○議長(桜井崇裕) 日程第14、意見案第3号、2021年度地方財政の充実・強化を求める意見書についてを議題とします。
職員に意見書案を朗読させます。
事務局。
○事務局次長(宇都宮学) 意見書本文を朗読いたします。
2021年度地方財政の充実・強化を求める意見書。
いま地方自治体には、医療・介護などの社会保障への対応、子育て支援策の充実、地域交通の維持・確保など、より多様化・複雑化した行政需要への対応が求められています。しかし、現実に公的サービスを担う人材不足は深刻化しており、疲弊する職場実態にある中、近年多発している大規模災害やそのための防災・減災対策の実施、また新たに発生している新型コロナウイルス感染症対策など、緊急な対応を要する課題にも直面しています。
とりわけ、新型コロナウイルス感染症に対しては、国の緊急事態宣言が出されるなど全国的に猛威を振るっており、いまだ収束の目処は見通せないどころか長期化が予想される状況になっています。このため、各自治体では住民の命と生活を守るために感染拡大防止対策や地域経済対策、雇用対策などさまざまな対策が取られています。
しかしながら、4月30日に成立した2020年度一般会計補正予算において、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」や「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」は成立しましたが、全国各自治体が必要とする財政需要に到底対応できるような規模には至っていません。 政府は、2020年度第2次補正予算案を提出し、6月12日に成立したところであるが、長期化が予想される新型コロナウイルス対策には、国の責任においてのさらなる追加予算措置を含めた対応が必要不可欠です。
一方で、地方の財源対応の基本的な方向性については、政府はいわゆる「骨太方針2018」で、2021年度の地方財政計画まで、2018年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保するとしています。実際に2020年度地方財政計画の一般財源総額は63兆4,318億円、前年比+1.0%と、過去最高の水準となりました。
しかし、人口減少・超高齢化にともなう社会保障費関連をはじめ、新型コロナウイルス感染にかかる継続的な対策を必要とする地方の財政需要に対応するためには、さらなる地方財政の充実・強化が求められています。
このため、2020年度補正予算および2021年度の政府予算と地方財政の検討にあたっては、歳入・歳出を的確に見積もり、地方財政の確立をめざすよう、政府に以下の事項の実現を求めます。
記
1.「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の総額を大幅に増額すること。交付額の算定にあたっては、財政力の弱い自治体においても必要かつ十分な対策を実行できるよう、確実な財政措置を行うこと。
2.さらに、各自治体の実情に応じた実効性ある対策が講じられるよう、国の対策に伴い地方負担が生じる場合には確実に交付金の対象とするとともに、柔軟に活用できる自由度の高い制度とすること。
3.「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」についても、総額の増額など、地域に必要な医療提供体制を整備するための措置を講じること。
4.社会保障、防災、環境対策、地域交通対策、人口減少対策、新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これらに柔軟に対応し得る地方一般財源総額の確保をはかること。
5.とりわけ、子育て、地域医療の確保、介護や児童虐待防止、生活困窮者自立支援など、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障関連予算の確保および地方財政措置を的確に行うこと。
6.会計年度任用職員制度における当該職員の処遇改善にむけて、本来の法の主旨に基づく所要額の調査を行い、確実にその財源を確保すること。
7.地方交付税における「業務改革の取組等の成果を反映した算定(トップランナー方式)」は、地域の実情を無視し、本来交付税に求められる財源保障機能を損なう算定方式であることから、その廃止にむけ検討すること。
8.「まち・ひと・しごと創生事業費」として確保されている1兆円について、引き続き同規模の財源を確保すること。
9.森林環境譲与税の譲与基準については、地方団体と協議を行い、林業需要の高い自治体への譲与額を増大させるよう見直すこと。
10.地域間の財源の偏在性是正にむけては、偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な改善を行うこと。また、各種税制の廃止、減税を検討する際には、自治体財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保をはじめ、財政運営に支障が生じることがないよう対応をはかること。
○議長(桜井崇裕) 本案についての提案理由の説明を求めます。
奥秋康子議員。
○10番(奥秋康子) それでは、意見案第3号につきまして御説明を申し上げます。
これは、2021年度地方財政の充実・強化を求める意見書でございます。これも6月12日に本会議におきまして請願の採択をいただきましたので、国に意見書を提出したいというものでございます。
意見書の内容につきましては、お手元にお配りのとおりでございますが、ただいま事務局が朗読してございますので、よろしく御審議お願いを申し上げます。
○議長(桜井崇裕) これから、質疑を行います。
質疑ありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(桜井崇裕) 質疑なしと認めます。
これより、討論を行います。
討論はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(桜井崇裕) 討論なしと認めます。
これより、意見案第3号、2021年度地方財政の充実・強化を求める意見書についてを採決します。
この採決は、起立によって行います。
本案は原案のとおり決定することに賛成の方は、起立願います。
(賛成者起立)
○議長(桜井崇裕) 起立多数です。
よって、意見案第3号は原案のとおり可決されました。
提出先は、内閣総理大臣、内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革担当)、内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)といたします。