北海道清水町議会

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平成28年第1回定例会会議録(3月8日_日程第7)

○議長(加来良明) 日程第7、町政執行方針について、町長より平成28年度町政執行方針を述べていただきます。

 町長。

 

○町長(高薄 渡) 

I はじめに

 平成28年第1回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度の町政執行方針と施策について、議員各位と町民の皆様に概要を申し上げます。

 私はこれまで、町民の皆様の負託を受け、議員各位をはじめ町民皆様のご理解とご協力を頂き、まちづくりを推進してまいりました。

 就任以来、大切にしてきたことは、町民の皆様との対話を基に、ふるさと清水町を一歩でも前進させ、皆様が安全で安心した生活ができるまちづくりに誠心誠意取り組んできたことであります。

 さて、現在の我が国の経済状況は、緩やかな回復基調と言われているものの、地域間のばらつきが見られ、本町を取り巻く環境も、厳しい状況にあると言わざるを得なく、かつ、人口減少や少子高齢化が進み、高齢者を支える若者が減少することは非常に危倶するところであり、多くの方が危機感を感じているものと察するところであります。

 昨年実施しました国勢調査における速報値では、本町の人口減少率が3.6パーセントに止まり安堵しておりますが、生産年齢人口の減少は歳入の確保が難しくなることにつながり、今後も厳しい状況になることが想定され、この状況を乗り越えるためにも多くの方々の力を集結し、知恵を出し合い、まちづくりを進めていくことが大切であります。

 ここに、新年度の主要な施策につきまして「まちづくり計画」に沿い、分野別にご説明申し上げます。

 

Ⅱ 地方財政と予算概要

 平成28年度の地方財政計画では、地方創生と公共施設老朽化対策の推進に加え、自治体情報システム改革等が重点課題とされ、その財政規模は85兆7,700億円、前年度比O.6パーセントの増となり、地方交付税の出口ベースにあっては、地方税収の伸びにより16兆7,003億円、前年度比O.3パーセントの減となりました。

 本町の本年度当初予算につきましては、一般会計は78億4,000万円、前年度比4.3パーセントの減、一般会計と3特別会計、2公営企業会計を合わせた予算総額は117億6,400万円、前年度比2. 3パーセントの減であります。

 また、主要財源の普通交付税につきましては、基準財政収入額の増等により、28億4,000万円、前年度比3.7パーセントの減とし予算計上したところであります。

 

Ⅲ 主要施策の推進

1 自然と共生する安全で快適なまちづくり

◆ 自然環境の保全と環境との共生や快適で良好な生活環境

 森林は、人々が安全で安心して生活するために不可欠な多面的機能を有しており、大切な森林を守り育てていくため、森林経営計画に基づき適正管理のもと、継続的整備により自然環境の保全に努めてまいります。

 また、良好な生活環境としていくためには、限りある資源の有効活用をしながら、ごみの減量化と再資源化を図り、ごみの分別や排出方法、リサイクル等の推進に努めるとともに、安全な水を安定供給するため、水道施設の適正な管理並びに更新を実施し、下水道施設の適切な維持管理に努めてまいります。

 町道の整備につきましては道路整備計画に基づき道路改良及び舗装工事並びに橋梁点検事業を実施してまいりますとともに、国道、道道の整備につきましては、国や道へ積極的な要請をしてまいります。

 

◆すべての世代が交流し住みやすいまち

 町民の日常生活の交通手段を確保するコミュニティパスの運行は、交通弱者にとって必要不可欠であり、さらなる利便性向上に努めてまいります。

 また、老朽化が進んでいる町営住宅の建替計画や改修を計画的に進め、今後の住環境の整備に努めてまいりますとともに、転入や転居のための「空き家、空き地、賃貸住宅などの情報Jを提供し、民間による借家計画に協力し、社会問題化している空き家問題の解決に取り組んでまいります。

 

◆緑豊かな森と水に親しむまち

 緑豊かな森や花にあふれ心和む環境は大切であり、春と秋の町内一斉清掃やクリーン・ディ、花いっぱい運動等、各団体との連携をしながら、爽やかで美しいまちづくりに取り組んでまいりますとともに、地域の大切な資源である自然環境を守り育てるために、河川、公園、緑地の維持管理に努めてまいります。

 

◆町民相互の支え合いと暮らしの安全安心

 安全で安心な暮らしは、身近な人々が互いに支えあうことが大切であり、町民の皆様が犯罪被害に遭わないためには、より多くの方々との連携を密にし、犯罪の抑止、事件事故の未'然防止に努めていかなければなりません。

 また、消費者トラブルも年々形態の多様化と巧妙化によって一層悪質化しているため、持続的に体制の維持・強化を図り、今後も消費生活相談等による問題解決への支援拡充を行い、関係団体等との情報共有を進め、安全・安心の提供に努めてまいります。

 

2 誰もが健康で思いやりのあふれるまちづくり

◆町民の健康と健康づくり意識

 町民の健康を守るため、各種健診の受診率向上を図るとともに、本年度妊婦健診無料化や健康管理システムを導入し、健康づくりの意識啓発に努めてまいります。さらに、救急医療の充実やリハビリ施設の拡充整備など、安心して医療を受けられる体制整備を進めてまいります。

 また、国民健康保険事業につきましては、保険給付費、前年度実績などを考慮、したところですが、安定運営を図るため引き続き保険税徴収率の向上と特定健診事業等の推進による給付費の抑制に努め、被保険者の負担軽減を図ってまいります。

 

◆高齢者の暮らしと社会参画や障がい者の社会参加

 高齢者を支援する包括支援センターの体制強化により、住み慣れた地域での生活を支えるために、医療・介護・在宅の連携を推進していくとともに、地域に根ざした介護保険内容を検討し、高齢者の健康増進と社会参加の機会を提供してまいります。

 また、障がいのある方の地域における社会参加や自立を支援し、障がいを理由とした差別解消の啓発を行うなど、地域で安心して暮らせる環境を推進してまいります。

 

◆すべての世代が交流し支え合うまち

 すべての世代が支え合う優しいまちづくりは、少子高齢化が進展しているからこそ大切にしていく必要があり、このため地域におけるボランティア活動を支援し、町内会・地域を対象とした各種活動を推進してまいります。

 

◆まちぐるみで子育て世帯を支え応援するまち

 未来を担う子ども達が心豊かに成長し、安心して子育てができる環境を提供するため、第2子以降の保育料無料化、第1子の軽減施策、子育て用品貸出事業や施設の計画的な整備を実施するとともに、子どもの発育や発達への支援、相談体制の充実など、適切な療育ができるよう取り組んでまいります。

 また、人口減少を食い止め、子育て世代の移住・定住を応援し、地域内の経済循環にも資する子育て世帯定住促進住宅取得奨励金制度を創設し、新築住宅及び中古住宅購入の際、奨励金を交付します。

 

◆安心して暮らせるまち

 安心な生活の基本は仕事であり、雇用情勢も少しは改善が見られる一方で、雇用のミスマッチが問題となっているため、希望する方々へは、関係機関と連携した雇用情報の提供に努め、労働条件の改善、労働災害・事故防止等に向けた各種啓蒙活動に取り組み、安全で安心な職場環境の確立に努めてまいります。

 

3 新しい次代を担う人材を育むまちづくり

◆家庭・学校・地域がともに推進する教育のまち

 未来を担う子どもたちの個々の発達段階に応じた教育と、豊かな心の育成に努めていくことが大切であります。

 本年度も、しみず「教育の四季」のさらなる浸透と学校プール建設等の教育施設の整備や地元産食材を利用した学校給食の提供など、教育環境の充実を図ってまいります。

 さらに、総合学科先進校として特色ある教育活動を展開しております清水高等学校との連携を強化してまいります。

 また、向学心に燃える子どもたちを応援し、人材育成するため奨学金制度の拡充に努めてまいります。

 

◆文化とスポーツ・レクリエーションに親しむまち

 感動や生きる喜び、創造性を育むため、文化芸術に触れる機会を提供するとともに、文化の継承活動を支援してまいりますとともに、心身ともに健康であるために、軽スポーツの普及と体を動かす習慣を身に付ける機会を提供してまいります。

 また、昨年より改修を実施してきました野球場が本年度完成いたします。

 

◆学びの成果を活かすまち

 まちづくりは「人づくりJであり、生涯学習としての各種学習機会の提供や、しみず読書の日の浸透を図り、学びの成果が活かされるよう努めてまいりますとともに、まちづくりを進める魅力ある人材の育成を推進してまいります。

 

4  町の資源を活かした活力あるまちづくり

◆クリーンな農業と資源循環型のまち

 農業は食料の安定供給は勿論のこと、関連する多くの企業が地域経済や社会を支える重要な役割を担っており、安全で良質な農畜産物の生産確保に向けた各種施策とクリーンな農業を推進してまいります。

 TPP問題については、協定内容と対策について十分な精査が必要であり、今後、国や道の対応を慎重に見据えながら関係機関と対策を協議し、必要な施策をしていきたいと考えております。

 また、食育を通して、心身の健康を守り、豊かな食文化を継承していくことが重要であり、関係団体の協力を得ながら食育計画を推進してまいります。

 

◆経営基盤の確立と後継者が働きやすいまち

 持続的な畑作農業の推進のため、輪作体系の確立や畑作振興事業の充実、独自ブランドの確立に向けた支援、自給飼料増産対策事業を実施し、飼料の自給率を高め、経営の安定化を図るとともに、新たに農畜産物加工品試験分析事業の推進に努めてまいります。

 さらに、酪農経営の大型化に伴い、乳牛の育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るため、町営育成牧場の円滑な運営に努めてまいりますとともに、家畜伝染病の発生防止対策につきましても、関係機関との連携を図りながら、万全な防疫体制や自衛防疫の普及啓発など指導徹底に努めてまいります。

 農業基盤整備につきましては、本年度から3地区の道営事業に着手するほか、団体営事業につきましでも農地耕作条件改善事業の実施により、異常気象に負けない強い農業づくりに向けた基盤整備事業を推進してまいります。

 また、担い手対策につきましては、農業塾による担い手の技能向上を図り、後継者対策や花嫁対策事業を推進してまいりますとともに、産学官金連携による農業人材育成アグリビジネススクールを実施します。

 

◆まちの資源を活かした産業の振興と連携の促進や地域の資源を活かした観光産業の創出

 地域資源を活かした付加価値の高い特産品の開発及び産業創出を目指すことが必要であり、観光協会が首都圏及び札幌市等において実施する物産販売とインターネット販売に支援をしてまいります。

 また、既存の企業に対しては、低率で返済方法が緩やかな融資制度により支援をするとともに起業を目指す方に対して、補助制度を拡充することにより、起業しやすい環境を整えてまいります。

 さらに、「十勝清水牛玉ステーキ井」と「牛とろ井」の知名度アップにより、「食」による交流人口の創出が生まれたところであります。

 本年度は、新たに本町の根幹となる農産加工業の魅力と景観の素晴らしさを情報発信するため、より多くの方々の交流の場としての機能を持つ情報発信拠点整備に取り組んでまいります。

 

◆商業の活性化と異世代が集う多機能型まち

 消費税増税の影響は沈静化しつつあると言われておりますが、本町の消費経済は、消費購買行動の町外流失は依然歯止めがからず、商工業全般において厳しい状況であります。これを打開するため、関係団体と市街地の商店の賑わいを創出する取り組みが必要であり、安心して買い物ができる環境を整えてまいりますとともに、人口減少の歯止め策のーっとして、定住に結びつける住宅リフォーム・太陽光発電システム導入奨励金制度を継続し、地元事業者の事業量の確保及び域内経済の活性化を目指してまいります。

 

5 みんなで創る協働のまちづくり

◆町民誰もが参加する協働のまち

 広報紙や町ホームページは、よりわかりやすい掲載方法や町民視点に立った情報の提供に努め、まちづくりの資料となるよう各種広報活動の充実に取り組んでまいります。

 また、いきいきふるさとづくり基金には、本町のまちづくりに対して応援、貢献したいと思う方々から寄附をいただいており、今後も寄附者の意向を十分反映できるよう適切な活用に努め、一定額を寄附された方々への町内特産品贈呈により、町の魅力を発信してまいります。

 さらに、移住定住促進事業については、ワンストップ窓口を設置し、本町の多様な情報提供と魅力発信に努めるとともに、移住体験住宅の活用と雇用情報の提供、起業支援施策を実施し、移住定住施策を推進してまいります。

 

◆効率的でわかりやすい行政運営

 住民が地域のことを自ら考え、その総意に基づく最善策でありますまちづくり計画を基に、実践していける環境づくりに努めてまいりますとともに、昨年策定した清水町人口ビジョン・総合戦略の事業化など各種計画の推進に取り組んでまいります。

 歳入であります自主財源の確保につきまして、個人町民税は、農業所得は生産額が過去最高を記録するなど明るい材料があるものの資材経費の高騰もあること、給与所得については就業者数の減少が見込まれることなどから、前年度と比較し微増としたところです。

 法人町民税につきましでも、景気回復はやや上向きつつあると言われているところですが、税率改正の影響もあることから微増と見込んだところです。

 固定資産税につきましては、大規模工場の閉鎖や償却資産の取得の減少などから、前年度と比較し減額としました。

 軽自動車税につきましては、税率改正があることから微増とし、町たばこ税につきましては、喫煙者が減少傾向にありますので、減収を見込んだところです。

 なお、収納対策につきましては、早期の自主納税の推進に努めるとともに、十勝市町村税滞納整理機構とさらなる連携を図りながら、適切な滞納整理に取り組み、徴収率の一層の向上に努めてまいります。

 

◆広域行政の推進

 長年検討してまいりました十勝管内の消防本部を一つにする消防広域化につきましては、本年度から高機能指令センターの運用開始、消防事務の一元化などにより、今まで以上に効率的・効果的な消防体制の充実が図られます。

 地方における人口減少対策及び対応は急務であり、十勝管内などでの広域行政や連携は、今後さらに重要になってきます。

 このため、本年度から始まる第2期十勝定住自立圏共生ビジョンを推進し、「フードバレーとかち」などをはじめ、十勝圏全体の連携事業の発展に資する取り組みに努めてまいります。

 

Ⅳ むすびに

 以上、平成28年度の町政運営にあたり、方針と施策の一端を申し上げました。

 本町の将来像である「みんなで活き生き豊かさ育むまちとかちしみず」の実現に向け、諦めない強い精神と意志を持ち続け、次代を担う子どもたちこれまで本町を支えてきた先輩の方々、そして、全ての町民の皆様が安心して住み続けられるまちづくりに向かつて、全力で諸課題解決のため職員と一丸となり各種施策に取り組んでまいりますので、議員の皆様をはじめ、町民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げ、町政執行方針とします。

 平成28年3月8日 清水町長 高 薄  渡