○議長(桜井崇裕) 日程第5、町政執行方針について。
町長より、令和3年度町政執行方針を述べていただきます。町長。
○町長(阿部一男) それでは、私のほうから、令和3年度町政執行方針を申し上げます。
Ⅰ、はじめに。
令和3年第2回清水町議会定例会の開会に当たり、町政執行に対する所信を申し上げ、町議会議員並びに町民の皆様に御理解と御協力をお願い申し上げます。
私は平成29年2月、清水町長に就任以来、1期4年を経て、先月、町民の皆様の御支援の下、無投票当選の栄に浴し、2月28日から2期目となる町政を担当させていただくこととなりました。
顧みますと、就任当初は、平成28年の台風災害により過去に類を見ない被害を受け、清水町は疲弊していました。1期4年間は「着実に前へ」をキャッチフレーズに、災害復興をはじめ、経済基盤の充実、人口減少、少子高齢化への対応等、様々な課題に取り組んでまいりました。
さらに、任期最終年度には、新型コロナウイルスにより社会の在り方が大きく変わりました。役場内において集団感染事例が発生し、町民生活に大きな影響を及ぼし、自分自身の考えを改めなければならないこともたくさんありました。
目まぐるしく変化する社会情勢の中、課題は山積しておりますが、私は、清水町の高いポテンシャルと可能性を信じています。
基幹産業の農業は、大きな基盤の上に成り立ち、生乳生産は146千トンと十勝で第1位の生産量を上げるなど、農業粗生産額は2年連続で30,000,000千円を突破しております。さらに、大規模な工場や地域に根差した食品製造業もしっかりしており、地域の経済基盤は強い町です。豊かな自然環境に恵まれ、道東の玄関口として、交通の要衝であり、地理的な条件にも恵まれています。
令和3年度からスタートする第6期の総合計画では、まちの将来像を「まちに気づく まちを築く とかち清水~想いをミライに繋ぐまち~」といたしました。
先人から受け継いできた、すばらしい町の資源や魅力に改めて気づき、長期的視点に立って持続可能なまちづくりを実践し、これまでも、これからも住み続けたいと思える町を築いていく決意であります。
私の2期目のキャッチフレーズは、「清水町を新たな舞台へ」です。
新年度においては、新型コロナウイルス感染症対策を重点に、着実に一つ一つ課題を克服し、その後、チャンスを逃すことなく、限られた財源の中ではありますが、人口減少、少子高齢化社会に対応するため、清水町の強み、魅力を最大限に生かし、新たな舞台を開いていきたいと考えております。
ここに、新年度の主要な施策につきまして、基本的な考え方を説明させていただきます。
Ⅱ、町政執行の基本方針。
1、町政を取り巻く環境。
我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況の下、政府は、経済財政運営と改革の基本方針2020を踏まえ、新たな日常の実現のため、地域社会のデジタル化や防災・減災、国土強靭化、地方創生の推進、地域社会の維持・再生などの重要課題に取り組めるよう、地方が安定的な財政運営を行うために必要となる地方交付税等の一般財源総額について、交付団体ベースで令和2年度を上回る額を確保し、その財源規模は89,806,000,000千円、前年度比1.0%の減となり、地方交付税の出口ベースに当たっては、17,438,500,000千円、前年度比5.1%の増となりました。
2、本町の財政状況。
令和3年度の当初予算につきましては、一般会計は8,008,000千円、前年度比2.8%の増、一般会計と特別会計、公共企業会計を合わせた予算総額は11,678,400千円、前年度比3.5%の増となったところであります。
歳入につきましては、新型コロナウイルス感染症及び固定資産税の評価替えの影響により、町税を前年度比5.2%減と見込みつつ、主要財源の普通交付税につきましては、公債費算入額の増や基準財政収入額の減等により2,840,000千円、前年度比2.2%の増として予算計上したところであります。
歳出では、公共施設、インフラの老朽化対応等による財政需要が増加している中、社会情勢の変化を的確に捉え、住民生活の安定に向けた各種施策を着実に進めてまいります。
3、今年度のまちづくりについてであります。
令和3年度は、3つの視点からまちづくりに取り組んでまいります。
1つ目は、安心・安全という視点です。
医療、福祉、教育などのサービスを効果的に切れ目なく提供し、町民が健康で心豊かに過ごすための施策に、今年度は最も重点を置いて取り組んでまいります。
まずは、新型コロナウイルス感染症の予防対策をはじめとする安全・安心な暮らしと、生活の安定を図ります。ワクチン接種をはじめとする予防体制を充実するとともに、町民の皆さんが安心して医療を受けられるよう、町内医療機関の安定した体制確保に向けて支援を行ってまいります。
また、少子高齢化社会に対応する施策に継続して取り組み、健康ポイント制度や地域サロンなどの健康づくり活動を充実させるとともに、老朽化した体育館の建て替えに向けて基本設計を実施し、安全で安心な環境づくりを推進してまいります。
あわせて、新婚世帯助成金、出産祝い金、高校生までの医療費無料化、義務教育費の保護者負担軽減など、結婚から出産、子育て、教育へとライフステージに合わせた切れ目ない支援を実施し、安心して子供を産み育てられる環境づくりに取り組んでまいります。
2つ目は、産業振興という視点です。
地域経済の牽引役である農業を中心に、商工業を充実し、持続可能な産業構造を確立していく施策に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症により疲弊した町内経済の立て直しを優先し、プレミアム付き商品券の発行等、経済の町内循環、消費喚起に取り組んでまいります。そのためには、商工会、農協等の経済団体とより一層、情報交換、連携を進め、経済状況を鑑みながら、不足している対策は、迅速に実施したいと考えております。
今後、農村部を含む町内全域にブロードバンド環境が整備されることから、時代に即応したスマート農業の導入など、Society5.0社会に対した経済活動に向け研さんを重ねてまいります。
3つ目は、定住促進・魅力発信という視点であります。
自然豊かな環境を生かし、より機能的で住みやすい定住環境づくりに取り組みます。魅力あふれる清水町の強みを町内外に発信してまいります。
昨年度から、新型コロナウイルス感染症により、観光をはじめとする交流人口増加の取組に影響が出ていることから、今年度は、大型イベントによる清水町の魅力発信、交流を控え、人々の意識・行動変容を踏まえ、都市部から地方への関心の高まりを、清水町への人、仕事の流れにつなげていきたいと考えております。
清水町の強みである交通の利便性、豊かな自然、食と農、渋沢栄一翁が設立した十勝開墾合資会社などの情報を効果的に発信し、人を引きつけるまちづくりを進めてまいります。地方への関心の高まりをチャンスと捉え、移住・定住の情報発信に力を入れ、人口減少対策につなげたいと考えております。
次に、総合計画に定める6つの体系に沿って、主な施策を改めて御説明いたします。
Ⅲ、主要政策の推進。
1、安全・安心に暮らしつづけるまち。
町民が住み続けたいと思えるまちづくりを進めていくために、人に優しい快適な生活環境の整備を推進する必要があるため、自然に負荷をかけない地域循環型まちづくりを推進するとともに、防災対策や消防体制、交通防犯対策など、次世代につなぐことができる安全・安心な生活環境を確保できるまちを目指してまいります。
環境保全に関しては、美しい自然を次世代につなげていくため、環境教育の機会を充実し、人や社会、環境に配慮した消費行動の推進に取り組むとともに、森林環境譲与税を有効に活用し、森林の継続的な整備を推進し、自然環境の保全に努めてまいります。
また、バイオマス産業都市推進協議会などにおける調査研究や関係機関との連携を図り、地域再生エネルギーとしてバイオガスプラントの導入について、普及促進に努めてまいります。また、地域循環型社会の構築を目指し、引き続きごみの減量・再資源化について、町民、事業者等と連携して進めてまいります。
交通安全対策につきましては、関係機関と連携しライフステージに応じた町民参加型の交通安全教育を充実するとともに、高齢化に対応するため公共交通機関の利用促進、運転免許証の自主返納を支援する取組を進めてまいります。
防犯対策については、地域住民による自主防犯活動を支援し、巡回パトロールや子ども110番の家・店の登録を引き続き推進し、見守り体制の充実を図ってまいるとともに、消費生活の安心を図るため、消費生活センターと連携し、被害の早期発見と経済対策を進め、出前講座などの消費者教育を進めてまいります。
防災対策については、平成28年の大雨災害を教訓とした防災備蓄の充実に加え、感染症対策を強化した初動体制の確立を図るとともに、防災行政無線による迅速で確実な情報伝達に努め、地域の力で地域を守る取組を進めてまいります。
2、健やかで笑顔あふれるまち。
少子高齢化が進行する中、町民の健康増進や福祉の向上のために、予防対策や自立支援の充実、地域と一体となった切れ目のない子育て支援などにより、安心して子供を産み育てることができ、そして、全ての町民が支え合い、健やかに生活することができるまちを目指してまいります。
町民一人一人の健康意識を高め、健康づくり活動を推進するとともに、各種健康診査に係る受診率の向上を図るため、普及啓発や受診勧奨等の取組を進めてまいります。また、高校生までの医療費無料化等、ライフステージに合わせた切れ目のない支援を継続し、町内医療機関の安定した体制確保に向けて支援を行ってまいります。
高齢者への支援については、地域包括支援センターを中心に、関係機関と連携を図り、各種事業を実施するとともに、第8期清水町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、効果的な介護サービス等を提供してまいります。
障害のある方への支援については、第6期清水町障がい福祉計画・第2期清水町障がい児福祉計画に基づき、相談体制の充実と支援制度の普及を進め、障害の状況に応じたサービス等を提供してまいります。
子育て支援については、子育てしやすい環境の充実と子育て世帯の不安や悩みに寄り添った支援を行うため、ライフステージに合わせた支援と相談窓口の充実を図るとともに、保育施設において、安定したサービスを提供するため、環境の整備に取り組んでまいります。
3、学びから生きる力を育むまち。
生きる力と郷土愛を受け継ぐ学びを推進し、確かな学力と豊かな心を持つ人材を育む教育を実践するとともに、町民が自主的に学び交流する文化やスポーツの機会を、地域と見つけられるまちを目指してまいります。
学校教育については、教育理念である「心響」と、その実践指標である「しみず教育の四季」に基づき、引き続き幼保・小・中の連携、少人数教育と特別支援教育の充実、修学旅行費等の保護者負担軽減、GIGAスクール構想の実施、学校給食の充実など、次代を担う子供たちの生きる力を育んでまいります。また、コミュニティ・スクールの推進と充実を図るとともに、義務教育を一貫して系統的、継続的に行う小中一貫教育の実現に向けた取組を進めてまいります。
高校振興につきましては、総合学科を先進校として特色ある教育活動を展開している清水高等学校との連携を深め、関係団体への支援を図ってまいります。
文化芸術活動については、多彩な文化芸術に触れる機会を提供するとともに、継承活動を支援し、町内の文化史跡や開拓の歴史を郷土の文化として学ぶ機会を創出してまいります。
スポーツ活動については、気軽にできる軽スポーツの普及や青少年のスポーツ活動を支援し、老朽化した体育館の建て替えに向けて基本設計を実施し、安全で安心な活動環境づくりを推進してまいります。
生涯学習については、学びの成果がまちづくりに生かされるよう主体的・継続的に学べる機会を提供するとともに、図書館システムの改修をはじめインターネットを活用し、多様な形態で学習することができる環境づくりを推進してまいります。
4、地域資源と産業を活かし挑戦するまち。
活力あるまちづくりを進めるために、食や農業などの強みを生かした十勝清水のブランド化を図るとともに、地域資源を生かした交流人口拡大によって、地域が潤いとにぎわいに満ちたまちを目指してまいります。
基幹産業である農業を持続していくため、異常気象に負けない農業基盤の整備を進め、農畜産物の生産性を高めてまいります。経営の大規模化に伴う労働力不足については、酪農ヘルパー組合の充実やスマート農業の推進により解決を図るとともに、家族経営の営農が継続できるよう、引き続き後継者対策や担い手確保にも取り組んでまいります。また、クリーン農業を推進するため、完熟堆肥や堆肥ペレット、消化液の有効性を普及し、耕畜連携を一層進めてまいります。
商工業については、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響により、消費購買力が減退して厳しい状況が続いていることから、町内の消費拡大や愛町購買運動を推進するために、商工会と連携し、プレミアム付き商品券の発行について支援するとともに、町内事業所の継続的な事業展開を支援するため、中小企業近代化資金の特例貸付制度を継続してまいります。
本町の最大の強みである、農畜産物のブランド化を推進するため、生産支援を行い、食育等を通じて地産地消を進めるとともに、十勝清水トラックマーケットや清水公園、十勝千年の森の観光情報ステーションにおいて、地場野菜や特産品の販売を促進し、町内外に向けて十勝清水ブランドの普及促進に取り組んでまいります。
清水町開拓の礎である十勝開墾合資会社を設立した渋沢栄一翁の功績を、町の重要な資源として町内外に広くアピールし、観光振興につなげてまいります。
5、快適で安らぎを感じられる住みよいまち。
人口減少や少子高齢化が進行する中、町民誰もが暮らしやすいと感じることができる豊かな基盤整備を進めるとともに、長期的視点で居住機能や公共交通などを、小さくても質の高いサービスを提供し、町民の満足度を高めることを目指してまいります。
道路整備については、引き続き計画的に事業を進めるとともに、国道や道道整備についても積極的に要請活動をしてまいります。公園については、中央公園、御影公園の遊具設置等をはじめ、異世代が交流できる環境を整備してまいります。
水道及び下水道については、安全な水の安定供給と生活環境衛生を維持するため、施設の適正な管理に努め、計画的な施設更新を実施してまいります。
また、高齢化の進展とともに大きな課題となっている、交通手段の確保については、コミュニティバスや清水帯広間バス、買い物銀行バスなどの運行を継続し、交通弱者に対し効率的で利便性の高い移動支援を進めてまいります。
移住定住施策については、仕事や住宅、暮らしなど移住希望者の視点に立ったきめ細やかな情報発信を行い、コロナ禍の中、オンラインによる移住相談の充実を図り、移住者への賃貸住宅家賃補助や住宅取得支援、移住支援住宅の活用を実施するとともに、御影西都団地の建て替えをはじめ、老朽化が進んでいる町営住宅の建て替えや改修を計画的に進め、既存の空き家、空き地、民間賃貸住宅などの情報把握と連携を進め、住環境の整備をしてまいります。
6、多様なつながりで協働するまち。
社会情勢や町の財政が厳しさを増すことが見込まれる中、町の明るい未来を創造していくために、住民参加のまちづくりをさらに実践し、多様な対話の実現から、まちづくりを自分ごととして捉えられる機運と環境があるまちを目指してまいります。
町内会活動をはじめとする地域のコミュニティ活動の支援を行い、人と人とのつながりを深めるとともに、まちづくりへの参加の契機となるよう、町ホームページをリニューアルし、分かりやすく町民視点に立った情報の提供と発信に努めてまいります。
Ⅳ、むすび。
以上、令和3年度の町政運営に当たり、方針と施策の一端を述べさせていただきましたが、今年度の優先事項は、新型コロナウイルス感染症対策を軸とした取組となります。年度の前半は、ワクチン接種等予防対策に万全を期するとともに、疲弊した町内の社会経済活動の立て直しに力を入れ、生活の安心・安全を最優先する所存であります。そして、その後、社会情勢を鑑みながら、タイミングを逃すことなく、新たな舞台へまちづくりを進めてまいります。
令和6年に一万円札の顔にもなる、偉大な渋沢栄一翁が設立した十勝開墾合資会社によって、明治31年に開拓のくわを入れた、私たちの町、清水町。フロンティア精神と栄一翁の教え、寛而約、忠恕の心、経済と福祉の両立の心が清水町の120年以上の歴史の中で、脈々と受け継がれてきました。
町民一丸となって、この難局を乗り越え、豊かな自然と先人により培われた歴史や地域性豊かな資源を尊重し、人と人との絆や心のつながりがあふれ、町民の皆さんが住み続けたいと思えるまち、ふるさと清水を離れたたくさんの人たちが戻って暮らしたいと思える魅力あふれるまち、将来の清水町を担う人材がこの町に残って暮らしたいと思える子供たちに誇れるまちを築いていく決意であります。
議員の皆様をはじめ、町民の皆様の深い御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げ、町政執行方針といたします。
令和3年3月12日。
清水町長 阿部一男