ひとだまとキツネ

その夜は、霧のような雨が降る、むし暑い夜でした。久人は墓地に向かいました。

墓地は灯りもなく、真っ暗でした。

「やっぱ薄気味わるいなあ」
そう思いながらも、久人はひとだまが出てくるのを待ちました。