○議長(山下清美) 日程第4、町政執行方針について、町長より令和6年度町政執行方針を述べていただきます。町長。
○町長(阿部一男) 令和6年第2回清水町議会定例会の開会に当たり、町政執行に対する所信を申し上げ、町議会議員の皆様並びに町民の皆様にご理解とご協力をお願い申し上げます。
はじめに、私が令和3年2月から2期目の町政のかじ取りを担わせていただき、本年は4年の任期の締めくくりの年となります。任期当初から、前例がない中全力で取り組んできた新型コロナウイルス感染症対策でありますが、昨年5月に5類へと引き下げられ、それまで様々な制約を受けていたものが、少しずつ活発化し明るい兆しが見えてきたところであります。
しかしながら、社会経済活動が徐々に回復する一方で、急激な円安や物価高騰、人手不足等が町民の日常生活や企業の事業活動に大きな影響を及ぼしています。
このような中、本町においては町民の皆様の生活の安定のため、その時々の課題や状況を的確に捉え様々な支援策を講じるとともに、事業者への経済対策を継続してまいります。
令和6年元旦に発生しました能登半島地震では、甚大な被害を各地にもたらしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げ、一刻も早い復興を願っております。
本町においても、平成28年に発生した大雨台風災害の記憶がいまだ残る中、いつ発生するか分からない自然災害に改めて脅威を感じるとともに、これらに対する町民挙げての災害への備えが重要であると強く感じたところであります。
私の2期目のキャッチフレーズは「清水町を新たな舞台へ」です。令和3年度からスタートした第6期清水町総合計画におけるまちの未来像「まちに気づく、まちを築く、とかち清水~想いをミライに繋ぐまち~」の実現に向け、課題が山積する中、新型コロナウイルス感染症対策による生活の安定を最重点課題としてこれまで取り組んでまいりました。目まぐるしく変わる社会情勢でありますが、引き続き、安全・安心、産業振興、定住促進・魅力発信の3つの視点で限られた財源を活用し人口減少、少子高齢化に対応し、本町の持続的な発展に向け緊張感を持って全力で町政に取り組む所存であります。
町政を取り巻く諸情勢、我が国の経済状況はコロナ禍から経済社会活動の正常化が進みつつあり景気は緩やかに回復しているが、物価高騰、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があるとされています。
こうした状況の下、政府は経済財政運営と改革の基本方針2023において、新しい資本主義の実現に向けてデジタル変革(DX)、グリーン化(GX)の推進、子ども・子育て政策の強化、地方への人の流れの強化等による個性を生かした地域づくりの推進、防災、減災、国土強靱化をはじめとする安全、安心な暮らしの実現、人への投資など、活力ある多様な地域社会の実現等に取り組むこととしています。
本町の令和6年度当初予算につきましては、一般会計は8,668,000千円、前年度比2.1%の増。一般会計と、3特別会計、2公共企業会計を合わせた予算総額は12,444,200千円、前年度比0.2%の減となったところです。
歳入につきましては、地方における経済状況や物価高騰の影響、固定資産税の評価替えの影響を考慮し、町税を前年度比3.0%の減と見込み、主要財源の普通交付税につきましては、普通交付税の公債費算入額の増などにより3,210,000千円、前年度比4.9%の増としたところであります。
歳出では、老朽化した社会インフラへの対応、物価高騰による財政需要が増加している中においても健全で安定した財政を堅持しながら、引き続き住民生活の安定に向けた各種施策を着実に進めるとともに、日々変化する社会状況を的確に捉え、ゼロカーボン実現への取り組みやデジタル技術を活用し、行政サービスの向上の取り組みを進めてまいります。
それでは、令和6年度において取り組む主要な施策の推進につきまして、第6期清水町総合計画に定める6つの体系に沿って申し上げます。
初めに、安全・安心に暮らし続けるまちづくりについて申し上げます。
異常気象の原因と言われる地球温暖化への対策としては、2050年カーボンニュートラルを目指し、地球温暖化対策実行計画の策定を進めるとともに、公共施設照明のLED化、太陽光パネル及び蓄電池設備の導入に対する補助を拡充するなど、地域脱炭素社会に貢献する取り組みを進めてまいります。
また、森林環境譲与税を有効に活用し、多面的機能を有する大切な森林を守り育てていくため、森林整備計画に基づく森林整備を進め、脱炭素社会の実現に向けて努めてまいります。
さらに、森林経営Jクレジットの販売を通して、その財源を基に森林整備を加速させ、二酸化炭素の吸収源の拡大を図るとともに、都市圏における環境教育との連携を図ってまいります。
さらに、本町に適した地域再生エネルギーの在り方やバイオマスの利活用について、調査研究を進めてまいります。
ごみの減量・再資源化につきましては、町民、事業者等と連携して、地域循環型社会の構築を目指してまいります。
また、廃屋解体に対する補助要件を拡充し、市街地の空き家対策、環境対策を進めてまいります。
交通安全対策につきましては、警察署と連携し、高齢ドライバーの免許自主返納等啓発活動を実施するとともに、町内事業所等も含めた町民参加型の交通安全キャンペーンや、子供と高齢者の安全確保、飲酒運転の撲滅運動を進めてまいります。
防犯対策につきましては、警察署、家庭、学校、地域が連携した地域の見守り体制の充実を図るため、子ども110番の家、店の登録の推進や生活安全推進委員会を中心とした巡回パトロールを実施してまいります。
また、複雑化する消費者トラブルに対しましては、消費生活センターと連携し、相談業務の充実など被害の早期発見や救済対策を進め、消費者の安全を確保してまいります。
防災対策につきましては、防災行政無線などあらゆる手段を活用した迅速で確実な情報伝達に努めるとともに、近年の災害リスクを踏まえた防災備蓄のさらなる充実や、地域防災力を高めるために防災訓練や研修会など、防災意識を高める取り組みを継続して進めてまいります。
次に、健やかで笑顔あふれるまちについて申し上げます。
生涯にわたり心身の健康を保つためには、ライフステージに応じて食生活や運動などの健康に関する生活習慣を改善することが重要であり、医療機関とも連携を図りながら、生活習慣病の発症及び重症化を予防する取り組みを進めてまいります。
さらに、乳幼児から高校生までの医療費無償化を継続するとともに、特定健康診査、後期高齢者健診及び早目健診の自己負担額の無料化を継続し、受診率の向上を図り、疾病の予防と早期発見、早期治療による医療費の抑制を図ってまいります。
また、国民健康保険事業において国民健康保険税の適正な課税に努め、安定した事業運営を目指してまいります。併せて安定的な医療体制の構築のため、継続して医療機関の支援を行ってまいります。
高齢者福祉につきましては、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるように、地域包括支援センターを中心に関係機関の連携を深め、介護予防や日常生活を支える各種事業に取り組むとともに、第9期清水町高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画に基づき、適正な介護サービスの提供と安定した事業運営に努めてまいります。
障害者(児)福祉につきましては、安心して自分らしく暮らしていけるように相談支援体制の充実に努めるとともに、第7期清水町障害福祉計画、第3期清水町障害児福祉計画に基づく各種施策を推進してまいります。
また、人と人とのつながりが希薄化する中、生きづらさを感じたり孤立しがちな方が増えています。地域の中で互いに支え合いができるまちを目指し、第3期清水町地域福祉計画の策定を進めてまいります。
子育て支援につきましては、これまでも、子育てに関わる経済的負担の軽減と子供たちを安心、安全な環境でお預かりできるよう保育施設の充実を図るとともに、地域の関係機関が連携し、地域ぐるみで子育て世帯を支える環境づくりをしてまいりました。今後においても、御影こども園へのエアコンの設置など、近年の猛暑への対策を行うとともに、保護者の就労の多様化に対応し、より働きやすい環境を整えるため、子育てサポート事業の体制を強化してまいります。
また、こども園の運営において、しみず認定こども園で導入している保育ICTシステムを御影こども園にも導入し、保育士の負担軽減と保護者の利便性を叶え、家庭と情報共有を密に行いながら、より良い教育、保育の提供に努めてまいります。
清水学童クラブについては、清水小学校の余裕教室を活用し、より良い環境の下、放課後子ども教室と一体的に運営してまいります。
次に、学びから生きる力を育むまちについて申し上げます。
学校教育については、教育理念である「心響」とその実践指標となる「しみず教育の四季」を基盤として、引き続きこども園、小中高校との交流と連携を深め、少人数教育や特別支援教育のより一層の充実、埼玉県深谷市との交流事業や台湾台中市との国際交流事業の継続、修学旅行費の全額助成や学習活動に関わる各種助成による保護者負担の軽減、保育のデジタル化、教育のデジタル化・スマート化による教育の質の向上を図り、まちの未来を担う、たくましく生き抜く力を身につけた子供たちを育んでまいります。また、食育に関心を高める学校給食の充実を図ってまいります。
高校振興においては、清水高等学校との連携と協力を深め、関係団体と一体となって学校の魅力向上への支援を一層図ってまいります。
文化芸術活動につきましては、町民の主体的な活動の促進や、多彩な文化芸術に触れる機会の提供と、新たな文化活動の創出による文化継承に取り組むとともに、文化史跡の保存やふるさとの歴史を学ぶ機会を提供してまいります。
スポーツ活動につきましては、誰もが気軽にできるチャレンジ・ザ・ゲーム等の軽スポーツを普及啓発し、健康の保持増進や体力の向上を図るとともに、生きがいづくりやコミュニケーションの場を提供してまいります。
また、学校部活動の地域移行への取り組みや青少年のスポーツ活動を支援するとともに、新体育館の建設準備に向けて引き続き各種情報収集に努めてまいります。
生涯学習につきましては、世代を超えて誰もが学び合い、教え合いの成果をまちづくりに活かされるよう、主体的、継続的に学べる機会を提供するとともに、社会教育施設で、多様な形態で個に応じた学びが継続できる、居心地のよい環境づくりを推進充実させてまいります。
次に、地域資源と産業を生かし挑戦するまちについて申し上げます。
基幹産業である農業を取り巻く情勢は、国際紛争や円安の影響により飼料、肥料、農業資材などの高止まりが続き、依然として先行きが不透明な状況にあります。インバウンド需要は回復傾向にあるものの、引き続き牛乳、乳製品、さらに砂糖の消費拡大運動を展開するとともに、本町農業の足腰を強化するため、農業基盤整備の推進や土壌診断に基づいた適正な施肥による化学肥料の減肥、てん菜の生産振興を図ってまいります。また、スマート農業の推進のため関係機関と連携し、生産者の研修の機会を設けてまいります。
さらに、大規模経営の増加傾向などによる労働力不足を解消するため、酪農ヘルパー組合への支援を継続するとともに、引き続き後継者対策や担い手確保にも取り組んでまいります。
家畜伝染病対策につきましては、飼養者と清水町家畜伝染病自衛防疫組合が連携し防疫体制の強化に努めるとともに、蔓延防止に向け飼養衛生管理基準のさらなる普及指導に取り組んでまいります。
商工業につきましては、急激な円安や物価高に伴う影響が続いております。そのような中で、清水町中小企業小規模企業振興基本条例の制定に合わせて、商工会と連携し、引き続きプレミアム付き商品券の発行をはじめとする域内経済循環に力を入れるとともに、企業支援、設備投資にも積極的に支援をしてまいります。
また、人口減少に伴う人材不足に対応するため、企業への人材育成支援や人材確保支援にも力を入れ、持続可能な経営環境を整えてまいります。
さらに、将来に向けて近年課題となっている中心商店街の空き地、空き店舗等の利活用を町民とともに検討し、ビジョンマップづくりに着手してまいります。
本町の最大の強みである農畜産物のブランド化を推進するため、食育等を通した地産地消を進めてまいります。また、地理的優位性と豊かな自然や食を町の強みとしたイベントを開催するとともに、新紙幣の顔となる渋沢栄一翁をご縁とする関係自治体、企業と連携し観光、物産のPRに取り組んでまいります。
また、既存の観光資源に加え、日高山脈・襟裳地域の国立公園化、アウトドア観光、民泊等への支援、渋沢栄一翁関連施設など地域の魅力を最大限に引き出し、滞在型観光に力を入れ、町内経済の拡大につなげてまいります。
本年7月3日には、いよいよ渋沢栄一翁を肖像画とする新一万円札が発行されます。この機会を通じ、さらなる郷土愛の醸成と、これまで培ってきた友好都市との交流を深めてまいります。
次に、快適で安らぎを感じられる住みよいまちについて申し上げます。
道路につきましては、引き続き舗装整備やわだち掘れ等補修、修繕を計画的に進めるとともに、国道や道道整備についても積極的に事業要請をしてまいります。また、都市計画の方針となる、都市計画マスタープランの策定を引き続き進めるとともに、都市計画区域内の用途地域の見直しに着手してまいります。
公園につきましては、子供から高齢者まで異世代が集まり交流できる環境整備を計画的に進め、施設の改修等を実施し、安全に利用できるよう管理してまいります。
水道及び下水道につきましては、健全な企業経営の下、安全な水の安定供給と生活環境衛生を維持するため、施設の適正な管理に努め、計画的な施設更新を進めるとともに、未給水地域の解消に向けた計画策定を進めてまいります。
高齢者による交通事故の増加などが社会問題となる中、交通弱者と言われる高齢者などの移動手段の確保につきましては、利用者が低迷しているコミュニティバスは令和6年9月末をもって廃止することとし、今後、清水・帯広間バスの運行と買物銀行バスによる移動手段の強化充実、高齢者・重度障害児タクシーの利用助成の拡充を図るなど、効率的で利便性の高い移動手段を提供できるよう検討してまいります。
移住定住施策につきましては、昨年度設立した十勝しみず移住促進協議会の活動を充実し、よりきめ細やかな対応を進めてまいります。
また、移住定住につながる家賃支援、住宅取得支援に引き続き取り組むとともに、今後、人口減少に伴い想定される空き家増加を視野に入れ、移住定住促進に関わる賃貸住宅等の建設、修繕等を積極的に支援し、遊休不動産の有効活用を進めてまいります。
さらに、保育園留学をはじめとするワーケーション事業に力を入れ、本町の魅力ある豊かな暮らしを広く都市部に情報発信することにより、関係人口が商工振興や観光振興にもつながる環境を整え、将来的な移住定住へとつながるよう努めてまいります。
民間の遊休施設を活用した小中学生のスポーツ留学やスポーツ合宿などの受入れなどによる関係人口の拡大と、地域の新たなコミュニティ形成を目指した施設設備に対し支援を行ってまいります。
都市と地域をつなぎ、地域の課題や地域資源を活かしたビジネスを生み出す地域プレーヤーの発掘と育成を継続して行い、そのプレーヤーとともに地域おこし協力隊の採用から育成、起業支援に取り組み、任期終了後の定住、定着率の向上を目指してまいります。
町内の住宅に関しては、御影西都団地の建替えを計画的に進めるとともに、教員住宅の一部を貸付け住宅として整備してまいります。
また、老朽化が進んでいる町営住宅について、解体や改修に関わる計画の見直しを進めてまいります。併せて中古住宅の流通促進に向けた検討を進めてまいります。
次に、多様なつながりで協働するまちについて申し上げます。
人と人とをつなぐ地域コミュニティ活動は、まちづくりに大きな役割を有しています。町内会等による住民活動への支援を行い、若者から高齢者までが互いに支え合う地域コミュニティの形成を進めるとともに、町民自らが行うまちづくり事業及び自己研さんへの支援を行ってまいります。そのために、町民の皆様がまちづくりに参加する契機となるよう、本年度、情報発信のツールとして、データ放送による地デジ広報の導入及び公式LINEを開設し、町ホームページ、インスタグラム、フェイスブックと併せて、町民視点に立った情報を迅速に分かりやすく発信することに努めてまいります。
さらに、本町の豊かな自然、安心・安全な農畜産物の魅力を一層広めるため、友好都市をはじめ全国に向けての情報発信に努め、人との絆や心のつながりがあふれるまちづくりを推進してまいります。
結びになります。
以上、令和6年度の町政運営に当たり、方針と施策の一端を述べさせていただきましたが、本町の次なる舞台に一歩踏み出すため、生活の安心、安全を最優先しつつ、新たな社会基盤の構築に努力する所存であります。
また、町民が一丸となり英知を結集し、豊かな自然と、開拓先人により培われた歴史や地域性豊かな資源を尊重し、人と人との絆や心のつながりがあふれ、町民の皆様が住み続けたいと思えるまち、ふるさと清水を離れたたくさんの人たちが戻って暮らしたいと思える魅力あふれるまち、将来の清水町を担う人材がこの町に残って暮らしたいと思える子どもたちに誇れるまちを築いてまいります。
議員の皆様をはじめ、町民の皆様の深い御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げまして、町政執行方針といたします。
令和6年3月6日。
清水町長、阿部一男。