北海道清水町議会

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平成18年第3回定例会(3月10日_日程第6)

○議長(田中勝男) 日程第6、教育行政執行方針について、教育委員長より、平成18年度教育行政執行方針を述べていただきます。
 教育委員長。

○教育委員長(広井敏昭)

Ⅰ はじめに
 平成18年第3回清水町議会定例会の開会にあたり、教育委員会の所掌する行政の主要なる方針について申し上げます。
 昨年、国は、中央教育審議会の答申として、「新しい時代の義務教育を創造する」を発表しました。その中で、4つの教育国家戦略を提示するなど、教育改革の動きは急であります。
 清水町教育委員会では、これらのことを踏まえた上で、本町の歴史や風土、町民憲章の精神のもと、感性豊かな人間性の育成など、時代を越えて変わらないものを大切にするとともに、社会の変化に対応できる教育を推進してまいります。

Ⅱ 学校教育の推進
 学校教育は、まちの将来を担う人づくりの基盤であります。
 子どもたちがよく学び、よく遊び、心身ともに健やかに育つことを目指します。
 清水町学校教育目標の「ふるさとのぬくもりを背に受け、新しい時代をきり拓く、知恵とたくましさ、豊かな心を育む、学校教育の推進」を基本的な考えとし、「うてば響く心に響く」魅力ある学校づくりを社会教育と連携して推進します。
 学校の力を高め、教師の力を磨き、子どもたちの人間としての力を豊かに育ててまいります。

1 確かな学力の育成
 「確かな学力」の育成につきましては、基礎・基本をしっかりと身に付けさせるとともに、学ぶ意欲や、自ら考え、主体的に判断する力を育むことが大切です。
 そのためには、少人数による学級編成や、教師がチームを組むT・Tを活用した少人数指導等を通して、子どもに基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、自ら学び、自ら考える力など「確かな学力」を育んでまいります。
 また、体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図り、理解する力、判断する力、表現する力など「生きる力」の育成を図るとともに、教師の資質の向上に向けて、校内外の研修の充実にも努めてまいります。

2 心の教育の推進
 「豊かな心」の育成につきましては、善悪の判断などの規範意識や倫理感と、公共心や他人を思いやる心などの豊かな人間性を子どもたちに育むために、家庭、学校、地域社会が一体となって道徳教育の充実や学校内外を通じた奉仕・体験活動、さらに、読書活動の推進を図ります。
 各学校では、学校に漂う文化の創造に心がけ、笑顔と活力ある教育活動を展開します。「挨拶、返事、後片づけ」など基本的生活習慣を身に付けるとともに、「朝の読書」「夕べの読書」等を推進し、柔らかな感性を磨き、想像力を喚起し、知的好奇心をくすぐり、こころを育てる教育を実践してまいります。

3 少人数学級の取組
 本町における少人数学級は、国の構造改革特区の認定を受け、小学校1、2年生で20人程度の学級編成を展開しており、その成果は、学校や保護者からも高い評価を得ております。
 少人数学級では、「学習集団と生活集団の一体化」を図る中で、「落ち着きと秩序感覚」を育み、「生き生きとした学校生活」を送る力が身に付いてまいりました。
 保護者からも、基本的な学習や生活習慣が身に付き、子どもと教師の人間関係がより深まってきたと評価をいただいております。
 これらの成果を踏まえ、今年度も引き続き小学校1、2年生を対象に少人数学級を実施してまいります。

4 幼保・小の連携
 本町では、平成17年度から2カ年にわたり北海道教育委員会の委託を受けて「幼保・小連携教育調査研究事業」を実施しております。
 この事業は、就学前教育と小学校教育のなめらかな連携を調査研究するものです。
 その主なる内容は、(1)教育課程のなめらかな連携(2)教職員相互の意識改革と交流(3)子ども同士の交流を通した生活習慣や心の教育の充実(4)保護者の交流・連携などです。
 本年度も幼稚園、保育所と小学校間の生活と学びの一体化となめらかな連携を図るため児童保育センターとともに、更なる調査研究を進めてまいります。

5 登下校の安全対策
 次代を担う子どもたちを、安全、安心な環境のもと健やかに育むためには、従前にも増して家庭、学校、地域が連携を深め、地域力を結集しなければなりません。
 教育委員会といたしましては、各学校に対して児童生徒の安全を確保するための指導をしてまいります。
 各学校におきましては、安全マップの再確認、下校時における複数下校の徹底や教師の同行、保護者による通学路の巡視活動を実施しております。
 また、町生活安全推進委員会、教育関係者、地域住民が連携し、「子どもを犯罪や交通事故から守る」監視活動の連絡会議を開催し、監視活動を継続することにしております。
 このような活動は、継続していくことが犯罪の抑止につながりますので、今後も関係者だけの取組に終わることなく、町長部局と連携し、地域住民との活動の輪を拡げ活動してまいります。

6 しみず「教育の四季」の宣言
 本町は、「少人数学級」の導入や町民による「第九演奏会」の実施、さらに、文化・スポ-ツの振興等でも実績をあげ、「文化の香りただよう教育のまち」として、評価を得ております。
 しかし、一方で少子高齢化社会の到来、家庭の教育力の低下、地域の連帯感の希薄化等も心配されるところです。
 こうした時にこそ、家庭、学校、地域がお互いの持ち味を出し合い、連携することが強く求められています。また、恵まれた四季折々の厳しくも美しい変化を再認識し、子どもの感性を豊かに揺さぶることは極めて大切なことでもあります。「四季の変化」と「家庭・学校・地域」の連携を立体的にとらえ、そこにできる「12の窓」に輝く子ども像を画き育てる、しみず「教育の四季」をこの4月から実施してまいります。
 町民が一体となって、このことが推進できますようご理解とご協力をお願いいたします。

Ⅲ バスの運行及び学校給食の運営方針
 本町のバス運行につきましては、スクールバス、町有バス及び町民バスの運行管理を行っております。
 スクールバスの運行につきましては、町内の遠距離通学の児童生徒を安全に、また、確実に輸送するために乗車時間の短縮と一部運行路線の見直しを行い、町内全12路線を運行してまいります。
 町有バスの運行につきましては、住民の交通手段を確保し、公共の福祉を図る目的で学校の登校日は、スクールバスと兼ねて運行し、学校休業日は、清水町の休日等を除き毎週火曜日と金曜日に運行してまいります。
 町民バスにつきましては、昨年度からバス1台により運行を始めたところですが、町内の各福祉関係団体や社会教育関係団体などのご協力いただきスムーズに運行しております。
 いずれのバス運行につきましても、利用者の安全性を確保するため、日常の車両点検と整備を怠ることなく、また、職員の交通安全に対する研修等を行い、安全なバス運行に努めてまいります。
 次に、学校給食業務につきましては、近年の我が国の食生活を取り巻く社会環境の変化に伴い、偏食、朝食欠食など、子どもたちの食生活の乱れが見られ、栄養障害による肥満傾向の増大など健康に与える影響が問題となっております。
 給食センターといたしましては、子どもの「食育」を重要課題と位置付けて、センター内に研究組織「プアパ」を立ち上げ、地産地消を軸にした実践的研究を進めております。また、児童生徒の食事に関する実態調査を実施したところ、朝食欠食者が小学生で約6%、中学生が約8%となっており、それぞれ全国の約16%、約20%に比較しますと少ない結果となっていますが、子どもたちの健康上の影響が懸念されます。
 給食センターといたしましては、学校や家庭との連携を密にし、児童生徒に正しい食事の摂り方や望ましい食習慣を身に付けさせるなど、食に関する指導の充実を図ってまいります。そのためにも学校栄養教諭の導入を目指し、あらゆる機会と場所を利用して積極的に食育を推進するとともに、学校給食を通して食育を考え、子どもたちが将来にわたり健康に生活していくために工夫を凝らし、安全で安心な地元食材を多く活用した給食を提供してまいります。

Ⅳ 社会教育の充実
 町民のライフスタイルや価値観の多様化により、学びのスタイルも多岐にわたります。町民が「いつでも」「どこでも」「だれでも」学ぶことができる条件や環境づくりのために、平成18年度から始まる第6次社会教育計画の柱である「一人ひとりが生きがいを持ち互いに学び合う学習活動」「地域に根ざした創造性あふれる芸術・文化活動」「仲間とともに楽しみ、健康を増進するスポーツ・レクリェーション活動」の3点の視点を持って、互いに補完し合い、ときには融合させながら「いきいきと学び合える社会の実現」を目指してまいります。
 人は地域に育てられるとともに、地域を創る力を持っています。地域が持つ力と地域を創る力によって、社会教育の充実を図ってまいります。

1 社会教育活動の推進
 家庭は教育の原点であると言われていますが、家庭や地域の環境は大きく変化し、家庭や地域の教育力の向上を図るための支援が必要です。少年教育につきましては、事業の再編成をしながら自然体験や親子参加事業などを通して、健全育成に取り組みます。「地域子ども教室」につきましては、地域の子どもを地域で育てるために、放課後や週末における各種教室の事業内容を、関係団体の協力により更に充実してまいります。
 青年教育につきましては、職域を越えた交流機会を設ける中で人材育成や人材活用を図ります。成人教育につきましては、生きがい作り、趣味や教養を深めていただくために、公民館を中心とした各種講座や高校開放講座を開設いたします。また、各団体が自主性を活かし楽しみながら活動ができるように、社会教育施設機能の維持に努めてまいります。
 「教えながら学ぶ」「学びながら教える」という循環型学習機能を充実するために「生涯学習ボランティア制度」を継続し、登録者の拡大と活動場所の提供を図り、町内在住の多様な知識・経験を有する方による町民の学習活動への参加をより推進してまいります。

2 芸術・文化活動の推進
 芸術・文化を鑑賞することにより得た感動は、いつまでも心に残り生きるための活力となります。町民一人ひとりに心の豊かさを提供するために、芸術・文化に触れる機会を提供してまいります。
 昨年、開館いたしました「きたくま文化蔵」は、町民の芸術作品及び所蔵作品の展示会場として、有効活用を図ってまいります。
 また、幼児、小・中学生の豊かな感性を育むために、芸術鑑賞事業を実施いたしますが、親や地域の方にも共に鑑賞していただけるように事業を実施してまいります。
 多くの文化団体が積極的に活動をしていますが、各団体の自主的な活動を支援するとともに、清水・御影両文化協会との連携を深めながら町民の芸術・文化活動の促進を図り、指導者の養成に努めてまいります。

3 スポーツ活動の推進
 健康で充実した生活を営むためには、豊かなスポーツライフをおくることが大切であり、いつでもどこでもスポーツに親しみ生活に取り入れられるような意識の啓発や環境の整備が必要です。
 幼児期からのスポーツへの取組は、心身ともに健全な子どもを育み、親子のコミュニケーションを図る上でも有用な手段であることから、少年団の育成や指導者の養成を図るとともに、親子で参加できる教室や大会を実施してまいります。
 また、町民がスポーツを通して健康の維持増進と交流を図り、競技スポーツと生涯スポーツのかかわりを深めることを目的に、各種教室や大会等を開催し、学校や社会体育団体とも連携を強め、スポーツに親しむ機会拡充に努めてまいります。
 アイスアリーナにつきましては、少年団から社会人まで競技力向上を図るとともに、町民の体力づくりのための氷上スポーツ施設として利用者から親しまれる運営に努め、合宿や大会を誘致し、利用者の拡大を図ってまいります。
 アイスアリーナの維持管理につきましては、平成19年度から実施を予定している指定管理者制度の導入準備を進めてまいります。

4 図書館・郷土史料館の運営
 図書館につきましては、町民の豊かな読書生活を保障し、日常的な調査・研究に応えるための施設として、図書館サービスの一層の充実と開かれた図書館活動の推進に努めているところであります。
 厳しい財政状況ではありますが、引き続き特色ある図書購入に努め町民の読書要求に応えるとともに、寄贈図書につきましても有効利用を図ってまいります。
 本年度も子どもを取り巻く読書環境をより向上させるために、お話し会などの図書館事業や学校図書館との連携・協力など、図書館内外で積極的な児童サービスの提供に努めてまいります。
 また、町民のための「地域の情報拠点」として、生活に役立つ図書館を目指してまいります。
 郷土史料館につきましては、引き続き郷土の開拓、生活資料の保存・展示及びコンピュータを利用した清水ガイドの運営に努めてまいります。

Ⅴ むすびに 
 以上、平成18年度の教育行政執行に関する主要な方針について申し上げ、本町の教育・文化・スポーツの振興と生涯学習社会の構築に最善の努力を傾けてまいりますので、議員並びに関係各位の温かいご支援と積極的なご協力をお願い申し上げ、教育行政執行方針といたします。
    
  平成18年3月10日 

   清水町教育委員会  委員長 広 井 敏 昭


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