北海道清水町議会

北海道清水町議会

平成26年第3回定例会(3月13日_日程3_一般質問2)

○議長(加来良明) 一般質問を続けます。4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 私は通告しました教育にかかわる3項目について質問いたします。
 まず、全国学力テスト体制と教育現場の現状についてです。
 日本が子どもの権利条約の158番目の批准国になってから今年で20年目を迎えます。2010年国連子ども権利委員会は3回目となる日本政府への最終所見、懸念や勧告を発表しています。91節にも及ぶ内容ですが、特に権利条約29条に基づき、過去2回にわたって高度に競争的で子どもの発達にゆがみをもたらしていると指摘された教育制度に、これまで以上に厳しい懸念を表明しています。「学力の優秀性」だけを追求する教育ではなく、人間の全面的発達をめざす教育のなかに学力形成を位置づけ直すことを強く求めています。
 全国学力テスト体制は、教育委員会や学校が毎年文科省が実施する2教科の結果をもって評価され、成果を上げる対策をたてることを求められる体制となっており、子どもの発達保障という教育のあり方をゆがめ、高度に競争的な教育制度の改善を求める、国連子ども権利委員会の勧告に背くものとなっています。
 学力テスト体制が教育現場をゆがめている状況の例ですが、結果トップの秋田県では、授業を潰して徹底的に過去の問題、通称「過去問」というそうですけれども、その練習を行っております。埼玉県では過去問を何度も繰り返し練習させる、佐賀県では予想問題が県から出され、授業中に2回は行うよう指示されているということです。これら学テ対策として過去問や同傾向の問題をドリルとして繰り返しやらせる事例が各地であげられています。子ども同士の自発的な競争はあり得ることですし、否定するものではありませんが、地方自治体の首長や教育行政の強い要請ですから、当然、点数が低い学校では対策が強く求められ、予備テスト・事前テストなどのテストが繰り返し行われ、点数を上げるための不正の広がりがおき、「田植え」や「ドーピング」という不正をさす学テ用語まで生まれています。
 例えば、大阪府寝屋川市のある小学校では、始業式の翌日から学力テスト前日まで過去問をやらせるなど、国語と算数の毎日2時間ずつテスト対策の授業を行っています。テスト当日、特定の子どもを別室で指導し、平均点に反映させないなどの措置まで起きています。このような学力テスト体制の状況のなかでの結果公表のありかたですが、文科省はこれまで学力テストの結果は、学力の特定の一部分で、学校における教育活動の一側面にすぎないとして、序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮する必要から、市町村教育委員会の学校別の結果発表を禁じてきました。しかしながら、鳥取県教育委員会は93.7%の県民アンケートの非開示意見にもかかわらず、県議会の開示を求める決議可決のため、非開示方針の転換をし、開示方向を打ち出しています。また、静岡県では平均点上位の小学校長名の公表を行うとし、大阪市では学校別平均点の公表の実質義務化を決めています。これらの先取りを受けるかたちで、文科省は昨年11月29日、平成15年度の全国学力テスト実施要領を公表し、市町村教育委員会が自ら設置管理する学校の状況について、それぞれの判断において公表することは可能とし、さらに、都道府県教育委員会が市町村教育委員会の同意を得て、市町村別や学校別の結果を公表することを認めるとしています。学校別結果の公表は文科省の全国学力テスト実施にあたっての説明破綻を自ら認めたものであり、学校の序列化・点数競争をさらに激しく、教育を一層学力テスト対策偏重でゆがめ、豊かな学力の形成を妨げるものと考えます。
 質問ですが、清水町の学校においては例にあげたような事例はないと考えますが、町の学校の学力テスト対策の状況と教育委員会の指導のあり方について伺います。特に、学校の総合的な教育活動の計画である教育課程への影響について伺います。また、全国学力テスト結果の学校別公表については、先の口田議員の質問で、見解と理由を伺っておりますが、過度な競争につながるのではないかという危惧も表明されております。また、全道的な広がりのなかで検討せざるを得ない状況も生じないかどうかという危惧も致します。それらのこともあり、今後の方向についてもう一度確認のためご説明願いたいと思います。
 2項目目の質問です。
 教職員の超過勤務の実態と改善について伺います。
 国連子どもの権利委員会は、過去2回にはなかった驚くべき数の子どもが情緒的幸福度(充足感)の低さを訴えているとの、新たな指摘を行っております。なぜ幸福だと感じられないのか、その決定的要因が子どもと親及び子どもと教師との間の関係の貧困さにあるとし、人間関係の貧困の背景の親や教師、子どもに接する大人の困難に対する具体的施策に触れて指摘し、その変更を勧告しています。
 昨年11月、全日本教職員組合が発表した勤務実態調査2012によると、回答6,879人中85.5%の教師が、長時間労働が深刻だと回答、厚労省が過労死ラインとして示す月80時間の時間外勤務を3人に1人が行っています。学校種類別では中学校教員の残業時間が最も長く、月100時間以上40.8%となっており、土日のうちのどちらかは部活なし、週1回は活動ナシなどの指針を設けている教育委員会や学校もあるほどです。求められたらやってあげなきゃと思うのが教員、そこにやりがいもあるが、何らかの歯止めがほしいとの声が多数意見としてあげられています。
 教師の実勢ややりがい、働きがいを求める精神に由来するのではなく、そこに乗っかっている時間労働をせざるを得ない教員の職務形態の構造的な問題があると考えます。小学校では学級規模別にみると、校内でのみの月平均残業時間は25人以下の学級では64時間4分、それ以上だと75時間10分から78時間8分になっています。1日の平均授業時間が5時間7分で、中学校は3時間47分、授業時数確保で小学校2年生でさえ6時間授業があるという現在、子どもが帰るのは午後3時半くらいになりますから、休憩時間も取れないことになります。
 1点目の質問ですが、町内の教職員の超過勤務実態について把握されていらっしゃる状況でよろしいので、どのように把握されているのか伺います。
 現実問題として放課後に部活動をやっている中学校で、職員会議や校内の分掌会議や研修がいつ開けるのか、学級担任制がしかれる小学校で授業準備はいつ行われるのかがあり、必然的に勤務時間外とならざるを得ないわけで、教師個人の資質能力水準では、説明しきれない状況にあるわけです。調査では、教師が減らすことを求めている仕事の一番は書類作成事務、アンケートでは33.2%になっています。組織マネジメントや責任・責務の名のもとで書類作成で本務が圧迫されているわけですから、それは非効率的であり、本末転倒な状態と言わざるを得ません。
 2点目の質問ですが、書類作成事務の見直しは勤務実態の把握とともに、教育委員会と学校長の判断で改善可能な部分が多いと考えますがどうでしょうか。教育の現場では職務量と勤務時間の総量規制が強く求められ、社会的にも問題となっていますが、その条件整備には文科省はもとより、道・管内・町段階での協議が必要となります。根本的な解決は少人数学級の推進と教職員定数の抜本的改善、さらに、「公立の義務教育学校等の教職員の給与等に関する特別措置法」給特法の改正という国段階での取り組みが必要となります。しかしながら、子どもと直接向き合うという学校教育の基本にかかる時間の確保は、人間関係の貧困克服の面でも教師のバーンアウトや過労死を防ぐうえでも、振替休暇を取れる実質的な体制づくりは可能であるし、必要と考えます。
 3点目の質問ですが、振替休暇をきちんととれる職場づくり、そのための合意づくり、それを支える指導助言に継続して教育委員会が取り組む、また、振替休暇取得を可能とする範囲内での教職員配置は、人件費の大幅増がなくても可能なので、管内的協議を進め、道・国への検討要請を行うなど、先送りしなくても可能なことから着手すべきではないかと考えますが、どうお考えか伺います。
 3項目目ですが、土曜授業の検討にかかわってです。
 学校5日制が完全実施された2002年以降、原則休日となった土曜日に授業を行う「土曜授業」を、月1・2回の割合で実施する学校が東京都をはじめとして全国的に広がっています。
 実施のねらいは、1つ目、授業参観などを保護者が参加しやすい土曜日に行い、地域に開かれた学校づくりを進める、2点目、授業時数を増やし、学力向上につなげるなど、文部科学省令の「特別な必要のある場合」は土曜日でも授業できるに基づいて実施され、12年度の公立実施校は全国の小学校の8.8%、中学校の9.9%となっています。
 文部科学省は土曜授業実施の広がりと、特別な必要のある場合の見直しで、2013年11月、省令改定を行い、教育委員会の判断で実施できるようにしました。この改訂に基づき、新聞報道によると、道内では179市町村中33市町村教育委員会が4月以降の実施を検討しているとのことです。4月から月1・2回の土曜授業実施方針の小清水町教育委員会は、正式な教育課程として土曜日に授業を行い、子ども達の基礎学力を高めたいとしています。
 1点目の質問ですが、町教育委員会としての土曜授業の実施にかかわってのお考え等、検討されているのであれば検討の方向について伺います。
 2項目目の質問の勤務の問題とも関わるので伺いますが、道教育委員会は実施に向けて、実施検討の33市町村教育委員会の多くが、教職員の振替休日の取得を実施する上での課題としてあげているために、実施の後押しをするため、教職員が土曜日の振替休日を取りやすくするため、制度変更の検討をするとしています。
 現在の道人事委員会規則では、土曜日出勤の振替休日は原則事前の4週間か、事後の8週間のうちに取得することが定められています。これを規則にとらわれず、夏・冬休みに振替休日をまとめて消化できないか、道人事委員会と協議をし、決定したと伺っています。
 2点目の質問ですが、教職員の勤務の現状から、道教育委員会の振替休日の規則にとらわれず夏・冬休みのまとめ取りについて、どのようにお考えか伺います。
 各市町村教育委員会の土曜授業実施の検討の理由は、行事等を土曜日に実施し、平日の科目授業時数を増やし、学力向上を、また、平日の長時間授業を解消し、時間割に余裕を持たせるという意見で、学力向上の名のもとで、学習指導要領の改訂により、教育現場は授業時数の確保のための子どもや教師の負担状況の大変さを反映しています。検討しない理由としては、地域によって義務教育の状況が異なることの懸念や、土曜休日の検証の不十分さ、学力向上のためなら35人学級の実現のほうが効果が大きいとの意見となっています。町教育委員会として、土曜授業のあり方を今後検討せざるを得ない場合は、教育行政執行方針の教育理念、実践目標を踏まえた「心かよわせ、互いに響き合う感性豊かな教育」の推進を基盤に、学校教育における人間関係の貧困という子ども達の置かれている状況を踏まえた検討が必要と考えます。
 3点目の質問ですが、土曜授業のあり方について、今後検討が必要となる場合、子ども達にとって余暇や遊びが総合的な人間形成力を持っていることを押さえた、国連子どもの権利条約31条、「休息・余暇・遊び」の権利の視点からの検証を抜きにはできないと考えています。どうお考えか伺います。
 以上、3項目についての質問といたします。よろしくお願いします。

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○議長(加来良明) ここで休憩とします。

○議長(加来良明) 休憩前に引き続き会議を開きます。 

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○議長(加来良明)
 一般質問を続けます。木村議員の質疑に対する答弁を求めます。
 教育委員長。

○教育委員長(三澤吏佐子) 1点目、全国学力テスト体制は教育現場をゆがめているのではというご質問についてお答えします。
 教育委員会といたしましては、全国学力学習状況調査の結果を受けて、速やかに分析を行い、学力向上支援プランを作成し、さらなる指導方法の工夫・改善を各学校に指導しています。これらはすべて学習指導要領に基づいて実施している授業の改善を図り、学びの質を高めるうえでの取り組みであります。したがって、この全国学力学習状況調査が学校の作成した教育課程に影響を与えるものではないと考えています。
 次に、学校別の公表につきまして、先ほど口田議員の質問でも申し上げましたとおり、教育委員会といたしましては、この調査はあくまでも学力の特定の一部であること、学校における教育活動の一側面にすぎないことなどを踏まえるとともに、学校間の序列化や過度な競争につながらないようにすることとし、各学校では説明責任を果たすうえで、調査結果を分析し、成果と課題、今後の改善策を地域保護者にお知らせをしております。したがって、これ以上の学校別の公表は考えておりません。
 次に、ご質問の2点目、教職員の超過勤務の実態と改善についてのご質問にお答えいたします。
 町内の教職員の超過勤務の実態について、個別には把握しておりませんが、平成20年度に北海道教育委員会が実施した実態調査において、教職員の時間外勤務の業務内容として小学校においては、教材研究、指導計画、学校行事が多く占め、中学校においては、部活動、教材研究、指導計画が多く占めている結果が出ています。平成21年度には、北海道教育委員会から教育職員の時間外勤務の縮減に向けた取り組み方策が示され、本町においてもこれに基づき、業務が特定の教職員に集中しないよう業務連携の工夫、会議の効率化、時間外勤務等縮減強調週間、定時退勤日の設定など具体的な取り組みを進めてきたところです。また、書類の作成につきましては、学校、教育委員会ともに事務処理の効率化、簡素化を図るように努めています。
 次に、振替休暇の取得についてですが、現在、清水町教育委員会が独自に小学校特別支援教育支援員、小中学校特別支援学級支援員、小学校少人数指導教諭、小学校指導助手、小学校英語活動講師、さらに心の教育相談員を学校に配置しており、町内の小中学校においては、振替休暇の取得は取れる職場環境になってきていると考えています。
 次にご質問の3点目、土曜授業の検討にかかわってのご質問にお答えいたします。
 学校週5日制が定着するなかで、清水町の多くの子ども達は、学校・家庭・地域のなかで、さまざまな活動を行っているものと考えています。土曜授業を実施することで充実した土曜日を過ごしている子ども達にとっては、自分なりの主体的な生活スタイルに支障が出ることも懸念されます。また、教員の勤務体制の調整等の課題もあり、現時点では実施する考えは持っておりません。今後、土曜授業の実施について検討する場合には、導入についての基本的な考えを明らかにして、学校や保護者の理解を得るとともに、子ども達にとって最も良い方法を考えていきたいと考えています。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 1点目の全国学力テスト体制の問題なんですが、道教委が本町の学力対策の状況と教育委員会の指導に関わっての質問に関連するのですが、道教委は2011年から14管内別の平均正答率を公表しているのですが、それに基づいて、2012年度に管内の全小中学校が個別目標を設定したと伺っています。学校課題や例えば正答率7割以上など、具体的な数値目標等を掲げた内容の設定となっているのかどうか、そのことについて、お伺いしたいと思います。

○議長(加来良明) 答弁を求めます。教育長。

○教育長(伊藤 登) 学力調査の関係で、下位層の部分がありますが、その部分について70%まで引き上げようという、そういう取り組みはなされております。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 続いて、道教委がウェブ上で発信するチャレンジテストにも、全校が参加し、学校ごとに順位を把握して指導に役立てていると、十勝教育局の説明にあるわけですが、町内の各学校でも行っているのかどうか。
 もう1点は、チャレンジテストの内容を私は見たわけではありませんけれども、先ほどの一般質問のなかで触れたように、ドリル形式になっていて、それの繰り返し等の内容になっているのかどうかについて、伺いたいと思います。

○議長(加来良明) 学校教育課長。

○学校教育課長(菅野靖洋) チャレンジテストにつきましては、町内4校で実施しております。これにつきましては、児童生徒の学力の向上のためにということで、実施をしています。
テストの内容につきましては、繰り返し問題もありますし、そうではない問題、いろいろな問題を解いて行っております。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 次に、学校の教育課程にの問題に関わってなんですが、学テ対策における教育局からの訪問も含めた指導というのが、その結果を受けて、各学校ごとの結果や個別計画の目標達成度を実効性の検討ということがなされることになっていて、学校に対して、学校訪問を含めたそれらの指導が行われるということになっているとお聞きしたのですが、そのことについてお聞きしたいと思います。

○議長(加来良明) 教育長。

○教育長(伊藤 登) 指導主事の学校訪問の際にいろいろなことで指導があるわけですけれども、それに限って指導されるという状況ではありません。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) やはり、どんなかたちにせよ、全国的傾向で先ほども言ったわけですけれども、繰り返しドリルを中心としてテスト対策のみの対策が行われているということがあるわけなんです。
 もう1点お聞きするのですが、教育委員会の点検表か報告書によると、学力テスト調査結果から指導改善課題を学力向上支援プランで示し、各学校においても調査結果を活かした指導の具体的方策をまとめて、放課後や夏・冬休みの学習機会の確保など、学習支援の工夫をしたと書いてあるのですが、具体的にテスト結果では、管内では2極化傾向が指摘されているのですが、これらの改善の対策として示されているのかどうなのかを伺います。

○議長(加来良明) 教育長。

○教育長(伊藤 登) 確かに、上位層と下位層の2極化というのは顕著にみられるところもありますが、それによって、指導改善プランを用いてうんぬんではなく、相対的な底上げという観点から指導プランを作成しております。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 今、相対的なということで、少し安心しているというか、受けとめたんですが、文科省が現在学テを進めている唯一の理由とされているのが、各教育委員会や学校が、子どもの学習指導を具体的に改善するのに役立つというものになっているんです。学力テストの結果は、数カ月経ってるわけです。対象にやった6年生は、卒業学年なわけで、普通、私たちが考えても卒業を控えて教育課程を進めていく授業のなかで、それの具体的な個別対策はできないと思うのですが、そのことについてどうでしょうか。

○議長(加来良明)
 教育長。

○教育長(伊藤 登) 小学校6年生はその年で終わりますけれども、中学校へ行っても教育課程は続いていくという考えをもっているものですから、それが中学校3年生まで継続して取り組んでいくということであれば、効果はあると思っておりますし、そこで指導が途切れてしまうと、伸びしろを持っている子ども達に非常にまずい部分が出てくるということで、中学校3年生まで継続して、傾向を追いながら指導をしているということが現状であります。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 小中の今の学習指導要領のなかで、残念ながら日本の学習指導要領というのは教科ごとの縦の系列で、段階的に進んでいくという系列には必ずしもなっていないんです。だとすると、今、教育長がお答えになったようなことには、その1人の子どもにとっては必ずしもそうはならないのではないかと、そう思うんです。ただ、全体的に見ていくと、文科省もそう言っておりますし、そういう継続性という論理から言えるとは思うのですが、私は必ずしもそうはなっていないと、それが学力テストのもっている結果なんです。
 もう1つなんですが、2極に分化している底辺の部分にいる層に対する指導で、道教委もかなり家庭教育っていうことに力を入れているんです。なぜかというと、1つは学校教育のなかでは、すでに時間的限界があるんです。先ほども言いました学習指導要領がありますんで、日常の授業を進めて授業確保数を確保するだけで手がいっぱいなのに、新たに学テに対しての改善を指導していくということになれば、放課後か家庭学習、夏・冬休みしかなくなるというのが、現状ではないかと思うのですが、そのへんはどうでしょうか。

○議長(加来良明) 学校教育課長。

○学校教育課長(菅野靖洋) 学力テストの関係ではないのですが、現在清水町の4校におきましては指導方法工夫改善にかかる加配というのがありまして、6名の先生の加配を受けております。そのなかで、学力テストの強化ばかりではなく、すべての教科についてT・T指導や少人数指導ということで、町内の学校については行っております。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 学力テストの結果の公表の問題に移りたいと思います。
 結果公表の問題なのですが、先ほどのご答弁をされた内容のなかで言われました内容のとおりの部分というのがあるんではないかと思うのですが、例えば、学校公表の場合ですが、今後危惧される面が1点あります。
 都道府県教育委員会が市町村教委の同意を得て市町村別や学校別の結果公表という項目があるんですが、現在の教育行政の縦の系列から言いますと、また先ほどから言っている学テ対策に対するやり方から言いますと、強力な要請が今後あり得るのではないかということが危惧されるのですが、そのへんはどうでしょうか。

○議長(加来良明) 教育長。

○教育長(伊藤 登)
 確かに、危惧されることは私たちも考えないではないですけれども、今、新たな要領を踏まえつつ、説明責任ないしは基礎学力の保証の観点という部分からいけば、強引にそういう通達がきても市町村教育委員会としても受ける部分ではないですし、また、校長会、保護者等ともしっかりと意見を聞きながら臨むことが望ましいのではないかと、このように思っております。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) もう1点、公開にあたって先ほど、口田議員の質問のなかでお答えになっていた内容なのですが、やはり学校別公表になると都会と違って、地域の学校にとっては非常に大きな問題が生じると思うのです。
 例えば、鳥取市内のあるPTA会長が開示情報をどういう目的で使われるかわからないと、学校別の結果が出れば小さな学校では特定の個人の問題にされかねないということがあるんです。町内の学校の規模をみると、20名ちょっとの学校もあるわけですから、具体的に子ども達同士でわかるわけです。日頃のなかで、どのような学習状況かというのがわかると、そのことが公示されるということは、学校ばかりではなく、個人の状況、子どもと子どもの関係、子どもと地域の関係、そういう関係にもいろいろな要素を含んで、問題が生じる恐れがあります。
 そのへんを考えて、これからも対処していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

○議長(加来良明) 教育委員長。

○教育委員長(三澤吏佐子) ただいま、木村議員がおっしゃった懸念の材料については、私どももそのように思っております。特に、いわゆる、勉強のできるお子さんのみが尊重されるような状況が起きるということは、大変困ったことでありますし、また、一生懸命努力しても、中々勉強がうまくいかない、困り感があるお子さんたちが逆に過度に目立つということになっても、大変困ることになると思います。
 ですから、ただ今おっしゃったように、慎重に考えてまいりたいと思っております。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 学力テストの問題の最後の質問になりますけれども、文科省が序列化や過度な競争を招かないように、正答率を学校別、市町村別に公表をしないということを前提に始められた学力テストです。前提を自ら変えてしまったわけですから、学力テスト体制そのものを検討すべきではないかと、私は思います。それがまた、筋ではないかと、そのへんについて、お考えがあればお伺いしたいと思います。

○議長(加来良明) 教育長。

○教育長(伊藤 登) 確かに、文科省で考えた部分でずっときたんですけれども、公表の仕方等も含めて、だんだん変わってきているという状況は、私たちも思っております。
 学力調査そのものについては、今後どうなっていくかわかりませんけれども、町内の学校ですけれども、CRTの学力調査とか、いろいろなものをやっているわけで、これだけに頼って授業改善をしているわけではないということだけは、認識しているところではあります。
政権交代ごとにいろいろな実態調査から抽出調査とかいろいろ変わってきている状況のなかでは、予断は許さないという状況にあろうかと思います。
 やはり、この調査目的を考えたときに現状の公表の仕方も含めて、あるべきだと考えています。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 2項目目の教職員の超過勤務の実態と改善の問題について、質問したいと思います。
 町内の状況を見ますと、二十数人の学級が中心となっております。それからもう1つは、低学年における少人数指導の手立て、それからさまざまな支援手立て、これらが具体的に子ども達にとっては、基礎学力の十分な指導体制になるのではないかと、これが理想的なかたちではないかと思います。
 私の過去の経験を振り返ってみますと、四十数名ですから、そんな状況から考えていくと、素晴らしい教育環境状況が整っているなと来たときに思いました。
 それともう1つは、それと同時に、先ほども言いましたように、クラスの人数によって、先生方の超過勤務状況はかなり違ってくるわけです。ですから、現状の清水町のクラスの人数でいくと、あるいは支援体制を含めていくと、先ほどあげたアンケートの統計よりはかなり下回ることは、下回るのではないかと思います。
 ですが、現状の教育活動を取り巻く状況での教職員の勤務状況というのは、かならず超過勤務がともなわないとやっていくことができない、教育作業を回転していくことができないシステムになっているんです。そのへんを私たちが念頭に入れながら、考えていかなければならないのではないかと思うのですが、そのへんはどうでしょう。

○議長(加来良明) 教育長。

○教育長(伊藤 登) 確かに、人数の問題も含めて、いろいろなところに問題点があろうかと思います。現状では給与の4%が調整手当ということで、そのなかで運用していると思われますけれども、それ以上に昨今の教育現場の状況についてはいろいろなものが出てきて、個人差はあろうかと思いますけれども、先生方の「子供をなんとかしてやりましょう」という気持ちも含めて、だんだんと長くなっていっているというのが現状ではないかと思います。極力、そういう部分については調整しながら、勤務時間の縮減に努めていくことを指導していきたいと、このように思います。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝)
 もう1点、教員の2011年度の公立小中学校あるいは、特別支援学校の教員の文科省の調査なんですけれども、それによりますと、うつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員が5,274人になっております。町内での事実は聞いてはいないのですが、精神疾患による休職者は教員の場合、非常に多いんです。過去最多だった2009年度からは減少していますが学テ導入の2007年から2009年に急増したわけです。
病気休職者のうち精神疾患が理由の休職者は6年連続で6割を占めております。特に、人事異動して2年の間に非常に多いということなんです。それだけ、職場の状況の変化というのが、教員にとって非常に重要な問題になるということだと思うんです。
そのような状況も含めながら、今後とも各学校の教職員の勤務状況の実態の調査を継続して行っていただきたいと同時に、合意形成に向けての指導体制をとっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

○議長(加来良明) 教育委員長。

○教育委員長(三澤吏佐子) 健康な子ども達を育てるために、先生方の心身ともに良好な健康状態というのは、大変重要なことだと考えております。今後とも先生方がより良い状況のなかで働けるように努めてまいりたいと思います。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝) 3項目目の土曜授業の検討にかかわってですが、子ども達の生活実態、地域の状況、そして受け皿となる教育環境の状況、それらを含めながら判断をされるということが、本当に大切なことだと思います。
 同時に親の状況といいますか、家庭状況が非常に変化をしてきているという状況のなかで、どのように家庭教育も含めながら対応していくのかということも合わせて、今後検討の方向性のなかに入れていただければというふうに思います。
 それで、今後の方向についてなんですが、問題の根本というのが先ほども言いましたように、学習指導要領で日々消化しなければならない授業時数の問題、教育内容の問題、それらの学習指導要領が現在、子供たちの対応能力を超えているのではないか、超えている要素もあるのではないかというふうに、学テでは2極化傾向が現れましたけれども、そういう要素も当然考えていかなければならない、そのことが、土曜授業の検討にかかわって、抜きにはできないのではないかと思います。
 そのへんについては、どうでしょうか。

○議長(加来良明) 教育長。

○教育長(伊藤 登) ご質問のとおり、いろいろな問題が山積していると思います。
 私どもの町内の学校の場合は、かたちは違うのですが、今文科省で考えられている土曜日の行事等について取り入れて、代休で処理しようとしておりますけれども、本来は、土曜授業というのは違う部分でおっしゃった質問のなかにもあったんですけれども、本来的には違う部分を目指しているのではないかということが、見え隠れしているという状況でありますので、そのへんを慎重に見極めながら、土曜授業の導入については考えていかなければいけないと、このように思っているところですけれども、当然、各家庭、保護者の状況も踏まえたなかで、きちっと相談して合意を得たなかで進めるべきと、このように考えております。

○議長(加来良明) 4番、木村好孝議員。

○4番(木村好孝)
 全国学力テストの体制の問題、教職員の超過勤務の問題、土曜授業の3項目について、学校教育の現場の現状からの課題となって現れている問題を絞って質問させていただいたのですが、旭川学力テスト事件というのが、私が教員になった頃に裁判の問題になっておりました。
 安倍内閣は前回のときに、43年ぶりに学テを行ったわけです。学テは私が教員になる前後から問題になり、全国的に先ほども例にあげたような状況で中止になった例があります。ですから、私以前の教職経験者の方々は皆さんご存知だと思うんです。
 旭川学テ事件の最高判決なんですが、裁判で争われました。これは学習指導要領の法的拘束力の問題が主力で争われたわけですけれども、教育は本来、人間の内面的価値に関する文化的な営みであると、政党政治の下で多数決原理によってされる国政上の意思決定や党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきではないとしています。
 教育委員会制度の問題をはじめとして、教育再生の名の下の国の教育施策が提起されていますけれども、人格の完成という教育の人類共通の原理に基づく学校教育の見つめ直しというのが、今必要なのではないかというふうに私は感じるのであります。
 もし、お考えがあれば伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。

○議長(加来良明) 答弁を求めます。教育委員長。

○教育委員長(三澤吏佐子) 清水町では、打てば響く、心に響く、感性豊かな子ども達を知・徳・体のバランスのとれた子ども達を育てていくように、努力してまいりたいと思います。
 今後とも学力だけが、子どもの価値を占めるというものではないということを理念において、健康で有意義な社会生活を送れる子ども達を育てていきたいと思っております。