北海道清水町議会

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平成17年第2回定例会会議録(3月11日_日程第9)

○議長(田中勝男) 日程第9、教育行政執行方針について、教育委員長より平成17年度教育行政執行方針を述べていただきます。教育委員長。

○教育委員長(鈴木敏彦)

Ⅰ はじめに
 平成17年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、教育委員会の所掌する行政執行の主要なる方針について申し上げます。
 昨年は国際社会での対立や紛争の激化、長引く不況や厳しい財政問題、加えて大地震や台風による自然災害が多発した年でありました。
 また、教育の分野においても三位一体改革にかかわり、義務教育費国庫負担制度のあり方をはじめ、教員免許の更新制、6・3制の見直しなど多様な施策が示され、教育改革の流れを加速させる議論や動きがあった年でもありました。
 教育委員会では新しい時代に相応し、地域の声を真摯に受けとめ、
その方向性や進展を適格にとらえながら、町民の皆さんが生涯学習の観点にたって生き生きとした人生が送れるように、教育、文化、スポーツの各分野において、議員並びに関係各位のご理解とご協力を賜りながら町民の期待に応える清水町の教育を推進してまいりたいと思います。

Ⅱ 学校における教育の推進について
 いま社会は厳しい経済情勢の中で、国際化や情報化、科学技術等が私たちの予測を超えるスピードで進展し、先行不透明な厳しい時代を迎えております。
 こうした社会の変化にも柔軟に対応できる人材を育成するため、教育の果すべき役割は極めて大きいものがあると認識しております。
 学校教育においては、次代を担う子どもたちの確かな学力の向上と豊かな心の育成を図り、たくましく生きるための健康や体力の向上をめざすとともに、新しい時代に対応できる教育を一層推進していかなければなりません。
 4校の学校がそれぞれ学校が見える、子どもが見える特色ある開かれた学校づくりをめざして取組を強めていく中、家庭や地域社会と連動し、「うてば響く、心に響く 学校教育」をスローガンに、社会教育と一体となって子どもたちの教育に取り組んでまいります。

1 小学校の再編成を終えて
 平成14年1月から、複式校6校の保護者や地域の方々と協議を進めてきました小学校の再編成につきましては、深いご理解と温かいご協力をいただき、平成15年度末に2校が、16度末には4校が閉校し、17年4月からは清水小学校と御影小学校の単式校2校となり、再編成が完了いたします。
 この再編成にあたりましては、複式校の保護者の方々から小規模校のよさをとり入れた受入校の学びの環境づくりに対して強い要望がありました。
 保護者の皆さんに伺いましたところ、小規模校の良いと思う点は、「少人数のため教師と子どもが密接に関わることが出来、個に応じた指導が可能である」とか、「学校と各家庭との関係が親密であり、自然の中で地域に根ざした教育活動が容易である」などのご意見でありました。
 長い歴史と優れた教育活動を展開し、素晴らしい実績をあげてこられた複式校を閉校し、新しい学校へ子ども達を通わせる保護者の皆さんの不安と、熱い思いや願いをしっかり受けとめ「学校の地域化、地域の学校化」を基軸に、統合してよかったと思われる学校づくりを進めていかなければならないと認識しております。
 そのためには
1)低学年における少人数学級を継続し、基本的な生活習慣や学力の基盤となる基礎基本の定着を図ります。
2)すでに実施している学校もありますが、学校のとりくみや子ども達の様子を理解していただくため、「学校だより」を自治会組織の協力を得て全戸回覧できるように学校と話をします。
3)より開かれた学校づくりをめざし、保護者だけではなく、地域の方々にも参観していただく「地域参観日」を設定し、継続できるように学校と話をします。
4)多くの保護者や地域の方々から学校や教師、子どもについての意見をいただき、その評価をもとに期待に応える学校づくりをめざします。
5)PTAの役員や学校支援委員の人選の際、小規模校から編入した児童保護者の方々に入ってもらえるよう地域性の配慮をします。
 以上の点に留意しながら、全教職員が心をひとつにし、より一層信頼され統合してよかったといわれる、確かで豊かな学校づくりを進めていきたいと考えております。

2 少人数学級について
 平成15年5月、構造改革特別区域計画の認定を受け6月1日から清水小学校の1年生を対象に実施しました1学級20人規模の少人数学級は、その指導効果をより確かなものにするためその対象を広げ、16年4月からは1年生と2年生の低学年を対象に実施してまいりました。
 その具体的な効果につきましては、もう少し長い目でみていかなければならないと思いますが、一例を申し上げますと「朝会や集会の場で1・2年生がきちんと整列し、話し声をたてずに、先生の方を向いてお話を聞くことが出来るようになり、その事が学校全体に波及し全校の児童が規律を守り落ち着きがでてきました。」との話が学校から寄せられております。
 このように学習集団と生活集団が一体化した少人数学級を実施することによって、子どもたちに基本的な生活習慣や基礎学力の定着など、基礎・基本をしっかりと身につけさせることができ、学ぶ意欲や自ら考え主体的に判断する力などの"確かな学力"の育成と、豊かな心を育む個に応じたきめ細かな指導が可能となります。
 こうした事から、少人数学級につきましては今年度も1年生と2年生を対象に継続して実施をし、学校大好き、勉強大好きな子どもに育てていきたいと考えております。

3 幼・保・小の連携について
 子どもの発達は連続しているのに、遊びを通じて学ぶ就学前教育から、教科を中心とした小学校教育へと学習環境は大きく変化をし、幼稚園や保育所から小学校に進んだ児童がなかなか適応することができず、場合によっては授業が成立しないといった事例もあるといわれています。
 幼児教育から高等教育までの全体を通じた連携や接続が重要であることは言うまでもありませんが、特に幼児教育は小学校以降の生活や学習の基盤を育成するものであることから、幼稚園や保育所と小学校の連携や交流の機会を充実し共通理解を深めていく必要があると思います。
 このようなことから、教育委員会では児童保育センターと協議を重ね、幼稚園や保育所と小学校の連携について検討を進めてまいりました。
 その結果17年度からは、各々が年度計画に取組を位置づけ、教職員が相互に授業を参観することにしております。幼稚園や保育所の先生は小学校に進学した子どもの変容を確認しながら、幼児段階で指導した方が良い点などを検討し、小学校の先生は幼稚園や保育所の授業を参観しながら、指導内容を確認し、参観後に相互の教職員が話しあいの場を設け、同じ視点から子どもを見ることにしています。
 また、校長と所長が相互訪問をし、相互の情報を共有することなど、当面は出来ることから取組をすることにしておりますが、将来的には教職員相互の交流や、小学校低学年の児童と幼児の生活交流も視野にいれ、生活習慣や心の教育など、学びの一体化を相互連携の中で出来るよう本格的な連携について今後更に協議を進めていきたいと考えております。

4 学校の安全管理について
 平成13年6月におきた大阪の小学校における児童殺傷事件以来岐阜県、京都府、石川県、千葉県そしてこの2月に大阪でと毎年のように全国各地で学校内に不審者が侵入し、児童や教職員に刃物で切りつけたり危害を加えたりする殺傷事件が多発しております。
 本町においても大阪の事件以来、児童や生徒の安全を確保するため、学校内における不審者の危機マニュアルを作成し、玄関の施錠、チャイムの設置、子ども達の避難を含めた防犯訓練の実施、「さすまた」の購入配置など、学校の安全対策を進めてまいりました。
 しかし、近年は奈良県の少女誘拐事件のように登下校の通学路等における、特に少女をねらった誘拐や監禁事件又はそれに類似する事件が多発の傾向にあります。
 本町においてもこうした事件の発生は決して他人事ではなく、その事実をしっかり受けとめ未然防止に万全を期していかなければならないと認識しております。しかしながら登下校時の安全管理という事になりますと、学校だけでは限度がありどうしても保護者や地域の皆さんとの連携した防犯対策が不可欠であります。
 また、児童や生徒自身も不審者から自分の身を守るため、常に複数行動をとるなど学校や家庭を通じて防犯意識を高めるとともに、地域や関係する機関との連携を深め、児童・生徒の安全確保に万全を期してまいります。

Ⅲ バスの運行及び学校給食の運営方針について
 バスの運行につきましては、スクールバス、町民バス及び町有バスの運行を行なっております。
 スクールバスの運行におきましては、平成16年度に複式校4校が統合したことを受け、一部走路の見直しと乗車時間の短縮等を図るため運行路線を2路線増設し12路線で運行いたします。
 町民バスの運行におきましては、平成16年度まで2台で運行しておりましたが、スクールバス1台が老朽化に伴い廃車となり、その代替車として町民バス1台を充てることとなるため、本年度より1台での運行となります。
 なお、1台運行となることから使用時期の分散、使用日数及び使用団体の制限等により対処してまいります。
 町有バスの運行におきましては、住民の交通手段を確保し、公共の福祉を図る目的で学校の登校日はスクールバスと兼ねて運行し、学校休業日は清水町の休日等を除き毎週火曜日、金曜日に運行しております。
 いずれのバス運行につきましても利用者の安全性を確保するため、車両の日常点検、整備を図り職員研修等を行い安全運行に努めてまいります。
 学校給食業務につきましては、給食数を本年度より各学校の必要数に応じて提供し、給食を通して食生活の指導も行ってまいります。
 近年、児童生徒の食生活の多様化とそれに起因する健康問題が指摘されていることから、食に関する指導と学校給食の管理を一体のものとして担う栄養教諭制度の導入に向けて取り組んでまいります。
 調理業務におきましては、毎日、調理内容、作業内容、担当者及び注意事項の確認を行うとともに、衛生管理、安全管理の徹底に努めてまいります。

Ⅳ 社会教育の推進について
 活力ある生涯学習社会の構築に向けて、社会教育行政の果たすもっとも大きな役割は、公民館や文化会館、図書館、体育館といった社会教育施設を拠点として住民の学習活動を支援、促進させていくことにあります。
 かつてない厳しい財政状況の中ではありますが、第5次の清水町社会教育計画に基づき、一人ひとりが生きがいの持てる生活を生み出す「いきいきと学び合える社会の実現」をめざし、生涯の各時期における様々な生活課題や地域課題に対する関心を高めるとともに「いつでも」「どこでも」「だれでも」が学び続けることができる学習環境の条件整備に、できる限りの努力を傾けてまいります。

1 社会教育活動の充実について
 幸せな生命の誕生から豊かな老後まで、町民の各時期における学習活動に対する支援目標を明らかにし、課題解決のための各種学習機会の提供、団体・サークル等の育成並びに指導者の養成に努めてまいります。
 健全で活力ある青少年の育成にあたりましては、関係機関・団体とさらに連携を深めながら家庭教育の充実に努めるとともに、学校教育の補完としての自然体験・社会体験学習を通して、自立心や協調性、生きる力を育むことを重点とした少年教育の充実に努めてまいります。
 特に、本年度においても文部科学省の国費委託事業「地域子ども教室推進事業」の指定を受け、心身ともにたくましく、心豊かな子どもを町内全体で育むため、家庭、学校、地域の持つ教育力を学校や社会教育施設などを活用して、放課後や週末における自然体験など様々な体験活動を実施してまいります。
 次に、共に学び共に生きる地域社会をめざし、ボランティアによるまちづくりへの参画や地域での子育て意識の向上といった地域の教育力を引き出すため、本年度も引き続き「生涯学習ボランティア制度」を継続し、さらに、登録者の拡大や制度のPRに努め事業の拡大を図り、町内に在住する多様な経歴や知識・経験を有する方々によって、学校での教育活動に対する支援や町民の生涯学習活動に対するお手伝いを推進いたします。それとともに新たな視点に立ち、若い人たちのボランティア意識の向上をめざした「青年ボランティア活動」事業を引き続き実施してまいります。
 また、青年・女性・成人の社会教育活動の推進については、生きがいづくり、趣味や教養の助長、協働のまちづくりといった観点から、引き続き公民館を中心とする各種講座や教室・学級などを開設するほか、本年度も清水高等学校の協力を得て高校開放講座を開設し、学習機会の提供に努めてまいります。

2 芸術・文化活動の推進について
 町民の一人ひとりが豊かで潤いのある生活を営むために、芸術・文化への関心や意欲をより高め、創造性あふれる多様な文化活動を支援するとともに、心の豊かさや感受性を高めるための優れた芸術・文化に接する機会を提供してまいります。
 特に、今年度旧北熊牛小学校跡地を利用して、清水町のゆかりの絵画作品等の保存・展示及び創作活動を支援する場として「きたくま文化蔵」を開設し、広く町民の芸術・文化活動の推進に努めてまいります。
 また、低年齢のときから芸術・文化に触れる機会を多く持つことにより豊かな感性を育てるために、本年も引き続き文化会館事業を通して幼児や小・中学生に対し芸術鑑賞機会を提供いたします。
 そのほか、余暇活動の充実や心の豊かさを求めて音楽や美術等の芸術に親しみ、活動の輪が広められるよう文化団体やサークルの自主的な活動を支援するとともに、清水・御影両文化協会との連携を深めながら指導者の養成・確保に努めてまいります。

3 スポーツ活動の推進について
 幼児から高齢者まで、健康で活力ある生活を保持するため、体力づくりに対する関心を高め、生活の中に取り入れることが大切であります。年齢を問わず誰でも手軽に親しめるパークゴルフや歩くスキー、ユニカールなどの軽スポーツが広がりを見せ、健康づくりや体力増進に大きな成果をあげております。                    
 生涯を通じて各時期にふさわしいスポーツ活動の振興を図るため、ラージボール卓球など他の軽スポーツの普及や活動の場の提供、各種教室・大会を開催し、年間を通したスポーツに親しむ機会拡充に努めてまいります。
 また、競技スポーツについても不断の練磨や目標実現は青少年の健全な心身の育成に大きな影響を与えるため、少年団の育成や指導者の養成を図るとともに、学校や社会体育関係団体と連携を強めながら拡充・強化に努めてまいります。
 アイスアリーナにつきましては、幼児から社会人まで、競技力の向上、体力づくりのための氷上スポーツ施設として利用者から親しまれる運営に努め、本町の特色あるスポーツ活動の意を体し、利用者拡大や地域振興のため、合宿や大会の誘致を図るとともに、維持管理形態の見直しなど効率的な施設経営に努めてまいります。

4 図書館・郷土資料館の運営について
 図書館については現在、町民の自主的な個人学習を支援する施設として、また図書のほか映像資料の充実に伴い、知性と感性に潤いをもたらす新しい憩いの場として、開かれた図書館活動の推進に努めているところであります。
 厳しい財政状況でありますので、特色ある精選された図書購入に努め町民の読書需要に応えるとともに、寄贈図書等の有効利用について意を用いてまいりたいと考えております。
 本年度も引き続き利用者層の拡大を進めるとともに、学校図書館とのネットワークの充実に努め児童・生徒の読書意欲の高揚に努めてまいります。
 さらには、図書館を中心として活動するサークルについては、会員の拡大、活動の活性化を促進するための支援協力を行うとともに、幼児等の豊かな感性を育む「読み聞かせ」などの読書普及につながるサークルの育成に努めてまいります。
 郷土資料館については、引き続き郷土の開拓、生活資料の保存・展示及びコンピュータを利用した清水ガイドの運営に努めてまいります。

Ⅴ むすびに
 以上、平成17年度の教育行政執行に関する主要な方針について申し上げ、本町の教育・文化・スポーツの振興と生涯学習社会の構築に最善の努力を傾けてまいりますので、議員並びに関係各位の温かいご支援と積極的なご協力をお願い申し上げ、教育行政執行方針と致します。

  平成17年3月11日

   清水町教育委員会 委員長 鈴 木 敏 彦