平成29年第4回定例会会議録(3月7日_日程第4)

○議長(加来良明) 日程第4、町政執行方針について、町長より平成29年度町政執行方針を述べていただきます。

 町長。

 

○町長(阿部一男) 

Ⅰ はじめに

 平成29年第4回清水町議会定例会の開会にあたり、平成29年度の町政執行方針と所信を申し上げ、議員各位と町民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 最初に、かつて経験したことのない昨年の台風10号により被災を受けた方にお見舞いを申し上げますとともに、未だ行方不明となっている方が、一刻も早く発見されることを願うものであります。

 私は、この度の町長選挙において、町民の皆様の負託を受け、その信頼と期待にお応えするため、強い志と覚悟をもってこれから町政運営に取り組んでまいる決意であります。

 さて、我が国の経済状況は、雇用環境の改善が続くなか、景気は緩やかな回復基調が続くことが期待されておりますが、今後の先行きについては、新興国等の景気下振れや英国のEU離脱問題、米国の大統領交代など海外情勢の不確実性についても留意しなければならないとされています。

 こうした中、本町の財政状況については、人件費の削減や公債費の抑制等により健全化を図ってまいりましたが、台風10号による甚大な被害を受け、復旧事業も数多くあることから、財政運営への影響は避けられない状況にあります。

 しかしながら、一刻も早く町民が安心して生活できる環境をつくるためにも、災害復旧事業に全力を注ぎ、子育てや教育環境の整備、福祉の充実等各種施策に取り組んでまいります。

 なお、本年度の当初予算につきましては、町長選挙が執行されたことから、骨格の予算編成となっておりますが、公約に掲げました政策に関わる予算につきましては、準備が整い次第、議会にご提案をさせていただく考えであります。

 

Ⅱ 地方財政と予算概要

 平成29年度の地方財政計画では、自治体情報システム構造改革等が重点課題とされ、その財政規模は86兆6,100億円、前年度比1パーセントの増となり、地方交付税の出口ベースにあっては、地方税収の伸びにより16兆3,298億円、前年度比2.2パーセントの減となりました。

 本町の本年度当初予算につきましては、平成28年台風10号災害にかかる災害復旧費の計上により、一般会計は90億4,000万円、前年度比15.3パーセントの大幅増、一般会計と3特別会計、2公営企業会計を合わせた予算総額では130億9,890万円、前年度比11.3パーセントの増であります。

 主要財源の普通交付税につきましては、地域経済雇用対策費の減等により、27億8,000万円、前年度比2.1パーセントの減とし予算計上したところであります。

 

Ⅲ 主要政策の推進

1 自然と共生する安全で快適なまちづくり

◆ 自然環境の保全と環境との共生として

 森林は、人々が安全で安心して生活するために不可欠な多面的機能を有しており、大切な森林を守り育てていくため森林経営計画に基づき適正管理のもと継続的整備により自然環境の保全に努めてまいります。

 限りある資源を有効活用しながら、ごみ減量化と再資源化を図り、ごみの分別や排出方法、リサイクル等の推進に努めてまいります。

 インフラの整備は、災害復旧を最優先とし、安全な水を安定供給するため、水道施設の適正な管理並びに更新を実施し、下水道施設の適切な維持管理に努めてまいります。

 町道の整備につきましては、道路整備計画に基づき道路改良及び舗装工事並びに橋梁点検事業を実施してまいりますとともに、国道、 道道の整備につきましては、国や道へ積極的な要請をしてまいります。

◆ すべての世代が交流し住みやすいまちづくりとして

 町民の日常生活の交通手段を確保するコミュニティバスの運行は、 交通弱者にとって必要不可欠であり、更なる利便性向上に努めてまいります。

 老朽化が進んでいる町営住宅の建替や改修を計画的に進め、今後の住環境の整備に努めてまいりますとともに、転入や転居のための「空き家、空き地、賃貸住宅などの情報」を提供し、民間との連携を深めてまいります。

 空き家の放置は大きく社会問題化しており、課題の解決に努めてまいります。

◆ 緑豊かな森と水に親しむまちづくり

 花や樹木にあふれ心和む環境を目指して、春と秋の町内一斉清掃やクリーン・ディ、花いっぱい運動等、各団体と連携して、爽やかで美しいまちづくりに取り組んでまいります。

 地域の大切な資源である自然環境を守り育てるため、河川、公園、 緑地の維持管理に努めてまいります。

◆ 町民相互の支え合いと暮らしの安全安心

 町民が犯罪被害に遭わないよう関係機関と連携し、犯罪の抑止、事件事故の未然防止に努めてまいります。

 また、消費者トラブルは年々、形態の多様化と巧妙化によって一層悪質化しており、国の基金等を活用しながら持続的に体制の維持・強化を図り、今後も消費生活相談等による問題解決への支援拡充を行い、関係団体等との情報共有を進め、未然防止を図ってまいります。

 

2 誰もが健康で思いやりのあふれるまちづくり

◆町民の健康と健康づくり意識

 健康寿命の延伸には、若い世代からの生活習慣病予防が大切なことから、健康管理システムの活用により、各種検診の受診率向上ときめ細かな健康指導に努めてまいります。

 また、保健福祉センターのさわやかプラザに指導員を配置し、個々に応じた指導を実施してまいります。

 国民健康保険事業につきましては、保険給付費、前年度実績などを考慮したところですが、安定運営を図るため引き続き保険税徴収率の向上と特定健診事業等の推進による給付費の抑制に努め、被保険者の負担軽減を図ってまいります。

◆高齢者の暮らしと社会参画や障がい者の社会参加

 高齢者の方が、可能な限り住み慣れた地域で日常生活が営めるように、医療・介護・福祉の連携を強化するとともに、介護保険においては、本町独自のサービスを提供してまいります。

 また、障がいのある方が自立した生活を送る事ができるよう、関係団体と連携を強化し安心して暮らせる環境を推進してまいります。

◆ すべての世代が交流し支え合うまち

 少子高齢化が進展しているなかで、世代を超えた交流は互いに有意義であることから、ボランティア活動、サロン活動などを推進してまいります。

◆ まちぐるみで子育て世帯を支え応援するまち

 子育て世帯の負担軽減策として、第2子以降の幼稚園、保育所保育料の無料を継続し、子育て用品貸出事業についても継続してまいります。

 また、子育ての悩みやお子さんの発達に対する不安解消のため、相談体制の充実を図ってまいります。

◆ 安心して暮らせるまち

 雇用のミスマッチが顕在化している状況がある中、再雇用を希望される方へは、関係機関との連携により雇用情報の提供に努めるとともに、新卒者就労支援制度により新たな雇用に結びつくように取り組みます。

 また、労働条件の改善、労働災害・事故防止等に向けた各種啓蒙活動に取り組み、安全で安心な職場環境の確立に努めてまいります。

 

3 新しい時代を担う人材を育むまちづくり

◆ 家庭・学校・地域がともに推進する教育のまちづくり

 未来を担う子どもたちが心豊かにたくましく成長し、健やかに充実した生活を送ることは、私たちの願いであり、使命でもあります。

 教育の振興としましては、昨年3月に策定しました「清水町教育大綱」に基づき、教育委員会との連携を強化してまいります。

 学校教育につきましては、教育理念である「心響」と実践指標"しみず「教育の四季」"の普及と実践のため、幼保・小連携、少人数教育や特別支援教育の充実、ICTの活用などの方策により次世代を担う子どもたちの生きる力を育みます。

 また、町を担う人材として成長できるよう、家庭・学校・地域が一体となり地域全体で子どもたちの学びを支援するコミュニティ・スクールの導入について検討を進めるとともに、総合学科先進校として特色ある教育活動を展開しております清水高等学校との連携と関係団体への支援を強化してまいります。

◆ 文化とスポーツ・レクリエーションに親しむまちづくりとして

 感動や生きる喜び、創造性を育むため、文化芸術に触れる機会を提供するとともに、文化の継承活動を支援してまいります。

 また、心身ともに健康であるために、軽スポーツの普及や体を動かす習慣を身に付ける機会を提供してまいります。

◆ 学びの成果を活かすまち

 まちづくりは「人づくり」であり、生涯にわたる学習機会の提供や、しみず読書の日の浸透を図り、学びの成果がまちづくりに活かされるよう魅力ある人材の育成を推進してまいります。

 

4 町の資源を活かした活力あるまちづくり

◆ クリーンな農業と資源循環型のまちづくりとして

 農業は食料の安定供給は勿論のこと、関連する多くの企業が地域経済や社会を支える重要な役割を担っており、安全で良質な農畜産物の生産確保に向けて、各種施策とクリーンな農業を推進してまいります。

 TPP問題については、先行きが不透明なことから、国や道の対応を慎重に見据えながら関係機関と対策を協議し、必要な対策をしていきたいと考えております。

 また、食育を通して、心身の健康を守り、豊かな食文化を継承していくことが重要であり、関係団体の協力を得ながら食育計画を推進してまいります。

◆ 経営基盤の確立と後継者が働きやすいまちづくりとして

 持続的な畑作農業の推進に向けた合理的な輪作体系の確立と畑作振興事業の充実を図ってまいります。

 酪農経営の大型化に伴い、バイオマスを活用した家畜糞尿の有効利用を推進し、乳牛の育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るため町営育成牧場の迅速な復旧と円滑な運営に努めてまいりますとともに、家畜伝染病の発生防止対策につきましても、関係機関と連携を図りながら、万全な防疫体制と自衛防疫の普及啓発を行うなど指導徹底に努めてまいります。

 農業基盤整備につきましては、本年度は新規に1地区の道営事業に着手、団体営事業につきましても農地耕作条件改善事業の継続により暗渠整備を補完的に実施し、異常気象に負けない強い農業づくりに向けた基盤整備事業を図りながら農産物の生産性を高めてまいります。

 災害復旧につきましては、今後の営農に安心して取り組めるよう1日も早い復旧を進めてまいります。 担い手対策につきましては、農業塾による担い手の技能向上を図り、後継者対策や花嫁対策事業を推進してまいります。

◆ まちの資源を活かした産業の振興と連携の促進や地域の資源を活かした観光産業の創出

 昨年の台風10号災害の影響により十分に機能が果たせなかった十勝清水観光情報ステーションの取り組みをより機能的で実践的な運営となるように、本町の農業・商業・工業・観光がもっている潜在的な力を結集し、地域資源を活かした事業創出と付加価値の高い特産品の開発など地域産業の振興につなげてまいります。

 合わせて本町の強みを活かした「食」と「景観」を活用し、情報発信と物産販売を推し進め、落ち込んだ交流人口の再創出を目指してまいります。

◆ 商業の活性化と異世代が集う多機能型まち

 本町の消費経済動向として、購買行動の町外流失は、依然歯止めがかからない中、商業全般において今もなお厳しい状況が続いております。

 これを打開するため、商工会との連携をより深め、商業の活性化に挑んでまいります。

 また、起業・雇用促進補助制度などの活用を促進し、多種多様な業種の参入を支援してまいります。

 

5 みんなで創る協働のまちづくり

◆ 町民誰もが参加する協働のまち

 広報紙や町ホームページは、よりわかりやすい掲載方法と町民視点に立った情報の提供に努め、まちづくりの資料となるよう各種広報活動の充実に取り組んでまいります。

 また、いきいきふるさとづくり基金には、本町のまちづくりに対して応援、貢献したいと思う方々から寄附をいただいており、今後も寄附者の意向を十分反映できるよう適切な活用に努め、一定額を寄附された方々への町内特産品贈呈により、町の活性化と魅力を発信してまいります。

 移住定住促進事業については、ワンストップ窓口において、移住希望者が安心して相談できる体制を確立し、本町の生活、医療、福祉、雇用、起業、移住体験住宅等の多様な情報提供に努め、合わせて建設業協会による住宅や土地のあっせんなどの住環境の相談に関し、連携を図ってまいります。

◆ 効率的でわかりやすい行政運営として

 住民が地域のことを自ら考え、その総意に基づくまちづくり計画を基に、実践していける環境づくりに努めてまいりますとともに、平成27年度に策定した清水町人口ビジョン・総合戦略の事業化など各種計画の推進に取り組んでまいります。

 自主財源の確保につきましては、個人町民税では、農業所得は昨年の台風被害や天候不順により畑作部門では減収となるものの畜産部門では生乳生産量の増加や肉用牛価格が堅調に推移したことなどにより増収が見込まれており、給与所得は増減に結びつく大きな要因が見当たらないことなどから、前年度と同額としたところです。

 法人町民税につきましては、一部に業績の回復が見られることから増収を見込んだところです。 固定資産税につきましては、大規模商業店舗の出店や大規模工場での設備投資による償却資産の取得が見られることなどから、前年度と比較し微増としました。

 軽自動車税につきましては、台数の増加などにより増収とし、町たばこ税につきましては、喫煙者が減少傾向にありますので、減収を見込んだところです。

 なお、収納対策につきましては、早期の自主納税の推進に努めるとともに、十勝市町村税滞納整理機構と更なる連携を図りながら、適切な滞納整理に取り組み、徴収率の一層の向上に努めてまいります。

◆ 広域行政の推進として

 人口減少やグローバル化の進展など自治体を取り巻く環境が厳しくなる中、行政サービスや地域活性化など十勝管内などでの広域行政や連携は、今後更に重要となります。

 このため、第2期十勝定住自立圏共生ビジョンを推進し、「フードバレーとかち」などをはじめ、十勝圏全体の連携事業の発展に資する取り組みに努めるとともに、効率的な広域行政を進めてまいります。

 

Ⅳ むすび

 以上、平成29年度の町政運営にあたり、方針を述べさせていただきましたが、まずは本町の災害復旧・復興を最優先とし、各種施策と課題に取り組んでまいります。

 そのためにも、町民一人ひとりの思いを尊重し、主権者である町民の皆様との対話を重視したまちづくりに挑戦してまいります。

 議員の皆様をはじめ、町民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げ、町政執行方針といたします。

平成29年3月7日  清水町長  阿 部 一 男

この情報に関するお問い合わせ先
議会事務局 電話番号:0156-62-3317