平成28年第2回定例会会議録(6月17日_日程第1_一般質問 桜井崇裕議員)
○議長(加来良明) 日程第1、一般質問を行います。
順番に発言を許します。
2番、桜井崇裕議員。
○2番(桜井崇裕) 一般質問をする前に、冒頭、2か月前の熊本地震でお亡くなりになった皆さんのご冥福をお祈りいたしますとともに、いまだ1,000人を超える方が避難所生活をされている、200名を超える方が車中泊をされているということでございますし、私も20代の時に西部4町の国内研修で熊本に大変お世話になった経緯もございますし、一昨年、熊本に視察に出かけた経緯もございます。1日も早い復興を願うところでございますし、畜産王国、農業王国でもありますので、そういった意味でも1日も早い復興をお祈りするところでございます。
それでは、通告に基づきまして一般質問をしたいと思います。
5月20日の十勝町村会において採択されました、100年先を見据えた農業政策の確立を求める決議についてお伺いしたいと思います。地方版総合戦略の本格的な実行年度となり、産業の振興や人口の定着を目標とする取り組みが動き出しました。5月に決議された十勝町村会の100年先を見据えた農業政策の確立を求める決議について、町長の所見をお伺いいたします。
また、同時に農業者が増える政策の確立、農業の重要性に対する国民理解の醸成なども決議されていますが、それも合わせて所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○町長(高薄 渡) 桜井議員のご質問にお答えいたします。
ただいま、ご質問の要旨のように、5月20日に十勝町村会におきまして100年先を見据えた農業政策の確立を求める決議ということで、いわゆる十勝統一宣戦。また、十勝の農業者あるいは農業以外の皆さま方の意思統一として求めるべきだということで、決議をしたことであります。加えて、6月6日、十勝活性化推進期成会があり、これはもちろん自治体はそうでありますけれども、産業界も全て入っている組織でございます。帯広市ももちろん入っておりますけれども、この中での決議をさせていただきました。たまたま、ここ数年、私が責任者をしているものですから、この辺についてさまざまな分野で審議した内容報告をさせていただいたところであります。いまだに払拭できないTPPの不安は農業者はもちろんでありますけれども、農業者以外の産業に関わる方々もこの部分では非常に懸念をしているということでございます。今年の2月4日に参加国12か国は協定文に署名をしているところでありますけれども、現在、ご承知のようにアメリカにおきましては大統領選ということから、その手続きに困難性を示しているところでございます。当西部におきましても、先般の内容的には引き伸ばしというような状況にあるわけであります。当初は、農産物が71.3%ということで、関税の撤廃を免れたというふうになっているんですが、内容的にはまだまだもう少し低くなり、撤廃される量が多くなるのではないかと言われています。政府としましては1,300億円から2,100億円くらいと言っているんですが、それでは済まないだろうというふうに私どもも見ておりまして、特に米はありませんけれども、その他については非常に道東は打撃が大きくなるわけであります。そういう面で不安があるということであります。日本は補助金漬けだとよく言われているんですが、予算的には2兆数億円しかありません。アメリカにおきましては10兆円であります。EUでさえ8兆円でありますから、日本はいかに少ないかということになるわけであります。そういう面から考えましても、輸入にどうしても押されているというのが現状でありまして、これは影響が大なわけで、自給率が下がるのはそういう状況にあるわけであります。補助金がもう少し出て、生産者にゆるぎない安定的な生活をしていただくためには、そのくらいの額は必要になってくるわけでありますが、それがされていないのが現状であります。
従いまして、要望は5つでありました。1つは、これまで130年余り、馬の時代から近代化農業に入ってきておりますけれども、ようやく基盤整備も十勝全体の農業生産に関わる基盤整備がようやく一程度できました。その結果、3,233億円という史上最高の生産高になったわけであります。当町も270億円を超えるということでありますが、そういうようなことで生産が出てきたということであります。
しかし、このままではまた今まで努力をしてきたことをこの次に向かってどうなのかということになりますと、やはり建物の老朽化と同じように土地も老朽化、いわゆる入れ替えをしなければならない。小さなトラクターから時代の整備した基盤整備が中型化になり、今は大型化になっているわけでありまして、やはり畑地に入る場合には、昔でいう転圧ローラーが入るような状況になっております。こうなりますと下に入っております暗渠等も含めて波を打っていくわけでありますから、最近の大雨の態勢からしても早く土地に入れるような状況にしなければならないということで、確立を求めていくようになる。
今までは農業者を守るということであったんですが、守るというのは日本だけのようでございます。守るのではなく増えると、農業者が増えるということもあるし、離農者を出さない、後継者がいなければやむを得ないんですが、そういうことで農業者を増やす政策をすべきであると、そうでなければ若者も担い手ももちろんそうでありますけれども、新規就農という希望を持った人たちも入ってこないのではないかということから、守ることから攻めることに切り替えようではないかと。
3つ目は、食料というのは国民の共有財産である。その共有財産をいかに安全で安心なものにしなければならないわけでありますから、農業生産とそれを支援するのと同時に消費者の立場に立った農業でなければならないということで、消費者保護とイコールだと。農業生産と農業者保護がイコールにすべきということで、欧州では農業文化と言われ、歴史的にも長いわけですので、それをしてくるだろうということであります。
4つ目は、どうしても長期的な経営計画ができないんです。国の動向によっても全部変わって行くわけでありますから、それでやはり個人なりグループなり、組織的なりで計画がきちんとできるように農協で経営計画をやって終わりましたが、いわゆるそれがしっかりできるような体制でなければだめだと。一般の企業であれば経営診断士や経営士、弁護士など、たくさんいるわけでありますが、そういうものがもてないわけでありまして、経営計画がきちんとできる、所得の安定対策、価格の安定対策がきちんとできるような措置をすべきではないかという法制化が求められる。
5つ目には、制度をつくったら全国画一でもめることが多いんですけれども、各都道府県によっても違う。道央圏や道南圏、道北圏でも違う。やはり、道東で酪農を主体とする十勝、網走、根室などは水産物もありますが、そことは大分違うのではないかということで、物の作りも違って、野菜中心のところもあるということから、適地適作の作は「作る」だったんですが、「策」となり、適宜な策を練ってやるべきではないかということで、訴えたわけであります。これは、去年農水省に行って「どうやって読むんですか」と言われて、向こうでもわからなかったので、それを説明してまいりました。その時に、現地を見ないで政策を進めるといったところも見受けられましたので、そういったことを「画一的なものではない制度にしてください」ということでお願いをしているわけです。この5つを中心に平成29年度に向けて、あるいはそれ以降の100年という大きなスパンの中で考えていただきたいということで、十勝町村会並びに十勝活性化推進期成会で決議をさせていただいたところであります。
これによって、TPPはまだ細かい点は出ていませんけれども、それに沿った中でのTPPの一時的な部分は今年度予算にも入っておりますけれども、そういったところで進めてまいりたいと思うしだいであります。
よろしくお願いいたします。
○議長(加来良明) 質問を受けます。
2番、桜井崇裕議員。
○2番(桜井崇裕) ありがとうございました。今後、今言われていましたように、十勝圏活性化推進期成会と町村会、町長も来月上京するということでございますし、担当の方でもいろいろな立場で上京する機会があると思いますが、今お話しいただいた5つの点は、参議院選も控えておりますけれども、現場の声として、現場はやはりTPPに対する払拭はできていないわけでございますし、今後ともはっきりと町長から答えをいただきましたように、政権が変わるたびに政策が変わったり、経済情勢などいろいろなものが変わるわけでございます。130年の農業の変革を見てもいろいろなことがございました。今後100年を見通す中で、今大事なのは農業がしっかり定着する。安定して経営をできるということが最も大切なことだと思いますし、そのために安定的な対策と公共的な農業政策をしっかりと構築していただきたいと国に強く訴えていただきたいと思います。
農業は多面的な問題もございます。国土保全あるいは災害からのいろいろな防災の関係でも極めて重要なこともございますので、これも合わせてしっかり国の方に伝えていただきたいと思います。
また、今、世界的に和食文化と捉えられていますけれども、やはりその和食の文化というものは、地産地消に基づき、それにいろいろな技術がついてできあがった文化だと思っておりますので、地方を大切にしなければそういう文化もなかったわけでございますので、世界に誇れる文化ということでございますので、しっかりそれもしていただきたいということを併せて強く要望していただきたいと思いますので、その点についていかがでしょうか。
○議長(加来良明) 答弁を求めます。
町長。
○町長(高薄 渡) 先般、十勝活性化期成会の前に十勝地域連携会議というものがございまして、当日でございますけれども、今年は帯広開発建設部が主体となって十勝振興局が主催者なんですが、その中である町村長さんが「食と文化」というテーマでやっていく中で、和食とは言いませんでしたけれども、十勝のそれぞれの町で伝えられてきているものがあるのではないかと。それを掘り起こして、各町村の食文化として位置付けるような形が取れないだろうかと。そして、統一感を持った中では、統一感のもののあってしかるべきだろうと。例えば、帯広であれば豚丼ということで、うちは近代的になりましたけれどもまだまだ昔のものがあるだろうと。そういう昔のものをもう一度掘り起こしてみてはどうかという提案がございましたので、それに向かって食と文化、あるいは食と農、食と観光ということで、食をとおしたものを作っていく必要があるだろうということになっております。したがって、私どももそういう方向の中には食育もございますので、絡めていく必要があるだろうなと思っております。
○議長(加来良明) 2番、桜井崇裕議員。
○2番(桜井崇裕) 私、今回の一般質問でいろいろと本町の農業政策を聞こうと思っておりましたけれども、所管事務調査の中でしっかり調査をするということでございますので、今回はあえて本町の農業政策については質問しないわけでございますが、やはり農業者の農業経営がしっかりできる。生活がしっかりと守れるということでなければ、国の攻める農業、成長産業化、6次産業化も進むとは思えないわけでございますので、やはりその基盤となる政策をしっかりとしてもらわないと、地域も成り立ちませんし、本町も成り立たないということがございますので、しっかりその点を国の方に要望していただきたいと思います。
次の質問に移りますが、農協の関係でございます。先ほどの町長の4番目、農協は農協の立場の中で組合員、農業者の立場に寄り添った経営計画、営農計画、それから生活に対してのあり方など、寄り添ったことが求められるのではないかと思います。多様な本町は、家族経営の中でいろいろな経営形態がございます。一部の農家がいろいろな農家がいろいろな農業をしているということがございますので、その中でいろいろな問題、悩みといったものをきめ細かく、寄り添った形の中の農協であっていただきたいと。それに基づいて、町と農協が同じ目線で、同じ方向(将来)を見て農業政策をしっかりと構築してもらうことが、安定した農業に結び付くのであろうと思います。今、農業新聞等を見てみますと、いろいろな対策会議があり、クラスターは別としても、基盤となる農業政策をどうするか、将来的にどうするかということで、いろいろな対策を各町村打っていると思います。そういうものも目に付きますが、本町も営農対策協議会等がございますけれども、もっと下の事務方、役場と農協がうまくいってほしいという思いの中で、なかなかうまくいっていない部分もあろうかと思います。そういったものを、やはり同じ方向を見て、農業者のためにやるということを構築するという意味では、もっと密な対策をしていただきたいと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 今、JAとの関わりの中の課題ということでお話がされたと思いますが、これまでの農業の政策は、先ほどもちょっと触れましたけれども、町がどうのというのは微々たるもので、大転換と言われる政策は国が持つ時代であります。したがって、国の政策が従来は北海道庁を通じて、市町村を通じて、農協となっていたんですが、今はそうではなく国から直に農協や団体に入るようになりました。したがって、町の方が後付けになるという状況になっています。これは、果たしていいのかどうかということもあるわけですが、全くわからないで出てしまうことが多々あるんです。そういう時に農協の方が先んじて行政の方が遅れてしまう部分があるものですから、こちらの方で「そういうものだったんだ。」とすでに実行されているということが最近目に付くわけでありまして、それでいいのかなと思うわけであります。それはどういうことかというと、ひも解けば、今までは家族経営を中心として私たちは進んできたわけなんですけれども、国の方の施策変更、さまざまな変更によりまして家族経営と言いながらも企業法人化ということになりますから、法人となる前提として、例えば、ここの地域のグループ皆が合意してくれれば、直接やれますよということになります。私と2人だけがよくて、あと3人がだめとか、1人でもだめとなったら、それは組織体としては認めないというふうになってきまして、非常に揺らいでいる今までの状況が、ここ5、6年の間にそうなってきているということです。これを今度、それではやはりだめだということで、いかなければならないということで、今、改訂しているということが、今の農業政策の中に入っています。これは、今のTPPに絡まって、個々にやっていたのでは立ち向かえないよと。ですから、やはりJAが固まっていくべきだと。十勝なら十勝の産物の中で例えば、十勝川西長いもやうちの町のにんにくを十勝全体のにんにくにしていくとか、そういうふうにしていくべきだということで、今進めてきているのが実態でございます。
なお、JAさんの農家に対する思いは当然自治体よりもJAそのものがしなければならないことだし、思いもあるわけでありますけれども、農業政策となりますと、JAはどうしても実行力でいって、いかに生産物を高く買ってもらうか、売るかという経済行為が頭に一番最初にきます。したがって、町は経済政策は頭にしていません。やはり、全体の農業者の農業政策をどうしていくかということになるものですから、そこにものの押さえ方のずれがどうしても出てくる。町政でやるところはやはり一本で、このものをどういうふうに進めていくかというところだけは、基盤整備については農協は全然タッチしていませんので、町が考える政策でありまして、うちが全部やっていくわけであります。そういう面ではそうなるわけであります。JAとなってくと最終的には牛1頭なんぼで売れたとか、豆なんぼとか、そういう話になってしまうので、そうなるとそこで若干の調整が必要になるかなと。しかしながら、いろいろな問題点がありますので、ただいま桜井議員が言われたような形の中で、歩調ができて同一行動をとるところはしていくということで、考えてまいりたいと思いますので、ご理解いただきたいと思います。
○議長(加来良明) 2番、桜井崇裕議員。
○2番(桜井崇裕) なるべく情報を共有していただいて、連携できるものはしっかりと連携していただいて、第1次産業であり、清水町の基幹産業でございますので、しっかりそれぞれの立場で支えていただきたいというふうに思います。
最後になりますが、今回は多く語るつもりはございませんけれども、農業者個人の問題でございます。やはり、今国の政策が家族経営からそういうふうに向かっているということでございますけれども、やはり農業者それぞれがそれぞれの立場でしっかりと足元を見つめて、次世代までを考えて、どういったことができるかということもしっかりと農協、行政等を含めてしっかりと自分の立ち位置を考えてほしいなというふうに、自分も含めて思っているところでございます。質問の内容にもありますように、100年ということでございますと、自分の世代では30年、40年農業経営をしても2代、3代というふうになるわけでございますので、孫の代までしっかり農業で成り立つようなものを考えていかなければならない中で、いろいろな情勢の中でいろいろな不安もあろうかと思いますけれども、足りるを知るという言葉もございますが、私は酪農家でございますから、酪農の中で何が大事かというと、やはり牛が健康で良質な草が採れ、家族が健康で働けて、朝晩しっかり家族とともに食事ができるという生活が農業であると思っているところでございますので、いろいろな情勢に惑わされないで、しっかりと農業をしていただきたいというふうに思います。そういった農業者に対しての町長の思いがありましたら教えていただきたいと思います。
○議長(加来良明) 町長。
○町長(高薄 渡) 今、おっしゃられるところは、農業者の経営者としての思いをお話しされたと思うわけであります。私どもは、次の担い手の方々に農業塾をとおしながらその考え方を持っていただきたいということで、人材育成という面からも進めているわけであります。そこには経営という問題はなかなか入ってこれないので、現場という中で、今のお話しのような形を進めさせていただいております。幸いに地方創生ということで、今回、該当になりましたので、アグリビジネスということで、いわゆる経営マインドを持って進めていくという経営感覚をしっかりと見に付けていくような農業者になっていけば、現場に追われているけれども片方ではこれでいいのかどうかと問いながら現場に持っていくのと、現場だけで追われて、次は牧草、次は何だと追われてしまっているのと、最終的に違いが出てくると思います。そういうことで、今回、帯広畜産大学や小樽商科大学の先生方にも入ってもらって、出る時間がないので回数はそう多くはないけれども、そういったことで学んでいただいて、しっかりとした経営感覚を持った中で家族経営だろうが、法人経営であろうが、農業に携わる関係者だろうが入ってもらって進めていくことがわが町の将来的な投資につながるのではないかというふうに存じるものですから、人材育成を重点的にやってまいりたいと思っております。
○議長(加来良明) 2番、桜井崇裕議員。
○2番(桜井崇裕) ありがとうございます。
やはり、農協も農業者も行政もそれぞれの立場で、今地方創生、人口減少問題などいろいろな国の問題がございますし、その中でしっかりとスクラムを組んで清水町の基幹産業を守るという意識のもとに、いろいろな対応をしていただきたいと思います。
私も議員である以上、しっかりとそういったことをお願いしながら、そればかりではございませんけれども、いろいろな立場の中でそういったものをお願いしながらこれからまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思いまして、言葉足らずではございますが、今回の一般質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。