令和2年第1回定例会会議録(3月10日_日程第5)

○議長(加来良明) 日程第5、町政執行方針について。

 町長より、令和2年度町政執行方針を述べていただきます。

 町長。

○町長(阿部一男) 

 I はじめに
 令和2年第1回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度の町政執行方針と施策について、議員各位と町民の皆様に概要を申し上げます。
 私の町長としての任期の締めくくりを迎え、これまで関係団体との懇談や行事への参加などを通して、多くの町民の皆様から貴重なご意見を頂き、様々な課題の解決と新たな可能性をまちづくりに活かすため、取り組みを進めてきました。
 一方、圏内に目を向けますと、我が国の経済情勢は雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな景気回復が続くことが期待される一方で、通商問題など海外経済の動向と、政策に関する不確実性や金融資本市場の変動、相次ぐ自然災害の経済への影響など、今後の先行きについては予断を許さない状況にあります。
 また、本町の財政状況については、公債費の抑制等により健全化を図ってきたところですが、近年は老朽化した施設への対応等により財政需要が大きくなり、一時的に公債費が上昇しています。加えて、少子高齢化による医療・介護等の扶助的経費の増加と、人口減少対策として結婚・子育てへの支援が必要なことから、財政見通しを常に留意しているところです。
 こうした中、令和2年度の当初予算においては産業の振興、人口減少と高齢化社会への対応、子供の成長への支援、町の歴史を将来の世代につなぐ事業など、町民が心豊かに暮らし、地域の可能性を更に大きなものとするために、町民の皆様とともにまちづくりを進めることが大変重要であると考えています。
 ここに、新年度の主要な施策につきまして基本的な考え方をご説明させていただきます。


Ⅱ  地方財政と予算概要
 令和2年度の地方財政計画では、「経済財政運営と改革の基本方針2019J を踏まえ、人づくり革命の実現や地方創生の推進、地域社会の維持・再生、防災・減災対策等に取り組みつつ、地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額を確保し、その財政規模は90兆7,397億円、前年度比1.3パーセントの増となり、地方交付税の出口ベースにあっては、16兆5,882億円、前年度比2.5パーセントの増となりました。
 本町の本年度当初予算につきましては、一般会計は78億1,300万円、前年度当初予算比21.6パーセント減、一般会計と3特別会計、2公営企業会計を合わせた予算総額は113億660万円、前年比16.8パーセントの減であります。
主要財源の普通交付税につきましては、幼児教育・保育の無償化に係る算入額や公債費算入額の増等により、27億8,000万円、前年度比4.9パーセントの増とし予算計上したところであります。

Ⅲ 主要政策の推進

1  自然と共生する安全で快適なまちづくり

◆自然環境の保全と環境との共生
 森林は、人々が安全で安心して生活するために不可欠な多面的機能を有しており、大切な森林を守り育てていくため森林整備計画及び森林経営計画に基づき適正管理のもと継続的整備により自然環境の保全に努め、災害に強い山づくりを進めてまいります。
 昨年度から始まったごみ処理の広域化について、引き続き町民や事業所等の理解を得ながら進めるとともに、循環型社会の形成を目指し、昨年度から実施している清掃センターのリサイクル施設への改修を継続し、限りある資源、の再資源化に向けた取り組みを推進してまいります。
 町道の整備につきましては、道路整備計画に基づき道路改良及び舗装工事並びに橋梁修繕工事を実施してまいりますとともに、国道、道道の整備につきまして、国や道へ積極的な要請をしてまいります。
◆すべての世代が交流し住みやすいまちづくり
 町民の日常生活の交通手段確保は、高齢化の進展とともに大きな課題となっておりますが、コミュニティバスや清水帯広間バスに加え、ドアトゥドアタイプの買物銀行パスの運行を継続し、高齢者や運転に不安を感じて免許を返納する方などが利用しやすいよう、効率的で利便性の高い移動支援を進めてまいります。
 老朽化が進んでいる町営住宅の建替や改修を計画的に進め、今後の住環境の整備に努めてまいりますとともに、転入や転居のための「空き家、空き地、賃貸住宅などの情報」を提供し、民間との連携を深めてまいります。
 公園施設につきましては、経年劣化による遊具の更新を計画的に進め、安全な環境整備に努めてまいります。
 子育て世帯や賃貸住宅に居住している世帯、転入された世帯の新築や中古住宅の取得、現在住まわれている住宅のリフォームに対する支援を継続するとともに、多様な世代が住みやすい住宅環境の充実に取り組み、移住・定住の更なる促進を図ってまいります。
◆緑豊かな森と水に親しむまちづくり
 豊かで快適な暮らしを目指し、春と秋の清掃週間やクリーンデイを推進し、生活環境の充実を図り心豊かなまちづくりを関係団体とともに進めてまいります。
 また、地域の大切な資源、である自然環境を守り育てるために、河川、公園、緑地の維持管理に努めてまいります。
◆町民相互の支え合いと暮らしの安全安心
 近年、全国的に大雨や地震による自然災害が多発しており、住民と行政が一体となった防災への取り組みが必要となっております。

 本町においては、平成28年の大雨災害を教訓として、防災備蓄の充実を図るとともに、自主防災組織を結成し地域の力で地域を守る取り組みを進めてまいります。また、昨年度整備しましたデジタル式防災行政無線や登録制メールなど、あらゆる情報伝達手段を活用し、町民の皆様に災害情報が確実に伝わるよう努めてまいります。
 また、消費者を取り巻く環境は、複雑・多様化し、犯罪手口は年々、巧妙化・悪質化しております。犯罪や事故のない安全で、安心なまちづくりを目指し、問題解決へ支援の拡充を図るため、関係機関や団体との連携を一層密にし、体制の維持・強化や情報共有を進め、犯罪の抑止や事件・事故の未然防止のため啓発活動の推進に努めてまいります。
◆快適で良好な生活環境
 町民が安心して暮らせるまちづくりを図るための一環として、犯罪や災害の未然防止、景観保持を目的として実施している廃屋解体撤去事業につきましては、昨年度より住宅に付随する塀・囲いなどの撤去についても対象とし、制度の拡充を図っております。今後も解体撤去後の敷地が有効活用されるよう、情報発信に努めてまいります。

2 誰もが健康で思いやりのあふれるまちづくり
◆町民の健康と健康づくり意識
 健康寿命の延伸には、若い世代から健康に対する自覚と認識を高め、自ら進んで健康づくりに取り組むことが大切です。このため、健康づくり運動教室など、予防に重点を置いた施策を進めるとともに、栄養・食生活・運動など、生活習慣の改善に向けて関係団体と連携を図り、健康づくり活動を支援する各種事業を実施してまいります。
 また、病気の早期発見・早期治療につなげるため、各種検診の受診勧奨を進め受診率の向上を図るとともに、受診後の保健指導等を積極的に行ってまいります。
 国民健康保険事業につきましては、保険者の都道府県化という大きな制度改正から3年目を迎え、より一層円滑な事業運営を図り、保険給付費の抑制と被保険者の負担軽減に努めてまいります。
◆高齢者の暮らしと社会参画や障がい者の社会参加
 高齢者が、可能な限り住み慣れた地域で日常生活を営むことができるよう、医療・介護など、関係機関との連携を図り各種事業に取り組んでまいります。
 介護保険事業につきましては、第7期清水町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき円滑な運営を図るとともに、新たな第8期計画を策定します。
 また、障がい者福祉につきましては、安心して生活ができるよう、障害者総合支援法及び第5期清水町障がい福祉計画に基づき、必要なサービスを提供するとともに、新たな第6期計画を策定します。
◆すべての世代が交流し支え合うまちづくり
 高齢者がいきいきと暮らすための地域の活動の場として、地域サロン事業や地域カフェ事業を推進し、お互いに支え合うまちづくりにつなげていきます。
 また、ボランティア団体と連携を進め、その活動を支援するとともに世代間の交流が深まるよう共生型事業を推進してまいります。
◆ まちぐるみで子育て世帯を支え応援するまちづくり
 次代を担う子どもたちが健やかに成長していくために、安心して子育てができる環境づくりが必要です。子育ての不安や悩みに対する相談窓口の充実を図るとともに、関係機関が連携を図りながら、子育て世帯の負担軽減の取り組みを続けてまいります。
◆安心して暮らせるまちづくり
 働き方改革の取り組みにつきましては、事業所における生産性向上と、働く方々の意欲向上や持てる能力が十分発揮できる職場環境づくりを目指して、町内事業者への啓発を図ってまいります。
 少子化による労働力不足の中で雇用確保を図るため、従業員の業務に必要な資格取得に対する助成制度の拡充や、奨学金を償還する新卒就業者等に対する償還金助成制度の活用を図ってまいります。
 また、労働災害や職業病の防止などの労働安全を目指し建設業協会等との連携により、事業者及び従業員の意識を高めてまいります。


3 新しい時代を担う人材を育むまちづくり
◆家庭・学校・地域がともに推進する教育のまちづくり
 教育の振興につきましては、「清水町教育大綱」に基づき、教育委員会と緊密な連携を図りながら、子どもたちの学びと成長を支援するための取り組みを進めてまいります。
 学校教育につきましては、教育理念である「心響」と実践指標"しみず「教育の四季」"の普及と実践のため、引き続き幼保・小・中の連携、少人数教育と特別支援教育の充実、修学旅行費用等の保護者負担軽減、情報通信技術の活用、学校給食の充実により、次代を担う子どもたちの生きる力を育んでまいります。
 また、家庭・学校・地域が一体となり地域全体で子どもたちの学びを支援する「コミュニティ・スクール」の充実を図るとともに、義務教育の9年間を見通した小中一貫教育の調査研究を進めてまいります。
 総合学科先進校として特色ある教育活動を展開している清水高等学校との連携と、関係団体への支援の拡充を図ってまいります。
◆文化とスポーツ・レクリェーションに親しむまちづくり
 文化芸術への関心を深め、楽しさや感動など心にゆとりと潤いが得られるよう、文化芸術に触れる機会を提供するとともに、文化の継承活動を支援してまいります。
 また、心身ともに健康であるために、ニュースポーツの普及など気軽にスポーツに親しむ環境づくりを推進してまいります。
◆学びの成果を活かすまちづくり
 まちづくりは「人づくりJであり、しみず読書の日の浸透を図るとともに、生涯にわたって主体的・継続的に学べる機会を提供し、学びの成果がまちづくりに活かされるよう、人間性豊かな人材の育成を推進してまいります。


4 町の資源を活かした活力あるまちづくり
◆クリーンな農業と資源循環型のまちづくり
 農業は食料の安定供給はもちろんのこと、関連する多くの企業が地域経済や社会を支える重要な役割を担っており、安全で良質な農畜産物の生産確保に向けて、各種施策とクリーンな農業を推進してまいります。
 また、食育を通して、心身の健康を守り、豊かな食文化を継承していくことが重要であり、関係団体の協力を得ながら食育計画を推進してまいります。
◆経営基盤の確立と後継者が働きやすいまちづくり
 T P P 11、EPAに続き、本年1月には日米貿易協定が発効され、農畜産物の市場開放による今後の動向を注視し、国や道の対応を慎重に見据えながら関係機関と対策を協議し必要な対策を進めてまいります。
 基幹産業である農業を持続するため、畑作農業の推進に向けた合理的な輪作体系の確立と情報通信技術を活用した畑作振興事業の充実を図ってまいります。
 また、酪農経営の大規模化に伴い、バイオマスを活用した家畜ふん尿の有効利用を推進し、乳牛の育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るための自動機械化を推進してまいります。
 担い手対策につきましては、関係機関と連携しながら研修の機会を設け、担い手の技能向上を図り、後継者対策や花嫁対策事業を推進してまいります。
 土地改良事業につきましては、道営及び団体営事業により、異常気象に負けない農業基盤の整備を推進し、農畜産物の生産性を高めてまいります。
◆まちの資源を活かした産業の振興と連携の促進や地域の資源を活かした観光産業の創出
 本町の畜産資源や食の認知度を高めるため開催しています「十勝清水肉・井まつり」は、食を通じて来場者と出庖者が交流し合うイベントとして町内の各団体と協力し、内容の充実を図ってまいります。
 昨年、初めて開催した「十勝清水にんにく肉まつり」は、本町がにんにくの産地であるアピールと、にんにくを取り入れる食文化の発信に向け、農協、商工会、観光協会と連携して取り組んでまいります。
 十勝清水トラックマーケットについては、新鮮な地場野菜等を購入できる催しとして定着してきており、地域住民自らが実践するビジネスとしてその内容を深めてまいります。
 清水公園は、町民の憩いの場であり、また、本町の重要な観光資源の一つでもあります。再整備検討委員会の答申を尊重し、魅力のある清水公園の再整備に向けた基本計画の策定を行ってまいります。
 昨年放映されたドラマ「なつぞら」や新1万円札の肖像として決定した渋沢栄一翁など、時機を逃さず交流人口の増加を図る資源として活用し、本町の歴史や景観などを広くアピールして、観光振興の弾みとしてまいります。
 また、3年目となるふるさとワーキングホリデ一事業や、昨年度より参画している北海道型ワーケーション導入検討・実証事業により関係人口の拡大を図ってまいります。
◆商業の活性化と異世代が集う多機能型まちづくり
 本町の消費経済状況につきましては、園内の景気動向や人口減少、高齢化等により消費購買力が減退していることは否めず、依然として厳しい状況が続いております。町内の消費を喚起、下支えするため、消費税率の改定に伴った各種支援策などが終了する時期に、商工会と連携して新たなプレミアム付き商品券の発行について支援してまいります。
 また、町内事業所の継続的な事業展開を支援するため、引き続き新規参入時の事業資金の確保も含め中小企業近代化資金貸付制度を推進するとともに、町内の生活に必要な商庖や事業所の維持を図るため、次世代に事業価値を引き継ぐ事業承継について学ぶ機会を設けてまいります。


5 みんなで創る協働のまちづくり
◆町民誰もが参加する協働のまちづくり
 広報紙や町のホームページにつきましては、まちの今を知る情報発信源としてよりわかりやすく町民視点に立った情報の提供に努め、まちづくりへの参加の契機となるよう内容の充実に取り組んでまいります。
 また、本町のまちづくりを応援したいと思う方々からいきいきふるさとづくり寄附をいただいており、寄附者の思いを効果的な施策に繋げ、寄附者への町内特産品贈呈により、町の産業活性化と魅力の発信に取り組んでまいります。
 移住定住促進事業につきましては、移住に際し重要な仕事や住宅、生活環境について、移住希望者の視点に立った情報提供、相談を行ってまいります。
 世帯向けの民間賃貸住宅の増加を図るため、建設、改修に対する支援策を行うとともに、住宅建設や賃貸住宅の確保までの仮住まいが可能な移住支援住宅の活用など、実効性の高い移住定住促進施策に取り組んでまいります。
 U IJターン新規就業支援事業による東京圏域からの移住や、関東・関西圏を対象とした北海道移住フェアに参加し、移住促進につなげてまいります。
◆効率的でわかりやすい行政運営
 町民自らが地域のことを考え、多くの意見を反映したまちづくり計画を基に、町民、地域、企業等関係機関と連携して課題の解決に取り組むとともに、新たなまちづくり計画を策定し人口減少に立ち向かう活力あるまちづくりの推進に取り組んでまいります。
◆広域行政の推進
 少子化と高齢化、人・モノ・金の都市部への集中が進み、地方の自治体を取り巻く環境は一層厳しくなっている中、住民に身近な行政サービスや地域活性化の効果的で効率的な実施に向けて、第3期十勝定住自立圏共生ビジョンを推進し、十勝圏全体の連携事業に取り組んでまいります。

IV  むすび
 以上、令和2年度の町政運営にあたり、方針と施策の一端を述べさせていただきましたが、全国的な人口減少の大きなうねりの中で、本町の恵まれた交通と産業の基盤に根差した、「住み続けたいまち」づくりのために、第5期清水町まちづくり計画の将来像にあります「みんなで活き生き豊さ育むまちとかちしみず」の実現と第6期計画の策定に向けて、職員とともに取り組んでまいります。
 議員の皆様をはじめ町民の皆様の深いご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、町政執行方針といたします。


令和2年3月10日
清水町長 阿部一男

この情報に関するお問い合わせ先
議会事務局 電話番号:0156-62-3317