平成31年第2回定例会会議録(3月5日_日程第5)

○議長(加来良明) 日程第5、町政執行方針について、町長より平成31年度町政執行方針を述べていただきます。

 町長。

○町長(阿部一男) 

Ⅰ はじめに

 平成31年第2回清水町議会定例会の開会にあたり、新年度の町政執行方針と施策について、議員各位と町民の皆様に概要を申し上げます。

 私の町長としての任期も折り返し点を通過し、多くの町民の皆様や関係団体との懇談、各種行事への参加などを通して頂いた貴重なご意見や、私が感じてきた課題と新たな可能性の芽をまちづくりに 活かすため取り組みを進めてきました。

  一方、国内に目を向けますと、我が国の経済情勢は雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな景気回復基調が続いているところですが、海外経済の動向や金融市場、TPPやEPAの発効による影響など、今後の先行きについては予断を許さない状況にあります。

 また、本町の財政状況については、これまで公債費の抑制等により中長期の展望を持ちながら健全財政に努めつつ、文化センター大規模改修や保育所の建設等の施設整備に加えて、少子高齢化による 医療・介護等の扶助的経費と、人口減少対策として結婚・子育てへの支援が必要なことから、財政見通しについて常に留意しているところであります。

 こうした中、災害復興と防災対策、産業の振興、人口減少と高齢化社会への対応など、町民の皆様が安心して暮らせること。豊かな地域の可能性をより大きくすること。そのために、「まちづくり」に 参加するすべての立場の人が一つになって歩を進めることが大変重要であると考えています。

 ここに、新年度の主要な施策につきまして基本的な考え方を「まちづくり計画」に沿って、分野別にご説明させていただきます。

Ⅱ 地方財政と予算概要

 平成31年度の地方財政計画では、「経済財政運営と改革の基本方針 2018」を踏まえ、人づくり革命の実現や地方創生の推進、防災・減災対策等に取り組みつつ、地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額を確保し、その財政規模は 89兆 5,930億円、前年度比3.1パーセントの増となり、地方 交付税の出口ベースにあっては、16兆1,809億円、前年度比1.1パーセントの増となりました。

 本町の本年度当初予算につきましては、一般会計は99億7,000万円、前年度当初予算比 6.0パーセント増、一般会計と3特別会計、2公営企業会計を合わせた予算総額は135億9,380万円、前年比3.6パーセントの増であります。

 主要財源の普通交付税につきましては、公債費算入額の増、基準財政収入額の増等により、26億5,000万円、前年度比1.9パーセントの増とし予算計上したところであります。

 

Ⅲ 主要政策の推進

1 自然と共生する安全で快適なまちづくり

 ◆ 自然環境の保全と環境との共生

 森林は、人々が安全で安心して生活するために不可欠な多面的機能を有しており、大切な森林を守り育てていくため森林整備計画及び森林経営計画に基づき適正管理のもと継続的整備により自然環境の保全に努め、災害に強い山づくりを進めてまいります。

 本年度から始まるごみ処理の広域化につきましては、町民、事業所等の理解を得ながら円滑に進めるとともに、循環型社会の形成を目指し、清掃センターをリサイクル施設に改修し、限りある資源の 再資源化に向け取り組みを推進してまいります。

 町道の整備につきましては、道路整備計画に基づき道路改良及び舗装工事並びに橋梁修繕工事を実施してまいりますとともに、国道、 道道の整備につきまして国や道へ積極的な要請をしてまいります。

◆ すべての世代が交流し住みやすいまちづくり

 町民の日常生活の交通手段確保は、高齢化の進展とともに更に大きな課題となっております。

 コミュニティバスと清水帯広間バスの運行を行っておりますが、 交通弱者移動支援事業として、高齢者や運転に不安を感じて免許を返納する方などが利用しやすいように、農村部の予約型乗合タクシーを買い物等の日常生活を支えるバスの試行運行に転換して行ってまいります。

 老朽化が進んでいる町営住宅の建替や改修を計画的に進め、今後の住環境の整備に努めてまいりますとともに、転入や転居のための 「空き家、空き地、賃貸住宅などの情報」を提供し、民間との連携を深めてまいります。

 また、子育て世代、賃貸住宅居住世代の新築や中古住宅の取得に対し支援するとともに、拡充した住宅リフォーム制度により定住促進を図り、多様な世代が住みやすい住宅環境の充実に取り組み移住・定住の更なる促進を図ってまいります。

◆ 緑豊かな森と水に親しむまちづくり

 豊かで快適な暮らしを目指し、春と秋の清掃週間やクリーンデイを推進し、心和む生活環境の充実を図り心豊かなまちづくりを関係団体とともに進めてまいります。

 また、地域の大切な資源である自然環境を守り育てるために、河川、公園、緑地の維持管理に努めてまいります。

◆ 町民相互の支え合いと暮らしの安全安心

 近年、全国的に大雨や地震による自然災害が多発しており、住民と行政が一体となった防災の取組が必要となっております。

 本町においては、平成28年の大雨災害を教訓として、防災備蓄の充実と自主防災組織の結成などの取組を進めているところであります。更に、本年度においては現在運用しております防災行政無線のデジタル化を図り、併せて戸別受信機を町内全戸に配布することにより確実な情報伝達手段の確保に努めてまいります。

 また、消費者を取り巻く環境は、複雑・多様化し、トラブルは年々巧妙化・悪質化しております。消費生活相談等による問題解決の支援拡充を図るため、関係団体とともに体制の維持・強化を図り、情報共有を進め犯罪の抑止や事件・事故の未然防止に対し、啓発活動の推進に努めてまいります。

◆ 快適で良好な生活環境

 町民が安心して暮らせるまちづくりを図るための一環として、犯罪や災害の未然防止、景観保持を目的として実施している廃屋解体撤去事業につきましては、新たに住宅に付随する塀・囲いなどの撤去についても対象とし、制度の拡充を図るとともに解体撤去後の敷地の活用についても町内外に情報を発信して有効活用を進めてまいります。

 

2 誰もが健康で思いやりのあふれるまちづくり

◆町民の健康と健康づくり意識

 町民が、心身ともに健康に暮らしていくためには、健康に対する自覚と認識を高め、自ら進んで健康づくりに取り組めるよう、予防に重点を置いた施策を進める必要があります。栄養・食生活・運動 など生活習慣の改善に向けて、関係団体と連携を図りながら、健康寿命の延伸を目指した健康づくり活動を支援する各種事業を実施してまいります。

 また、各種検診の受診率向上のため、受診勧奨を進めるとともに、 受診後の保健指導等を積極的に行ってまいります。

 国民健康保険事業につきましては、大きな制度改正から2年目を迎え、より一層北海道との連携を深めていくとともに、本年度より 標準システムの導入により、事務処理の統一化と円滑な事業運営に努め、保険給付費抑制と被保険者の負担軽減を図ってまいります。

◆高齢者の暮らしと社会参画や障がい者の社会参加

 介護が必要になっても、住み慣れた地域で健やかに充実した生活を送れる地域社会の実現に向けて、地域包括支援センターを中心に、 関係機関と連携を図りながら各種事業に取り組んでまいります。

 介護保険事業につきましては、第7期清水町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき円滑に運営を図ってまいります。

 また、障がい者福祉につきましては、障害者総合支援法及び清水町障がい福祉計画に基づき、必要なサービスが提供されるよう相談支援体制の充実に取り組んでまいりますとともに、安心して生活できる環境の整備に努めてまいります。

◆ すべての世代が交流し支え合うまちづくり

 地域サロン事業や地域カフェ事業を推進するとともに、世代間の交流が深まるよう共生型事業を推進し、みんなが元気で生活できるよう、地域が求める活動や相談、要望に応えるため関係団体と連携を図り活動を支援してまいります。

◆ まちぐるみで子育て世帯を支え応援するまちづくり

 安心して子どもを生み育てられる環境を整備するため、出産祝金制度や子育てサポート事業などの充実・拡充を行うとともに、新保育所の建設を行ってまいります。

 また、2020年度からの5年間を計画期間とする「第2期子ども・子育て支援事業計画」の策定を進めてまいります。

◆ 安心して暮らせるまちづくり

 国が進める働き方改革の取組みをより身近なものとするために、 町内事業者に啓蒙を図り、生産性向上とともに就業機会の拡大や意欲・能力を十分発揮できる職場環境づくりを目指します。

 少子化による労働力不足の中で雇用確保を図るため、ふるさとワーキングホリデ―事業による関係人口拡大の取組み、奨学金を償還する新卒就業者等に対する償還金の一部助成制度の創設を進めるとともに、従業員の人材確保と能力向上を図るため、業務に必要な各種資格の取得に対する助成に取り組んでまいります。

 また、労働災害や職業病の防止など労働安全対策を推進し、事業者及び従業員の意識を高めてまいります。

 

3 新しい時代を担う人材を育むまちづくり

◆ 家庭・学校・地域がともに推進する教育のまちづくり

 教育の振興につきましては、「清水町教育大綱」に基づき、教育委員会と緊密な連携を図ってまいります。 学校教育につきましては、教育理念である「心響」と実践指標"しみず「教育の四季」"の普及と実践のため、引き続き幼保・小連携、少人数教育と特別支援教育の充実、修学旅行費用等の保護者負担軽減、情報通信技術の活用により、次世代を担う子どもたちの生きる力を育んでまいります。

 また、家庭・学校・地域が一体となり地域全体で子どもたちの学びを支援する「コミュニティ・スクール」を導入するとともに、部活動や少年団活動に参加する児童生徒の送迎バスを運行してまいります。

 総合学科先進校として特色ある教育活動を展開している清水高等 学校との連携と、関係団体への支援充実を図ってまいります。

◆ 文化とスポーツ・レクリエーションに親しむまちづくり

 楽しさや感動など、生きる喜びをもたらし、創造性を育むため、 文化芸術に触れる機会を提供するとともに、文化の継承活動を支援してまいります。 また、心身ともに健康であるために、ニュースポーツの普及や体を動かす習慣を身に付ける機会を提供してまいります。

◆ 学びの成果を活かすまちづくり

 まちづくりは「人づくり」であり、生涯を通して主体的に学ぶ学習機会の提供や、しみず読書の日の浸透を図り、学びの成果がまちづくりに活かされるよう魅力ある人材の育成を推進してまいります。

 

4 町の資源を活かした活力あるまちづくり

◆ クリーンな農業と資源循環型のまちづくり

 農業は食料の安定供給は勿論のこと、関連する多くの企業が地域経済や社会を支える重要な役割を担っており、安全で良質な農畜産物の生産確保に向けて、各種施策とクリーンな農業を推進してまいります。

 また、食育を通して、心身の健康を守り、豊かな食文化を継承していくことが重要であり、関係団体の協力を得ながら食育計画を推進してまいります。

◆ 経営基盤の確立と後継者が働きやすいまちづくり

 昨年12月にTPP11、本年2月にはEPAが発効され、国際貿易が農業に及ぼす影響を慎重に見据えながら、関係機関と協議し国際貿易に対応できる必要な対策を進めてまいります。

 基幹産業である農業を持続するため、畑作農業の推進に向けた合理的な輪作体系の確立と情報通信技術を活用した畑作振興事業の充実を図ってまいります。

 また、酪農経営の大規模化に伴い、バイオマスを活用した家畜糞尿の有効利用を推進し、乳牛の育成期におけるコスト低減や労働力の軽減を図るため、自動機械化を推進してまいります。

 担い手対策につきましては、農業従事者の新たな住居整備の検討を行い、関係機関と連携しながら研修の機会を設け、担い手の技能向上を図り後継者対策や花嫁対策事業を推進してまいります。

 農業土地改良基盤整備につきましては、道営及び団体営事業により基盤整備を進め、被災農地においては引き続き事業負担の支援を行い、異常気象に負けない強い農業づくりに向けた基盤整備事業を推進し、農畜産物の生産性を高めてまいります。

◆ まちの資源を活かした産業の振興と連携の促進や地域の資源を活かした観光産業の創出

 新たな食のイベントとして昨年開催しました「十勝清水 肉・丼まつり」につきましては、本町の畜産資源や食の認知度を高めるため、更に充実した内容により開催してまいります。

 十勝清水トラックマーケットにつきましては、新鮮な地場野菜等を購入できる催しとして定着してきており、地域住民自らが実践するビジネスとして更に内容を深めてまいります。

 清水公園につきましては、引き続き特産品の販売、観光案内機能について継続して取り組むとともに、より魅力のある施設として活性化するよう検討してまいります。

 また、4月から放映されます十勝を舞台としたドラマ「なつぞら」 につきまして、交流人口の増加を図る好機と捉え、本町の魅力を広くアピールして、観光振興の弾みとしてまいります。

◆ 商業の活性化と異世代が集う多機能型まちづくり

 本町の消費経済状況につきましては、消費税の改定を控え依然厳しい状況が続いており、人口減少や高齢化等により消費購買力は減退し、経済行動の先行きが不透明でありますので、広域的な経済圏域の確保を検討してまいります。

 また、町内事業所の継続的な事業展開を支援するため、引き続き中小企業近代化資金の貸付制度を推進し、新規参入時の事業資金の確保を支援してまいります。

 

5 みんなで創る協働のまちづくり

◆ 町民誰もが参加する協働のまちづくり

 広報紙や町のホームページにつきましては、町の今を知る情報発信源としてよりわかりやすく町民視点に立った情報の提供に努め、 まちづくりへの参加の契機となるよう内容の充実に取り組んでまいります。

また、本町のまちづくりを応援したいと思う方々からいきいきふるさとづくり寄附をいただいており、寄附者の思いを効果的な施策に繋げ、寄附者への町内特産品贈呈により、町の産業活性化と魅力 の発信に取り組んでまいります。

 更に、移住定住促進事業については、移住の際の重要な要素である「仕事」と「住宅」について、需要に合った情報提供を行う体制を構築し充実させていきます。不足している世帯向けの民間賃貸住宅の増加を図るため、建設に対する支援策を行うとともに本町の医療、福祉、教育など暮らしていくために必須となる行政サービスを実感してもらうための仮住居を整備するなど、実効性の高い移住定 住促進施策に取り組んでまいります。

 大都市の方に向けて本町の魅力を積極的に発信するため、関東圏を対象とした東京と関西圏を対象とした大阪で行われる移住相談会に参加し、移住促進につなげてまいります。

◆ 効率的でわかりやすい行政運営

 町民自らが地域のことを考え、多くの意見を反映したまちづくり計画を基に、町民、地域、企業等関係機関と連携して課題の解決に取り組むとともに、新たなまちづくり計画に着手し、人口減少に立ち向かう活力あるまちづくりの推進に取り組んでまいります。

◆ 広域行政の推進

 少子化と高齢化、人・モノ・金の都市部への集中が進み、地方の自治体を取り巻く環境は一層厳しくなっている中、住民に身近な行政サービスや地域活性化の効果的で効率的な実施に向けて、十勝圏 全体の連携事業に取り組んでまいります。

 

 Ⅳ むすび

 以上、平成31年度の町政運営にあたり、方針と施策の一端を述べさせていただきましたが、将来の世代に希望にあふれる「まち」の 姿を残せるように、今ある課題や可能性に私たちが種をまき、町民の皆様とともに芽を育て、第5期清水町まちづくり計画の将来像にあります「みんなで活き生き 豊さ育むまち とかちしみず」の実現を図るため、職員と一丸となって各種施策に取り組んでまいります。

 町民の皆様にも積極的に様々な場面で町政に参画していただき、 議員各位をはじめ町民の皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、町政執行方針といたします。

 

 平成31年3月5日  清水町長  阿部一男

この情報に関するお問い合わせ先
議会事務局 電話番号:0156-62-3317