平成27年第2回定例会(3月10日_日程第6)
○議長(加来良明) 日程第6、町政執行方針について、町長より平成27年度町政執行方針を述べていただきます。
町長。
○町長(高薄 渡)
Ⅰ はじめに
平成27年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度の町政執行方針と施策について、議員各位と町民の皆様に概要を申し上げ、ご理解とご協力を賜りたいと存じあげる次第であります。
さて、私も多くの町民の皆様のご支援を得て、町政を担わしていただき任期の折り返しの年を迎えることとなりました。
この間、経済状況や政治状況が大きく変革する中、常に町民の皆様の幸せを願い、本町が前進する基盤を盤石にすべく誠心誠意努力をしてまいりました。
さて、経済状況は、ゆるやかな回復基調へ向かいつつあるとのことですが、その効果が地方に浸透しているとは言えない状況にあり、政府は「まち・ひと・しごと創生本部」を発足させ、地方の人口減少を食い止めるための具体策を本格的に検討するなど、地方活性化を重点課題として取り組んでおります。
本町においても、各種政策を推進していくため、常に情報収集を行うとともに、人口減少対策本部を設置し、地方創生の実現に向けて町民の皆様や全職員と力を合わせ、協働のまちづくりを推進する所存であります。
ここに、新年度の主要な施策につきまして「清水町総合計画」のまちづくり目標に沿って分野別に申し上げます。
Ⅱ 地方財政と予算概要
平成27年度地方財政計画の規模は、地方創生への取り組みや公共施設の老朽化対策の推進等により85兆2,700億円で前年度比2.3パーセントの増となり、地方交付税の出口ベースは、地方税収の伸び等により16兆7,548億円で前年度比0.8パーセントの減となりました。
本町の本年度当初予算につきましては、一般会計は81億9,000万円で前年度比7.9パーセントの増、一般会計と3特別会計、2公営企業会計を合わせた予算総額は120億4,170万円で前年度比9.0パーセントの増であります。
また、主要財源の普通交付税につきましては、地方交付税総額や公債費算入額は減少するものの、普通交付税の振り替えであります臨時財政対策債の抑制により、前年度当初予算と同額の29億5,000万円を計上したところであります。
Ⅲ 主要施策の推進
1 自然と共生する安全で快適なまちづくり
◆自然環境の保全と環境との共生として
森林は、人々が安全で安心して生活するために不可欠な多面的機能を有しており、適切な管理が求められております。
町有林の管理につきましては、森林経営計画に沿い、継続的整備・保全に努め、民有林の整備も補助事業の積極的な活用により、維持管理事業や造林事業を継続して行い、自然環境の保全に努めてまいります。
さらに、農畜産業に被害を及ぼす有害鳥獣駆除につきましては、関係団体と連携を図りながら被害減少に努めてまいります。
快適な環境づくりに向けて、ごみ減量化と再資源化を推進し、限りある資源の有効活用を図るため、分別・排出方法やリサイクル等の推進に努めてまいります。
◆すべての世代が交流し住みやすいまちづくりとして
町民の足を確保するコミュニティバスは、利用者の利便性向上を図るため、検証を行いながら日常の町民生活を支える交通サービスの構築に取り組んでまいります。
また、老朽化が進んでいる町営住宅の改修を計画的に進めるとともに、建替事業につきましては「清水町営住宅長寿命化計画」に基づき、本年度は「清和団地Ⅱ期分」の建替を行い住環境の整備を進めてまいります。
さらに、転入や転居のための「空き家、空き地、賃貸住宅などの情報」を提供し、民間による借家計画に協力するとともに、空き家の放置は住環境や町民生活への影響が大きい社会問題であり、個々に抱える多くの課題を解決しながら施策の実施に向けて取り組んでまいります。
◆緑豊かな森と水に親しむまちづくりとして
花や樹木のある心安らぐ環境を目指して、春と秋の町内一斉清掃やクリーン・ディ、花いっぱい運動等を実施するとともに、各種団体と連携しながら、爽やかで美しいまちづくりに取り組んでまいります。
また、地域の大切な資源であります自然環境を守り育てるために、河川、公園、緑地の維持管理に努めてまいります。
◆町民相互の支え合いと暮らしの安全安心として
町民が犯罪被害に遭わないよう関係機関との連携を密にし、犯罪の抑止、事件・事故の未然防止に努めているところですが、消費者トラブルにおいては、年々、形態の多様化と巧妙化によって一層悪質化しており、国の基金等も活用しながら、消費生活相談等による問題解決への支援を行い、警察や関係団体との情報共有を進め、悪質商法対策等の啓発や消費者被害防止ネットワークを活用し、被害の未然防止を図ってまいります。
◆快適で良好な生活環境として
安全な水を供給するため、水道施設の適正な運営に努め、老朽管路等布設替工事を実施し、水の安定供給を図るとともに、下水道施設の適切な維持管理と御影排水処理場の機器更新工事を引き続き実施してまいります。
また、国費、道費による道路整備につきましては、車両及び歩行者の安全を図るため、車道及び歩道の整備に向けて積極的に要請してまいります。
町道整備につきましては、道路整備計画に基づき未整備路線の道路改良及び舗装工事を実施し、安全確保のため道路の維持管理を図り、橋梁関係につきましても「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、清水地区の「新錦橋」と羽帯地区の「羽帯橋」について橋梁修繕工事を実施してまいります。
2 誰もが健康で思いやりのあふれるまちづくり
◆町民の健康と健康づくり意識
町民が心身ともに健やかに暮らしていくことを目標に、住民が主体的に健康づくりに取り組んでもらえるように、保健・医療・福祉の関係機関や団体と連携し、健康増進に向けて各種事業や各種検診の受診を勧奨し、疾病の早期発見・治療に努めるとともに、町内医療機関の救急医療体制への支援を継続してまいります。
また、国民健康保険事業の安定運営を図るため引き続き保険税徴収率の向上と特定健診事業等の推進による給付費の抑制に努め、被保険者の負担軽減を図ってまいります。
◆高齢者の暮らしと社会参画
高齢化社会の進展とともに、高齢者世帯が増加し、支援が必要な高齢者が増えています。このため地域包括支援センターを中心として、予防、介護、医療、生活支援の連携を強化させ、住み慣れた地域で自立した生活が送れるように、各種事業を実施してまいります。
さらに、昨年から実施している介護予防ポイント制度の普及を図り、高齢者の健康増進と社会参画の機会を提供してまいります。
また、介護保険事業、後期高齢者医療制度につきましては、第6期清水町高齢者福祉計画・介護保険事業計画により、引き続き円滑な運営に努めてまいります。
◆障がい者の社会参加として
障がいのある方のニーズを把握し、的確なサービスが受けられるように、相談支援体制の充実に努め、地域で自立した日常生活を営むことができるよう、環境づくりに取り組んでまいりますとともに、新たに策定した清水町障がい福祉計画の目標値の実現に向けて努力してまいります。
◆すべての世代が交流し支え合うまちづくり
少子高齢化が進展し、個人の価値観や生活スタイルが変化をしても、人々が互いに支え合う関係は、いつの時代でも大切であります。
このため、人々に優しいまちづくりを目指して、ボランティア活動を普及し、団体への活動を支援するとともに、町内会などと協力して異世代が集う交流の場を提供してまいります。
◆ まちぐるみで子育て世帯を支え応援するまちづくりとして
本年4月からの子ども・子育て支援新制度により、未来を担う子ども達が心豊かに成長し、親が安心して子育てできる環境を整備していくことが大切であります。
このため本年度は、保護者負担軽減のために、保育料第2子以降の無料化の拡充と、多様化する就労形態に対応するために、保育所での延長保育、学童クラブの延長育成を行い、各施設も計画的に整備してまいります。
また、子どもの発育や発達への支援につきましては、「きずな園」での早期発見、相談体制の充実など、適切な療育ができるよう引き続き取り組んでまいります。
◆安心して暮らせるまちづくりとして
雇用環境の厳しさがある中で、清水高等学校の町内外での就職率が好調を維持していることは、喜ばしいことであります。
季節労働者や再雇用を希望する方へは、ハローワークとの連携により雇用情報を提供し、十勝北西部通年雇用促進協議会の事業による通年雇用化に向けた働きかけを継続してまいりますともに、建設現場等の厳しい労働環境における事故防止の観点から、建設業協会とともに労働安全の啓蒙に努め、事故のない安全な職場環境の実現に努めてまいります。
3 新しい次代を担う人材を育むまちづくり
◆ 家庭・学校・地域がともに推進する教育のまちづくりとして
未来を担う子どもたちが、心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることは、私たちの願いであり、使命でもあります。
幼児教育につきましては、特色ある教育課程を編成し、幼児一人ひとりの発達段階に応じた教育と、豊かな心の育成を図ってまいります。
教育の振興としましては、家庭、学校、地域ぐるみでのしみず「教育の四季」の宣言から10年を迎えるにあたり、より一層の浸透を図るため講演会等を開催するとともに、清水中学校大規模改修工事、地元産食材を利用した学校給食の提供やスクールバスの更新等、教育環境の充実を図ってまいります。
さらに、総合学科先進校として特色ある教育活動を展開している清水高等学校との連携を強化してまいります。
◆文化とスポーツ・レクリエーションに親しむまちづくりとして
芸術・文化は、人々に感動や生きる喜びをもたらし、さらなる創造性を育みます。
町民の皆さんが、心にゆとりと潤いが得られるよう、芸術・文化に触れる機会を提供するとともに、文化の継承活動を支援してまいります。
また、心身ともに健康であるために、軽スポーツの普及やスポーツに親しむ機会を提供し、体を動かす習慣を身に付ける事業を進めてまいります。
◆ 学びの成果を活かすまちづくりとして
まちづくりは「人づくり」であり、各種学習機会の提供や「しみず読書の日」の浸透を図り、学びの成果がまちづくりに活かされるよう努めてまいりますとともに、まちづくりを進める魅力ある人材の育成を推進してまいります。
また、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正に伴い、総合教育会議にて大綱を策定するとともに、教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、教育委員会との連携をさらに強化してまいります。
4 町の資源を活かした活力あるまちづくり
◆クリーンな農業と資源循環型のまちづくりとして
TPP参加交渉については、農業を基幹産業とする本町の命運をかけて、断固反対していかなければならないものと考えております。農業における食料の安定供給は勿論のこと、関連する多くの企業が地域経済や社会を支える重要な役割を担っており、安全で良質な農畜産物の生産確保に向けて、各種施策を実施してまいりますとともに、家畜ふん尿の有効利用によりクリーンな農業を推進してまいります。
さらに、担い手対策につきましては、農業塾による担い手の技能向上を図るとともに、ホームページ等を活用しながら花嫁対策事業を推進してまいります。
また、食育を通して、心身の健康を守り、豊かな食文化を継承していくことが重要であり、関係団体の協力を得ながら食育計画を推進してまいります。
◆経営基盤の確立と後継者が働きやすいまちづくりとして
持続的な畑作農業の推進に向けた合理的な輪作体系の確立と畑作振興事業、独自ブランドの確立に向けた支援、自給飼料増産対策事業を引き続き実施し、飼料の自給率を高め経営の安定化を図ってまいりますとともに、酪農経営の大型化に伴い、乳牛の育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るため町営育成牧場の円滑な運営に努めてまいります。
さらに、農業基盤整備につきましては、異常気象に負けない強い農業づくりに向けた基盤整備事業を推進し、農産物の生産性を高めてまいります。
また、家畜伝染病の発生防止対策につきましては、今後とも関係機関と連携を図りながら、万全な防疫体制をとるとともに自衛防疫の普及啓発を行うなど指導徹底に努めてまいります。
◆まちの資源を活かした産業の振興と連携の促進
地域資源を活かした付加価値の高い特産品の開発及び産業創出を目指す事業の展開や運営などに支援をしてまいりますとともに、既存の企業に対し低率な融資制度や店舗開店等支援事業補助金の活用により起業を目指しやすい環境を整えてまいります。
また、工場の新増設は、雇用確保に伴う定住を促進し、経済効果をもたらすため、今後も立地企業などを支援していくとともに、起業・雇用促進事業補助金制度を推進しながら、起業しやすい環境を整えてまいります。
◆商業の活性化と異世代が集う多機能型まちづくりとして
長引く景気低迷や消費税増税の影響による個人消費の減退が著しく、さらに消費購買行動の町外流失もあり、商工業全般において極めて厳しい現状が続いております。
このような状況の中、関係団体とともにイベント等の開催により、中心市街地の賑わいを創出する取り組みを進め、子どもから高齢者までが安心して買い物ができる体制を進めてまいります。
また、住宅リフォーム・太陽光発電システム導入奨励金及び農業施設整備奨励金事業を継続し、国における地域住民生活等緊急支援のための交付金事業を取り入れ、地元消費の拡大及び地域経済の活性化を目指し、厳しい商業環境の向上に努めてまいります。
◆地域の資源を活かした観光産業の創出として
地域おこしを目指す十勝清水牛玉ステーキ丼地域活性化協議会は、「新・ご当地グルメグランプリ」で2連覇するなどの活躍により、これまでに道内外の方々が本町を訪れるきっかけとなり、さらに「ジャパンフードフェスタ2014(第2回地場もん国民大賞)」において、牛とろフレーク(牛とろ丼)が銀賞を受賞し、本年5月ミラノ万博で世界に発信されることになりましたことは、町民の誇りであり、関係者皆様のご努力に敬意を表するところであります。
これら「食」による交流人口の増加と物産加工産業の振興は、今後の観光資源再生基本構想を進展に導く基本ビジョンの要素のひとつとして進めてまいります。
5 みんなで創る協働のまちづくり
◆町民誰もが参加する協働のまちづくりとして
広報紙や町ホームページは、よりわかりやすい掲載方法や町民視点に立った情報提供に努め、まちづくりの資料となるよう各種広報活動の充実に取り組んでまいります。
また、いきいきふるさとづくり寄附条例は、本町出身者や本町にゆかりのある方々から寄附をいただいており、今後も寄附者の意向を十分反映できるよう適切な活用に努めてまいります。本年度は一定額を寄附された方々への町内特産品贈呈制度を拡充し、特産品の魅力を発信してまいります。
さらに、本町で活動したいという都市住民を受け入れ、地域の課題解決や地域の活性化に資するため、地域おこし協力隊を増員し、定住・定着や地域力の維持・強化を図ってまいります。
また、移住定住促進事業につきましては、今後も積極的なPR活動と移住体験住宅を活用した生活体験事業などを通して、関係団体と一体となった移住施策を推進してまいります。
◆ 効率的でわかりやすい行政運営として
住民が地域のことを自ら考え、その総意に基づいて最善策を判断し実践していく住民自治の充実が必要であり、町民がより参加しやすい環境の整備に努めてまいります。
昨年、我が国の人口減対策として、「まち・ひと・しごと創生法」が公布され、国の長期ビジョンや総合戦略が示されたところですが、本町においても人口減対策は重要な課題であり、本年度は、総合戦略としての計画策定に取り組んでまいります。
自主財源の確保につきまして、個人町民税では、農業所得は生産が上がっているものの資材経費の高騰もあること、給与所得については伸びる要因が少ないことなどを参酌したところですが、前年度実績などを勘案したところです。
また、法人町民税につきましては、景気回復は上向きつつあると言われているところですが、税率改正の影響もあることから微増を見込み、固定資産税につきましても、土地評価替えの影響や償却資産の取得の減少があるものの農業施設等の建物の新築があることから、前年度と比較し増額としました。
軽自動車税につきましては、四輪車の登録が伸びていることと税率改正のため増額とし、町たばこ税につきましては、喫煙者が減少傾向にありますので、減収を見込んだところです。
なお、収納対策につきましては、早期の自主納税の推進に努めるとともに、十勝市町村税滞納整理機構とさらなる連携を図りながら、適切な滞納整理に取り組み、徴収率の一層の向上に努めてまいります。
◆ 広域行政の推進として
十勝管内の消防本部を一つにする消防広域化につきましては、5月に新たな組合を設立し、来年4月の消防事務の開始に向け準備を進めるとともに、消防救急デジタル無線の共同整備と、高機能指令センターを整備してまいります。
また、定住自立圏構想の取り組みにつきましては、現在の共生ビジョンが本年度で終了することから、これまでの検証と課題を踏まえ、平成28年度から5年間の次期共生ビジョンの策定を進めてまいります。
また、「フードバレーとかち」における産業振興等の事業を具体的に進め、十勝圏全体の発展に資する取り組みに努めてまいります。
Ⅳ むすびに
以上、平成27年度の町政運営にあたり、方針と施策の一端を申し上げましたが、TPP交渉の行方も報じられることが少なくなり、歴史的な農協改革の推進や農業委員制度に抜本的な改革も取りざたされ、町の基盤産業である農業に大きな変革の風が吹こうとしています。
これからの難しい時代を生き抜くためには、何事も挑戦していく精神と、諦めない強い意志が必要です。
次代を担う子どもたち、そしてまた、これまでこのまちを支えてきた先輩方、全ての町民の皆様が住み続けられる、住んで良かったと思えるまちづくりに向かって全力で取り組んでまいりますので、議員の皆様をはじめ、町民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げ、町政執行方針を結ばせていただきます。
平成27年3月10日
清水町長 高 薄 渡