護受給の保障のネックになっているのではないでしょうか。このへんの改善をなくして法改正はあり得ないと思うんですが、どうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) ケースワーカーについては、今始まったことではないと思います。私も福祉をやっていたときから足りないと思っていました。
今まで、ケースワーカーの増員・拡充を要請活動のなかに求めたことはありません。これを機に一番近いのは十勝の町村会でありますし、活性化期成会になりますので、そういう面での構成部会で委員会がありますので、そちらのほうで議論をしていただくように求めていきたいと思っております。
○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。
○4番(木村好孝) 質問の最後になりますけれども、6月17日の新聞報道のなかで、100人を超す大学研究者が緊急共同声明を発表しています。それは生活保護法の一部改正にかかわる法案を、すべての人々の生存権に対する深刻な攻撃と強く批判をして、廃案にすべきであるという声明を出しています。特に、ひとり親世帯の貧困率が加盟国35か国中30位、OECDの加盟国です。その先進国といわれている30か国の国のなかで一番最後なんです。こういうなかから改正案の廃案を求めるべきだし、先日、釧路弁護士会も水際作戦の合法化は命に直結する問題だとして廃案を求め、自治体市長など90か所に会長声明を送付する、そういうふうに声明を出しています。
地方自治体にとっても必要なのは、国連の勧告に基づいた改善、これであってケースワーカー等の増員などの実情に合わせた、住民の願いに則った対応をすべきであると思うんです。そのことが少子化問題や貧困連鎖を解決していく道筋ではないかと思うし、地域にとって福祉と教育、子ども達の対応に充実した行政がなしえらえるのではないかと考えます。どうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) そのことについて感銘するところでありますし、今後も福祉のさらなる充実ということを考えていくならば、最低の生活ができている状況でなければ住んでよかったということにならないと思いますので、そのへんの対策を進めていくように協議を重ねていって、国への要望等々があれば、それはそれとしていかなければなりません。町でできるものは町でしていきたいと考えております。
○4番(木村好孝) 終わります。